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小畑 元*; 三輪 一爾*; 近藤 能子*; 蒲生 俊敬*; 乙坂 重嘉; 鈴木 崇史
no journal, ,
北極域は、人為的な環境変化による影響を受けやすいことが知られている。本研究では、北極域の縁辺海であるチュクチ海及びベーリング海において、海水中のヨウ素濃度分布を化学種(ヨウ素酸イオン, ヨウ化物イオン, 有機態ヨウ素)別に調査し、これらの海域へのヨウ素の供給経路について解析した。加えて、人為起源ヨウ素の分布を明らかにするために、海水中のI濃度分布を調査した。多くの観測点で、海水中のヨウ素濃度は海底付近で増加傾向を示した。この傾向はヨウ化物イオンや有機態ヨウ素で顕著で、これらの化学種が大陸棚の海底から溶出していることがわかった。海水中のI濃度は、0.82.910 atom/Lの範囲であった。この濃度は北太平洋における濃度の数倍であり、北大西洋からの海水の流入を示す顕著な濃度増加は見られなかった。調査海域が高緯度であることを考慮すると、本研究で観測されたIは欧州を起源とするIが大気経由で沈着したものと推測された。