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小林 秀樹*; 永井 信*; Kim, Y.*; Yan, W.*; 池田 教子*; 伊川 浩樹*; 永野 博彦; 鈴木 力英*
Remote Sensing, 10(7), p.1071_1 - 1071_19, 2018/07
被引用回数:13 パーセンタイル:50.87(Environmental Sciences)春に葉が緑に色づき、秋には紅葉するといった、植物のフェノロジーは、生物学的応答と陸域炭素循環の特徴付けにおいて必須の状態情報である。そして、人工衛星によって広域的かつ長期的に観測されている地上の分光反射率が、フェノロジーの指標として広く利用されている。しかしながら、「実際のフェノロジーに対して、分光反射率がどのように変化するのか?」に対する正確な解釈を得るために必須である地上観測が、北方の針葉樹林では不足している。本研究では、アラスカ内陸部のクロトウヒ林においては初めてとなる、林冠スケールと下層植生、それぞれの分光反射率、そして植生指数(NDVI)の地上連続観測を行った。本観測により、(1)林冠スケールのNDVIは太陽の天頂角によって変化するが、下層植物のNDVIは天頂角に鈍感であること、(2)観測時間を統一するか太陽の天頂角を統一するかで、年間で最大のNDVIが観測される時期が異なること、(3)光合成の活発な期間から完全に外れているにも関わらず、NDVIが秋の1ヶ月間に高い値のままプラトーになること、が見いだされた。この結果は秋に起こるNDVIのプラトー現象によって、北方林における生育期の終わりを検出できる可能性が高いことを示唆している。このように我々が行っている分光反射率の地上連続観測は、北方高緯度地域において人工衛星ベースのフェノロジーアルゴリズムを開発・検証するためのベースライン情報を提供することができる。
小林 秀樹*; 永井 信*; Kim, Y.*; 永野 博彦; 池田 教子*; 伊川 浩樹*
no journal, ,
アラスカを含む北極および亜北極地域では、温暖化が特に加速している。気候変動に伴う植生フェノロジーの変化によって、植生の炭素吸収がどのように変化するかは特に重要である。内陸アラスカで優占するクロトウヒの分光反射率は、生育期間中は比較的安定しており、衛星で観測される植生フェノロジー指標は、下層植生フェノロジーに大きく影響されると予想される。しかし、上層植生の状態や下層植生のフェノロジー、雪、観測条件などの要因によって、アラスカの森林の分光反射率がどのように影響されるかは、ほとんど検討されていない。本研究では、分光反射率の季節変化と地表の状態の関係を理解するために、2015年から2017年のアラス内陸部のクロトウヒ林(Poker Flat Research Range、Alaska、USA)で観測された上層植生と下層植生それぞれの分光反射率の季節変化を調べた。また、渦相関法で測定された炭素・水フラックスと各植生の季節変化との関係を調べた。