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翠川 匡道*; 山下 真一; 勝村 庸介; Lin, M.; 室屋 裕佐*; 前山 拓哉*; Funtowiez, D.*; 上林 將人*; 安西 和紀*
no journal, ,
近年開発された新規スピントラップ剤CYPMPO(5-(2,2-dimethyl-1,3-propoxy cyclophosphoryl)-5-methyl-1- pyrroline -oxide)はOHやOを捕捉し、そこで生成されるOH付加体とO付加体はESRにおいて異なる信号として観測できる。このためCYPMPOを利用することでOHやOを個別に定量できると期待されるものの、OHやOなどのフリーラジカルに対する反応性についてはまだ十分な精度で定量的に評価されていない。そこで本研究ではパルスラジオリシス法を用い、主要な水分解ラジカルである水和電子(e)やOHに対するCYPMOの反応性を調べ、標準的なスピントラップ剤である5,5-Dimethyl-1-pyrroline -oxide (DMPO)とも比較した。CYPMPOとDMPOの水分解ラジカル(OH, e)との反応における過渡吸収スペクトルに大きな相違は見られず、両者の構造の違いは吸光特性にはほとんど影響がないことがわかった。このため、CYPMPOとDMPOの水分解ラジカルとの反応性及び反応サイトは同様と示唆された。
前山 拓哉*; 山下 真一; 勝村 庸介; Baldacchino, G.*; 田口 光正; 木村 敦; 翠川 匡道*; Funtowiez, D.*; 村上 健*
no journal, ,
近年高エネルギー重粒子線を用いたガン治療が実用化され、外科手術に匹敵する実績をあげている。放射線誘起細胞死は直接効果と間接効果からなり、ほぼ同等の寄与を有することが知られている。特に後者では水分解で生成するOHラジカルが中心的な役割を示すと考えられているため、その収量は詳細なメカニズム追究だけでなく治療の高度化にも必要な情報と言える。実際の治療においてガン患部に照射されるブラッグピーク付近でOHラジカル収量がどのようになるか実験的に調べた。測定したOHラジカル収量から、イオンの原子番号が大きくなるほど、イオンのエネルギーが高くなるほどあるいは飛程が長くなるほど、フラグメンテーションの影響が大きくなることが示唆された。
Funtowiez, D.*; 前山 拓哉*; 山下 真一; 勝村 庸介; Meesungnoen, J.*; Jay-Gerin, J.-P.*; 村上 健*
no journal, ,
これまでガン治療に用いられるような高エネルギー重粒子線のブラッグピーク付近におけるOHラジカル収量を測定してきた。この結果、フラグメンテーションの寄与が特にブラッグピークより深い部分では急激に大きくなることがわかっている。そこで本研究では汎用性の高い三次元モンテカルロ法PHITSコードによりフラグメンテーションのシミュレーションを行い、定量的にその寄与を評価した。さらに、これまでより単純な系、すなわちフラグメンテーションが無視できる条件で測定されてきたOHラジカル収量と組合せることでわれわれの測定結果を再現できることを検証した。
山下 真一; Funtowiez, D.*; 前山 拓哉*; 翠川 匡道*; 岡 壽崇; Baldacchino, G.*; 田口 光正; 木村 敦; 工藤 久明*; 勝村 庸介; et al.
no journal, ,
これまで治療用重粒子線を用いた水の放射線分解生成物のうち主要な水和電子,ヒドロキシルラジカル(OH),過酸化水素の収量測定を行ってきた。Coumarin-3-carboxylic acid (CCA)をOHの捕捉剤として用い、反応後生成される安定なケイ光物質7OH-CCAを定量することでOH収量を高感度に測定できる手法の開発も行ってきた。本研究では実際の治療でガン患部に重ね合わされるブラッグピーク付近でOH収量がどのようになっているか実験的に明らかにすることを目指した。照射には放射線医学総合研究所HIMACからのC290及び135MeV/uなどを用い、どの重粒子線でもブラッグピーク付近でOH収量が極小値をとること、ブラッグピーク直後で収量が数倍に跳ね上がることなどが明らかとなった。高エネルギー重粒子線のブラッグピーク付近では核破砕により生成した加速イオンよりも軽い粒子の寄与が大きくなることが知られているため、今回得られた測定結果をHIBRACやPHITSといった核破砕シミュレーションと合わせて現在検討を進め、OH収量に対する核破砕粒子の寄与を明らかにしているところである。