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三ツ井 誠一郎; 藤井 淳弘*; 樋口 めぐみ*; 西村 公助*
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.1475, p.545 - 550, 2012/06
1997年1月に大阪府八尾市大竹西遺跡の弥生時代後期初頭(1世紀前半)の遺構面から出土した鉄剣は、鋳造鉄剣としては畿内最古級である。直線的な鎬の形状が明瞭に残存するなど、本鉄剣の遺存状態が極めて良好であったことから、その埋蔵環境と腐食状況に関する調査・分析を実施した。埋蔵環境として、湧水水質,酸化還元電位、溶存酸素濃度等の分析,鉄電極の腐食速度(プローブ腐食速度)等の測定を1997年2月に現地で実施した。鉄剣の腐食状況については、X線CT装置を用いた腐食層厚の計測、ポータブルX線回折・蛍光X線分析装置を用いた鉄剣表面の腐食生成物等の分析を実施した。その結果、鉄剣が酸化還元電位や溶存酸素濃度が低い環境に埋蔵されていたこと、最大腐食速度はプローブ腐食速度に比べ2桁程度小さいこと、腐食生成物として検出した菱鉄鉱が腐食反応を抑制していた可能性があることを確認した。
三ツ井 誠一郎; 藤井 淳弘*; 樋口 めぐみ*; 西村 公助*
日本文化財科学会第27回大会研究発表要旨集, p.36 - 37, 2010/06
1997年1月に大阪府八尾市大竹西遺跡の弥生時代後期初頭(1世紀前半)の遺構面から出土した鉄剣(八尾市指定文化財)は、鋳造鉄剣としては畿内最古級である。直線的な鎬の形状が明瞭に残存するなど、本鉄剣の遺存状態が極めて良好であったことから、その埋蔵環境と腐食状況に関する調査・分析を実施した。埋蔵環境として、湧水水質(酸化還元電位,溶存酸素濃度等)の分析,鉄電極の腐食速度(自然腐食速度)等の測定を1997年2月に現地で実施した。鉄剣の腐食状況については、X線CT装置を用いた腐食層厚の計測,ポータブルX線回折・蛍光X線分析装置を用いた鉄剣表面の腐食生成物等の分析を実施した。その結果、鉄剣が酸化還元電位や溶存酸素濃度が低い環境に埋蔵されていたこと、腐食層厚(最大1.5mm)から求めた最大腐食速度は(810mm/y)は自然腐食速度(510mm/y)に比べて2桁程度小さいこと、腐食生成物として検出した菱鉄鉱(FeCO)が腐食反応を抑制していた可能性があることを確認した。