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内田 俊介; 佐藤 智徳; 塚田 隆; 佐藤 義之*; 宮澤 孝裕*; 寺地 巧*; 和田 陽一*; 細川 秀幸*
Proceedings of International Conference on Water Chemistry of Nuclear Reactor Systems 2006 (CD-ROM), 6 Pages, 2006/10
高温水中でのステンレス鋼の腐食特性評価のため、過酸化水素及び酸素を含む高温水中でのステンレス鋼の腐食電位(ECP)及び周波数依存複素インピーダンス(FDCI)を測定した。また、浸漬後の試験片表面の酸化被膜の多元分析を実施した。結果を以下に示す。(1)過酸化水素雰囲気でのステンレス鋼のECPは同程度の酸素雰囲気でのものより高い値であった。また、過酸化水素100ppbでのECP飽和値と10ppbでのECP飽和値はほぼ等しい値を示した。過酸化水素と酸素を共存させた条件でのECP応答は、過酸化水素のみ含む高温水中でのそれとほぼ等しくなった。(2)FDCI測定より、過酸化水素雰囲気での高い被膜電気抵抗値が推定され、それは、被膜電気抵抗の直接測定により確認された。(3)過酸化水素雰囲気では、ヘマタイトを含み、Crは単調減少するような被膜が形成されるのに対し、酸素雰囲気ではCrリッチでマグネタイト主体の被膜が形成されることを確認した。(4)100ppb過酸化水素雰囲気に浸漬させた試験片表面の酸化被膜厚さは、被膜溶解の濃度依存性により、10ppb過酸化水素雰囲気でのものより薄くなることを、表面分析及びFDCI測定により確認した。
宮澤 孝裕*; 寺地 巧*; 内田 俊介*; 佐藤 智徳; 塚田 隆; 佐藤 義之*; 和田 陽一*; 細川 秀幸*
Journal of Nuclear Science and Technology, 43(8), p.884 - 895, 2006/08
被引用回数:65 パーセンタイル:96.69(Nuclear Science & Technology)BWR水質条件でのステンレス鋼の腐食挙動を理解するために、過酸化水素、及び酸素を含む高温水中に浸漬されたステンレス鋼試験片の表面酸化被膜を多元分析し、評価した。その結果、以下のことが確認された。(1)酸化被膜は2層構造を持ち、100ppb HOに浸漬された試験片の外層被膜は、コランダム型のヘマタイト粒子で、内層はニッケルリッチなスピネル型のマグネタイトで構成されていることが確認された。200ppb Oでは、外層は大きなマグネタイト粒子で、内層はクロムリッチなスピネル型のマグネタイトであった。(2)外層被膜を形成する酸化物粒子の粒子径と数密度は酸化種濃度により変化する。その平均粒径は酸化種濃度が増加するにつれ小さくなる。(3)高い過酸化水素濃度での大きな被膜溶解速度がより薄い被膜とより小さい粒子径の要因である。
白木 厚寛*; 和田 巧*; 村田 純教*; 森永 正彦*; 高屋 茂; 小山 敏幸*
no journal, ,
高温構造材料として用いられるオーステナイト系ステンレス鋼SUS304では、500-650Cにおけるクリープ試験材に強磁性相が生じることが知られているが、その変態機構は不明な点が多い。この現象を理解するには、組織自体のエネルギー変化を明らかにすることが有効であると考えられる。そこでまず本研究では、クリープ中に試料内に導入され、室温にもちきたされたひずみエネルギーを転位密度の測定により評価し、強磁性相出現との関連を調べた。その結果、ひずみエネルギーは、寿命比が0.2-0.6の範囲でほぼ一定であるもののクリープ試験時間の進行とともに単調に増加すること,炭化物周辺での局所的な転位密度の増加が認められることなどが明らかになった。また、寿命比0.2程度から強磁性相が出現することが報告されており、本研究の結果はクリープにより蓄積されたひずみと強磁性相の発生が直接的に関連することを示唆している。