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山縣 和仁*; 大内 和希; 丸茂 和樹*; 半田 友衣子*; 原賀 智子; 齋藤 伸吾*
Inorganic Chemistry, 62(2), p.730 - 738, 2023/01
被引用回数:1 パーセンタイル:81.75(Chemistry, Inorganic & Nuclear)ネプツニルイオン(NpO)に対し解離不活性な錯体を見出すため、蛍光プローブ化学ライブラリーの中からポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いる速度論的手法により、安定なNpO錯体の選抜を試みた。フルオレセイン修飾フェナントロリン-2,9-ジカルボン酸錯体は、自己解離速度定数810 sと非常に解離不活性であることを見出した。この速度定数は、これまで報告されているNpO錯体の解離速度より100万倍遅い。この特異性を利用しPAGEによるNpO錯体の蛍光検出を試みたところ、検出限界68pmol dm(17fg)の極微量検出を達成した。模擬使用済み核燃料及び高レベル放射性廃棄物試料への適用にも成功した。
原賀 智子; 齋藤 伸吾*
分析化学, 70(12), p.671 - 679, 2021/12
放射性試料に含まれるランタノイド(Ln)イオンやアクチノイド(An)イオンの総量を簡便・迅速・安全に分析する手法として、キャピラリー電気泳動-レーザー励起蛍光検出法(CE-LIF)を用いた分析法を開発した。本論文では、CE-LIFで機能するLn及びAnイオン検出用蛍光プローブを開発し、プローブ錯体の効率的なCE分離のための動的三元錯体平衡反応を導入した例を紹介する。アミノカルボン酸錯形成部位と蛍光団及び両部位を接続するスペーサーから成る数種のプローブ分子の中で、Ln及びAnイオンを検出可能なものを探索し、使用済核燃料中Ndイオン検出、Am-Cmイオン間分離検出及び実放射性試料中UOの特異的検出に成功した例について詳細に説明する。
中野 純佳*; 丸茂 和樹*; 風見 綸太郎*; 斉藤 拓巳*; 原賀 智子; 半田 友衣子*; 齋藤 伸吾*
Environmental Science & Technology, 55(22), p.15172 - 15180, 2021/11
被引用回数:4 パーセンタイル:36.59(Engineering, Environmental)環境中に存在する不定形有機高分子であるフミン酸(HA)は、環境中の有害重金属イオンや放射性金属イオンと強く錯形成し、超分子集合体を形成することによって、金属イオンの移行挙動に影響を与えている。そのため、土壌や河川の環境評価や放射性廃棄物処分の安全評価において、HAと金属イオンとの超分子化挙動を解明することが重要である。本研究では、環境中に広く存在する金属イオンとしてCu、3価のアクチノイドイオンのモデルとしてTbを対象として、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)を基盤とする独自に開発した分析法を用いて、深層地下水由来および泥炭由来のHAと強く錯形成したCuおよびTbがHAのどの分子量帯に多く分布しているかを調査した。超分子化したHAをPAGEで分離後、HAと結合していた金属イオンを検出し、さらにUV-Vis測定および励起蛍光マトリクス-平行因子分析を組み合わせることにより、超分子が形成されたHAの分子量帯およびHAと金属イオンとの化学量論比を算出することに成功した。その結果、金属イオンやHAの由来によってそれぞれ異なる超分子化挙動を示すとともに、その原因がHA中の硫黄原子の存在量に関係していることを明らかにした。
原賀 智子; 辻村 大翔*; 宮内 さおり*; 上村 拓也*; 渋川 雅美*; 齋藤 伸吾*
Electrophoresis, 41(13-14), p.1152 - 1159, 2020/07
被引用回数:4 パーセンタイル:46.03(Biochemical Research Methods)アクチノイド等の分析に必要な蛍光性試薬(陰イオン性蛍光プローブ)を高純度化するための技術を開発した。微小サンプルの分析に用いられるキャピラリー電気泳動法のうち、検出点を複数個所有する過渡的等速電気泳動法を開発し、キャピラリー中の泳動速度を泳動毎に正確に算出することにより、分取のタイミングを調整し、目的の成分のみを精確に分取する手法を確立した。これにより、分析に必要な試薬に含まれる不純物を除去し、9599%の高純度化に成功した。
丸茂 和樹*; 松本 篤正*; 中野 純佳*; 渋川 雅美*; 斉藤 拓巳*; 原賀 智子; 齋藤 伸吾*
Environmental Science & Technology, 53(24), p.14507 - 14515, 2019/12
被引用回数:7 パーセンタイル:29.54(Engineering, Environmental)フミン酸(HA)は環境中に存在する不定形有機高分子であり、環境中の有害重金属や放射性金属イオンと錯形成し、それらの動態を制御している。そのため、土壌や河川の環境評価や放射性廃棄物処分の安全評価において、HAによる金属イオンの保持挙動を解明することが重要である。本研究では、HAに保持された銅イオンの分子量分布を評価するため、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)を基盤とした新規分析法を開発した。本法により、HAに対して高い分離能を有し、かつ泳動場の汚染金属イオンを抑制することが可能となり、HAの分子量に対する精確な金属イオン分布を得ることに成功した。また、PAGE, UV-Vis測定および励起蛍光マトリクス-平行因子分析を組み合わせることにより、HAの分子量,金属イオン分布およびHA蛍光成分分布の相関を評価することにも成功した。本研究により、HA中の金属イオン配位サイトやHA蛍光成分はHAの分子量に対して不均一に分布しており、HAによる金属イオンの保持挙動は金属イオンの電荷や立体配位座によって大きく異なることを明らかにした。
原賀 智子; 大内 和希; 佐藤 義行; 星野 仁*; 田中 玲*; 藤原 隆司*; 黒川 秀樹*; 渋川 雅美*; 石森 健一郎; 亀尾 裕; et al.
Analytica Chimica Acta, 1032, p.188 - 196, 2018/11
被引用回数:12 パーセンタイル:46.41(Chemistry, Analytical)放射性試料中のアクチノイドイオンを安全、迅速、高感度に分析するため、蛍光プローブを用いたキャピラリー電気泳動法による分析法を開発した。本研究では、化学ライブラリーを用いて、アクチノイドイオンの検出に必要となる蛍光プローブを選択し、大環状および非環状の多座配位骨格を有するプローブ群を整備した。アクチノイドのうち、ウラニルイオンに対して、4座の配位骨格を有する蛍光プローブを用いることにより、従来のキャピラリー電気泳動法の検出限界(ppmレベル)を大幅に改善し、pptレベルの検出限界を達成するとともに、実際の放射性廃液試料の分析に適用できることも示した。
原賀 智子; 佐藤 義行; 亀尾 裕; 齋藤 伸吾*
デコミッショニング技報, (55), p.22 - 27, 2017/03
放射性物質を使用した研究活動や老朽化した原子力施設の廃止措置等にともなって発生する放射性廃棄物の処分に向けて、廃棄物試料の放射能データを収集する必要がある。分析対象核種が多く、多数の試料の分析が必要であるため、簡易かつ迅速な分析法の開発が求められており、特に、放射線量の高い試料では、分析者の被ばく線量の低減や、作業時間の短縮が望まれる。そこで本報告では、極少量の試料で、迅速かつ自動分析が可能な手法として着目したキャピラリー電気泳動法について解説するとともに、放射性試料中のアクチノイドに対する分析法の開発について報告する。この中では、分析対象を高感度かつ選択的に検出するための蛍光性試薬(蛍光プローブ)を開発し、様々な共存物質が含まれる放射性廃棄物試料に適用できることを示した。本法は、従来法では対応が困難な放射線量の高い試料にも適用可能な有望な分析法である。
原賀 智子; 齋藤 伸吾*; 佐藤 義行; 浅井 志保; 半澤 有希子; 星野 仁*; 渋川 雅美*; 石森 健一郎; 高橋 邦明
Analytical Sciences, 30(7), p.773 - 776, 2014/07
被引用回数:6 パーセンタイル:21.56(Chemistry, Analytical)高レベル放射性廃棄物の発生源である使用済燃料について、燃焼率の指標の一つであるネオジムイオンを簡易・迅速に分析するため、蛍光性環状型6座ポリアミノカルボン酸配位子を用いたキャピラリー電気泳動-レーザー励起蛍光検出法の適用性を検討した。本検討では、ウラニルイオンやランタノイドイオン群など、様々な金属イオンが共存する使用済燃料溶解液において、微量のネオジムイオンを定量することに成功し、その際、ランタノイドイオン間の分離には分離用泳動液に含まれる水酸化物イオンが重要な役割を担っていることを明らかした。従来の陰イオン交換による分離法では、ネオジムの単離に約2週間を要するが、本法では数十分で分離検出が可能であり、分析に要する時間を大幅に短縮することができ、作業者の被ばくの低減が期待できる。
齋藤 伸吾*; 佐藤 義行*; 原賀 智子; 中野 裕太*; 浅井 志保; 亀尾 裕; 高橋 邦明; 渋川 雅美*
Journal of Chromatography A, 1232, p.152 - 157, 2012/04
被引用回数:14 パーセンタイル:45.28(Biochemical Research Methods)廃棄物試料中の微量金属イオンを簡易かつ高感度に分析する方法として、キャピラリー電気泳動-レーザー励起蛍光検出法(CE-LIF)の適用性について検討した。本検討では、高レベル放射性廃棄物の発生源の一つである使用済燃料を模擬した試料溶液(コールド試料)を対象として、燃焼率測定の指標の一つであるネオジムイオンを高感度に検出することを目的として、新規に蛍光プローブを合成し、CE-LIFによる分離検出を試みた。その結果、大環状6座の配位骨格を有する蛍光プローブを用いることにより、試料溶液中に含まれるさまざまな金属イオンからネオジムイオンを分離検出することに成功した。従来の陰イオン交換による分離法では、ネオジムの単離に約2週間を要していたが、本法では数十分で分離検出が可能であり、分離に要する時間を大幅に短縮することができた。
原賀 智子; 中野 裕太*; 渋川 雅美*; 亀尾 裕; 高橋 邦明; 齋藤 伸吾*
Proceedings of 14th International Conference on Environmental Remediation and Radioactive Waste Management (ICEM 2011) (CD-ROM), p.1461 - 1465, 2011/09
放射性廃棄物試料中のアクチノイドを簡易かつ高感度に分析する方法を開発するため、キャピラリー電気泳動-レーザー励起蛍光検出法(CE-LIF)の適用性について検討した。本検討では、新規にさまざまな配位骨格を有する蛍光プローブを合成し、ネプツニウム(Np)及びアメリシウム(Am)に対して、CE-LIFによる分離検出を試みた。その結果、非環状6座の配位骨格を有する蛍光プローブを用いることにより、Np及びAmの分離検出が可能となった。本検討により、これまでにアクチノイドに対する適用例のないCE-LIFを用いて、固体試料から調製した試料溶液において、従来のCE法の検出限界(ppmレベル)を大幅に改善したpptレベルの検出限界を達成できることを示せた。
富田 卓朗*; 岩見 勝弘*; 山本 稔*; 出来 真斗*; 松尾 繁樹*; 橋本 修一*; 中川 圭*; 北田 貴弘*; 井須 俊郎*; 齋藤 伸吾*; et al.
Materials Science Forum, 645-648, p.239 - 242, 2010/04
フェムト秒レーザーを用いて炭化ケイ素(SiC)の改質を試みた。フーリエ変換赤外分光法(FTIR)法を用いて改質領域を調べた結果、残留線バンドの強度が減少し、この現象が結晶性の劣化によるものと説明できた。また、残留線バンドが偏波依存性を有することがわかり、この特性を活かすことで赤外領域で動作する光学素子への応用が期待できる。電流電圧特性測定とホール係数測定の結果、改質後の電気伝導度が改質前に比べて4桁以上も大きい5.910mになることがわかり、フェムト秒レーザーによりSiCの電気特性を改質できることを明らかにした。
清水 紘平; 齋藤 伸吾*; 長縄 弘親; 渋川 雅美*
no journal, ,
希土類元素は現代の先端技術を支えるさまざまな新素材の原料となるため、近年需要が高まっている。それらの材料をつくるため、希土類元素を相互分離することは必要不可欠である。しかし、互いの化学的性質が類似していることから分離は非常に困難であり、高速かつ分取目的での相互分離を可能にする新たな分離・精製技術の開発が強く望まれている。現在、希土類元素の分離法には溶媒抽出が主として用いられているが、大量の有機溶媒を使用することから、その適切な処理と管理が必要となる。そこで、有機溶媒を使用しない水性二相抽出法に着目し、さらにこれを高速向流クロマトグラフィー(HSCCC)に導入することで、環境への負荷の低減を考慮した高速分取法の開発を目的とした。本研究では抽出試薬にアセチルアセトンを使用し、pHグラジエント溶離を用いることでLa, Ce, Nd, Yb, Scの分離と濃縮を達成した。さらに、移動相に添加した緩衝剤の分配に基づいて分離機構の解析を行った。
原賀 智子; 中野 裕太*; 渋川 雅美*; 齋藤 伸吾*; 亀尾 裕; 高橋 邦明
no journal, ,
放射性廃棄物試料中のアクチノイドを簡易かつ高感度に分析する方法を開発するため、キャピラリー電気泳動-レーザー励起蛍光検出法(CE-LIF)の適用性について検討した。本検討では、新規にさまざまな配位骨格を有する蛍光プローブを7種類合成し、ネプツニウム(Np)及びアメリシウム(Am)を用いて、CE-LIFによる分離検出を試みた。その結果、非環状6座の配位骨格を有する蛍光プローブを用いることにより、Np及びAmの分離検出が可能となった。本検討により、これまでにアクチノイドに対する適用例のないCE-LIFを用いて、従来のCEの検出限界(ppmレベル)を大幅に改善したpptレベルの検出限界を達成できることを示せた。
原賀 智子; 佐藤 義行*; 渋川 雅美*; 亀尾 裕; 高橋 邦明; 齋藤 伸吾*
no journal, ,
放射性廃棄物の処分に向けて、廃棄物試料中のアクチニド(Th, U, Np, Pu, Am, Cm)を簡易かつ高感度に分析する方法を開発することを目的として、キャピラリー電気泳動-レーザー励起蛍光検出法(CE-LIF)の適用性について検討した。本検討では、ウランを分析対象として、ウラニルイオンと安定な錯体を形成する配位骨格を有する蛍光プローブを新規に合成し、CE-LIFによりウラニルイオンの分離検出を試みた。その結果、溶液試料において、従来のCE法の検出限界(数十ppb-ppmレベル)を大幅に改善した数十pptレベルの検出限界を達成できた。
佐藤 義行; 齋藤 伸吾*; 原賀 智子; 中野 裕太*; 亀尾 裕; 高橋 邦明; 渋川 雅美*
no journal, ,
本研究では、キャピラリー電気泳動-レーザー励起蛍光検出法(CE-LIF)を用いアクチノイド(An)イオン群の簡易スクリーニング法の開発を試みた。CE-LIFでAnイオン群を検出するため、非環状型あるいは大環状型の4-8座の配位部位と、スペーサーを介した発光団を有する8種類のAnイオン検出用蛍光プローブを合成した。これらのAn錯体をCE-LIFに適用し、Anイオンの分離検出に適したプローブの探索を行った。検出特性を調査した結果、Th, UO, NpOに対して、それぞれ8座配位,4座配位及び6-7座配位プローブが、検出特異性を有することがわかった。またAmは4座配位を除くすべてのプローブで検出が可能であった。AnのCE-LIF分離検出に関して、Ca, Fe, Al,ランタノイドイオン群などの共存金属イオンの妨害がないことを確認し、それぞれの検出限界は数十pptと超高感度検出を達成した。
佐藤 義行; 齋藤 伸吾*; 原賀 智子; 伊東 祐有希*; 亀尾 裕; 高橋 邦明; 渋川 雅美*
no journal, ,
放射性廃棄物や環境中に存在するウラニルイオンの簡易迅速分析法を開発するためにキャピラリー電気泳動-レーザー励起蛍光検出法(CE-LIF)の適用を試みた。CE-LIFによりウラニルイオンを検出するためには、ウラニルイオン(UO)と安定な錯体を形成し、さらに中心金属の消光作用を抑制して発光する必要がある。そこで、UOと安定な錯体を形成すると報告されているフェナントロリンジカルボン酸配位部位を適用し、配位部位と発蛍光部位とをスペーサーを介して結合した新規蛍光プローブ(L)を合成した。このUO-L錯体をCE-LIFに導入し、分離条件の検討を行った。その結果、UO-L錯体は電気泳動中に解離することなく検出され、直接蛍光検出に成功した。UOの検出限界として3.510M(84ppt)と得た。さらに、泳動液にマスキング剤であるCyDTAを添加することによりCa, Fe, Al, ランタノイドイオン群などの共存金属イオンの妨害がないことを確認した。
佐藤 義行; 原賀 智子; 中野 裕太*; 大内 和希; 伊東 祐有希*; 石森 健一郎; 高橋 邦明; 齋藤 伸吾*
no journal, ,
放射性廃棄物中のアクチニド(Th, U, Np, Pu, Am及びCm)に対する簡易迅速分析法の開発を目的として、キャピラリー電気泳動-レーザー励起蛍光検出法(CE-LIF)の適用性を検討した。本研究では、アクチニドイオン検出用試薬として、4-8座の非環状型あるいは大環状型の配位構造の異なる8種類の蛍光性配位子を新規に合成し、CE-LIF分析に最適な配位構造を探索した。その結果、Th及びUはそれぞれ8座非環状型、4座非環状型(平面)配位子を適用することにより他のアクチニドイオンから分離検出することに成功した。また、Npは6-7座の非環状型あるいは大環状型配位子を用いて、Puは6座及び8座の非環状型配位子と7座大環状型配位子を適用した際に検出可能であった。さらに、Am及びCmは4座平面配位構造を除く7種類の配位子を適用した際に検出可能であった。このように6種類のアクチニドイオンそれぞれに対して検出可能な配位子を見いだすことができた。これによりCE-LIFを用いた放射性廃棄物中のアクチニドに対する簡易迅速分析法の基礎を構築した。
原賀 智子; 佐藤 義行; 大内 和希*; 渋川 雅美*; 石森 健一郎; 亀尾 裕; 齋藤 伸吾*
no journal, ,
放射性廃棄物試料中のウラニルイオンを簡易かつ高感度に分析する方法を開発するため、キャピラリー電気泳動-レーザー励起蛍光検出法(CE-LIF)の適用性について検討した。本検討では、CE-LIFにおいて必要となる蛍光プローブの開発を行い、平面4座配位のフェナントロリンジカルボン酸骨格を有する蛍光プローブを用いることにより、ウラニルイオンの高感度検出が可能となった。本検討により、従来のCE法の検出限界(ppmレベル)を大幅に改善したpptレベルの検出限界を達成するとともに、開発した蛍光プローブは、ウラニルイオンに対する検出選択性が高く、共存イオンの影響を受けにくい手法であることがわかった。今後、放射性廃棄物試料のように様々な金属イオンが共存する試料に対する適用が期待できる。
原賀 智子; 中野 裕太*; 佐藤 義行; 大内 和希*; 廣瀬 和生*; 渋川 雅美*; 石森 健一郎; 亀尾 裕; 齋藤 伸吾*
no journal, ,
高放射線量の放射性廃棄物試料中のアクチノイドおよび放射性ストロンチウムに対する安全かつ迅速な分析法を開発するため、極少量の試料で迅速な分析が可能なキャピラリー電気泳動法の適用性を検討した。本検討では、アクチノイドに対する高感度オンキャピラリー分析法を構築するため、ポリアミノカルボン酸骨格を有する蛍光性分析用試薬(蛍光プローブ)を開発し、放射性廃液試料中のアクチノイドの定量に成功した。放射性ストロンチウムに対しては、分取後に放射線測定が必要であるため、等速電気泳動法を用いて目的の成分を正確に分取する手法を開発し、福島第一原子力発電所事故によって発生した滞留水試料中のSr-90の定量に成功した。本検討により、アクチノイドの分析においては、従来のキャピラリー電気泳動法の検出限界(ppmレベル)を大幅に改善したpptレベルの検出限界を達成するとともに、放射性ストロンチウムの分析においては、従来の2週間から1日程度に短縮することが可能となった。
原賀 智子; 佐藤 義行; 大内 和希; 渋川 雅美*; 石森 健一郎; 亀尾 裕; 齋藤 伸吾*
no journal, ,
放射性試料中のアクチノイドイオンを安全かつ簡易に分析する方法を開発するため、キャピラリー電気泳動-レーザー励起蛍光検出法(CE-LIF)の適用性について検討した。本検討では、CE-LIFにおいてアクチノイドイオンの検出に必要となる蛍光プローブを開発し、大環状および非環状の多座配位骨格の蛍光プローブを整備した。アクチノイドのうちウラニルイオンに対しては、4座配位の骨格を有する蛍光プローブを用いることにより、従来のCE法の検出限界(ppmレベル)を大幅に改善したpptレベルの検出限界を達成した。また、実際の放射性廃液試料の分析に適用できることも示した。