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榎枝 幹男; 谷川 尚; 廣瀬 貴規; 鈴木 哲; 落合 謙太郎; 今野 力; 河村 繕範; 山西 敏彦; 星野 毅; 中道 勝; et al.
Fusion Engineering and Design, 87(7-8), p.1363 - 1369, 2012/08
被引用回数:36 パーセンタイル:92.04(Nuclear Science & Technology)核融合ブランケットの開発においては、ITERの核融合環境を用いて、モジュール規模で増殖ブランケットの試験を行う、ITERテストブランケット・モジュール(TBM)試験は、原型炉へ向けた重要なマイルストンである。我が国は、水冷却固体増殖TBMを主案として試験を実施するためにその製作技術開発を進めている。我が国は、これまでに開発した接合技術を用いて、実規模のモジュールの第一壁,側壁,増殖材充填容器、の製作に成功するとともに、第一壁と側壁の組合せ試験にも成功した。さらに、厚さ90mmの後壁の製作技術についても、模擬材料を用いたモックアップの製作を終了した。モジュール製作技術をほぼ見通した。また、トリチウム生産のために必要な技術として、先進増殖・増倍材ペブル製作技術の開発や、核融合中性子を用いたトリチウム生成回収試験による、トリチウム生産技術開発についても進展した。本報告ではこれらのTBM開発の最新の成果を報告する。
関 洋治; 吉河 朗; 谷川 尚; 廣瀬 貴規; 江里 幸一郎; 榎枝 幹男; 坂本 健作
第17回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集, p.265 - 266, 2012/06
固体増殖方式の核融合炉ブランケットでは、チタン酸リチウム(LiTiO)の増殖材微小球を容器に充填し、増殖したトリチウムをヘリウム(He)パージガスによって回収するシステムを採用している。国際熱核融合実験炉の中性子環境下で総合的な機械機能試験が実施予定の固体増殖方式のテストブランケットモジュールや同方式を採用した原型炉のパージガス補器系統の設計において、微小球充填体内を通過するHeパージガスの圧力損失やその流動現象を予測するためのツールを確立することは重要である。本報では、増殖材微小球充填体に対して、過去実施されていない幅広い流量域()で圧力損失試験を行い、一様な空隙率で構成された実験式との比較により予測精度を検証する。他方、増殖材充填体容器のHeパージガス導入部は、スエリング等で増殖材微小球が破砕し、閉塞に陥ることを防ぐため、底面から流入口を離す必要がある。本研究では、実機を模擬し、千鳥型に多孔を配した入口配管を用いて、底面から多孔部を離し、試験を実施した。入口配管の本数依存性と入口配管を含む予測精度の検証を報告する。
廣瀬 貴規; 谷川 尚; 吉河 朗; 関 洋治; 鶴 大悟; 横山 堅二; 江里 幸一郎; 鈴木 哲; 榎枝 幹男; 秋場 真人
Fusion Engineering and Design, 86(9-11), p.2265 - 2268, 2011/10
被引用回数:5 パーセンタイル:38.51(Nuclear Science & Technology)原子力機構では、日本のITERテストブランケット(TBM)の第一候補として、水冷却固体増殖方式のテストブランケットの開発を、中心となって進めている。TBM試験を実現するためには、ITER運転スケジュールに遅れることなく、TBMのプロトタイプの製作と構造健全性の確証を行う必要がある。本報告では、日本における水冷却固体増殖(WCCB)テストブランケットモジュール(TBMの製作技術開発の最新の成果を報告する。これまでに、製作技術の最も重要な技術として、熱間等方圧加圧(HIP)接合法を開発し、実規模冷却チャンネル内蔵第一壁適用して実規模のTBMの第一壁の製作と高熱負荷による評価試験に成功した。また、TBM内部にトリチウム増殖材を格納する充填容器についても実機大のモックアップの製作に成功し気密試験に成功した。さらに、モジュール構造を形成する側壁についても実機大のモックアップ製作に成功するとともに、第一壁との組合せ施工による箱構造政策に成功した。以上のことから、日本においては、TBM製作技術開発と評価試験が順調に進展しているものと評価することができる。
関 洋治; 大西 陽一*; 吉河 朗; 谷川 尚; 廣瀬 貴規; 大図 章; 江里 幸一郎; 鶴 大悟; 鈴木 哲; 横山 堅二; et al.
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 2, p.139 - 142, 2011/10
日本原子力研究開発機構は、ITERでの核融合環境下で総合的機能試験が実施される予定のテストブランケットモジュール()として、水冷却方式固体増殖ブランケットの研究開発を進めてきた。は、おもに第一壁,2つの側壁,後壁と増殖材充填に必要な隔壁であるメンブレンパネルによって構成される。また、冷却材である高温高圧水(入口温度553K,出口温度598K, 15MPa)は、TBM内部の並行多流路管群を流動する。本研究では、数値流体計算の結果を実規模大並列多流路の実験値と比較することにより、実現象との整合性を実証し、機器設計に際する流体挙動及び侵食腐食の予測手法の確立を目的とする。TBM側壁内部に存在する並列多流路管内を流れる冷却材を対象に、乱流モデル及びLES(標準スマゴリンスキーモデル)を用いて、数値流体計算を実施した。流体計算による室温条件での各流量分配は、複雑流路である実規模大並列多流路の実験値とほぼ一致することを確認した。数値流体計算の予測手法の妥当性を示したことにより、高温高圧水条件の設計に際しても有効な予測手段の一つとして実証した。
関 洋治; 大西 陽一*; 吉河 朗; 谷川 尚; 廣瀬 貴規; 大図 章; 江里 幸一郎; 鶴 大悟; 鈴木 哲; 横山 堅二; et al.
Proceedings of Joint International Conference of 7th Supercomputing in Nuclear Application and 3rd Monte Carlo (SNA + MC 2010) (USB Flash Drive), 4 Pages, 2010/10
日本原子力研究開発機構は、ITERでの核融合環境下で総合的機能試験が実施される予定のテストブランケットモジュール(TBM)として、水冷却方式固体増殖ブランケットの研究開発を進めてきた。TBMは、おもに第一壁,2つの側壁,後壁と増殖材充填に必要な隔壁であるメンブレンパネルによって構成される。また、冷却材である高温高圧水(入口温度553K,出口温度598K,15MPa)は、TBM内部の並行多流路管群を流動する。本研究では、数値流体計算の結果を実規模大並列多流路の実験値と比較することにより、実現象との整合性を実証し、機器設計に際する流体挙動及び侵食腐食の予測手法の確立を目的とする。TBM側壁内部に存在する並列多流路管内を流れる冷却材を対象に、乱流モデル及びLES(標準スマゴリンスキーモデル)を用いて、数値流体計算を実施した。流体計算による室温条件での各流量分配は、複雑流路である実規模大並列多流路の実験値とほぼ一致することを確認した。数値流体計算の予測手法の妥当性を示したことにより、高温高圧水条件の設計に際しても有効な予測手段の一つとして実証した。
榎枝 幹男; 廣瀬 貴規; 谷川 尚; 鶴 大悟; 吉河 朗; 関 洋治; 西 宏; 横山 堅二; 江里 幸一郎; 鈴木 哲
Proceedings of 18th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-18) (CD-ROM), p.645 - 649, 2010/05
本報告は、日本における水冷却固体増殖(WCCB)ブランケットの開発の現状を報告するものである。日本は、WCCBブランケットを核融合原型炉の主案として、その開発を進めている。特に、ブランケットモジュール製作技術開発に関しては、実規模の第一壁モックアップを、実機構造材料である低放射化フェライト鋼(RAFMS)のF82Hを実際に使用して製作することに成功した。さらに製作した第一壁モックアップを用いて、実機の冷却水条件の15MPa, 300度の水で冷却しつつ、実機熱負荷条件0.5MW/mでの熱負荷試験に80回試験を行い、変形やホットスポットなどがないことを確認した。また、ブランケットのモジュールを構成する側壁部の実規模モックアップの製作にも成功し、さらに、第一壁モックアップと側壁モックアップの組合せ接合に成功して、初めてテストブランケット実規模筐体モックアップの試作に成功した。これらの開発により、筐体製作技術の主要課題の解決の見通しが得られた。
吉河 朗; 谷川 尚; 関 洋治; 廣瀬 貴規; 鶴 大悟; 江里 幸一郎; 横山 堅二; 西 宏; 鈴木 哲; 丹澤 貞光; et al.
JAEA-Technology 2009-077, 23 Pages, 2010/03
固体増殖水冷却方式のテストブランケットモジュール(TBM)における側壁内の冷却流路は、2本の母管の間を複数の枝管で平行に接続する管路網(平行多流路)としているため、各枝管を流れる冷却水には流量の分布が生じると予想される。本研究では、平行多流路における流量分布を予測し、TBMの使用条件において構造材料を使用制限温度以下に保持するために必要となる管路網を設計することを目的とした。1次元熱計算により、必要となる冷却流量を評価した。また、圧力損失計算に基づく簡易評価により、必要な流量が得られるような管路網を設計した。塩化ビニル管を用いた試験体を用いて流量分布を測定し、設計の妥当性を確認した。この設計に基づき、F82H製の実規模試験体を製作し、流量分布と圧力損失とを計測したところ、枝管における流量の低下は最大でも平均流量の12%であり、除熱の観点からは十分に余裕があることを確認した。また、圧力損失についても計算値と実測値でよく一致した。以上の結果から、TBMの側壁における冷却管路網について、除熱の観点から必要となる流量を確保するための設計を確立することができた。
中畑 俊彦*; 吉河 朗*; 小柳津 誠*; 大矢 恭久*; 石本 祐樹*; 木津 要; 柳生 純一; 芦川 直子*; 西村 清彦*; 宮 直之; et al.
Journal of Nuclear Materials, 367-370(2), p.1170 - 1174, 2007/08
被引用回数:3 パーセンタイル:25.42(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60Uにて行われているボロニゼーションを模擬し、静岡大学のP-CVDにて膜調整を行った高純度ボロン膜に対して飽和量の重水素を照射した後、加熱とSIMS測定を繰り返し行い、膜中に捕捉された水素同位体放出過程に関する以下の知見を得た。重水素脱離を支配する要素は試料温度である。第1期、すなわち573K以下では、B-D-B結合からの重水素の脱離が支配的であり、その温度領域においては、拡散が律速過程であった。573Kを上回ると、重水素はBD結合からおもに脱離し、その温度領域においては、再結合が律速過程であった。BD結合として捕捉された重水素の実効的な再結合定数は等温加熱実験によって算出した。
芦川 直子*; 木津 要; 柳生 純一; 中畑 俊彦*; 信太 祐二; 西村 清彦*; 吉河 朗*; 石本 祐樹*; 大矢 恭久*; 奥野 健二*; et al.
Journal of Nuclear Materials, 363-365, p.1352 - 1357, 2007/06
被引用回数:10 パーセンタイル:58.07(Materials Science, Multidisciplinary)LHD真空容器内で主放電6081ショット,ボロニゼイション3回に曝された。ステンレス(SS316)サンプル、及び同様にJT-60U真空容器ポート内で主放電1896ショット,ボロニゼイション2回に曝された。SS316サンプル表面の元素分布状態をX線光電子分光装置(XPS)を用いて分析し、LHDとJT-60Uの結果を比較した。(1)LHDでは最表面において炭素が20%,酸素が45%であり、それ以降基板界面に至るまで80%のボロン膜が保持されている。JT-60Uでは最表面において炭素が60%であり、その後55%程度のボロン膜が保持されている。このようにLHDと比較するとJT-60Uでは壁材による堆積層が顕著である。(2)JT-60Uでのボロン膜上の堆積層はトーラス方向に非均一であり、C1s及びO1sのXPSスペクトルピークシフトの結果においても場所により異なる傾向を示す。これはトーラス方向の酸素捕捉能力が非均一であることを示唆している。(3)ボロン膜厚は、LHDではグロー電極の位置に依存するが、JT-60Uではそのような傾向は見受けられなかった。理由の一つとして炭素による堆積層がトーラス方向に非均一であることが考えられる。(4)ボロン膜の厚みは実験サイクル中十分に保持されているため、ボロン化壁による酸素軽減効果はおもにボロン膜の最表面の特性に起因すると考えられる。
柴原 孝宏*; 田辺 哲朗*; 広畑 優子*; 大矢 恭久*; 小柳津 誠*; 吉河 朗*; 大西 祥広*; 新井 貴; 正木 圭; 奥野 健二*; et al.
Journal of Nuclear Materials, 357(1-3), p.115 - 125, 2006/10
被引用回数:20 パーセンタイル:78.77(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60UのW型ダイバータで、重水素放電に曝された炭素材タイルからポロイダル方向に試料をサンプリングし、昇温脱離(TDS)実験を行うことでタイル中の水素同位体の蓄積量をTDS及びSIMSで評価した。外側ダイバータタイルは、厚い再堆積層に覆われており、その再堆積層中の水素濃度は場所によらずほぼ一定で(D+H)/Cの原子比で約0.03であった。このように水素濃度が低いのはタイル表面の再堆積層がプラズマ入熱によりかなり温度があがっていたためである。DD放電終了後トリチウム除去のために行われたHH放電により、さらに再堆積層の厚さが増加するとともに、先に蓄積されていたDの一部はHに置き換えられていることがわかった。放電中の温度の上昇,ダイバータの幾何学的構造が水素の蓄積に大きな影響を持つことを明らかにした。
柴原 孝宏*; 田辺 哲朗*; 廣畑 優子*; 大矢 恭久*; 小柳津 誠*; 吉河 朗*; 大西 祥広*; 新井 貴; 正木 圭; 奥野 健二*; et al.
Nuclear Fusion, 46(10), p.841 - 847, 2006/10
被引用回数:18 パーセンタイル:52.36(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60でダイバータタイルとして使用され、軽水素放電に曝された黒鉛タイルからポロイダル方向に試料をサンプリングし、昇温脱離(TDS)実験を行うことでタイル中の水素蓄積量を評価した。なお、タイルのプラズマ対向面のほとんどは再堆積層で覆われていた。得られたTDSスペクトルの構造は、再堆積層の非常に薄い試料を除けば試料による差は少なく、タイル中に蓄積されていた水素の大部分は水素分子の形態で、970K付近に脱離のピークが存在した。全脱離水素量は再堆積層の厚さにほぼ比例していた。この結果は、ほとんどの水素原子が再堆積層中に均一に蓄積されていたことを示している。求めた水素濃度はH/C=0.03となり、飽和水素濃度(H/C=0.4-1.0)に比べて非常に低かった。水素濃度が低くなった原因として、水素蓄積時に再堆積層の温度が関係していたと考えられ、壁温度を高くすることで水素蓄積量を大幅に減少できる。
木村 博美*; 佐々木 政義*; 森本 泰臣*; 竹田 剛*; 児玉 博*; 吉河 朗*; 小柳津 誠*; 高橋 幸司; 坂本 慶司; 今井 剛; et al.
Journal of Nuclear Materials, 337-339, p.614 - 618, 2005/03
被引用回数:7 パーセンタイル:44.84(Materials Science, Multidisciplinary)本研究では、炭素材料中でのトリチウムの化学的挙動をさらに理解するため、多結晶ダイアモンド(PD)に打ち込まれた重水素の脱離過程に注目し、同様の実験を行ったグラファイト単結晶(HOPG)からの重水素脱離挙動と比較した。HOPG及びPDから得られた重水素のTDSスペクトルの比較から、HOPGからの重水素脱離は、sp2C及びsp3Cからの脱捕捉であり、PDからのそれはsp3Cからの脱捕捉であることが示唆される。一方、メタンの脱離スペクトルをそれぞれ比較すると、それぞれの試料において、ピーク温度がそれぞれの重水素脱離ピーク温度と同じであった。このことより、メタンの脱離には重水素の脱離が関与していると考えられる。つまり、メタンの脱離過程は、CD3とDの表面での再結合律速過程であることを示唆している。これらの結果より、打ち込まれた重水素の脱離には材料中の炭素の化学状態、つまり、混成軌道の違いが関与しているものと考えられる。
柴原 孝宏*; 廣畑 優子*; 大矢 恭久*; 小柳津 誠*; 大西 祥広*; 吉河 朗*; 奥野 健二*; 杉山 一慶*; 田辺 哲朗*; 新井 貴; et al.
no journal, ,
JT-60Uのダイバータタイル及び第一壁の水素同位体(軽水素,重水素)蓄積量とその深さ分布を、昇温脱離法(TDS),二次イオン質量分析法(SIMS),X線光電子分光法(XPS)で分析し、タイル表面の損耗・再堆積を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。第一壁は損耗・再堆積にかかわらず水素同位体蓄積量はほぼ一定であり、タイル表面付近に打ち込まれた水素の寄与が大きいことが示唆された。ダイバータ部分の再堆積領域において、プラズマに曝され放電時にタイル表面温度が上昇した領域は、水素同位体は再堆積層中に(H+D)/C=0.02と非常に低い濃度で均一に蓄積されていた。これに対し、プラズマの影になり放電時の温度上昇が小さかった領域では、水素同位体は再堆積層中に(H+D)/C=0.13と高い濃度で蓄積されていた。一方、損耗領域での水素同位体蓄積量は非常に少なかった。また、タイル温度が高かった領域では軽水素放電による重水素の置換が大きく進行したことが明らかとなった。以上から、水素同位体蓄積量は放電時のタイル表面温度に大きく依存し、タイル温度を上昇させることで水素同位体蓄積量が低減できることが示唆された。
中畑 俊彦*; 吉河 朗*; 小柳津 誠*; 大矢 恭久*; 木津 要; 石本 祐樹*; 柳生 純一; 芦川 直子*; 西村 清彦*; 宮 直之; et al.
no journal, ,
JT-60Uにてボロニゼーションを行い、D-D放電に曝した試料中に捕捉された重水素の深さ分布を二次イオン質量分析法(SIMS)を用いて測定した。その結果から以下のことが明らかとなった。(1)JT-60U真空容器P-10水平ポート内部に長期設置し、ボロニゼーションを行ったボロン膜の膜厚は35nmであり、重水素は表面下約20nmの位置にピーク濃度を持って存在していた。(2)静岡大学にて調製を行った高純度ボロン膜と比較して、炭素シグナルの明らかな上昇が得られたことから、今回のSIMS測定結果はJT-60U内のボロニゼーションにより、炉内の多くの不純物がボロン膜内に混入していることを示したものと考えられる。(3)加熱実験の結果より、673K以上の温度範囲において、重水素プロファイルの形状は大きく変化しないことから、脱捕捉した重水素が比較的速い速度で拡散,放出されること,JT-60Uボロン膜中に捕捉された重水素の放出は重水素脱捕捉過程を律速段階として進んでいることが示唆された。
柳生 純一; 木津 要; 石本 祐樹*; 芦川 直子*; 西村 清彦*; 吉河 朗*; 宮 直之; 奥野 健二*; 相良 明男*; 大矢 恭久*
no journal, ,
本研究は、次期核融合試験装置の壁材料・壁温度において有効な表面処理法の基礎データを取得することを目的としている。その一環として、ボロナイゼーションを行った実機の第一壁に対するグロー放電洗浄の影響を評価するため、グロー放電洗浄前後におけるボロン化膜の膜厚変化と軽水素蓄積の変化を調査した。静岡大学のボロン化装置を用いて作製したボロン化膜試料をLHDに取付け、その後、He-GDCに6時間と12時間晒した試料をSIMSで分析したところ、12時間照射した場合にのみボロン化膜は24nm損耗することを確認した。これに対し、Ar-GDCに6.5時間と13時間晒したボロン化膜試料は、6.5時間の照射で平均150nm,13時間では平均190nmのボロン化膜が損耗した。Ar-GDCを13時間行うことでLHDのボロナイゼーションで生成する膜厚とほぼ同程度の厚さが損耗してしまうことは、装置の運用上極めて重要な知見である。また、軽水素の蓄積変化については、ガス種に関係なく、GDCに晒すことによってすべてのボロン化膜試料で最表面のみ水素が増加し、膜中においては顕著な変化が見られなかった。なお、最表面の水素挙動は、GDCによって周囲の壁材料から叩き出された軽水素が不純物である鉄と結合して再堆積したものと考えられる。
広畑 優子*; 田辺 哲朗*; 杉山 一慶*; 柴原 孝宏*; 大矢 恭久*; 小柳津 誠*; 吉河 朗*; 奥野 健二*; 正木 圭; 新井 貴; et al.
no journal, ,
JT-60Uの両側排気方式ダイバータ領域における炭素堆積・損耗及び水素同位体の保持特性について分析した。分析には、走査型顕微鏡,昇温脱離法,二次イオン質量分析計,イメージングプレート法及び燃焼法等を利用した。その結果を以下にまとめる。(1)JT-60Uのダイバータ領域ではおもに内側ダイバータ及び外側ドームウィングタイルで炭素堆積が見られ、外側ダイバータタイルでは損耗していた。(2)ダイバータタイルのプラズマ対向面のD+Hの保持量は堆積層の厚さに比例して増加した。その水素濃度(H+D)/Cは約0.02であった。これは、片側排気の内側ダイバータタイルやJT-60とほぼ同程度であり、JETや他の低温で運転されている装置(0.40.1)よりも小さかった。(3)外側ドームウィングタイルの排気口に面しているタイル上には厚い再堆積層が存在していた。しかし、その濃度は大きく見積もっても0.13であった。(4)H+D保持量のポロイダル側面の分布は外側ドームウィングの排気口に面している以外は少なかった。(5)H+D保持量のトロイダル側面の分布は、面によって約2倍の違いがあったが、堆積膜の膜厚によって強く影響を受けていた。
芦川 直子*; 西村 清彦*; 増崎 貴*; 相良 明男*; 大藪 修義*; 木津 要; 柳生 純一; 信太 祐二; 石本 祐樹*; 宮 直之; et al.
no journal, ,
LHD及びJT-60U真空容器内部に設置した照射サンプルをX線光電子分光装置(XPS)を用いて分析比較した。測定には、LHDで主放電6081ショット,ボロニゼイション3回に曝されたステンレス(SS316)サンプルを、また同様にJT-60Uポート内で主放電1896ショット,ボロニゼイション2回に曝された SS316サンプルを使用した。(1)LHDでは最表面において炭素が20%,酸素が45%であり、それ以降基板界面に至るまで80%のボロン膜が保持されている。JT-60Uでは最表面において炭素が60%であり、その後55%程度のボロン膜が保持されている。このようにLHDと比較すると、JT-60Uでは壁材による堆積層が顕著である。(2)JT-60Uでのボロン膜上の堆積層はトーラス方向に非均一であり、C1s及びO1sのXPSスペクトルピークシフトの結果においても場所により異なる傾向を示す。これはトーラス方向の酸素捕捉能力が非均一であることを示唆している。(3)ボロン膜厚は、LHDではグロー電極の位置に依存するが、JT-60Uではそのような傾向は見受けられなかった。理由の一つとして炭素堆積層がトーラス方向に非均一であることが支配的となっていると考えられる。(4)ボロン膜の厚みは実験サイクル中十分に保持されているため、ボロン化壁による酸素軽減効果はおもにボロン膜の最表面の特性に起因すると考えられる。
中畑 俊彦*; 大矢 恭久*; 吉河 朗*; 須田 泰市*; 小柳津 誠*; 芦川 直子*; 西村 清彦*; 柳生 純一; 木津 要; 信太 祐二; et al.
no journal, ,
JT-60Uにて行われているボロニゼーションを模擬し、静岡大学のP-CVDにて膜調製を行った高純度ボロン膜に対して飽和量の重水素を照射した後、加熱とSIMS測定を繰り返し行い、膜中に捕捉された水素同位体放出過程に関する以下の知見を得た。673K, 773K, 873Kでの等温加熱実験の結果、膜中に捕捉された重水素は表面に偏在しており、表面での再結合反応を律速段階として放出していることがわかった。各加熱温度での等温加熱実験の結果と質量平衡方程式による解析により、各温度での実効的な再結合定数をそれぞれ算出し、実効的な活性化エネルギーを1.80.02eVと決定した。この値は、Gaussian 03を用いた計算結果とH-H結合の生成エネルギーの関係から算出された値よりもわずかに大きい。この違いは膜内における拡散の影響と考えられる。一方、算出された活性化エネルギーをもとに数値解析した昇温脱離スペクトルのピーク位置が実験結果と一致することから、質量平衡方程式から算出された活性化エネルギーを用いて、実機における水素同位体の放出過程を模擬できることが期待される。
広畑 優子*; 田辺 哲朗*; 大矢 恭久*; 柴原 孝宏*; 杉山 一慶*; 小柳津 誠*; 吉河 朗*; 吉田 雅史*; 新井 貴; 正木 圭; et al.
no journal, ,
両側排気方式のJT-60UW型ダイバータ領域に設置された炭素タイルの損耗と堆積のポロイダル方向の分布を調べた。外側ダイバータ及び内側ドームウィングタイルが損耗し、内側ダイバータ,外側ドームウィングタイル及び外側排気口に面している外側ウィングタイルの側面上に厚い炭素堆積膜が認められた。タイル中に保持されたHとDの蓄積量と再堆積層の厚さには2つの直線で表される比例関係があった。この比例関係を利用して再堆積層中のHとDの平均水素濃度を求めた。内側ダイバータタイル上の再堆積層中の水素濃度は((H+D)/C)は0.02であり、外側排気口に面しプラズマから影になっている部分では0.13となっている。これらの値はいずれもJETなど低温で運転されている装置の濃度(0.41.0)に比べると水素濃度が低いことがわかる。これらの値から、6700ショット(放電時間=1.910ms)の放電に曝されたダイバータ領域(バッフル,ドームユニット,ダイバータタイル)のH+Dの全蓄積量及び蓄積速度を見積もると、H+Dの全蓄積量は410atoms、蓄積速度は210atoms/sとなった。
広畑 優子*; 田辺 哲朗*; 大矢 恭久*; 柴原 孝宏*; 杉山 一慶*; 小柳津 誠*; 吉河 朗*; 吉田 雅史*; 新井 貴; 正木 圭; et al.
no journal, ,
両側排気方式のJT-60UW型ダイバータ領域に設置された炭素タイルの損耗と堆積のポロイダル方向の分布を調べた。外側ダイバータ及び内側ドームウィングタイルが損耗し、内側ダイバータ,外側ドームウィングタイル及び外側排気口に面している外側ウィングタイルの側面上に厚い炭素堆積膜が認められた。タイル中に保持されたHとDの蓄積量と再堆積層の厚さには2つの直線で表される比例関係があった。この比例関係を利用して再堆積層中のHとDの平均水素濃度を求めた。内側ダイバータタイル上に堆積した炭素膜中の水素濃度は((H+D)/C)は0.02であり、外側排気口に面しプラズマから影になっている部分では0.13となっている。これらの値はいずれもJETなど低温で運転されている装置の濃度(0.41.0)に比べると水素濃度が低いことがわかる。他の装置に比べ、JT-60Uでは炭素堆積膜も薄く、水素同位体蓄積量が少ない理由として、(1)ダイバータプラズマの特性,(2)ダイバータ構造,(3)タイルのアライメン,(4)タイル温度,(5)運転温度の違い、などが挙げられる。