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吉村 公男; 越川 博; 八巻 徹也; 猪谷 秀幸*; 山本 和矢*; 山口 進*; 田中 裕久*; 前川 康成
Journal of the Electrochemical Society, 161(9), p.F889 - F893, 2014/06
被引用回数:21 パーセンタイル:61.31(Electrochemistry)イミダゾリウムカチオンを有するグラフト型アニオン伝導電解質膜を、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)膜に-ビニルイミダゾールとスチレンを放射線グラフト重合により共重合する過程と、それに続く-プロピル化およびイオン交換反応により作製した。得られたアニオン膜は、イオン交換容量は1.20mmol/g、導電率は28mS/cmであった。80Cの1M KOH中での耐アルカリ性を評価した結果、浸漬250時間後でも10mS/cm以上の導電率が維持され、高い耐アルカリ性を有することがわかった。本研究のアニオン膜を用いて作製した水加ヒドラジン燃料電池において最高出力75mW/cmを確認した。
越川 博; 吉村 公男; Sinnananchi, W.; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 山本 和矢*; 山口 進*; 田中 裕久*; 前川 康成
Macromolecular Chemistry and Physics, 214(15), p.1756 - 1762, 2013/08
被引用回数:15 パーセンタイル:45.37(Polymer Science)貴金属フリー液体燃料電池用自動車に適用できるアニオン伝導電解質膜(AEM)の開発において、電解質膜の耐熱性や高い含水率に起因する燃料透過が問題になっている。そこで、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合膜(ETFE)にクロロメチルスチレン(CMS)を放射線グラフト重合後、グラフト鎖をトリメチルアミンにより4級化することでAEMを作製し、含水性,安定性に及ぼす電解質膜の対アニオンの効果を調べた。4級化によって得られた塩化物塩の膜(塩化物膜)は、炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬することで重炭酸膜に変換した。また、1M KOH水溶液でアニオン交換後、窒素ガスで飽和させた水で洗浄することで、重炭酸化物塩の生成なしに水酸化物膜に変換できた。塩化物膜及び重炭酸膜に対して、水酸化物膜は4倍の伝導率及び2倍の含水率を示した。また、熱分析測定より、水酸化物膜が他の二つの膜よりも安定であることがわかった。以上の結果から、水酸化物膜の水酸化アルキルアンモニウムが化学的に不安定であること、安定化するために高い含水率を示すことを明らかにした。
吉村 公男; 越川 博; 八巻 徹也; 前川 康成; 山本 和矢*; 猪谷 秀幸*; 朝澤 浩一郎*; 山口 進*; 田中 裕久*
ECS Transactions, 50(2), p.2075 - 2081, 2012/10
水加ヒドラジンなどの液体燃料を蓄電媒体とする白金フリー燃料電池自動車におけるアニオン伝導電解質膜は、強アルカリ中で使用されるため高いアルカリ耐性が要求される。本研究では、アルカリ耐性に優れたイミダゾール構造を直接基材膜にグラフトしたアニオン膜を作製し、アルカリ耐性の向上を図った。放射線グラフト重合により、ETFE膜にビニルイミダゾール-スチレン共重合グラフト鎖を導入した後、Nアルキル化反応、水酸化カリウムによるイオン交換反応を行い水酸化イミダゾリウムをグラフト鎖に含む共重合アニオン膜を得た。スチレンはイオン交換基間の正電荷反発を減少させるために導入した。1M水酸化カリウム中80Cの導電率の変化からアルカリ耐性を評価した結果、作製したアニオン膜は、初期の導電率28mS/cmに対し浸漬250時間後も10mS/cmの導電率を維持しており、数時間の浸漬で導電率が消失した従来型のグラフトアニオン膜と比較して高いアルカリ耐性を有することを実証できた。
越川 博; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 前川 康成; 山口 進*; 山本 和矢*; 朝澤 浩一郎*; 山田 浩次*; 田中 裕久*
Proceedings of 12th International Conference on Radiation Curing in Asia (RadTech Asia 2011) (Internet), p.240 - 241, 2011/06
燃料電池用アニオン交換型電解質膜(AEM)をETFE膜へのクロロメチルスチレングラフト重合とトリメチルアミンの四級化反応により作製した。塩化物型のAEMを1M-KOH及び窒素ガスでバブリングした純水で処理することで水酸化物型に置換できる。しかし、水酸化物型はCOが溶存した水で重炭酸化物型に置換される。AEMは対イオンの酸性度が低いと伝導率及び含水率が増加した。グラフト鎖に架橋を導入すると、スチレンスルホン酸グラフト鎖のプロトン交換型電解質膜で効果があったが、AEMでは塩化物型と水酸化物型ともに含水率がわずかに減少しただけだった。この結果から、AEMの水酸化物型で強力に水を吸収する傾向があることが明らかになった。
朝澤 浩一郎*; 山本 和矢*; 山田 浩次*; 田中 裕久*; 松村 大樹; 田村 和久; 西畑 保雄; Atanassov, P.*
ECS Transactions, 33(1), p.1751 - 1755, 2010/10
Coポリピロールカーボン(PPyC)をX線吸収分光法により構造解析を行った。この試料は酸処理により酸素還元活性が高くなる。酸処理前の近接構造は2つのピークからなり、1つはCo-O/Nからなる軽元素の配位であり、もう1つは水酸化コバルトに起因するピークであった。後者のピークのみが酸処理により消滅した。触媒活性の結果と合わせて、熱処理を施さずとも、活性に寄与すると推測されるCo-Nの配位が存在することがわかった。
浅野 雅春; 越川 博; 八巻 徹也; 前川 康成; 山口 進*; 山本 和矢*; 朝澤 浩一郎*; 山田 浩次*; 田中 裕久*
no journal, ,
線グラフト重合を利用したアニオン交換型電解質膜の開発を目的に、モノマーの線グラフト重合及びグラフト膜の四級化を検討するとともに、得られたアニオン交換型電解質膜のヒドラジンを燃料とした電池性能を調べた。エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体膜に線照射後、クロロメチルスチレンをグラフト重合した。そのグラフト重合膜をトリメチルアミン水溶液により四級化した後、水酸化カリウム水溶液を用いてアニオン交換型電解質膜に変換した。四級化反応は、重量変化から85%以上進行したことがわかった。発電実験を、5%水加ヒドラジンと1M KOHの混合溶液を燃料に用い、セル温度80Cの条件で行った結果、最大出力密度は460mW/cmになることもわかった。
越川 博; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 前川 康成; 山口 進*; 山本 和矢*; 朝澤 浩一郎*; 山田 浩次*; 田中 裕久*
no journal, ,
クロロメチルスチレンの線グラフト重合及びトリメチルアミン(TMA)の四級化によりアニオン交換型電解質膜を作製し、OH置換後の膜特性を検討している。膨潤によるヒドラジンの透過を防ぐ目的で、グラフト重合時に架橋剤のジビニルベンゼン(DVB)を0-1.5vol%加えて電解質膜を作製した。グラフト膜内のクロロメチル基をTMAで四級化した割合は、DVB 0vol%及び0.5vol%の条件のときは89-98%なのに対し、DVB 1.5vol%では12-64%に低下した。これは、架橋密度が高まるにつれて、TMAが膜内に浸透しにくくなるためと考えられる。ClformではDVB架橋によって含水率が低下したが、OHformでは架橋の効果は得られず、アニオン交換型電解質膜の膨潤抑制機構はプロトン交換型のそれと異なることが示唆される。
越川 博; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 前川 康成; 山口 進*; 山本 和矢*; 朝澤 浩一郎*; 山田 浩次*; 田中 裕久*
no journal, ,
放射線グラフト重合によりアニオン交換型電解質膜を作製し、ヒドラジン燃料電池への応用を検討している。グラフト重合時に架橋剤のジビニルベンゼン(DVB)を加えて電解質膜を作製し含水率の抑制を検討した。エチレン-テトラフルオロエチレン共重合膜に50kGyの線照射、0-1.5vol%のDVB,クロロメチルスチレン(CMS),50vol%ジオキサン溶液でグラフト重合及び30%トリメチルアミン(TMA)水溶液による四級化反応、及び水酸化カリウム水溶液によるOH置換により、アニオン交換型電解質膜を作製した。DVBの割合が低い0.5vol%のときは89-98%なのに対し、DVB1.5vol%では12-64%に低下した。これは、架橋密度が高まるにつれて、TMAが膜内に浸透しにくくなるためと考えられる。ClformではDVB架橋によって含水率が低下したが、OHformでは架橋の効果は得られず、アニオン交換型電解質膜の膨潤抑制機構はプロトン交換型のそれと異なることが示唆された。
浅野 雅春; 越川 博; 八巻 徹也; 前川 康成; 山口 進*; 山本 和矢*; 朝澤 浩一郎*; 山田 浩次*; 田中 裕久*
no journal, ,
線グラフト重合を利用したアニオン交換型電解質膜の開発を目的に、モノマーの線グラフト重合及びグラフト膜の四級化を検討するとともに、得られたアニオン交換型電解質膜のヒドラジンを燃料とした電池性能を調べた。エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体膜に線照射後、クロロメチルスチレンをグラフト重合した。そのグラフト重合膜をトリメチルアミン水溶液により四級化した後、水酸化カリウム水溶液を用いてアニオン交換型電解質膜に変換した。四級化反応は、重量変化から85%進行したことがわかった。発電実験を、5%水加ヒドラジンと1M KOHの混合溶液を燃料に用い、セル温度80Cの条件で行った結果、最大出力密度は460mW/cmになることがわかった。
浅野 雅春; 越川 博; 八巻 徹也; 前川 康成; 山本 和矢*; 三瓶 文寛*; 朝澤 浩一郎*; 山口 進*; 山田 浩次*; 田中 裕久*
no journal, ,
線グラフト重合を利用したアニオン型電解質膜の開発を進めているが、ヒドラジンを燃料とした電池試験の結果、OCV(開放電圧)が低く、燃料の膜透過が起こっていると考えられた。そこで、その燃料の透過を抑制するために、基材となる高分子に架橋を導入した。膜厚50mのエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体膜(ETFE膜)への架橋導入は、アルゴン雰囲気下、室温で500kGy照射することにより行った。この架橋ETFE膜(cETFE膜)への線グラフト重合は、アルゴン雰囲気下、室温で1030kGy照射した後、窒素ガスでバブリングしたクロロメチルスチレン(CMS)/キシレン(1/2vol%)混合溶液中に浸漬し、60C、所定時間反応させることで行った。得られたアニオン交換型電解質膜の含水特性を検討したところ、未架橋ETFE膜に比べてcETFE膜は低く抑えられることがわかった。
越川 博; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 前川 康成; 山本 和矢*; 三瓶 文寛*; 朝澤 浩一郎*; 山口 進*; 山田 浩次*; 田中 裕久*
no journal, ,
放射線グラフト重合によりアニオン交換型電解質膜を作製し、ヒドラジン燃料電池への応用を検討している。グラフト重合の前に基材を架橋させて電解質膜を作製し含水率の抑制を検討した。エチレン-テトラフルオロエチレン共重合(ETFE)膜に500kGyの線照射及び120C, 24hのアニーリングにより、架橋ETFE膜を作製した。50kGyの線照射,クロロメチルスチレン50vol%ジオキサン溶液でグラフト重合及び30%トリメチルアミン(TMA)水溶液による四級化反応、及び水酸化カリウム水溶液によるOH置換により、アニオン交換型電解質膜を作製した。含水率はClformでは架橋膜,未架橋膜で差が小さく、架橋膜がわずかに増加したが、OHformでは全体的に増加し、架橋,未架橋の差も拡大した。プロトン交換型電解質膜で膨潤抑制効果があった架橋条件では、アニオン交換型電解質膜の膨潤抑制は不十分なことが示唆された。
浅野 雅春; 越川 博; 八巻 徹也; 前川 康成; 山本 和矢*; 三瓶 文寛*; 朝澤 浩一郎*; 山口 進*; 田中 裕久*
no journal, ,
線グラフト重合を利用したアニオン型電解質膜の開発を進めているが、ヒドラジンを燃料とした電池試験の結果、開放電圧が低く、燃料の膜透過が起こっていると、考えられた。そこで、その燃料の透過を抑制するために、高分子グラフト鎖に架橋を導入した。膜厚50mのエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体膜(ETFE膜)への線グラフト重合は、アルゴン雰囲気下、室温で50kGy照射した後、窒素ガスでバブリングした0.5vol%のジビニルベンゼン(DVB)を含むクロロメチルスチレン/キシレン(1/1vol%)混合溶液中に浸漬し、60C、所定時間反応させることで行った。得られたアニオン交換型電解質膜の含水特性を検討したところ、DVB未添加系に比べて添加系は低く抑えられることがわかった。
前川 康成; 越川 博; Sinnananchi, W.; 山本 和矢*; 山口 進*; 田中 裕久*
no journal, ,
企業との共同研究で進めている貴金属フリー液体燃料電池への適用を目的に、放射線グラフト重合によるアニオン交換形電解質膜の開発を進めている。今回、ETFE膜にクロロメチルスチレン(CMS)をグラフト重合後、グラフト鎖のトリメチルアミンによる4級化(変換率100%)により作製したグラフト形電解質膜について、対アニオンの電解質膜特性に及ぼす影響を調べた。塩化物,重炭酸化物,水酸化物と電解質膜の対アニオンの酸性度が低下することで、含水率,導電率ともに大幅に上昇することがわかった。さらに、塩化物の場合は、脱アミンにより分解するのに対し、水酸化物ではより低温で脱メタノールにより分解することがわかった。水酸化物であるアニオン伝導電解質膜では、水酸化物の酸性度が低いため、化学的不安定となること、及び、その化学的不安定さを解消するために高含水率となることが示唆された。
前川 康成; Sinnananchi, W.; 越川 博; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 山本 和矢*; 三瓶 文寛*; 朝澤 浩一郎*; 山口 進*; 田中 裕久*
no journal, ,
企業との共同研究で進めている貴金属フリー液体燃料電池への適用を目的に、放射線グラフト重合によるアニオン交換形電解質膜の開発を進めている。今回、ETFE膜にクロロメチルスチレン(CMS)をグラフト重合後、グラフト鎖のトリメチルアミンによる4級化により作製したグラフト形電解質膜(TMA)について、その耐久性に重要な安定性に及ぼす電解質膜の対アニオンの効果を調べた。電解質膜の対アニオンである水酸化物や重炭酸化物では、塩化物に比べて含水率,導電率ともに高い値を示した。このことから強塩基であるアンモニウム塩に対して、弱酸の対アニオンとの組合せでは電解質膜が不安定であり、トリメチルアミンからなるアニオン伝導電解質膜が低耐久性であることが推察された。そこで、含水率を下げる目的で疎水性のアルキルアミン(ブチルジメチルアミン)からなる電解質膜(BDMA)を作製した。得られた電解質膜は、燃料電池作動温度である80Cにおいて、大気中,水中,塩基性溶液中でグラフト形電解質膜(TMA)よりも安定であることが確認できた。
越川 博; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 吉村 公男; 前川 康成; 山本 和矢*; 猪谷 秀幸*; 朝澤 浩一郎*; 山口 進*; 田中 裕久*
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アンモニウム塩のアルキル基の1つを長鎖アルキル基にして疎水性を高くすることで耐久性の向上を検討した。エチレン・テトラフルオロエチレン共重合膜に線を30kGy照射し、クロロメチルスチレンをグラフト重合させた。グラフト膜をトリメチルアミン(炭素鎖数n=1)、エチルジメチルアミン(n=2)、ブチルジメチルアミン(n=4)、ヘキシルジメチルアミン(n=6)溶液中に室温で浸漬させ四級化した。1M水酸化カリウム水溶液にOH置換させてアニオン交換型電解質膜を作製した。4ppm硫酸鉄含有3w%過酸化水素溶液に80C、2時間浸漬させるフェントン試験で耐久性を評価した。アルキル基の炭素数nが長くなるにつれ、OHイオン伝導率はわずかに減少したが、耐久試験前後のOHイオン伝導率の割合である電解質基の残存率はnが長くなるにつれ増加し、ヘキシル基ではメチル基より8倍増加したことから、アルキル基の疎水性と立体障害により水酸ラジカルがアンモニウム塩に近づきにくくなるため分解を制御できることが確認できた。
八巻 徹也; 越川 博; 浅野 雅春; 前川 康成; 山本 和矢*; 三瓶 文寛*; 朝澤 浩一郎*; 山口 進*; 田中 裕久*
no journal, ,
燃料電池向けプロトン(カチオン)交換膜の開発において、放射線による架橋とグラフト重合を組合せたプロセスが有用であることを明らかにしてきた。特に、グラフト重合の基材であるフッ素系高分子膜の架橋や多官能性モノマーを用いたグラフト共重合によって、実用化の要求を満たす材料の開発に成功している。一方、アニオン交換膜の開発については、放射線グラフト重合による作製がこれまでに報告されているものの大きな進展は見られず、未だその端緒についたばかりである。ここでは、OH伝導性を維持しつつも、含水に伴う膨潤を抑制しヒドラジン透過抑制能を向上させるためのわれわれによる試みを紹介したい。
吉村 公男; Sinnananchi, W.; 越川 博; 八巻 徹也; 前川 康成; 山本 和矢*; 猪谷 秀幸*; 朝澤 浩一郎*; 山口 進*; 田中 裕久*
no journal, ,
液体燃料を蓄電媒体とする白金フリー燃料電池自動車に適用できるアニオン伝導電解質膜の開発において、電解質膜の高い含水率に起因する燃料透過と低耐久性が問題になっている。本研究では、塩基性強度の高いアミン(有機強塩基)の4級化反応で形成される弱塩基性のイオン交換基からなるグラフト型アニオン伝導電解質膜を作製し、弱塩基性イオン交換基の含水率や導電率に及ぼす効果を調べた。放射線グラフト重合反応によりETFE膜にクロロメチルスチレングラフト鎖を導入した後、有機強塩基であるメチルイミダゾール(MIm)、及びジアザビシクロノネン(DBN)をグラフト鎖と反応させ、水酸化カリウムで処理することでアニオン伝導電解質膜を得た。MImを導入した電解質膜は、従来のグラフト型アニオン膜に対してほぼ同等の導電率(127mS/cm)を維持し、かつ、約半分の含水率(68%)を示した。さらに弱塩基性イオン交換基を与えるDBNを導入した電解質膜では、含水率が18%とさらに抑制できたが、導電率が0.4mS/cmと大幅に低下した。形成される弱塩基性のイオン交換基の塩基性強度を調整することで、低含水率かつ高導電性のアニオン伝導電解質膜が作製できることがわかった。
浅野 雅春; 越川 博; 八巻 徹也; 前川 康成; 山本 和矢*; 三瓶 文寛*; 猪谷 秀幸*; 朝澤 浩一郎*; 山口 進*; 田中 裕久*
no journal, ,
線グラフト重合を利用したアニオン型電解質膜の開発を進めているが、ヒドラジンを燃料とした電池試験の結果、開放電圧が低く、燃料の膜透過が起こっていると、考えられた。そこで、その燃料の透過を抑制するために、高分子グラフト鎖に架橋を導入した。膜厚50mのエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体膜(ETFE膜)への線グラフト重合は、アルゴン雰囲気下、室温で50kGy照射した後、窒素ガスでバブリングした0.5vol%のジビニルベンゼン(DVB)を含むクロロメチルスチレン/キシレン(1/1vol%)混合溶液中に浸漬し、60C、所定時間反応させることで行った。得られたアニオン交換型電解質膜の含水特性を検討したところ、DVB未添加系に比べて添加系は低く抑えられることがわかった。
浅野 雅春; 越川 博; 八巻 徹也; 吉村 公男; 前川 康成; 山本 和矢*; 三瓶 文寛*; 猪谷 秀幸*; 朝澤 浩一郎*; 山口 進*; et al.
no journal, ,
線グラフト重合反応と四級化反応を融合させたアニオン型電解質膜の開発を進めている。これまで、四級化反応としてはトリメチルアミン(TMA)を用いて行っていたが、得られた電解質膜は、水に対して著しく膨潤し、燃料の透過や機械強度の低下を引き起こす要因になっていた。本研究では、これらの特性を改善する目的で、四級化剤として、アルキル鎖の長い三級アミンを用いて得られたアニオン交換型電解質膜の特性を検討した。エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体膜へのクロロメチルスチレンの線グラフト重合後、TMA,ジメチルエチルアミン(DMEA),ジメチルブチルアミン(DMBuA),ジメチルヘキシルアミン(DMHexA)などの四級化剤を用いてアニオン交換型電解質膜を作製した。その電解質膜の含水率を求めたところ、TMA, DMEA, DMBuA, DMHexAの順に38.9%, 33.4%, 31.4%, 22.4%の値を示し、アルキル鎖の長い三級アミンで置換した電解質膜ほど含水率は小さくなることがわかった。
吉村 公男; Sinananwanich, W.*; 越川 博; 浅野 雅春; 八巻 徹也; 前川 康成; 山本 和矢*; 猪谷 秀幸*; 朝澤 浩一郎*; 山口 進*; et al.
no journal, ,
水加ヒドラジンなどの液体燃料を蓄電媒体とする白金フリー燃料電池自動車に適用できるアニオン伝導電解質膜の開発において、アニオン膜の高い含水率に起因する燃料透過と低アルカリ耐性が問題になっている。本研究では、アニオン膜の高い含水率が水酸化物イオンとイオン交換基との間に形成される不安定な塩によるものと考え、共役構造により塩が安定化するイミニウム構造を有するグラフト型アニオン膜を作製し、含水率や導電率に及ぼす効果を調べた。放射線グラフト重合反応によりETFE膜にクロロメチルスチレングラフト鎖を導入した後、メチルイミダゾール(MIm)、又はジアザビシクロノネン(DBN)と反応させ、水酸化カリウムで処理してイミニウム構造を有するアニオン膜を得た。作製したアニオン膜の物性を調べた結果、MImを導入したアニオン膜は、従来のグラフト型アニオン膜に対してほぼ同等の導電率(127mS/cm)を維持し、かつ、約半分の含水率(68%)を示した。生成する塩がより安定化するDBNを導入したアニオン膜では、含水率が18%とさらに抑制できたが、導電率が0.4mS/cmと大幅に低下した。塩の安定性を調整することで、導電率を維持したまま含水率を抑制できることがわかった。