Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
野澤 貴史; 小沢 和巳; 朝倉 勇貴*; 香山 晃*; 谷川 博康
Journal of Nuclear Materials, 455(1-3), p.549 - 553, 2014/12
被引用回数:15 パーセンタイル:74.71(Materials Science, Multidisciplinary)SiC/SiC複合材料は核融合DEMO炉の有力な候補材である。本論文は、アコースティックエミッション(AE)測定,電気抵抗(ER)測定,デジタル画像相関(DIC)法等の様々な手法により複合材料の損傷許容性,強度異方性を明らかにすることを目的とした。AEの結果より、2D複合材において、引張及び圧縮試験ともに比例限度応力(PLS)以前より損傷の蓄積が開始することが明らかとなった。波形データの予備検討結果から、AE検出強度は微視的なき裂発生に起因し、強い界面摩擦力からき裂発生後も応力-ひずみ曲線において線形的な振る舞いをしていたことが示唆された。繊維のすべりがPLS近傍で開始し、結果として非線形挙動を示すと考えられる。一方で、ノッチ試験片を用いた予備的な引張試験より、いずれの負荷方位においても複合材料は原則としてノッチ鈍感であることが示唆された。詳細な破損メカニズムについて、ER, DIC試験の結果と併せて、議論する予定である。
野澤 貴史; 小沢 和巳; Choi, Y.-B.*; 香山 晃*; 谷川 博康
Fusion Engineering and Design, 87(5-6), p.803 - 807, 2012/08
被引用回数:29 パーセンタイル:88.98(Nuclear Science & Technology)SiC/SiC複合材料は核融合DEMO炉の候補材料である。さまざまな織物構造からなる複合材料に固有の異方性を検討することは、さまざまな破損モードによる主軸及び非主軸機械的特性を正確に予測するうえで必要不可欠である。本研究はさまざまな破損モード試験における複合材料のき裂進展挙動を明らかにし、強度異方性マップを獲得し、その予測手法を検討した。得られた強度異方性マップより、複合材料は混合破壊モードであることが明らかになり、また、面内剪断に加え、軸異方性のため主軸/非主軸の引張及び圧縮による、独立した計5つのパラメータに依存していることが明らかとなった。また本研究では、Tsai-Wuモデルにより、強度異方性がよく記述できることを示した。
西谷 健夫; 山西 敏彦; 谷川 博康; 野澤 貴史; 中道 勝; 星野 毅; 香山 晃*; 木村 晃彦*; 檜木 達也*; 四竈 樹男*
Fusion Engineering and Design, 86(12), p.2924 - 2927, 2011/12
被引用回数:7 パーセンタイル:48.91(Nuclear Science & Technology)日欧間協力である幅広いアプローチ活動(BA)の一環として、ブランケット材料開発を中心としてR&Dが新たに開始されている。それぞれの極における原型炉のための共通課題として、ブランケット構造材としての低放射化フェライト鋼,流路保護材及び先進構造材としてのSiC/SiC複合材、先進中性子増倍材,先進トリチウム増殖材及びトリチウム技術の5つの課題が進められている。日本において、これらのR&Dは、BAの実施機関である原子力機構が中心となり、多くの大学及び研究機関の協力を得て進められている。
西谷 健夫; 谷川 博康; 野澤 貴史; 實川 資朗; 中道 勝; 星野 毅; 山西 敏彦; Baluc, N.*; Mslang, A.*; Lindou, R.*; et al.
Journal of Nuclear Materials, 417(1-3), p.1331 - 1335, 2011/10
被引用回数:14 パーセンタイル:71.96(Materials Science, Multidisciplinary)幅広いアプローチ活動ではブランケット材料開発を中心としてR&Dを進めている。ブランケット構造材料開発では、低放射化フェライト鋼F82Hの5t溶解を実施し、2次溶解として電気スラグ溶解を用いることにより不純物制御ができることを確認した。欧州でもEUROFERの溶解を実施し348mm厚の鋼板を製作した。SiC/SiC複合材の開発では、NITE-SiC/SiC複合材に対してダブルノッチ引っ張り試験を実施し、破壊強度がノッチサイズにあまり異存しないことを明らかにした。欧州では、SiCとLiPbの共存性試験の準備を実施した。先進中性子増倍材の開発では、BeとTiの粉末から直接Be-T金属間化合物を焼結することを試みた。また欧州では、30mm径のBe-T金属間化合物母材の製造に成功した。先進トリチウム増殖材の開発では、再処理法の確立を目指して、トリチウム増殖材微小球の溶解試験を行い、硝酸と過酸化水素水により90%以上溶解できることがわかった。
野澤 貴史; Choi, Y.-B.*; 檜木 達也*; 岸本 弘立*; 香山 晃*; 谷川 博康
IOP Conference Series; Materials Science and Engineering, 18, p.162011_1 - 162011_4, 2011/09
被引用回数:10 パーセンタイル:96.47(Materials Science, Ceramics)SiC/SiC複合材料は、その優れた耐照射特性や耐熱材料としての資質から、先進核分裂炉又は核融合炉の候補材の一つに挙げられる。さまざまな織物構造に起因する潜在的な異方性のため、多様な破壊モードにおける亀裂進展挙動を特定することは重要である。本研究は、主軸/非主軸の引張/圧縮モード,Iosipescu法による面内剪断モード,ダブルノッチ剪断法による層間剪断モード,径圧縮試験法による層間剥離モードについて亀裂進展挙動を明らかにする。初期検討により強度異方性マップを明らかにしたところ、本材料は複合破壊モードで破壊が進行することが示唆された。特に、面内剪断及び層間剪断モードが試験結果に大きく影響していることが明らかとなった。
野澤 貴史; 谷川 博康; Park, J.-S.*; 香山 晃*
Proceedings of 33rd International Conference on Advanced Ceramics and Composites (CD-ROM), p.65 - 76, 2009/09
SiC/SiC複合材料はさまざまなエネルギー産業における有力な材料である。実用化に向けた主要な項目に、擬延性複合材料の設計基準の開発がある。そのため、亀裂進展挙動の解明は必須である。このような背景のもと、複合材料の破壊抵抗の定義は重要で、本論文ではさまざまなノッチ試験片を用いて評価する。初期検討により、非線形破壊力学を主体とした破壊抵抗の解析法の高度化を実施した。本解析法により、非可逆エネルギーの寄与を分離評価することが可能となった。本手法をナノインフィルトレーション遷移共晶相で作製されたSiC/SiC複合材料に適用したところ、(1)ノッチ鈍感性,(2)有意な試験片サイズ効果がないこと,(3)優れた亀裂抵抗が明らかとなった。
野澤 貴史; 檜木 達也*; 長谷川 晃*; 香山 晃*; 加藤 雄大*; Snead, L. L.*; Henager, C. H. Jr.*; Hegeman, J. B. J.*
Journal of Nuclear Materials, 386-388, p.622 - 627, 2009/04
被引用回数:115 パーセンタイル:99.19(Materials Science, Multidisciplinary)先進SiC/SiC複合材料は核融合炉材料としてこれまで開発が進められている。近年において耐照射特性に優れる複合材料の開発に成功し、今もなおさらなる材料特性の改善を目指した研究が継続して行われている。一通りの複合材料の設計と基本用件の実証が終了し、SiC/SiC複合材料の開発は徐々に実用化を見据えた材料特性データベースの整備に移行している。主要な評価項目として、(1)照射下クリープやヘリウム/水素同時照射効果を含む重照射効果,(2)腐食・浸食挙動,(3)ヘリウムや水素以外の核変換物質の影響,(4)接合部特性などが挙げられる。また、SiC/SiC複合材料のFCI応用においては照射下の電気伝導率の変化が重要な課題である。本論文はSiC/SiC複合材料研究の最近の進捗状況を総括するとともに、材料データベース構築のために必要となる評価技術の標準化に関する国際協力の進展を解説する。
西谷 健夫; 谷川 博康; 實川 資朗; 野澤 貴史; 林 君夫; 山西 敏彦; 土谷 邦彦; Mslang, A.*; Baluc, N.*; Pizzuto, A.*; et al.
Journal of Nuclear Materials, 386-388, p.405 - 410, 2009/04
被引用回数:31 パーセンタイル:87.96(Materials Science, Multidisciplinary)原型炉の開発においては、増殖ブランケット技術の確立が最も重要な工学課題である。増殖ブランケット技術の開発では、高い中性子フルエンス,高温,高磁場等の厳しい環境で健全性を有する構造材及びトリチウム増殖材・中性子増倍材等の機能材料の開発が急務となっている。日欧間で進められている幅広いアプローチ活動(BA)の一つである原型炉工学R&D活動では、日欧双方が重要かつ不可欠と考える基盤的なR&Dとして、低放射化フェライト鋼,SiC/SiC複合材,先進中性子増倍材,先進トリチウム増殖材及びトリチウム技術の開発を行う予定である。本論文では、BAにおける低放射化フェライト鋼,SiC/SiC複合材,先進中性子増倍材,先進トリチウム増殖材の開発計画についてその概要を述べる。
Kim, S.-W.; 谷川 博康; 廣瀬 貴規; 香山 晃*
Journal of Nuclear Materials, 386-388, p.529 - 532, 2009/04
被引用回数:13 パーセンタイル:64.74(Materials Science, Multidisciplinary)低放射化鉄鋼材及び中性子照射材における径ひずみ制御低サイクル疲労試験に関する結果が報告される。その結果、繰返し軟化挙動が主として作用していることがわかった。friction stress及びback stressを決定するためにヒステリシスループにおける詳細な解析を行った。Friction stressは、転位の移動に対する摩擦力を意味し、結晶粒内の固溶元素及び欠陥などが障害物として作用する。一方、back stressは、転位のpile-up等によって生ずる抵抗力を意味し、転位セルや結晶粒などの大きさと負荷される応力によって大きく変化する。F82H IEA heatの繰返し軟化挙動はこのfriction stressの低下に大きく起因する。さらに、中性子照射材のfriction stress及びback stress挙動は非照射材と比べ、著しく変化していることがわかった。
谷川 博康; 廣瀬 貴規; 芝 清之; 笠田 竜太*; 若井 栄一; 芹澤 久*; 川人 洋介*; 實川 資朗; 木村 晃彦*; 幸野 豊*; et al.
Fusion Engineering and Design, 83(10-12), p.1471 - 1476, 2008/12
被引用回数:78 パーセンタイル:97.72(Nuclear Science & Technology)低放射化フェライト鋼は、核融合ブランケットシステムに用いられる構造材料の第一候補材として知られている。日本で開発が進められている低放射化フェライト鋼F82Hは、高温強度と溶接性を重視して成分調整が計られた鋼である。そのデータベースは、存在する低放射化フェライト鋼のうちで最も充実している。本論文は、F82Hの開発状況をレビューし、近年の日本における研究開発から示されたITER-TBM製作に向けた技術的課題を整理し示すことを目的とする。
柴山 環樹*; 岸本 弘立*; 香山 晃*; 矢野 康英
まてりあ, 47(12), P. 628, 2008/12
ガス冷却高速炉は、700C以上のガス取り出し温度を想定していることから、SiC/SiC複合材料が炉心構成材料として期待されており異種材料との接合技術開発が切望されていた。また、原子炉特有の照射中の破壊メカニズムの理解とその結果から導き出される構造制御が次世代の機能性材料開発の鍵である。そこで、われわれは超高圧電子顕微鏡を用い照射下でピエゾ(圧電)素子により任意の場所をナノスケールでせん断変形させクラックの進展をその場観察可能な革新的解析技術であるナノメカニクス接合解析技術を開発した。本研究成果は、文部科学省の原子力システム研究開発事業による委託業務として、北海道大学が実施した平成1719年度「ガス冷却高速炉用先進材料のナノメカニクス接合解析技術の開発」の成果を取りまとめたものである。
野澤 貴史; 檜木 達也*; 香山 晃*; 谷川 博康
Proceedings of 22nd IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2008) (CD-ROM), 8 Pages, 2008/10
SiC/SiC複合材料は将来の高熱効率を志向した核融合炉先進オプションの有力候補材料として期待されている。本論文は、SiC/SiC複合材料の構造部材への実用化を目的とし、擬延性を特徴とするSiC/SiC複合材料の設計基準の開発にかかわる検討の進捗状況に関して報告するものである。具体的には、次世代耐照射性SiC/SiC複合材料の1つであるナノインフィルトレーション遷移共晶相焼結(NITE)法で作製されたSiC/SiC複合材料の破損挙動(例えばマトリックスクラック挙動)を評価した。試験片サイズによらないNITE-SiC/SiC複合材料のノッチ鈍感性を特定した結果、破損評価におけるクライテリオンとして応力クライテリオンが有力との結論を得た。
Kim, S.-W.*; 谷川 博康; 廣瀬 貴規; 香山 晃*
Journal of ASTM International (Internet), 5(8), 8 Pages, 2008/09
核融合炉の第一壁及びブランケット構造体では、炉のパルス運転や運転条件,熱伝度などにより繰返し温度の勾配が生じ、疲労及びクリープ(クリープ疲労)による弾性及び弾塑性繰返し変形が起こる。また、核融合炉環境における材料特性の評価においては試験片の微小化は非常に重要であるが、疲労試験における試験片の小型化は、座屈を引き起こすなどの問題がある。このため、座屈耐性に優れる微小砂時計型試験片(SF-1)が提案されている。しかし、試験片の微小化に伴い、繰返し応力負荷下での表面状態と介在物等の材料因子の影響が大きくなると考えられる。そこで、本研究では、核融合炉構造材料の第一候補材料である低放射化フェライト鋼を対象とし、SF-1試験片による低サイクル疲労挙動に及ぼす表面状態と介在物の影響を破壊機構論的に明らかにすることを目的とした。特に、三つの種類に制御されたSF-1試験片に対する低サイクル疲労試験により、試験片の表面状態による影響を明らかにし、試験片に分布された介在物が疲労亀裂の発生・進展に及ぼす影響を検討した。
谷川 博康; 酒瀬川 英雄; 荻原 寛之*; 岸本 弘立*; 香山 晃*
Journal of Nuclear Materials, 367-370(1), p.132 - 136, 2007/08
被引用回数:39 パーセンタイル:91.43(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉の早期実現へ向け、低放射化構造材料の研究開発が着々と進められている。特に実証プラントへの設計に必要となる高エネルギー中性子による重照射が、構造材料に与える強度特性への影響を把握するために、さまざまな模擬照射場を用いた照射データの整備及び照射特性の評価が行われている。このうち、米国HFIR炉における照射実験においては、時効効果が現れない低温(300C)の照射においても、析出物の状態が変化することが見いだされ、その変化が強度特性変化に影響を与えている可能性が指摘された。この現象について、照射条件の制御性に優れ、短期間で高い照射量での特性評価が可能であるイオン照射法を利用することで、機構論的解明がなされることが期待される。本研究では、低放射化フェライト鋼に対してイオン照射実験を行い、析出物の照射下安定性について調べた。その結果、イオン照射実験においても、中性子照射実験で得られた結果と同様な、析出物に対する照射効果が確認された。また、中性子照射実験で得られた傾向と同じく、JLF-1では、F82Hに比べて析出物が回復・粗大化する傾向が確認された。このようにJLF-1において、回復傾向が強く現れる傾向は、JLF-1が低温(300C)照射において、F82Hより照射硬化,照射脆化が小さい傾向と相関があると考えられる。現時点では、JLF-1の短時間クリープ強度がF82Hよりも低い点、焼き戻し強度が高いほどクリープ強度が低くなる一般的傾向から、JLF-1の焼き戻し条件(780C1時間)が、F82H(750C1時間)に比べて強いことに照射下析出物挙動の違いの一因があると考えられる。
安堂 正巳; Li, M.*; 谷川 博康; Grossbeck, M. L.*; Kim, S.-W.; 沢井 友次; 芝 清之; 幸野 豊*; 香山 晃*
Journal of Nuclear Materials, 367-370(1), p.122 - 126, 2007/08
被引用回数:15 パーセンタイル:70.27(Materials Science, Multidisciplinary)F82HといくらかのJLF-1鋼の照射下クリープが、HFIRで照射されたヘリウム加圧チューブを用いて、5dpaまでの範囲で測定が行われた。これらのチューブはヘリウムによって、0から400MPaの内圧フープストレスを照射温度条件にて付与されたものである。照射後の200MPaのフープストレスからのF82HとJLF-1の結果は、非常に小さいクリープ歪となった(0.15%以下)。これらの鋼の照射クリープレートは200MPaまでは負荷応力に対してほぼ線形を示した。しかし、より高い応力レベルでは、これらのクリープレートは、非線形となることが示された。また300CでのF82HとJLF-1のコンプライアンス係数は非常に小さい値となることがわかった。これらの結果はITERのブランケット設計活動への材料データベースの一部として寄与するものと期待される。
安堂 正己; 谷川 博康; 芝 清之; 實川 資朗; 幸野 豊*; 香山 晃*; Li, M.*; Stoller, R. E.*
日本金属学会誌, 71(7), p.559 - 562, 2007/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Metallurgy & Metallurgical Engineering)本研究では、各種低放射化フェライト鋼の小型圧力管試験片を用い、5dpa, 300/500CまでHFIRで照射された圧力管の径変化を測定することにより、照射下クリープデータの解析を行った。300C, 5dpaにおいては、周応力と歪量の関係は各鋼類似の傾向となった。周応力300MPa以下までは、照射クリープ歪はほぼ一定の割合で増加した。また、より高い応力条件(400MPa)では、急激な歪量の増加が見られた。最も歪量が大きかったのは周応力400MPaのJLF-1鋼であり、0.24%となった。この原因のひとつとして、JLF-1鋼の照射前の強度が低かったことが考えられる。またボロン,マンガン添加材については、今回の条件では無添加鋼と比べて、特に顕著な相違は見られなかった。500C, 5dpa照射材においては、高応力側の試験片は破損していたが、おおむね150MPa以下では周応力と歪の関係は直線関係にあることがわかった。
谷川 博康; 澤畠 篤司; Sokolov, M. A.*; 榎本 正人*; Klueh, R. L.*; 香山 晃*
Materials Transactions, 48(3), p.570 - 573, 2007/03
被引用回数:22 パーセンタイル:72.03(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉構造材料の第一候補材料として期待される低放射化フェライト鋼は、照射後にも高い靱性を有することが求められる。本研究では、延性脆性遷移領域において散発的に低靱性を示す傾向のある低放射化フェライト鋼F82H IEAヒート材について、その要因と考えられる微細組織、及びその微細組織と靱性特性との相関について、特に介在物に着目して調査を行った。その結果、本来MX析出物の析出による耐熱性向上をねらって投入されたTaが、Ta酸化物あるいはアルミナとの複合介在物を形成し、その結果としてF82Hの靱性特性に影響を及ぼしている可能性が明らかになった。
谷川 博康; 芝 清之; 廣瀬 貴規; 笠田 竜太*; 若井 栄一; 實川 資朗; 木村 晃彦*; 香山 晃*
Proceedings of 21st IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2006) (CD-ROM), 6 Pages, 2007/03
ITER-TBMの具体的設計を基準として、製作及び許認可取得に向けた準備状況についてF82H鋼を対象にレビューを行い、F82H鋼の優位性を示すとともに、他の低放射化フェライト鋼との共通課題の分析を行い、近々に行われるべき共同研究の提案を行った。本論文ではITER建設活動の本格化を見込んで、より具体的なTBM設計に対応した材料問題についてITER運転条件から材料課題の分析を行った。原型炉に向けた課題として、最近の成果から明らかになった析出物安定性,熱処理効果,Ta効果について報告する。
中田 隼矢; 谷川 博康; 芝 清之; 駒崎 慎一*; 藤原 幹夫*; 幸野 豊*; 香山 晃*
日本金属学会誌, 71(2), p.239 - 243, 2007/02
被引用回数:4 パーセンタイル:33.26(Metallurgy & Metallurgical Engineering)本研究では、靱性の改善などを目的に製作されたF82H mod3について、靱性改善などの処理がクリープ強度へ及ぼす影響について検討を行った。F82H mod3のクリープ試験を行った結果、F82H IEA-heatと比べ、高応力短時間側の試験結果では著しい強度低下が認められた。これは、低放射化と高純度化の観点から窒素量を減じた(mod3:0.0014%, IEA-heat:0.0060%)ことが要因として考えられる。一方で、負荷応力を下げると破断時間が大幅に長時間側にシフトする傾向が確認された。この結果より、長時間側では両鋼の強度差はほとんどなくなるものと考えられる。両鋼の析出物を抽出残差法によって解析した結果、IEA-heatでは高温域の試験後に析出物が減少しているものの、mod3では析出物の量はほとんど変わらなかったことが確認された。これら、析出物とクリープ特性の関係について検討を行った。
中田 隼矢; 駒崎 慎一*; 中島 基樹*; 幸野 豊*; 谷川 博康; 芝 清之; 香山 晃*
日本金属学会誌, 70(8), p.642 - 645, 2006/08
被引用回数:4 パーセンタイル:34.16(Metallurgy & Metallurgical Engineering)スモールパンチ(SP)試験では、これまで原子力材料の分野で延性脆性遷移温度(DBTT)や靱性の評価などが行われてきた。われわれの研究で、SP試験を改良したSPクリープ試験によって、核融合炉構造材料である低放射化フェライト鋼F82H及びJLF-1の非照射環境でのクリープ特性を評価できることを報告している。今回、SPクリープ試験と同様にF82H及びJLF-1について、非照射環境にて室温と高温域(823923K)でSP試験を行った結果、標準の高温引張試験結果と良好な相関関係が成立っていることを新たに明らかにした。両試験結果の間には、次のような関係式、=1.5+96, =0.37+85が成立つことがわかった。ここで、とはそれぞれSP試験にて局部変形が開始する荷重とその最大荷重である。またとは引張試験により得られた降伏強度と引張強度である。これらの関係には、鋼種及び温度の明瞭な依存性は認められなかった。以上の結果より、SP試験法によってこれまで報告されてきた靱性やクリープ特性だけではなく、高温引張強度も評価できることがわかった。