静岡県熱海市伊豆山地区の土砂災害現場の盛土と土石流堆積物の地球化学・粒子組成分析

Geochemical and grain composition analysis of embankment and debris flow deposits in the Izusan area, Atami City, Shizuoka Prefecture, central Japan

北村 晃寿*; 岡嵜 颯太*; 近藤 満*; 渡邊 隆広   ; 中西 利典*; 堀 利栄*; 池田 昌之*; 市村 康治; 中川 友紀; 森 英樹*

Kitamura, Akihisa*; Okazaki, Sota*; Kondo, Mitsuru*; Watanabe, Takahiro; Nakanishi, Toshimichi*; Hori, Rie*; Ikeda, Masayuki*; Ichimura, Koji; Nakagawa, Yuki; Mori, Hideki*

静岡県熱海市伊豆山地区の逢初川で、2021年7月3日に土石流が発生し、大量の堆積物が流下した。その後の調査で、逢初川の源頭部には盛土があり、そのうちの約55,500mが崩落し、流下したことが判明した。本研究では、源頭部の崩壊していない盛土の黒色土砂と褐色土砂、3か所の土石流堆積物、2か所の土壌の堆積物試料について、泥質物と砂質物ごとに地球化学・粒子組成分析を行った。その結果、土石流堆積物の組成は、盛土の黒色土砂と褐色土砂の混合で説明される試料もあるが、それでは説明できない試料もある。後者は、盛土の組成の不均一性を示唆する。本研究では盛土の黒色土砂と土石流堆積物が放散虫チャートを含むことを発見した。このチャート片は、黒色土砂のトレーサー物質として有用である。さらに、放散虫チャートの堆積年代はペルム系/三畳系境界付近とそれ以降のジュラ紀、ないし前期白亜紀までに及ぶことが判明した。これは、黒色土砂の供給源の特定に重要な知見となる。

On July 3 2021, a debris flow caused by a landslide from a landfill occurred along the Aizome River in the Izusan area of Atami City, Shizuoka. In this study, debris flow deposits and soil samples were characterized in terms of their sedimentology and geochemically analyzed.