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生田 正文; 佐藤 善輝; 丹羽 正和; 鎌滝 孝信*; 黒澤 英樹*; 高取 亮一*
no journal, ,
宮崎平野周辺は巨大地震モデル検討会(2012)による津波想定で震源断層域に新たに日向灘を含めるモデルが示されるなど、南海トラフ地震に注目が集まっている。一方で、日向灘を震源とする巨大地震については、未解明な点が多く残されている。文書記録から宮崎平野南部の島山地域では、1662年寛文日向灘地震により、高さ45mの津波が到達し、地盤が約1m沈降した(羽鳥、1985)と推定されているが、これまでに地質学的データからその実態を検証した事例はなかった。そこで本研究では、島山地域を対象として地質調査を行うとともに、コア試料を用いて微化石や化学成分について分析を行い、沈降域周辺の堆積環境の復元を試みた。得られた堆積年代の暦年較正値は、沈降以前の淡水環境の堆積物(A層)がAD14351605年頃、沈降によって生じた入江を埋積した海水汽水環境の堆積物(B層)がAD15201810年頃、その上位のシルト砂からなる汽水海水環境の堆積物(C層)がAD16401810年頃となる。この結果は、B層基底標高を境とする堆積環境の変化が1662年寛文日向灘地震に伴う地殻変動に対応するものであることを示す。
佐藤 善輝*; 安江 健一; 須貝 俊彦*
no journal, ,
内陸小盆地として有名な大湫盆地(岐阜県)における既存コア試料の珪藻及び植物珪酸体化石の分析を行い、盆地に形成された池沼の水深変化について検討した。その結果、珪藻化石組成の変化から、過去約30万年間に水深の深い淡水池沼と水深の浅い淡水湿地とが繰り返し生じてきたことが示唆された。また、植物珪酸体がみられない湿地や池沼などの環境と、それらが多産する湿原や陸域の環境が繰り返されたことが示唆された。周辺地域の古気候変動との対比から、淡水池沼の形成が広域の気候変動に対応する可能性が示唆された。本研究の成果は、古気候・古環境の推定手法の一助になると考えられる。
廣内 大助*; 松多 信尚*; 石山 達也*; 杉戸 信彦*; 竹下 欣宏*; 水谷 光太郎*; 安江 健一*; 藤田 奈津子; 澤 祥*; 道家 涼介*; et al.
no journal, ,
神城断層は糸魚川-静岡構造線活断層帯の最北部を構成する活断層であり、地表で確認できる長さは小谷村南部から大町市北部の木崎湖南までの約27kmに及ぶ。神城断層では2014年にM6.7の長野県北部の地震が発生し、白馬村北城から神城の約9kmに渡って断続的に地表地震断層が出現し、その上下変位量は最大で約1mに達した。発表者らは2014年に出現した地震断層やその延長部において、神城断層の過去の活動履歴を調査し、累積変位を示す完新世の変動地形の情報と合わせて、神城断層が過去にどのような地震を引き起こしてきたのかを明らかにすることを目的とした調査を実施している。その中で2014年地震のような規模の地震が、いわゆる固有地震とどのような関係にあるのか、また今回活動しなかった区間を含めた活動時期や地震規模を議論することを目指している。平成29年度は白馬村北城の白馬駅東方地点において、トレンチ掘削調査を実施した。