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深谷 有喜; 圓谷 志郎*; 境 誠司*
Physical Review B, 108(15), p.155422_1 - 155422_6, 2023/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)本研究では、全反射高速陽電子回折を用いて、Ag及びAu原子のインターカレーションによるCo(0001)表面上の単層グラフェンの界面構造変化について調べた。動力学的回折理論に基づく構造解析の結果、400C以上のアニールによりAg及びAu原子はインターカレーションを起こし、グラフェンの高さが2.04から3.24 (Ag)および3.32 (Au)に変位することがわかった。700Cでのさらなるアニールにより、Ag原子はデインターカレーションを起こし、グラフェンの高さがインターカレーション前のものに戻る。一方、Au原子では900C以上にアニールしてもデインターカレーションを起こさない。この違いは、Ag及びAu原子の熱脱離過程における活性化エネルギーの差によって説明できる。
川村 隆明*; 深谷 有喜; 福谷 克之
Surface Science, 722, p.122098_1 - 122098_8, 2022/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Chemistry, Physical)本研究では、多重散乱計算を用いて、Pd(100)表面上の水素の位置に敏感な反射高速電子回折(RHEED)条件を探査した。水素の散乱振幅はPdの7%以下でしかないため、水素の位置決定には、回折強度への水素からの散乱の寄与が最大化される条件を見出すことが重要となる。10keVの電子ビームでは、視射角が4以下、方位角が[011]軸から13オフのときにそのような条件が見出された。この条件では、水素の表面垂直・平行の両方向の原子変位に対して顕著な強度変化を示す。RHEED波動関数の解析から、この条件下では低次の回折波が支配的であること、またRHEED電子は新しいタイプの共鳴現象により表面近傍に局在化することがわかった。この条件でのロッキング曲線解析を用いると、水素の高さを0.2以下の精度で決定することが可能となる。この結果は、RHEEDがPd表面上の水素位置の決定に極めて有用な手法であることを示している。
Zhao, Y.*; Suzuki, T.*; Iimori, T.*; Kim, H.-W.*; Ahn, J. R.*; 堀尾 眞史*; 佐藤 祐輔*; 深谷 有喜; Kanai, T.*; Okazaki, K.*; et al.
Physical Review B, 105(11), p.115304_1 - 115304_8, 2022/03
被引用回数:1 パーセンタイル:17.38(Materials Science, Multidisciplinary)本研究では、時間・角度分解光電子分光を用いて、SiC基板上に作製したグラフェン層におけるキャリアダイナミクスについて調べた。光ポンピング後の準結晶グラフェンのディラックバンドでは、電子ドーピングに層依存性が観測された。また、光誘起キャリア輸送量は基板からの距離に依存することがわかった。フラット基板及びステップ基板上の単層グラフェンの結果から、キャリアの生成源は界面のステップ状態に由来することがわかった。本メカニズムは、密度汎関数計算による電子構造を基にした動的モデルにより記述できる。
深谷 有喜; Zhao, Y.*; Kim, H.-W.*; Ahn, J.-R.*; 吹留 博一*; 松田 巌*
Physical Review B, 104(18), p.L180202_1 - L180202_5, 2021/11
被引用回数:10 パーセンタイル:69.8(Materials Science, Multidisciplinary)2層グラフェンはねじれ角に応じて多彩な物性を発現する。30のねじれ角を持つ2層グラフェンでは、相対論的ディラックフェルミオンを有する二次元準結晶となる。本研究では、陽電子回折を用いて、SiC(0001)基板上に合成したグラフェン準結晶の原子配置を解明した。グラフェン準結晶の層間隔は3.46であり、通常のAB積層型に比べ0.17広がることがわかった。この値は、グラフェン間のカップリングの強さを決定するうえで重要なパラメーターとなる。
Fleurence, A.*; Lee, C.-C.*; Friedlein, R.*; 深谷 有喜; 吉本 真也*; 向井 孝三*; 山根 宏之*; 小杉 信博*; 吉信 淳*; 尾崎 泰助*; et al.
Physical Review B, 102(20), p.201102_1 - 201102_6, 2020/11
被引用回数:2 パーセンタイル:12.9(Materials Science, Multidisciplinary)最近、2次元の二重三角格子において、そこに内在するカゴメ格子によってフラットバンドが出現することが予測された。本研究では、ZrB薄膜上に表面偏析したGe原子がその2次元二重三角格子を形成することを報告する。角度分解光電子分光および第一原理計算から、2次元Ge二重三角格子では有意な面内の長距離ホッピングおよび基板との相互作用が存在するにも関わらず、フラットバンドが形成されることが明らかになった。このフラットバンドは、原子配置から生ずるものではなく、電子状態のカップリングに起因する。
佐藤 祐輔*; 深谷 有喜; Cameau, M.*; Kundu, A. K.*; 志賀 大亮*; 湯川 龍*; 堀場 弘司*; Chen, C.-H.*; Huang, A.*; Jeng, H.-T.*; et al.
Physical Review Materials (Internet), 4(6), p.064005_1 - 064005_6, 2020/06
被引用回数:6 パーセンタイル:31.09(Materials Science, Multidisciplinary)本研究では、放射光角度分解光電子分光を用いて、Al(111)表面上の33周期を持つSi層の電子バンド構造を解明した。実験では、線形のエネルギー分散に起因する閉じたフェルミ面を観測した。ハニカム状のシリセンをモデル構造とした第一原理計算の結果、これは基板との混成状態を起源としたディラックコーン様の金属バンドと考えられる。Al(111)表面上のSi層は、基板との相互作用によりディラック電子を発現し、いわゆるXeneと呼ばれる2次元物質群のモデルシステムになりうることを示唆する。
遠藤 由大*; 深谷 有喜; 望月 出海*; 高山 あかり*; 兵頭 俊夫*; 長谷川 修司*
Carbon, 157, p.857 - 862, 2020/02
被引用回数:23 パーセンタイル:76.39(Chemistry, Physical)本研究では、全反射高速陽電子回折を用いて、Ca挿入2層グラフェン超伝導体の原子配置を明らかにした。構造解析の結果、Ca原子は、従来予想されていたグラフェン間ではなく、2層グラフェンの直下に挿入されることが判明した。電気伝導測定では、この原子配置においてのみ超伝導転移(4K)を示すことも明らかにした。今回の結果は、Ca挿入2層グラフェンにおける原子配置と超伝導発現の相関を初めて明らかにした成果である。
深谷 有喜
陽電子科学, (13), p.3 - 10, 2019/09
全反射高速陽電子回折(TRHEPD)法は、物質表面や2次元物質の原子配置を決定するための表面構造解析手法である。陽電子はプラスの電荷を持つため、物質表面に入射する際、斥力を受ける。特にすれすれ入射の場合には全反射が起こり、その物質表面への侵入深さは原子1個分の厚みにしか満たない。このことがTRHEPD法を最表面に敏感な構造解析手法たらしめる。本稿では、電子ビームの場合との比較を交えながら、TRHEPD法の原理と特徴について紹介する。
深谷 有喜; Zhou, G.*; Zheng, F.*; Zhang, P.*; Wang, L.*; Xue, Q.-K.*; 社本 真一
Journal of Physics; Condensed Matter, 31(5), p.055701_1 - 055701_6, 2019/02
被引用回数:5 パーセンタイル:27.39(Physics, Condensed Matter)本研究では、SrTiO基板上の単層FeSeの構造が上下方向に非対称化していることを報告する。SrTiO基板上の単層FeSeは、鉄系超伝導体において最も高い転移温度(50K以上)を示す。全反射高速陽電子回折(TRHEPD)を用いた構造解析の結果、真空側と界面側のSe-Fe層間隔は異なり、上下方向に非対称な構造であることがわかった。これらの層間隔および結合角の平均値は、圧力下のバルクFeSeにおいて高い転移温度を示す最適値と一致している。したがって、SrTiO基板上の単層FeSeは非対称化することにより高い転移温度を発現するための最適構造を形成したと考えられる。
深谷 有喜; 河裾 厚男*; 一宮 彪彦*; 兵頭 俊夫*
Journal of Physics D; Applied Physics, 52(1), p.013002_1 - 013002_19, 2019/01
被引用回数:15 パーセンタイル:20.55(Physics, Applied)最近、物質の表面構造を調べることを目的に、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)法を開発した。TRHEPD法は反射高速電子回折(RHEED)の陽電子版である。入射する視射角に依存して、陽電子は物質表面で全反射もしくは、表面下数層に徐々に侵入する特徴がある。したがって、深いバルクからの影響なしに、最表面およびその直下の構造についての情報を得ることができる。本レビュー論文では、TRHEPDの特徴と固体表面および2次元物質の構造決定に適用した例について報告する。
深谷 有喜
Monatomic Two-Dimensional Layers; Modern Experimental Approaches for Structure, Properties, and Industrial Use, p.75 - 111, 2019/00
物質の原子配列の情報は、その物性を理解するうえで極めて重要な基本情報である。回折法は、数ある実験手法の中で最も直接的にその原子配置を決定できる手法である。本章では、回折の基礎と2次元層の構造決定への応用について記述する。
深谷 有喜
陽電子科学, (11), p.41 - 44, 2018/09
本研究では、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)を用いて、ゲルマニウムの2次元原子シートであるゲルマネンの原子配置を決定した。回折強度の定量解析から、Al(111)基板上に合成したゲルマネンは、先行研究で予測されたような単位格子中2個のGe原子が突出した対称的なバックリング構造ではなく、Ge原子1個だけが突出した非対称な構造をとることがわかった。
深谷 有喜
e-Journal of Surface Science and Nanotechnology (Internet), 16, p.111 - 114, 2018/04
最近、2次元トポロジカル絶縁体等の新奇電子・スピン物性の発現が期待される、IV族元素を用いた2次元原子シートの創製が様々な基板表面上で試みられている。それらの基板上の原子シートは、基板元素との結合性や相互作用を通して様々な原子配置をとりうる。特に、原子シートのバックリング配置や基板との間隔などの構造パラメータは、その物性をつかさどる重要な因子である。本レビュー論文では、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)を用いた金属基板上のグラフェン,シリセン,ゲルマネンの構造決定について報告する。
深谷 有喜; 松田 巌*
物性研だより, 57(2), p.7 - 8, 2017/07
最近我々は、全反射高速陽電子回折法を用いて、アルミニウム基板上のゲルマネン(グラフェンのゲルマニウム版)の構造を明らかにした。ゲルマネンは新奇スピン物性の発現が期待される新材料である。本稿では、ゲルマネンが理論予測に反して非対称なバックリング構造を形成することを報告する。
兵頭 俊夫*; 和田 健*; 望月 出海*; 木村 正雄*; 峠 暢一*; 設楽 哲夫*; 深谷 有喜; 前川 雅樹*; 河裾 厚男*; 飯田 進平*; et al.
Journal of Physics; Conference Series, 791(1), p.012003_1 - 012003_8, 2017/02
被引用回数:3 パーセンタイル:74.29(Physics, Multidisciplinary)本論文では、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所(IMSS)低速陽電子実験施設(SPF)で得られた最近の成果を報告する。全反射高速陽電子回折(TRHEPD)実験では、ルチル型TiO(110)()表面、Cu(111)およびCo(0001)基板上のグラフェン、Al(111)基板上のゲルマネンの構造を明らかにした。ポジトロニウム負イオン(Ps)ステーションでは、Psの共鳴状態の観測に成功した。ポジトロニウム飛行時間測定(Ps-TOF)ステーションでは、ポジトロニウムの生成効率の増大とポジトロニウム生成・放出過程におけるエネルギー損失を観測した。陽電子ビームラインにパルスストレッチングセクションが導入され、陽電子ビームのパルス幅が1.2sから20msまで可変になった。
深谷 有喜
表面科学, 37(11), p.547 - 552, 2016/11
本稿では、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)法による金属基板上のグラフェンとシリセン(グラフェンのシリコン版)の構造決定について紹介する。グラフェン(シリセン)におけるバックリング(座屈構造)の有無や基板との間隔は、基板上に吸着したグラフェン(シリセン)の物性の起源を調べるうえで重要な因子である。本研究では、TRHEPDの表面敏感性を利用して、CoとCu基板上のグラフェンとAg基板上のシリセンにおけるこれらの構造パラメータを決定した。
深谷 有喜; 松田 巌*; Feng, B.*; 望月 出海*; 兵頭 俊夫*; 社本 真一
2D Materials (Internet), 3(3), p.035019_1 - 035019_7, 2016/09
被引用回数:49 パーセンタイル:82.07(Materials Science, Multidisciplinary)本研究では、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)法を用いて、アルミニウム基板上のゲルマネン(グラフェンのゲルマニウム版)の構造決定を行った。測定した回折スポット強度の非対称性から、ゲルマネンの構造が方向に対して鏡面対称性を持たないことがわかった。動力学的回折理論に基づく強度解析から、単位格子当たり1個のゲルマニウム原子が真空側に突出する非対称な構造であることがわかった。これは、これまでに提案されている2個のゲルマニウム原子が突出した対称的な構造モデルとは異なる。これまでに報告された他の実験結果は、今回決定した構造モデルにより説明可能である。
望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 前川 雅樹*; 河裾 厚男*; 設楽 哲夫*; 朝倉 清高*; 兵頭 俊夫*
表面科学, 37(9), p.451 - 456, 2016/09
本論文では、30年間構造が確定しなかった、触媒の担体として知られるルチル型の二酸化チタン表面の構造解析について報告する。全反射高速陽電子回折(TRHEPD)を用いて、陽電子の回折スポット強度の視射角依存性の測定および、動力学的回折理論に基づく強度解析を行った。その結果、最近Wangらが理論的に提唱した構造モデルを用いると実験結果をよく説明できることがわかった。
深谷 有喜
Isotope News, (746), p.10 - 14, 2016/08
物質の表面は、物質と真空との界面であり、原子, 分子, クラスターなどと相互作用する場である。また近年では、物質の表面はナノテクノロジーを研究する重要な舞台となっている。表面の原子配置は、表面エネルギーを下げるように物質内部(バルク)のものから変位し、バルクとは異なった新たな構造を形成する。そのため、表面の構造物性を研究するには、バルクからの情報をできるだけ排除し、表面だけの情報を引き出さなければならない。このように、実験プローブには極めて高い表面敏感性が要求される。我々は、表面研究における陽電子ビームの有用性を実証するために、様々な表面構造の解析に全反射高速陽電子回折(TRHEPD)法を適用してきた。最近、加速器を用いて発生させた高強度の陽電子ビームを利用することにより、この手法の高度化に成功している。本稿では、TRHEPD法の最近の進展について紹介する。
深谷 有喜; 圓谷 志郎; 境 誠司; 望月 出海*; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 社本 真一
Carbon, 103, p.1 - 4, 2016/07
被引用回数:22 パーセンタイル:59.26(Chemistry, Physical)本研究では、全反射高速陽電子回折法を用いて、貴金属および遷移金属基板上のグラフェンの構造を調べた。動力学的回折理論に基づく構造解析から、CuおよびCo基板上のグラフェンの高さをそれぞれ3.34および2.06と決定した。Cu基板上のグラフェンの高さはグラファイトの層間距離に近く、グラフェン・Cu基板間の相互作用は非常に弱いことがわかった。一方、Co基板上のグラフェンの高さは、Cu基板上のものに比べ1以上も低く、Co基板上のグラフェンは基板と強く相互作用していることが実験的に確かめられた。