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緒方 一介*; 吉田 数貴; 茶園 亮樹*
Computer Physics Communications, 297, p.109058_1 - 109058_16, 2024/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Computer Science, Interdisciplinary Applications)PIKOEは陽子による核子ノックアウト反応の三重微分断面積、四重微分断面積、ベクトル偏極分解能および残留核の運動量分布を計算するFortran 90の数値計算コードである。歪曲波インパルス近似を用い、歪曲波は量子力学に基づいて計算される。散乱粒子の運動学は相対論的に扱われ、その漸近状態は3体系の平面波極限と一致する。
Shim, S.-I.*; 吉田 数貴; 緒方 一介*
Journal of the Physical Society of Japan, 92(9), p.094201_1 - 094201_8, 2023/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Multidisciplinary)本研究では、歪曲波インパルス近似と平面波インパルス近似の断面積の比を計算し、核子ノックアウト反応とアルファノックアウト反応の断面積に対する吸収効果を系統的に調べた。また、標的原子核の質量数依存性や、ノックアウトされる粒子の一粒子軌道に対する依存性についても調査した。
中田 響*; 吉田 数貴; 緒方 一介*
Physical Review C, 108(3), p.034603_1 - 034603_8, 2023/09
被引用回数:1 パーセンタイル:0.02(Physics, Nuclear)重陽子による包括的反応の記述は原子核反応の観点からも核データの観点からも重要である。陽子による反応については、これまで半古典歪曲波近似(SCDW)による記述が用いられ、成功を収めてきた。本研究で我々はSCDWを重陽子入射反応に拡張した。原子核ポテンシャルによる重陽子の屈折効果は局所半古典近似を用いることで取り入れた。本研究により、反応の断面積データはいくつかの例外を除き、低移行エネルギー・前方散乱のデータをよく再現した。また、屈折効果を適切に取り入れることで角度分布が改善されることを示した。重陽子は強い歪曲効果を受けるため、この効果は陽子入射反応に比べて非常に大きいことが明らかとなった。
近藤 洋介*; Achouri, N. L.*; Al Falou, H.*; Atar, L.*; Aumann, T.*; 馬場 秀忠*; Boretzky, K.*; Caesar, C.*; Calvet, D.*; Chae, H.*; et al.
Nature, 620(7976), p.965 - 970, 2023/08
被引用回数:6 パーセンタイル:93.26(Multidisciplinary Sciences)非常に中性子が過剰な原子核Oは、陽子、中性子ともに魔法数であることから古くからその性質に興味が持たれていたが、酸素の最後の束縛核Oよりも中性子が4個も多いため、これまで観測されてこなかった。この論文では、理化学研究所RIBFにてFからの1陽子ノックアウト反応によってOを生成し、そこから放出される中性子を測定することによって初めてその観測に成功した。核構造の観点からは、Oでは二重閉殻が保たれているか興味が持たれていたが、実験で得られた分光学的因子が殻模型計算で予言されて程度の大きいことから、閉殻構造をもたない可能性が高いことがわかった。
Chen, S.*; Browne, F.*; Doornenbal, P.*; Lee, J.*; Obertelli, A.*; 角田 佑介*; 大塚 孝治*; 茶園 亮樹*; Hagen, G.*; Holt, J. D.*; et al.
Physics Letters B, 843, p.138025_1 - 138025_7, 2023/08
被引用回数:1 パーセンタイル:64.66(Astronomy & Astrophysics)Scからの1陽子ノックアウト反応を用いて、CaとCaのガンマ崩壊を観測した。Caでは1456(12)keVの線遷移が、Caでは1115(34)keVの遷移が観測された。どちらの遷移も暫定的にと割り当てられた。有効核子間相互作用をわずかに修正した広い模型空間での殻模型計算では、準位エネルギー、2中性子分離エネルギー、反応断面積が実験とよく一致し、N=34閉殻の上に新しい殻が形成されていることを裏付けた。その構成要素であると軌道はほぼ縮退しており、これはCaが二重魔法核である可能性を排除し、Ca同位体のドリップラインをCaあるいはそれ以上にまで広げる可能性がある。
Wang, H.*; 安田 昌弘*; 近藤 洋介*; 中村 隆司*; Tostevin, J. A.*; 緒方 一介*; 大塚 孝治*; Poves, A.*; 清水 則孝*; 吉田 数貴; et al.
Physics Letters B, 843, p.138038_1 - 138038_9, 2023/08
被引用回数:2 パーセンタイル:83.53(Astronomy & Astrophysics)Neからの1中性子除去反応を用いて、Neの詳細な線分光を行った。平行運動量分布の解析に基づき、Neの準位構造とスピンパリティを決定し、初めて負のパリティ状態を同定した。測定された断面積と運動量分布から、N=20とN=28のシェルギャップの消失の証拠となる有意なintruder p-wave強度が明らかになった。束縛状態については、弱いf-waveの可能性のある強度が観測された。いくつかの有効相互作用を用いた大規模殻模型計算では、実験的に観測された大きなp-wave強度と小さなf-wave強度は再現されず、Ne同位体に沿った反転の島への遷移の完全な理論的記述への挑戦が続いていることを示している。
枝川 知温*; 吉田 数貴; 茶園 亮樹*; 緒方 一介*
Physical Review C, 107(5), p.054603_1 - 054603_7, 2023/05
被引用回数:4 パーセンタイル:83.53(Physics, Nuclear)陽子入射アルファノックアウト反応による残留核の有効偏極について、歪曲波インパルス近似に基づき研究した。ノックアウトされるアルファ粒子の原子核中での強い吸収効果によって、ノックアウト反応は強い反応領域依存性を持ち、したがってこの反応はアルファ粒子の軌道角運動量の第3成分に対する強い選択性を持つ。その結果、残留核のスピン偏極に対しても同様に強い選択性を持つことを示した。
Pohl, T.*; Sun, Y. L.*; Obertelli, A.*; Lee, J.*; Gmez-Ramos, M.*; 緒方 一介*; 吉田 数貴; Cai, B. S.*; Yuan, C. X.*; Brown, B. A.*; et al.
Physical Review Letters, 130(17), p.172501_1 - 172501_8, 2023/04
被引用回数:5 パーセンタイル:93.15(Physics, Multidisciplinary)大きなフェルミ面非対称性を持つ陽子過剰なO原子核からの100MeV/nucleonでの陽子による陽子・中性子除去反応について報告した。この結果は、quasi-freeノックアウト反応、非弾性散乱、核子移行反応を含む複数の反応機構の定量的寄与を初めて示すものである。このようなエネルギー領域では通常無視される非弾性散乱と核子移行の寄与が、弱束縛陽子と強束縛中性子の除去反応断面積にそれぞれ約50%と30%寄与していることが示された。
Elekes, Z.*; Juhsz, M. M.*; Sohler, D.*; Sieja, K.*; 吉田 数貴; 緒方 一介*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Achouri, N. L.*; 馬場 秀忠*; et al.
Physical Review C, 106(6), p.064321_1 - 064321_10, 2022/12
被引用回数:2 パーセンタイル:49.92(Physics, Nuclear)VとVの低励起準位構造を初めて探索した。Vについては中性子ノックアウト反応と陽子非弾性散乱が、Vについては中性子ノックアウト反応データが得られた。Vについては4つ、Vについては5つの新たな遷移が確認された。Lenzi-Nowacki-Poves-Sieja (LNPS)相互作用に基づく殻模型計算との比較によって、それぞれの同位体について確認されたガンマ線のうち3つが、first 11/2状態とfirst 9/2状態からの崩壊と決定された。Vについては、(,)非弾性散乱断面積は四重極変形と十六重極変形を想定したチャネル結合法により解析されたが、十六重極変形の影響により、明確に反転の島に属するとは決定できなかった。
茶園 亮樹*; 吉田 数貴; 緒方 一介*
Physical Review C, 106(6), p.064613_1 - 064613_10, 2022/12
被引用回数:2 パーセンタイル:30.99(Physics, Nuclear)新奇なクラスター現象として、原子核表面での重陽子的なpnクラスターが興味を持たれている。これまでに良く知られたアルファクラスター現象は、アルファ粒子は強く束縛した一つの粒子として扱えるため、ノックアウト反応でその存在を確認することができる。一方で重陽子は弱束縛で脆いため、重陽子ノックアウト反応はアルファノックアウト反応と同様には扱えない。本研究では、陽子・中性子およびノックアウト反応の残留核の3体系を連続状態離散化チャネル結合法により記述し、終状態相互作用による重陽子の分解・再形成効果を取り入れた。その結果、重陽子の基底状態と分解状態間の干渉効果は大きく、分解効果を取り入れることはこの反応の記述に必須であることを示した。
Enciu, M.*; Liu, H. N.*; Obertelli, A.*; Doornenbal, P.*; Nowacki, F.*; 緒方 一介*; Poves, A.*; 吉田 数貴; Achouri, N. L.*; 馬場 秀忠*; et al.
Physical Review Letters, 129(26), p.262501_1 - 262501_7, 2022/12
被引用回数:5 パーセンタイル:65.23(Physics, Multidisciplinary)230MeV/nucleonでのCaからの中性子ノックアウト反応が線分光と行われ、と軌道からの中性子ノックアウト反応の運動量分布が測定された。断面積はの閉殻と整合し、Ca同位体でのと閉殻と同程度に強い閉殻であることが確認された。運動量分布の分析からと軌道の平均二乗根半径の差は0.61(23)fmと決定され、これはmodified-shell-modelによる予言の0.7fmと整合した。これは、中性子過剰なCa同位体での軌道半径が大きいことが、中性子数にしたがって線形的に荷電半径が増える意外な現象の原因であることを示唆している。
小岩井 拓真*; Wimmer, K.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Barbieri, C.*; Duguet, T.*; Holt, J. D.*; 宮城 宇志*; Navrtil, P.*; 緒方 一介*; et al.
Physics Letters B, 827, p.136953_1 - 136953_7, 2022/04
被引用回数:4 パーセンタイル:74.12(Astronomy & Astrophysics)中性子過剰核Caでは、新魔法数34が発見されて以来、その構造を知るために多くの実験がなされてきたが、それを超える中性子過剰核の情報は全く知られてこなかった。本論文では、理化学研究所RIBFにてK, Ca, Caの励起状態から脱励起するガンマ線を初めて観測した結果を報告した。それぞれ1つのガンマ線しか得られなかったものの、KおよびCaのデータは、それぞれ、陽子のと軌道間のエネルギー差、中性子のと軌道間のエネルギー差を敏感に反映し、両方とも最新の殻模型計算によって200keV程度の精度で再現できることがわかった。また、1粒子状態の程度を特徴づける分光学的因子を実験データと歪曲波インパルス近似による反応計算から求め、その値も殻模型計算の値と矛盾しないことがわかった。
中山 梓介; 岩本 修; 渡辺 幸信*; 緒方 一介*
Few-Body Systems, 63(1), p.4_1 - 4_6, 2022/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Multidisciplinary)重陽子加速器を用いた大強度中性子源が理工学分野だけでなく医療応用に対しても提案されている。このような施設の設計には、重陽子入射反応に関する高精度かつ広範な核データが要求される。しかしながら、実験データのみを用いてこの要求を満たすことは困難である。そのため、実験データを内外挿して必要な核データを完備するために、理論計算が重要な役割を果たす。こうした状況の下、我々は重陽子入射反応用の計算コードDEURACSを開発している。本研究では、DEURACSの計算値を様々な実験値と比較することにより本コード内の理論モデルの妥当性を検証するとともに、重陽子入射反応を精度良く予測する上で分解過程の考慮することがいかに重要かを示す。
吉田 数貴; Atkinson, M. C.*; 緒方 一介*; Dickhoff, W. H.*
Physical Review C, 105(1), p.014622_1 - 014622_7, 2022/01
被引用回数:2 パーセンタイル:49.92(Physics, Nuclear)Dispersive optical model (DOM)波動関数をこれまでの(,)反応解析に適用し、(,)反応解析との整合性を確認した。DOM波動関数を歪曲波インパルス近似に適用し、Ca(,)Kデータを解析した結果、軌道の陽子の分光学的因子は0.5660となり、これはDOMによる(,)解析の結果で得られた0.71より有意に小さい。この不整合は原子核内での-散乱の記述に改善が必要であることを示唆している。
Linh, B. D.*; Corsi, A.*; Gillibert, A.*; Obertelli, A.*; Doornenbal, P.*; Barbieri, C.*; Chen, S.*; Chung, L. X.*; Duguet, T.*; Gmez-Ramos, M.*; et al.
Physical Review C, 104(4), p.044331_1 - 044331_16, 2021/10
被引用回数:6 パーセンタイル:63.69(Physics, Nuclear)理化学研究所のRIビームファクトリーにて中性子過剰Clの励起状態をArからのノックアウト反応によって生成し、脱励起ガンマ線からそのエネルギー準位を測定した。また、陽子ノックアウトの運動量分布からClの基底状態がであることがわかった。その結果を大規模殻模型計算およびいくつかの第一原理計算と比較した。Cl同位体の基底状態および第一励起状態は、計算で用いた相互作用に敏感であることがわかった。それは、陽子の一粒子エネルギーと四重極集団運動との複雑な結合によるためであると考えられる。
中山 梓介; 岩本 修; 渡辺 幸信*; 緒方 一介*
Journal of Nuclear Science and Technology, 58(7), p.805 - 821, 2021/07
被引用回数:22 パーセンタイル:96.69(Nuclear Science & Technology)重陽子加速器を用いた高エネルギー中性子源の利用が様々な応用に対して提案されている。こうした中性子源の設計研究に資するため、Li, Be, Cに対する200MeVまでの重陽子核データライブラリJENDL/DEU-2020を開発した。JENDL/DEU-2020のデータの評価は、計算コードDEURACSを用いて特に中性子生成データに注意を払って行った。また、本評価に利用するに当たり、DEURACSにいくつかの改良を行った。評価データの検証はモンテカルロ輸送計算コードによるシミュレーションを通じて行った。その結果、JENDL/DEU-2020に基づくシミュレーション値は入射エネルギー200MeVまでの範囲で中性子生成に関する実験データを良く再現することが分かった。このことから、本ライブラリは多様な重陽子加速器中性子源の設計研究に大きく貢献すると期待される。
Browne, F.*; Chen, S.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; 緒方 一介*; 宇都野 穣; 吉田 数貴; Achouri, N. L.*; 馬場 秀忠*; Calvet, D.*; et al.
Physical Review Letters, 126(25), p.252501_1 - 252501_7, 2021/06
被引用回数:10 パーセンタイル:74.2(Physics, Multidisciplinary)理化学研究所RIビームファクトリーにて、中性子過剰核Scからの1陽子ノックアウト反応によってCaを生成し、そのエネルギー準位と反応断面積をガンマ線分光および不変質量分光によって得た。その結果を歪曲波インパルス近似による核反応計算と大規模殻模型による核構造計算を組み合わせた理論値と比較した。実験の準位と断面積は理論計算によってよく再現された。Caの正パリティ状態については、基底状態の生成断面積が励起状態のものに比べて圧倒的に大きいという結果が得られた。これは、Scでは中性子魔法数34が消滅しCaではその魔法数が存在するというこれまでの知見と一見矛盾するが、対相関による分光学的因子のコヒーレンスから理解することができる。
谷口 億宇*; 吉田 数貴; 千葉 陽平*; 延与 佳子*; 木村 真明*; 緒方 一介*
Physical Review C, 103(3), p.L031305_1 - L031305_5, 2021/03
被引用回数:11 パーセンタイル:86.51(Physics, Nuclear)本研究では、Ti(,)Ca反応の分析により、中重核であるTiでの粒子形成が平均場近似で予想される量よりも顕著に大きいことを明らかにした。さらに、示唆される粒子とCa間のクラスター間平均距離はおよそ4.5fmであり、これは微視的構造理論での4核子相関の記述に課題をもたらす結果である。
Juhsz, M. M.*; Elekes, Z.*; Sohler, D.*; 宇都野 穣; 吉田 数貴; 大塚 孝治*; 緒方 一介*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; 馬場 秀忠*; et al.
Physics Letters B, 814, p.136108_1 - 136108_8, 2021/03
被引用回数:5 パーセンタイル:63.69(Astronomy & Astrophysics)(,)反応と線分光を用いてArの束縛状態と非束縛状態の核構造研究を行った。実験結果と殻模型計算を比較することで、2つの束縛状態と6つの非束縛状態を決定した。Arの束縛状態を生成する反応断面積が小さいことから、これは中性子数32, 34の顕著なsub-shell closureが存在している確かな証拠と解釈できる。
茶園 亮樹*; 吉田 賢市*; 吉田 数貴; 緒方 一介*
Physical Review C, 103(2), p.024609_1 - 024609_7, 2021/02
被引用回数:2 パーセンタイル:33.7(Physics, Nuclear)重陽子とおなじ量子数をもつアイソスカラーな陽子()-中性子()ペアの存在が原子核中で期待される。本研究では、O原子核の多体計算中での間のペアリング強度と、Oに陽子を入射し重陽子をノックアウトする反応断面積との関係性を明らかにした。ペアの波動関数は密度汎関数理論により計算され、ノックアウト反応の記述には歪曲波インパルス近似を用いた。ペアリング強度を変化させることで、断面積の変化を調査した。とノックアウト断面積との明らかな対応関係が明らかになり、また反応の歪曲効果は断面積の依存性を強くすることが判明した。このことから、重陽子ノックアウト反応は原子核内のアイソスカラーペアの存在を明らかにする有力な手法である。ノックアウト反応断面積の定量的な記述には、反応理論のより発展的な記述が必要であることも明らかになった。