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武内 伴照; 柴田 裕司; 花川 裕規; 上原 聡明*; 上野 俊二*; 土谷 邦彦; 熊原 肇*; 柴垣 太郎*; 駒野目 裕久*
JAEA-Technology 2017-026, 26 Pages, 2018/02
原子力施設でシビアアクシデントが発生した際に、プラント状態を監視し、緊急時対応を円滑に実施するためには、信頼性の高い伝送技術が必要である。本研究では、水中で伝送可能な可視光無線伝送システムの構築を目指して、LEDやフォトダイオード等の光学部品に対して10Gyまでのガンマ線の照射による影響を調べた。その結果、LEDは全光束が減少するとともに樹脂レンズ部が着色した。フォトダイオードの電流-電圧特性にはほとんど変化は無かった。フォトダイオードは、受光感度が減少するとともに窓材の樹脂が着色したが、暗電流は伝送に悪影響を与えるほどの大きさにはならなかった。これらの結果から、両素子を無線伝送システムに適用する場合に考慮すべき特性劣化の主因は、半導体部分の劣化ではなく、樹脂の着色によって発光及び受光量が減少することによるものであることが示唆された。また、発光・受光回路部を環境から隔離するための窓材や、外乱ノイズ光を軽減するための光学フィルタとして、各種ガラスについてもガンマ線照射による透過率の減少を評価し、伝送システムの構築に向けた基礎データを取得した。
武内 伴照; 大塚 紀彰; 上原 聡明; 熊原 肇*; 土谷 邦彦
QST-M-2; QST Takasaki Annual Report 2015, P. 80, 2017/03
水中でも伝送可能かつ耐放射線性をもつ可視光無線伝送システムの構築を目指して、発光素子の候補である発光ダイオード(LED)の線照射効果の評価を行った。照射劣化を評価するため、電流電圧特性及び全光束を測定した。その結果、照射後に、LEDは全光束が減少するとともに樹脂レンズ部が着色したが、電流電圧特性はほとんど変化は無かった。結果から、両素子の特性劣化の主因は半導体部分の劣化ではなく、樹脂の着色によるものであることが示唆された。一方、砲弾型よりも表面実装型LEDのほうが、照射量に対する全光束の減少速度が小さかったことから、開発中の無線伝送システムの発光素子に適することが分かった。
武内 伴照; 中野 寛子; 上原 聡明; 土谷 邦彦
Nuclear Materials and Energy (Internet), 9, p.451 - 454, 2016/12
被引用回数:1 パーセンタイル:10.6(Nuclear Science & Technology)無機絶縁(MI)ケーブルは、耐熱性,絶縁性及び機械的強度に優れ、原子力用計測機器の計測線として使用されている。日本が提案する核融合炉ブランケットは高温高圧水で冷却する方式であるが、軽水炉及び核融合炉の運転時には、水の放射線分解により、溶存ガス量が変化し、シース材に影響を与えることが懸念されている。本研究は、シース材としてSUS304及びSUS316を選定し、高温高圧水中の溶存酸素,水素及び窒素量の変化による機械的特性への影響をSSRT試験により調べた。まず、PWRの高温高圧水環境下325C15MPaで溶存酸素量約6ppmの条件下において、ひずみ速度の影響を調べた。その結果、両鋼材ともに、ひずみ速度が遅いほうが引張強度が高かった。一方、溶存窒素量約20ppm程度の試験では、ひずみ速度が遅いほうが引張強度は低く、破断伸びが小さかった。破断面のSEM観察を行ったところ、試料表面部に脆性的破面が見られ、その表面深さは、ひずみ速度が遅いもの、すなわち高溶存窒素環境をより長時間経験した試料のほうが深かった。さらに、窒素に加えて溶存水素量を約50ppbにして行った試験では、窒素単独時よりもわずかに脆性破面率が高く、引張強度が低かった。以上から、高温高圧水環境において、溶存水素とともに、溶存窒素もステンレス鋼の機械的特性に影響を与えることが分かった。
武内 伴照; 柴田 裕司; 大塚 紀彰; 上原 聡明; 土谷 邦彦; 柴垣 太郎*; 駒野目 裕久*
IEEE Transactions on Nuclear Science, 63(5), p.2698 - 2702, 2016/10
被引用回数:3 パーセンタイル:28.09(Engineering, Electrical & Electronic)福島第一原子力発電所事故の教訓から、耐放射線性を有する水中無線伝送システムの開発を開始した。本研究では、線照射下におけるLEDとフォトダイオード(PD)の発光及び受光素子としての適用性を調べた。この結果、市販のLED及びPDに対する1MGyまでの線照射試験から、光学的特性の劣化主因は、半導体部の照射損傷ではなく、樹脂レンズ部の放射線着色であることが示唆された。一方、使用候補であるLED及びPDを用いた水中5mにおける光伝送を検討したところ、光吸収や1MGy時の暗電流増加を考慮しても受光が可能な信号レベルであると見積もられた。以上より、LED及びPDを用いた耐放射線性を有する水中無線伝送システムの構築に見通しが得られた。
武内 伴照; 中野 寛子; 上原 聡明; 土谷 邦彦
Proceedings of International Conference on Asia-Pacific Conference on Fracture and Strength 2016 (APCFS 2016) (USB Flash Drive), p.95 - 96, 2016/09
福島第一原子力発電所事故以降、過酷事故時における原子炉監視システムの重要性が高まっている。その開発の一環として、平常時及び過酷事故環境で使用可能な無機絶縁(MI)ケーブルの開発に着手した。本研究では、炉水環境のMIケーブルの機械的な健全性を調べるため、高温高圧純水中におけるケーブル被覆材の破壊特性に対する溶存酸素の影響を調べた。被覆材として、SUS304及び316ステンレス鋼を選定し、325C15MPaにて510mm/minで低ひずみ速度法による引張試験を行った。その結果、両鋼材とも、溶存酸素が8500から50ppbでは延性破壊のみが生じ、引張強度や延びに変化は無かった。一方、10及び1ppbでは、破面周縁部に脆性破壊が生じ、引張強度及び延びがともに減少した。以上から、高温高圧純水環境において、溶存酸素が100ppb以下の領域にSUS304及び316が脆性破壊を起こす閾値が存在することが示唆された。
中野 寛子; 上原 聡明; 武内 伴照; 柴田 裕司; 中村 仁一; 松井 義典; 土谷 邦彦
JAEA-Technology 2015-049, 61 Pages, 2016/03
日本原子力研究開発機構では、原子力施設でシビアアクシデントが発生した際に、プラント状態を監視するため、過酷環境下でも高解像度で監視できる耐放射線性カメラ、炉内の情報を伝送するための無線伝送システムならびに計測線等の高度化に向けた要素技術の基盤整備を進めている。計測線の高度化開発の一環として、高温型MIケーブルの信頼性およびそれらを構成するシース材料の特性を調べるため、PWR及びBWR条件の炉内環境を模擬できる炉外高温高圧水ループ試験装置を整備した。本装置は、圧力容器(オートクレーブ)、水質調整タンク、送水ポンプ、高圧定量ポンプ、予熱器、熱交換器および純水精製装置などから構成されている。本報告書は、炉外高温高圧水ループ試験装置の製作にあたって構成する機器の基本設計及び当該装置を用いた性能試験結果についてまとめたものである。
武内 伴照; 柴田 裕司; 大塚 紀彰; 上原 聡明; 熊原 肇*; 土谷 邦彦
JAEA-Review 2015-022, JAEA Takasaki Annual Report 2014, P. 29, 2016/02
水中でも伝送可能かつ耐放射線性をもつ可視光無線伝送システムの構築を目指して、発光波長がほぼ同じで比較的光量の大きい異なった2種類のLEDを選定し、その線照射効果を調べた。照射劣化を評価するため、照射前後におけるLEDの電流電圧特性や全光束を測定した結果、照射後に全光束が減少するとともに樹脂レンズ部が着色したが、電流電圧特性はほとんど変化は無かった。このことから、両素子の特性劣化の主因は半導体部分の劣化ではなく、樹脂の着色によるものであることが示唆された。一方、試験した内の1種類のLEDについて、照射量に対する全光束の減少速度が小さかったことから、開発中の無線伝送システムの発光素子に適すると考えられることが分かった。
武内 伴照; 花川 裕規; 柴田 裕司; 上原 聡明; 上野 俊二; 熊原 肇*; 土谷 邦彦
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 33, 2015/03
水中でも伝送可能かつ耐放射線性をもつ可視光無線伝送システムの構築を目指して、LEDとフォトダイオード(PD)の線照射効果の評価を行った。照射劣化を評価するため、照射前後で、LEDの電流電圧特性や全光束及びPDの暗電流や受光感度を測定した。その結果、照射後に、LEDは全光束が減少するとともに樹脂レンズ部が着色したが、電流電圧特性はほとんど変化は無かった。PDは、受光感度が減少するとともに窓材の樹脂が着色したが、暗電流は高々10nA以下と低い値のままであった。これらの結果から、両素子の特性劣化の主因は半導体部分の劣化ではなく、樹脂の着色によるものであることが示唆された。
麻生 智一; 達本 衡輝; 大都 起一; 上原 聡明; 川上 善彦; 櫻山 久志; 二川 正敏
Proceedings of 19th Meeting of the International Collaboration on Advanced Neutron Sources (ICANS-19) (CD-ROM), 8 Pages, 2010/07
J-PARCにおける1MW級JSNS中性子源の低温水素システムは、水銀ターゲットで発生した核破砕中性子を冷中性子に減速するためのモデレータに18K, 1.5MPaの超臨界水素を使用する。2008年4月のオフビームコミッショニングを通して、超臨界水素循環用低温水素システムの要求仕様を確認し、最大約190g/sの循環に成功した。2008年5月には、初めて中性子発生に成功し、モデレータにより減速した中性子を問題なく供給することを確認した。その後、オンビームコミッショニングにおいても本低温水素システムの特性を確認した。
達本 衡輝; 麻生 智一; 大都 起一; 上原 聡明; 櫻山 久志; 川上 善彦; 加藤 崇; 二川 正敏
Proceedings of International Cryogenic Engineering Conference 23 (ICEC-23) and International Cryogenic Materials Conference 2010 (ICMC 2010), p.1009 - 1014, 2010/07
J-PARC核破砕中性子源では、MW級の陽子ビームによる核破砕反応によって発生した高速中性子を用いて冷中性子に減速したビームを供給する。陽子ビーム1MW時において、水素モデレータ容器内で発生する核発熱は約3.8kWであり、この大きな熱負荷を除去するための大流量の超臨界圧水素を安定に強制循環させる低温水素システムを製作した。陽子ビームの入射・停止時における大きな圧力変動を抑制するために、開発したヒータによる熱補償とアキュムレータによる容積変動制御を併用した圧力制御機構を開発した。初めての300kW陽子ビーム運転時において、低温水素システムの圧力変動試験も同時に行い、300kWビーム入射・停止時における圧力変動を13.5kPa以下に抑えることに成功した。また、開発した数値解析モデルは、実験結果を15%以内で予測することができた。1MW運転における圧力変動は設計圧力変動値より低い40kPaに抑えられることが解析により明らかになり、本圧力制御システムは、1MWビーム運転時においても有効であると期待できる。
達本 衡輝; 麻生 智一; 大都 起一; 上原 聡明; 櫻山 久志; 川上 善彦; 加藤 崇; 二川 正敏; 吉永 誠一郎*
Proceedings of International Cryogenic Engineering Conference 23 (ICEC-23) and International Cryogenic Materials Conference 2010 (ICMC 2010), p.377 - 382, 2010/07
J-PARC核破砕中性子源では、MW級の陽子ビームによる核破砕反応によって発生した高速中性子を用いて冷中性子に減速したビームを供給する。陽子ビーム1MW時における水素モデレータ容器内で発生する核発熱は約3.8kWであり、モデレータ性能を満たすためには、このモデレータ内の温度差を3K以内する必要があった。本研究では、大流量の超臨界圧水素を安定に強制循環させる超臨界水素ポンプをITERで開発した超臨界ヘリウムポンプの設計データベースを用いて新たに開発し、その性能特性試験を測定した。断熱効率は54%、循環流量は、世界最大流量200g/sを達成し、開発した超臨界水素ポンプは、設計値を十分満足する性能を有することを確認した。
達本 衡輝; 麻生 智一; 大都 起一; 上原 聡明; 櫻山 久志; 川上 善彦; 加藤 崇; 二川 正敏
Proceedings of International Cryogenic Engineering Conference 23 (ICEC-23) and International Cryogenic Materials Conference 2010 (ICMC 2010), p.601 - 606, 2010/07
J-PARC核破砕中性子源では、MW級の陽子ビームによる核破砕反応によって発生した高速中性子を用いて冷中性子に減速したビームを供給する。陽子ビーム1MW時において、水素モデレータ容器内で発生する核発熱は約3.8kWであり、この大きな熱負荷を除去するために、大流量の超臨界圧水素を安定に強制循環させる低温水素システムを製作した。本低温水素システムでは可燃性ガスである水素を保有しているので、万が一、低温水素システムに異常事象が発生した場合でも、低温水素システムの機器保護と安全性を確保できるインターロックシステムを構築した。コミッショニングにより、ここで構築したインターロックシステムの健全性を確認することができた。
達本 衡輝; 麻生 智一; 大都 起一; 上原 聡明; 櫻山 久志; 川上 善彦; 加藤 崇; 二川 正敏
AIP Conference Proceedings 1218, p.297 - 304, 2010/04
被引用回数:2 パーセンタイル:72.86(Thermodynamics)J-PARCの核破砕中性子源ではMW級の陽子ビームによる核破砕反応によって発生した高速中性子を超臨界圧水素を用いて冷中性子に減速しビームを供給する。陽子ビーム1MW時において、水素モデレータ容器内で発生する核発熱は約3.8kWであり、この大きな熱負荷を除去するために、大流量の超臨界圧水素を安定に強制循環させる低温システムを製作した。6か月に渡るオフビームコミッショニング期間で、低温水素システムの特性試験を実施し、設計どおりの性能を満たすことを確認することができた。
達本 衡輝; 麻生 智一; 大都 起一; 上原 聡明; 櫻山 久志; 川上 善彦; 加藤 崇; 長谷川 勝一; 二川 正敏
AIP Conference Proceedings 1218, p.289 - 296, 2010/04
被引用回数:2 パーセンタイル:72.86(Thermodynamics)J-PARCの核破砕中性子源ではMW級の陽子ビームによる核破砕反応によって発生した高速中性子を超臨界圧水素を用いて冷中性子に減速しビームを供給する。陽子ビーム1MW時において、水素モデレータ容器内で発生する核発熱は約3.8kWであり、この大きな熱負荷を除去するために、大流量の超臨界圧水素を安定に強制循環させる低温システムを製作した。陽子ビームの入射・停止時において大きな圧力変動が与えられるため、ヒータによる熱補償と容積制御のアキュムレータを併用した圧力制御システムを開発した。昨年の12月に109kWの陽子ビーム25Hzで入射したときの低温水素システムの圧力変動試験を実施し、ビーム入射・停止時における圧力変動を5kPaに抑制することに成功した。本試験において、開発した圧力制御システムの有用性を確認することができた。
麻生 智一; 達本 衡輝; 長谷川 勝一; 大都 起一; 上原 聡明; 川上 善彦; 櫻山 久志; 前川 藤夫; 二川 正敏; 牛島 勇*
Proceedings of International Cryogenic Engineering Conference 22 (ICEC-22) and International Cryogenic Materials Conference 20 (ICMC 2008), p.741 - 746, 2009/00
J-PARC物質・生命科学実験施設に設置された中性子源用モデレータ冷却システムは、核破砕反応で発生した高エネルギー中性子を超臨界水素中に通過させることにより、そのエネルギーを低減し、冷中性子ビームとして施設利用者の実験装置へ供給するための冷凍システムである。本システムが完成し、モデレータを接続した状態の低温試験を、水素に先立ちヘリウムガスによって初めて行った。モデレータを含めて、1.5MPa, 20Kの定格状態まで冷却でき、定常維持,昇温運転が問題なくできることを確認した。
石尾 光太郎*; 中嶋 秀夫; 川崎 勉*; 上原 聡明*; 辻 博史; F.Wong*; 島本 進*
Proc. of 15th Int. Conf. on Magnet Technology (MT-15), p.989 - 992, 1997/10
ITERのTFコイル構造材には、4Kにおいて高強度(0.2%耐力が1000MPa以上)及び高靱性(破壊靱性Kが200MPa√m以上)が要求される。このITERターゲットを立証するために、構造材料の特性を評価するための国際共同作業が現在進行している。日本原子力研究所はITERターゲットを満足するJJ1及びJK2鋼を開発し、それらの圧延材の製作性及び溶接性を証明するために、110mm厚圧延材及びTIG溶接継手の試作を行った。それらの結果、JJ1及びJK2鋼の強度及び破壊靱性が、溶接継手を含めて、ITERターゲットを満たすことが立証された。さらに110mm厚JJ1及びJK2鋼溶接継手は、完全オーステナイトであるにもかかわらず、非破壊検査からは、割れや有害な欠陥は見られなかった。
達本 衡輝; 麻生 智一; 大都 起一; 長谷川 勝一; 上原 聡明; 加藤 崇
no journal, ,
J-PARC計画の一環として、物質・生命科学実験分野では、1MW級の陽子ビームを水銀ターゲットに入射し、核破砕反応によって発生した高速中性子を超臨界圧水素(1.5MPa, 20K)のモデレータを使用し、冷中性子に減速させる核破砕中性子源の建設を行っている。超臨界圧水素をこのモデレータに安定に供給するための極低温水素循環システムは、閉ループを形成し、超臨界圧水素を強制循環させる循環ポンプ,オルソ・パラ変換器,He-H2熱交換器、及び、圧力制御用のヒーターと水素ループ内にベローズが内包されたアキュムレータから構成され、ヘリウム冷凍機(冷凍能力:6kW@17K)により冷却される。極低温水素循環システムの運転制御を検討するために、冷却プロセスを模擬する解析コードを開発し、冷却方法、及び、冷却時間の検討を行った。その結果、擬臨界領域での温度制御が重要であることが明らかになった。21時間以内で定格状態まで冷却できることがわかった。
麻生 智一; 達本 衡輝; 長谷川 勝一; 大都 起一; 上原 聡明; 前川 藤夫; 加藤 崇
no journal, ,
中性子源用モデレータ冷却システムは、核破砕反応で発生した高エネルギー中性子を超臨界水素中に通過させることにより、そのエネルギーを低減し、冷中性子ビームとして施設利用者の実験装置へ供給するための冷凍システムである。中性子源中心部で中性子による水素への熱負荷が約4kWに達し、この負荷を中心部にあるモデレータ(合計4L)で温度差3K以内という条件で除去するために超臨界水素の強制循環で冷却する方式とし、水素インベントリを低減するために水素とヘリウムの2元冷凍システムとした。昨年から現地製作が本格化し、現在最終段階に至っており、今後試運転から調整運転の運用に着手する。今回、現状の設備設置の状況及び中性子冷却の稼動に向けた計画について報告する。
長谷川 勝一; 麻生 智一; 達本 衡輝; 大都 起一; 上原 聡明; 川上 善彦*; 櫻山 久志; 加藤 崇
no journal, ,
JSNS(日本核破砕中性子源)ではモデレータとして超臨界圧水素を採用し、そのための水素循環システムを構築している。このシステムでは水素の圧力を、下は臨界圧の1.3MPs、上は設計値の2.0MPaに保持する必要がある。モデレータ部の熱負荷は陽子ビームの核発熱によって変動する。とくにビームのオン,オフ時には最大となりビーム出力が1MWのときに、核発熱は最大値3750Wとなる。それゆえ水素システムには圧力制御装置が必要である。このために、アキュムレータとヒータから構成されるハイブリッド圧力制御システムを採用した。ヒータは核発熱の変動による熱負荷を補償するものであり、アキュムレータは可変容積を持つことによって圧力変動を緩和するものである。ハイブリッド圧力制御システムの設計のためには核発熱変動時における、系の圧力変動の評価をする必要がある。本研究では、そのために解析コードを整備し、さまざまな場合における解析を行った。この解析をもとに、アキュムレータの容積を決定し、ハイブリッド圧力制御によって圧力変動を0.15MPaに押さえることができるのを確認した。
前川 藤夫; 高田 弘; 勅使河原 誠; 春日井 好己; 麻生 智一; 及川 健一; 原田 正英; 甲斐 哲也; 長谷川 勝一; 達本 衡輝; et al.
no journal, ,
J-PARCの1MWパルス核破砕中性子源JSNSは、平成14年度に発注を開始、その後約5年をかけて詳細設計,製作,試験検査,現地据付けを行い、平成19年7月に施設が完成した。中性子源ステーションは中性子源の中核をなし、モデレータ,反射体,極低温水素循環系,中性子ビームシャッター,遮蔽体,遠隔操作装置等で構成されている。本講演では、各機器の概要,機器設計・製作を通じて得られた主な成果、及び今後の課題について報告する。