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久保田 智大; 黒田 久雄*; 渡邊 未来*; 高橋 晃子*; 中里 亮治*; 樽井 美香*; 松本 俊一*; 中川 圭太*; 沼田 康子*; 大内 孝雄*; et al.
Atmospheric Environment, 243, p.117856_1 - 117856_9, 2020/12
被引用回数:3 パーセンタイル:15.1(Environmental Sciences)大気アンモニア(NH)の乾性沈着は水圏生態系への窒素負荷経路の1つである。アジア諸国におけるNHの最大の排出源の一つである農業・畜産は、NH濃度の空間的及び季節的変動を引き起こし、乾性及び湿性沈着により湖沼流域へ影響を与えることが知られている。しかし、観測ネットワークの不足から、流域スケールでのNH濃度の空間分布はよく知られていない。本稿では、農業・畜産が盛んな流域(霞ヶ浦流域)でのNH濃度の空間的及び季節的変動の支配的要因を明らかにすることを目的とした。観測は2018年10月10日から2020年1月14日まで、合計36地点で行った。観測期間中の平均NH濃度は、農用地,湖,住宅地,森林の順に高かった。畜舎近傍で観測されたNH濃度は夏季より冬季の方が高く、気温に依存する揮発プロセスに基づくNH排出量の季節変化と異なった。農用地や湖のNH濃度と気象要素との比較から、排出源からのNHの移流の季節変化の重要性が示唆された。湖上のNHの乾性沈着量を推定したところ、全窒素の湿性沈着量を上回る可能性がある。湖への乾性沈着は植物プランクトンの増殖プロセスに関連することが知られており、水圏生態系の管理を行う上でNHの移流を考慮するべきである。
西谷 健夫; 落合 謙太郎; 吉田 茂生*; 田中 良平*; 脇坂 雅志*; 中尾 誠*; 佐藤 聡; 山内 通則*; 堀 順一; 和田 政行*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(Suppl.4), p.58 - 61, 2004/03
核融合施設の天井から漏洩した放射線が空気と散乱して、施設周辺の地上に到達する、いわゆるスカイシャンは、核融合施設周辺の放射線安全に最も重要な項目の一つである。そこで原研の核融合中性子源FNSを用いてD-T中性子に対するスカイシャインの実験を2002年3月と2003年3月の2回にわたって実施した。FNS第一ターゲット室の天井のスカイシャインの実験用遮蔽ポート(1m1m)を開放し、上空向かって中性子を打ち上げ、散乱中性子及び2次線の分布を測定した。2002年3月の実験ではHe-3レムカウンタを用いて線源から550mまでの中性子線量率分布と200mまでの2次線スペクトルを大形NaIシンチレータ検出器及びGe半導体検出器で測定した。2003年3月の実験ではFNS建屋周辺において、NE213シンチレーション検出器を用いた中性子スペクトル測定とBGOシンチレータ検出器を用いた2次線スペクトル測定を実施した。測定された結果は、JENDL-3.3を用いたモンテカルロ計算(MCNP-4C)とよく一致し、MCNPによる計算がスカイシャインによる線量を十分な精度で評価できることを確認した。
吉田 茂生*; 西谷 健夫; 落合 謙太郎; 金子 純一*; 堀 順一; 佐藤 聡; 山内 通則*; 田中 良平*; 中尾 誠*; 和田 政行*; et al.
Fusion Engineering and Design, 69(1-4), p.637 - 641, 2003/09
被引用回数:9 パーセンタイル:53.22(Nuclear Science & Technology)核融合炉からのスカイシャインは炉の安全の評価上重要であるが、これまでD-T中性子に対するスカイシャインの実験的評価はほとんどなかった。そこで原研の核融合中性子源FNSを用いてD-T中性子に対するスカイシャイン実験を実施した。FNS第一ターゲット室の天井のスカイシャインの実験用遮蔽ポート(1m1m)を開放し、上空向かって中性子を打ち上げ、散乱中性子及び2次線の分布を線源から 550mまでの範囲で測定した。中性子に対しては、He-3レムカウンタ,BF-3比例計数管,線に対しては、大形NaIシンチレータ検出器及びGe半導体検出器を使用した。測定された線量は中性子がほとんどを占め、1.710n/sの発生率に対し、線源から150m及び400mでそれぞれ0.1Sv/h,0.01Sv/hであった。またJENDL-3.2を用いたモンテカルロ計算(MCNP-4B)と比較した結果、150mまでは、実験値とよく一致することがわかった。また空中に打ち上げられた中性子を線上中性子源とみなす解析モデルは非常によく実験値を再現することがわかった。2次線に関しては6MeVの高エネルギー線が主になっており、スカイシャイン中性子が地中で起こすSi(n,)反応によると考えられる。
西谷 健夫; 落合 謙太郎; 吉田 茂生*; 田中 良平*; 脇坂 雅志*; 中尾 誠*; 佐藤 聡; 山内 通則*; 堀 順一; 高橋 亮人*; et al.
プラズマ・核融合学会誌, 79(3), p.282 - 289, 2003/03
核融合炉からのスカイシャインは炉の安全の評価上重要であるが、これまでD-T中性子に対するスカイシャインの実験的評価はほとんどなかった。そこで原研の核融合中性子源FNSを用いてD-T中性子に対するスカイシャインの実験を実施した。FNS第一ターゲット室の天井のスカイシャインの実験用遮蔽ポート(1m1m)を開放し、上空向かって中性子を打ち上げ、散乱中性子及び2次線の分布を線源から 550mまでの範囲で測定した。中性子に対しては、He-3レムカウンタ,BF-3比例計数管、線に対しては、大形NaIシンチレータ検出器及びGe半導体検出器を使用した。測定された中性子線量分布に対し、JENDL-3.2を用いたモンテカルロ計算(MCNP-4B)と比較した結果、230mまでは、実験値とよく一致することがわかった。遠方における差異の原因としてはレムカウンターの感度のエネルギー依存性に問題があると考えている。また空中に打ち上げられた中性子を線上中性子源とみなす解析モデルは150mまでよく実験値を再現することがわかった。本実験においては、2次線による線量は、中性子による線量の1/50であり、MCNPによる計算と良く一致した。以上により、MCNPによる計算はスカイシャインによる線量を十分な精度で評価できることがわかった。
堅田 元喜*; 久保田 智大; 黒田 久雄*; 渡邊 未来*; 高橋 晃子*; 中里 亮治*; 樽井 美香*; 松本 俊一*; 中川 圭太*; 沼田 康子*; et al.
no journal, ,
大気アンモニア(NH)の乾性および湿性沈着は、湖沼の富栄養化の原因を明らかにする上で考慮すべき重要な窒素負荷経路である。作物や畜産などの農業系はアジア諸国における最大のNH排出源の一つであり、空間的にも時間的にも変動が大きい。一般に、NHの揮散(排出)速度は夏季や施肥の時期に最大になることが知られているが、多くのアジア諸国ではNH濃度のモニタリングは限定的であり、流域スケール(数10から数100km)のNH濃度の支配的要因はわかっていない。本研究では、富栄養湖である茨城県霞ヶ浦の流域とその周辺でNH濃度の多地点観測を実施し、地上気象データや既往のNH排出量マップとの比較から、その空間分布や季節変動を決定している要因を検討した。そのために、霞ヶ浦流域を網羅する36地点に拡散型パッシブサンプラー(小川商会製)を設置し、2018年6月から2020年1月まで月平均NH濃度の観測を行い、得られたNH濃度と全国1kmメッシュのNH排出量推計マップ・地上気象データとの関係を比較した。その結果、排出量推計値が最大である地域では、NH濃度が夏季に比べて冬季の方が高かった。これは、気温上昇や施肥などの揮散プロセスをNHの空間分布の支配的要因とする既往の研究に対して、本研究のような流域スケールでは風向の季節変動が支配的になりうる可能性が示された。