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西 剛史; 中田 正美; 鈴木 知史; 柴田 裕樹; 伊藤 昭憲; 赤堀 光雄; 平田 勝
Journal of Nuclear Materials, 401(1-3), p.138 - 142, 2010/06
被引用回数:29 パーセンタイル:86.66(Materials Science, Multidisciplinary)希土類A型構造を持つアメリシウム三二酸化物(AmO)と蛍石型構造を持つ二酸化アメリシウム(AmO)のX線吸収微細構造に関する研究を行った。AmO及びAmOのAm-L吸収端のEXAFSの結果はX線回折から得られる結晶データと良い一致を示した。また、電子構造の観点からX線吸収端構造を評価するために、AmO及びAmOの理論的解析をFP-LAPW法を用いて行った。この解析結果から、理論的解析により求められたXANESスペクトルは実験で得られたスペクトルと良い一致を示し、XANESスペクトルのホワイトラインはAm-dとO-p成分の相互作用から、セカンドピークとホワイトラインのテールピークはAm-dとO-d成分の相互作用から形成されることが明らかとなった。
西 剛史; 高野 公秀; 伊藤 昭憲; 宮田 精一; 赤堀 光雄; 荒井 康夫; 湊 和生
IOP Conference Series; Materials Science and Engineering, 9, p.012017_1 - 012017_8, 2010/05
被引用回数:2 パーセンタイル:70.97(Chemistry, Inorganic & Nuclear)(Np,Am)N及び(Pu,Am)N固溶体の熱拡散率及び比熱をレーザフラッシュ法及び投下型熱量法により測定し、熱拡散率,比熱,試料密度の実測値から(Np,Am)N及び(Pu,Am)Nの熱伝導率を求めた。その結果、(Np,Am)N及び(Pu,Am)Nの熱伝導率は温度とともに増加することが明らかとなった。この熱伝導率の増加は電子的寄与の増加によるものと考えられる。また、(Np,Am)N及び(Pu,Am)Nの熱伝導率はAmの濃度増加とともに減少することが明らかとなった。このような熱伝導率の組成依存性を示すのは熱伝導の電子的寄与の低下によるものと考えられる。
西 剛史; 高野 公秀; 伊藤 昭憲; 赤堀 光雄; 荒井 康夫; 湊 和生
Proceedings of 10th OECD/NEA Information Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transmutation (CD-ROM), 8 Pages, 2010/00
窒化物はマイナーアクチノイド(MAs)核変換のための燃料物質として幾つかの長所を持ち合わせている。しかし、窒化物燃料(特にMA窒化物)の熱的性質のデータベースに関しては十分な整備がなされていないのが現状である。そこで、本研究では、原料二酸化物から窒化ネプツニウム(NpN)と窒化アメリシウム(AmN)を炭素熱還元法により調製し、レーザフラッシュ法により熱拡散率を、投下型熱量法により比熱を測定した。NpNの熱拡散率は473から1473Kまでの温度範囲において温度依存性はほとんどなく、AmNの熱拡散率は同温度領域において温度の増加とともにわずかではあるが減少する傾向を示した。また、NpNの比熱はUNとPuNの比熱と同程度の大きさであるが、AmNの比熱はUN, NpN, PuNの比熱よりもわずかではあるが小さい値を示した。NpNとAmNの熱拡散率,比熱,試料の密度から熱伝導率を算出した結果、NpN及びAmNの熱伝導率は温度の増加とともにわずかではあるが増加する傾向があることが明らかとなった。
阿部 博佳; 芳賀 孝久; 深谷 洋行; 薗田 暁; 坂爪 克則; 伊藤 光雄; 白橋 浩一
JAEA-Technology 2009-008, 24 Pages, 2009/03
燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)の分析設備では、定常臨界実験装置(STACY),過渡臨界実験装置(TRACY)及び燃料調製設備の運転にあたって、STACY及びTRACYの溶液燃料である硝酸ウラニル溶液に関する分析を実施している。平成19年度は、STACY, TRACYにおける臨界実験前後及び施設定期自主検査に伴う運転にかかわる硝酸ウラニル溶液の性状分析,燃料調製設備における硝酸ウラニル溶液調整及び精製のための分析等を行うとともに、核燃料物質の計量管理のための硝酸ウラニル溶液の分析も行った。平成19年度における総分析試料数は、143試料であった。本報告書は、平成19年度に実施した分析等の業務についてまとめたものである。
吉田 善行; 渡部 和男; 伊藤 光雄; 上野 隆; 竹下 英文
JAEA-Review 2008-062, 34 Pages, 2009/01
近年、使用済燃料(SF)の分析法が急速に刷新されている。それは、アクチノイド(U, Np, Pu, Am, Cm)及び核分裂生成物の核種分析に用いられる誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)が著しく進歩したことによる。ICP-MSは基本的に、分析に必要な試料量、すなわち分析対象元素の絶対量及び試料溶液の容量のいずれもが極少量で済むため、強い放射能を有するSFの分析に多大な威力を発揮する。すなわちICP-MSを適用することによって、分析作業者の被ばく線量の低減化が可能になり、分析操作で生じる放射性廃液の量を大幅に削減することが可能となる。さらに、ICP-MSに先立って、同法による核種分析において妨害となる同重体を有する元素を分離しておく必要があるが、その分離法においても顕著な進歩がみられる。本総説では、このような目覚ましい進展がみられるSFの分離法,核種定量法に焦点を当て、50数編の論文に基づいてこの分野の最近の進歩をまとめ、あわせて今後の展望,課題などを明らかにする。
西 剛史; 伊藤 昭憲; 高野 公秀; 沼田 正美; 赤堀 光雄; 荒井 康夫; 湊 和生
Journal of Nuclear Materials, 377(3), p.467 - 469, 2008/07
被引用回数:13 パーセンタイル:61.74(Materials Science, Multidisciplinary)投下型熱量法により窒化ネプツニウムと窒化アメリシウムの比熱容量を測定した。窒化ネプツニウムと窒化アメリシウムの試料は炭素熱還元法により調製した。得られた窒化ネプツニウムの比熱容量は334から1067Kまでの温度範囲において報告値と良い一致を示し、窒化ウランや窒化プルトニウムの比熱容量の値と近い値を示した。窒化アメリシウムの比熱容量は354から1071Kまでの温度範囲において窒化ウラン,窒化ネプツニウム及び窒化プルトニウムの比熱容量の値よりわずかに小さい値を示した。
西 剛史; 伊藤 昭憲; 高野 公秀; 沼田 正美; 赤堀 光雄; 荒井 康夫; 湊 和生
Journal of Nuclear Materials, 376(1), p.78 - 82, 2008/05
被引用回数:33 パーセンタイル:88.13(Materials Science, Multidisciplinary)二酸化ネプツニウム(NpO)の熱伝導率を測定した熱拡散率,比熱及び密度を用いて評価した。NpOの熱拡散率をレーザフラッシュ法により473から1473Kまでの温度範囲で、NpOの比熱を投下型熱量法により334から1071Kまでの温度範囲で測定した。NpOの熱拡散率は温度の上昇とともに減少し、NpOの比熱はUOの比熱よりもわずかに大きく、PuOの比熱よりも約7%小さいことが明らかとなった。また、NpOの熱伝導率は873から1473Kの温度領域ではUO及びPuOの熱伝導率の間に位置することが明らかとなった。
西 剛史; 伊藤 昭憲; 高野 公秀; 赤堀 光雄; 荒井 康夫; 湊 和生
Proceedings of 3rd International ATALANTE Conference (ATALANTE 2008) (CD-ROM), 6 Pages, 2008/05
酸化アメリシウム(AmO)と二酸化ネプツニウム(NpO)の熱拡散率をレーザフラッシュ法により測定した。AmO及びNpOの熱拡散率は温度の上昇とともに減少した。また、AmOの熱拡散率は、真空中での熱拡散率測定で生じるO/Am比の減少により、わずかな減少を示すことが明らかとなった。AmO及びNpOの熱伝導率は、測定した熱拡散率,比熱及び密度を用いて評価した。AmOの熱伝導率は、UOとPuOの熱伝導率の文献値よりも小さい値であること、873から1473Kまでの温度領域におけるNpOの熱伝導率はUO及びPuOの熱伝導率の間に位置することが明らかとなった。また、AmO及びNpOの熱伝導率は熱拡散率同様、温度の上昇とともに減少する傾向を示し、ほかの酸化物燃料と同じ傾向を示すことが明らかとなった。これらのマイナーアクチノイド酸化物の熱伝導率は新型燃料の熱特性・挙動を把握するうえで重要な物性値である。
西 剛史; 中田 正美; 伊藤 昭憲; 鈴木 知史; 平田 勝; 赤堀 光雄
Journal of Nuclear Materials, 374(3), p.339 - 343, 2008/03
被引用回数:20 パーセンタイル:77.66(Materials Science, Multidisciplinary)蛍石型構造を持つ二酸化アメリシウムのEXAFS及びXANES解析を行った。二酸化アメリシウムのアメリシウムL吸収端に対するEXAFSの結果はX線回折測定で得られた構造データと良い一致を示した。二酸化アメリシウムのXANESを用いた電子構造の理論計算は相対論DV-X分子軌道法により行った。計算で得られたXANESスペクトルは実験で得られたスペクトルと良い一致を示した。XANESスペクトルの計算に基づく電子状態の評価は今後の核燃料サイクルにおけるマイナーアクチノイド(MA)含有MOX燃料の開発に非常に有用である。
坂爪 克則; 青木 博道; 芳賀 孝久; 深谷 洋行; 薗田 暁; 清水 香織; 新妻 泰*; 伊藤 光雄; 井上 猛
JAEA-Technology 2007-069, 44 Pages, 2008/02
燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)の分析設備では、定常臨界実験装置(STACY),過渡臨界実験装置(TRACY)及び燃料調製設備の運転にあたって、STACY及びTRACYの溶液燃料である硝酸ウラニル溶液に関する分析を実施している。平成18年度は、STACY及びTRACYにおける臨界実験前後の硝酸ウラニル溶液の性状分析,硝酸ウラニル溶液調整のための分析を行うとともに、核燃料物質の計量管理のための硝酸ウラニル溶液の分析も行った。平成18年度における総分析試料数は、254試料であった。本報告書は、平成18年度に実施した分析等の業務についてまとめたものである。
西 剛史; 高野 公秀; 伊藤 昭憲; 赤堀 光雄; 荒井 康夫; 湊 和生; 沼田 正美
Journal of Nuclear Materials, 373(1-3), p.295 - 298, 2008/02
被引用回数:16 パーセンタイル:70.82(Materials Science, Multidisciplinary)酸化アメリシウム(AmO)の熱拡散率をレーザフラッシュ法により299から1473Kまでの範囲で測定した。AmOの熱拡散率は、温度の上昇とともに減少した。また、AmOの熱伝導率に関しては、測定した熱拡散率,比熱及び密度を用いて評価した。AmOの熱伝導率は299から1473Kまでの温度領域において、温度とともに減少する傾向を示すことが明らかとなった。また、真空中での熱拡散率測定で生じるO/Am比の減少により、AmOの熱伝導率のわずかな減少を示すことも明らかとなった。
飯村 秀紀; 堀口 隆良*; 石田 佳久*; 伊藤 光雄; 小泉 光生; 宮部 昌文; 大場 正規
Journal of the Physical Society of Japan, 77(2), p.025004_1 - 025004_2, 2008/02
被引用回数:1 パーセンタイル:11.66(Physics, Multidisciplinary)Re(半減期210年)は、天体中での中性子捕獲反応で生成される割合が元素合成の年代測定に影響することから注目されている核種である。中性子捕獲断面積を理論計算するには原子核のスピンを知る必要があるが、Reのスピンは未だ確立していない。そこで、スピンを含めてこの核種の核構造を明らかにするために、Reのレーザー分光を計画し、その第一歩として()反応によるReの生成量を測定した。実験は、タンデム加速器の陽子ビームでWターゲットを照射して行った。照射試料を化学分離し、線を測定することによりReの生成量を初めて決定した。その結果、W()Re反応の生成量は、W(p,n)Re反応の生成量とほぼ等しいことがわかった。このことから、Reのスピンは既に知られているReのスピン(=8)と等しいと推定できる。
西 剛史; 高野 公秀; 伊藤 昭憲; 赤堀 光雄; 湊 和生; 木崎 實
Journal of Nuclear Materials, 355(1-3), p.114 - 118, 2006/09
被引用回数:20 パーセンタイル:78.83(Materials Science, Multidisciplinary)窒化アメリシウム(AmN)の熱拡散率をレーザフラッシュ法により373から1473Kの範囲で測定した。アメリシウム二酸化物(AmO)から炭素熱還元によりAmNを調整し、これを粉砕した後、円板状に400MPaで加圧成形し、窒素・4%水素気流中1823Kで、10時間加熱してAmN焼結体を得た。AmNの熱拡散率は、温度の上昇とともに3.4102.810m/sの範囲内で緩やかに減少した。測定した熱拡散率,密度から熱伝導率を評価するに際し、AmNの比熱容量の文献値が存在しないため、PuNの比熱容量の文献値を用いて熱伝導率を試験的に評価した。AmNの熱伝導率は、温度の上昇とともにわずかに増加する傾向を示した。また、理論密度のAmNの熱伝導率はUN, NpN及びPuNの値よりも小さいのに対し、UO及び(UPu)Oよりも大きいことが明らかとなった。
湊 和生; 高野 公秀; 西 剛史; 伊藤 昭憲; 赤堀 光雄
Recent Advances in Actinide Science, p.317 - 322, 2006/06
高レベル廃棄物の放射性毒性を低減し、地層処分場を有効に使用するために、将来の燃料サイクルの選択肢として、プルトニウムばかりでなくマイナーアクチノイド(MA)もリサイクルすることが考えられている。MA含有燃料の研究開発のために、新しい不活性雰囲気の実験設備を整備し、MA窒化物,MA酸化物の熱物性を測定した。MA窒化物は炭素熱還元法によりMA酸化物から調製した。格子定数及びその熱膨張を高温X線回折により測定し、熱拡散率をレーザフラッシュ法により測定した。
西 剛史; 高野 公秀; 伊藤 昭憲; 赤堀 光雄; 湊 和生; 木崎 實
JAERI-Tech 2005-051, 13 Pages, 2005/09
マイナーアクチノイド(MA)化合物の熱拡散率を測定するための装置を整備した。不活性雰囲気のグローブボックス内に、レーザフラッシュ法熱拡散率測定装置を設置することにより、崩壊核種のMA化合物の熱拡散率測定を可能にした。また、試料の形状に最適化した試料ホルダーを用いることにより、40mg程度の微小試料の測定を可能にした。さらに、この装置の性能を確認するため、タンタル,ニッケル及びセリウム酸化物の測定を行った。その結果、本装置で得た熱拡散率の値は、文献値及び汎用の熱拡散率測定装置により測定した値とほぼ一致し、微小なMA化合物の熱拡散率測定に本装置が有用であることを確認した。
三枝 純; 川崎 克也; 三原 明; 伊藤 光雄; 吉田 真
Applied Radiation and Isotopes, 61(6), p.1383 - 1390, 2004/12
被引用回数:29 パーセンタイル:84.49(Chemistry, Inorganic & Nuclear)線スペクトロメトリ法により体積試料の放射能測定を行う際、各試料に固有の効率曲線が必要となる。環境試料の放射能測定や緊急時の試料測定においては、100keV以下の低エネルギー線を放出する核種の評価が重要となる。ここでは、代表点法を用いて体積試料に対するHPGe検出器の効率を評価するとともに、低エネルギー線に対する効率曲線を評価するうえで重要な補正因子となる自己吸収効果について詳細に検討した。また、代表点法を種々環境試料の測定に適用し実務へ活用するうえでの基礎データとした。
伊藤 光雄; 小原 和弘; 樋田 行雄*; 鈴木 大輔; 郡司 勝文*; 渡部 和男
JAERI-Review 2004-007, 65 Pages, 2004/03
分析科学研究グループでは、研究所内の各課室から要求される依頼分析及びガラス工作業務を実施している。依頼分析では、核燃料,各種材料及び放射性廃棄物をはじめとする非常に多種多様な分析試料に適切に対応した。また、依頼分析に関連する分析技術開発も実施した。ガラス工作では、工作室内でのガラス器具の製作や修理のほかに、実験室等に設置されている大型ガラス製装置,放射性物質を取り扱うガラス製装置の現場修理を行った。平成13年度の依頼分析件数は28件、分析成分数は1285、平成14年度の依頼分析件数は15件、分析成分数は830であり、ガラス工作件数はそれぞれ106件, 76件であった。本報告書は、平成13, 14年度に実施した依頼分析,関連技術開発及びにガラス工作業務についてまとめたものである。
湊 和生; 赤堀 光雄; 高野 公秀; 荒井 康夫; 中島 邦久; 伊藤 昭憲; 小川 徹
Journal of Nuclear Materials, 320(1-2), p.18 - 24, 2003/09
被引用回数:53 パーセンタイル:94.59(Materials Science, Multidisciplinary)原研では、地層処分の負担軽減,環境負荷低減を目的に、長寿命核種であるマイナーアクチノイドのNp,Am,Cmを窒化物燃料として加速器駆動核変換炉により短寿命核種に核変換する概念を提案している。これまでに、NpN,(Np,Pu)N,AmN,(Am,Y)N,(Am,Zr)N,(Cm,Pu)Nなどの窒化物を炭素熱還元法により酸化物から調製することに成功している。調製した窒化物については、X線回折法による相の同定及び格子定数測定,不純物酸素及び炭素の分析などを実施している。また、ウランを含まない(Pu,Zr)N及びPuN+TiNの燃料ペレットを製造し、材料試験炉JMTRにおいて照射試験を開始した。
高野 公秀; 伊藤 昭憲; 赤堀 光雄; 湊 和生; 沼田 正美
Proceedings of GLOBAL2003 Atoms for Prosperity; Updating Eisenhower's Global Vision for Nuclear Energy (CD-ROM), p.2285 - 2291, 2003/00
マイナーアクチノイドの核変換用窒化物燃料に関して、その成分となるAmN及び不活性母材との固溶体(Am,Zr)Nの安定性を室温での加水分解挙動と高温での蒸発挙動について実験的に調べた。空気中に放置したAmNは水分と急速に反応して水酸化物Am(OH)と思われる化合物になったが、(AmZr)Nでは、1000時間の観察中に加水分解による重量増加は認められなかった。Dyモル分率をパラメータにした(Dy,Zr)Nによる実験では、固溶体の水分に対する安定性はDyのモル分率に大きく依存することがわかった。(Dy,Zr)Nの乾燥空気中での熱重量分析による高温酸化に関する実験では、700K以上で急激な酸化が起こり、Dyモル分率への依存性はほとんど見られなかった。高温でのHe中における蒸発挙動では、1623から1733Kの範囲でAmNの蒸発速度定数を得た。(AmZr)N中のAmNの蒸発速度定数はAmNのそれに比べて小さかったが、AmNの選択的な蒸発が起こり固溶体の組成が変化することがわかった。窒素雰囲気中におけるAmNの蒸発との比較から、焼結などの高温加熱を行う場合には蒸発による損失を抑えるために、窒素雰囲気を用いる必要があることがわかった。
岡本 芳浩; 赤堀 光雄; 伊藤 昭憲; 小川 徹
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.3), p.638 - 641, 2002/11
LiCl-KCl共晶塩中の、UCl融体の局所構造について、U原子L吸収端XAFS測定によって調べた。XAFS測定は、高エネルギー加速器研究機構の放射光実験施設BL27Bで実施した。ウラン水素化物の塩化によって調製した、UClを亜鉛粉末で還元してUClを得た。カーブフィッティング解析の結果、最近接U-Cl相関に関する構造情報を得た。MD計算とXAFSシミュレーションコードFEFF8の併用から、最近接U-Cl相関の相互作用について評価した。また、いくつかのウランハロゲン化物のXANES測定を行い、そのシフトから原子価について評価した。