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論文

PANDORA Project for the study of photonuclear reactions below $$A=60$$

民井 淳*; Pellegri, L.*; S$"o$derstr$"o$m, P.-A.*; Allard, D.*; Goriely, S.*; 稲倉 恒法*; Khan, E.*; 木戸 英治*; 木村 真明*; Litvinova, E.*; et al.

European Physical Journal A, 59(9), p.208_1 - 208_21, 2023/09

 被引用回数:2 パーセンタイル:64.66(Physics, Nuclear)

光核反応は原子核構造の観点からも応用の観点からも重要であるにも関わらず、その反応断面積は未だに不定性が大きい。近年、超高エネルギー宇宙線の起源を探るために、鉄よりも軽い原子核の光核反応断面積を正確に知る必要が指摘されている。この状況を打破するため、原子核物理の実験、理論、宇宙物理の共同研究となるPANDORAプロジェクトが始まった。本論文はその計画の概要をまとめたものである。原子核実験ではRCNP、iThembaによる仮想光子実験とELI-NPによる実光子実験などが計画されている。原子核理論では、乱雑位相近似計算、相対論的平均場理論、反対称化分子動力学、大規模殻模型計算などが計画されている。これらで得られた信頼性の高い光核反応データベースと宇宙線伝搬コードを組み合わせ、超高エネルギー宇宙線の起源の解明に挑む。

論文

Thermally altered subsurface material of asteroid (162173) Ryugu

北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.

Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03

 被引用回数:44 パーセンタイル:97.1(Astronomy & Astrophysics)

2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300$$^{circ}$$Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200$$^{circ}$$Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。

論文

The Surface composition of asteroid 162173 Ryugu from Hayabusa2 near-infrared spectroscopy

北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 荒井 武彦*; 仲内 悠祐*; 中村 智樹*; 松岡 萌*; et al.

Science, 364(6437), p.272 - 275, 2019/04

 被引用回数:262 パーセンタイル:99.73(Multidisciplinary Sciences)

小惑星探査機はやぶさ2のターゲット天体であるリュウグウは、始原的な炭素質物質で構成されていると考えられている。はやぶさ2に搭載された近赤外分光計(NIRS3)によって、天体の表面組成を得た。天体全体の観測で、弱く細い吸収が2.72ミクロンに確認され、OHを含む鉱物の存在を示している。弱いOH吸収と低いアルベドは熱やショックによって変質を受けた炭素質コンドライトに似ている。OHバンドの位置はほとんど一定であり、衝撃片の集合によって形成されたリュウグウは組成的に均質であることを示している。

論文

福島汚染土壌の除染と再利用のためのセシウムフリー鉱化法の開発

下山 巖; 本田 充紀; 小暮 敏博*; 馬場 祐治; 平尾 法恵*; 岡本 芳浩; 矢板 毅; 鈴木 伸一

Photon Factory News, 35(1), p.17 - 22, 2017/05

福島放射性汚染土壌のCs除染と再生利用に対して提案しているセシウムフリー鉱化法(CFM)について紹介すると共に、PFのJAEA放射光ビームラインで実施している研究について報告する。本研究では風化黒雲母(WB)からのCs脱離機構を調べるため、非放射性Csを収着させたWBにNaCl-CaCl$$_{2}$$混合塩を添加し、低圧加熱処理前後での組成と構造変化を調べた。蛍光X線分析により塩無添加の場合でも700$$^{circ}$$Cで約3割のCsが除去され、塩添加時はほぼ全てのCsとKが除去された。一方、Caは温度と共に増加し、700$$^{circ}$$CではSiよりも多い主成分となった。さらにX線回折法、透過型電子顕微鏡による分析によりWBが普通輝石などの異なるケイ酸塩鉱物に相変化することを明らかにした。これらの結果は相変化に伴ってイオン半径の大きい1価陽イオンが排出されるメカニズムを示唆しており、我々はこれに基づいてCFMの着想に至った。また、X線吸収分光法を用いたClの化学状態分析により、塩由来のClが反応の初期段階で粘土鉱物の酸素とCl-O結合を形成しながら生成物の鉱物中に取り込まれることを明らかにした。

論文

Observation of oriented organic semiconductor using Photo-Electron Emission Microscope (PEEM) with polarized synchrotron

関口 哲弘; 馬場 祐治; 平尾 法恵; 本田 充紀; 和泉 寿範; 池浦 広美*

Molecular Crystals and Liquid Crystals, 622(1), p.44 - 49, 2015/12

BB2014-1632.pdf:0.71MB

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Multidisciplinary)

分子配向は有機半導体材料の様々な性能を制御する上で重要な因子の一つである。一般に薄膜材料は様々な方向を向く微小配向領域の混合状態となっている。したがって、各々の微小領域において配向方向を選別して顕微分光観測できる手法が望まれてきた。我々は、光電子顕微鏡(PEEM)法と直線偏光性をもつ放射光X線や真空紫外(VUV)光を組み合わせる装置の開発を行っている。ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)導電性ポリマー薄膜を溶液法により作製し、偏光放射光励起によるPEEM像の観測を行った。また様々な偏光角度のUV照射下におけるPEEM像を測定した。放射光励起実験において各微小領域の硫黄S 1s励起X線吸収スペクトルが得られ、微小領域におけるポリマー分子配向の情報を得ることができた。またUV励起実験においては、偏光角度に依存して異なる微結晶層を選択観測することに成功した。実験結果はポリマーの特定の分子軸へ向いた配向領域だけを選択的に顕微鏡観測できることを示唆する。

論文

Electrochemical immobilization of biomolecules on gold surface modified with monolayered L-cysteine

本田 充紀; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵

Thin Solid Films, 556, p.307 - 310, 2014/04

 被引用回数:5 パーセンタイル:23.82(Materials Science, Multidisciplinary)

Immobilization of organic molecules on the top of a metal surface is not easy because of lattice mismatch between organic and metal crystals. Herein, we suggested that a monolayer of L-cysteine deposited on a gold surface can act as a buffer layer to immobilize biomolecules on the metal surface. We selected lactic acid as the immobilized biomolecule because it is one of the simplest carboxyl-containing biomolecules. The immobilization of lactic acid on the metal surface was carried out by an electrochemical method in an aqueous environment. The surface chemical states before and after the electrochemical reaction were characterized using X-ray photoelectron spectroscopy (XPS). The N 1s and C 1s XPS spectra showed that the L-cysteine-modified gold surface can immobilize lactic acid via peptide bonds. This technique might enable the immobilization of large organic molecules and biomolecules.

論文

Orientation effect of organic semiconducting polymer revealed using Photo-Electron Emission Microscope (PEEM)

関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; 平尾 法恵; 本田 充紀; 和泉 寿範; 池浦 広美*

Photon Factory Activity Report 2013, Part B, P. 546, 2014/00

分子配向性は有機半導体材料の様々な性能を制御する上で重要である。一般に薄膜材料は様々な方向を向いた微小配向領域の混合状態である。したがって、各微小領域の配向方向を選択して顕微分光観測できる手法の開発が望まれている。我々は、光電子顕微鏡(PEEM)法と直線偏光性をもつ放射光X線や真空紫外(VUV)光を組み合わせる装置の開発を行っている。ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)導電性ポリマー薄膜を溶液法により作製した。偏光放射光励起により特定方向を向くポリマー分子鎖領域のPEEM像の観測を行うことができた。各微小領域の硫黄S 1s励起X線吸収スペクトルが得られ、微小領域におけるポリマー分子配向の情報を得ることに成功した。

論文

Orientation of silicon phthalocyanine thin films revealed using polarized X-ray absorption spectroscopy

関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; 平尾 法恵; 本田 充紀; Deng, J.*

Photon Factory Activity Report 2012, Part B, P. 68, 2013/00

有機半導体の表面分子配向は電子デバイスの性能向上の上で不可欠である。スピンコート法によりシリコンフタロシアニン二塩化物(SiPcCl$$_{2}$$)薄膜をグラファイト上に作製し、大気圧下で加熱(350度)を行った。角度分解X線吸収端微細構造(NEXAFS)法とXPS法により生成物薄膜の分子配向と組成を調べた。Si 1s吸収端のNEXAFSスペクトルは角度依存を示し、表面反応生成物が分子配向していることを示した。ab initio分子軌道法計算との比較により生成物は水和重合生成物(SiPcO)nに類似した構造であると推察した。

論文

Microscopic observation of lateral diffusion at Si-SiO$$_{2}$$ interface by photoelectron emission microscopy using synchrotron radiation

平尾 法恵; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 本田 充紀*

Applied Surface Science, 258(3), p.987 - 990, 2011/11

 被引用回数:3 パーセンタイル:16.18(Chemistry, Physical)

放射光軟X線と光電子顕微鏡を組合せることにより、化学結合状態をナノスケールで画像観察する装置を開発し、同装置をSi-SiO$$_{2}$$界面の化学結合状態解析に応用した。SiとSiO$$_{2}$$から成る試料を加熱し、Si-SiO$$_{2}$$界面の表面拡散の観察を行った結果、縦方向の拡散と異なることがわかった。また、拡散中の界面にはSiO(Si$$^{2+}$$)など中間の化学状態が存在しないという結果が得られた。これは拡散過程において揮発性のSiOが表面から脱離するためであると結論した。

論文

Chemical-state-selective mapping at nanometer scale using synchrotron radiation and photoelectron emission microscopy

平尾 法恵; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 本田 充紀

Analytical Sciences, 26(8), p.835 - 840, 2010/08

 被引用回数:2 パーセンタイル:7.06(Chemistry, Analytical)

放射光軟X線と光電子顕微鏡(PEEM)を組合せ、固体表面の化合物分布をナノメートルオーダーで観察する手法を提案した。本手法の原理は、化合物の内殻吸収端のエネルギーが同一元素であっても原子価状態によって異なることを利用し、エネルギー可変の放射光照射により表面から放出される光電子をPEEMにより拡大し画像化するものである。試料はSiとSiO$$_{2}$$が12.5ミクロン周期で並んだマイクロパターンを用いた。PEEM像の輝度の放射光エネルギー依存性から、ナノメートルオーダーの化学結合状態マッピング観察が可能であることを実証した。また、試料加熱に伴うPEEM像変化をリアルタイムで観測し、表面拡散中におけるSi-SiO$$_{2}$$界面の化学結合状態の変化の過程を明らかにした。

論文

Orientation of Si phthalocyanine investigated by X-ray absorption spectroscopy and molecular orbital calculation

関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; 本田 充紀; 平尾 法恵; 成田 あゆみ; Deng, J.*

Surface and Interface Analysis, 42(6-7), p.863 - 868, 2010/06

 被引用回数:1 パーセンタイル:1.75(Chemistry, Physical)

有機半導体は豊富な資源,印刷技術が使える、電子物性が多様などが期待される次世代デバイスである。良質な有機半導体はよく分子配向した「核」として薄膜上に生じ始める。発表者は直線偏光の放射光と光電子顕微鏡を組合せた新しい装置を開発中である。その方法ではX線吸収スペクトルに現れる共鳴ピークを解釈する必要がでてくる。そのため大きな有機半導体分子の内殻電子励起状態を求めるため等価内殻近似に基づいて分子軌道法による理論計算を行った。計算結果をもとにグラファイト上に吸着したSiフタロシアニン分子の配向構造を決定した。分子軌道計算により電子励起状態の対称性を帰属することが配向角度を決めるうえで重要であることを示した。

論文

Real-time observation on surface diffusion and molecular orientations for phthalocyanine thin films at nanometer spacial resolution

馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 本田 充紀; 平尾 法恵; 成田 あゆみ; Deng, J.

Surface Science, 603(16), p.2612 - 2618, 2009/08

 被引用回数:6 パーセンタイル:29.44(Chemistry, Physical)

金表面にパターン状に蒸着したシリコンフタロシアニン2塩化物薄膜の電子構造と分子配向を、新しく開発した軟X線励起光電子顕微鏡(PEEM)によりナノメートルスケールで実時間観察した。Si K-吸収端のX線吸収スペクトルの偏光依存性から、5層蒸着したシリコンフタロシアニン2塩化物は、薄膜全体としては表面に平行であることがわかった。室温でのPEEM観察では、マイクロパターンが明瞭に認められたが、高温に加熱すると表面拡散が起こり、均一となった。このとき、清浄な金表面に拡散した分子は、逆に表面に垂直であることを示唆する結果が得られた。このようなナノメートルスケールにおける分子配向の変化は、分子-分子間相互作用と表面-分子間相互作用の大きさによって決定されることを明らかにした。

論文

低エネルギーイオン照射による極低温吸着メタンからのC$$_{rm n}$$H$$_{rm x}$$(n$$geq$$2)分子生成

成田 あゆみ; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 本田 充紀; 平尾 法恵; 矢板 毅

表面科学, 29(8), p.489 - 494, 2008/08

極低温で吸着したCH$$_{4}$$及びCD$$_{4}$$分子に、1keVのHe$$^{+}$$イオンを照射したときに生成する分子イオン及び中性分子を二次イオン質量分析法により調べた。単層吸着メタンの場合、モノマーイオン(CH$$_{rm x}$$$$^{+}$$)のみが脱離するが、多層吸着メタンでは、クラスターイオン(C$$_{rm n}$$H$$_{rm x}$$$$^{+}$$)とともに、アセチレンイオン(C$$_{2}$$H$$_{2}$$$$^{+}$$)及びエチレンイオン(C$$_{2}$$H$$_{4}$$$$^{+}$$)の脱離も認められた。中性分子の脱離についても同様の結果が得られた。分子生成の機構を明らかにするため、分子イオンの脱離強度の厚み依存性を測定し、固体メタン中でのHe$$^{+}$$イオンのエネルギー損失過程のモンテカルロ計算結果と比較した。その結果、モノマーイオンは吸着分子の最表面層から1電子励起で脱離するのに対し、C$$_{rm n}$$H$$_{rm x}$$$$^{+}$$(n$$geq$$2)イオンは吸着分子層の内部において原子核衝突で起こるフォノン励起によって生成されることが明らかとなった。

論文

Metal-molecular interface of sulfur-containing amino acid and thiophene on gold surface

本田 充紀; 馬場 祐治; 平尾 法恵*; 関口 哲弘

Journal of Physics; Conference Series, 100, p.052071_1 - 052071_5, 2008/03

 被引用回数:8 パーセンタイル:91.75(Nanoscience & Nanotechnology)

新たな機能性薄膜を構築するための有機分子を用いた生体分子薄膜は、表面に分子が吸着した場合の基礎的物性が、界面の結合状態に非常に大きく左右される。そのため、界面の情報を知ることは必要不可欠である。今回、金とイオウ界面に注目し、SHとS化合物の金表面上での界面状態の違いを詳しく検討するために、金表面上にL-システイン多分子・単分子及びチオフェン単分子層の異なる3種類の界面状態を作成して軟X線吸収分光法(NEXAFS)及びX線光電子分光法(XPS)による比較検討を行った。その結果、L-システインのNEXAFS結果においてS K-edgeが9eV大きくなり、またXPS測定結果ではS 1sが8eV高結合エネルギー側に化学シフトした位置に現れる、特異な界面の結合状態を確認した。一方、チオフェンでは同様の現象は起こらなかった。この特異なS-Au界面では、一般的なSulfideとは異なり、S[$$delta$$+] $$rightarrow$$ Au[$$delta$$-]に電子供与が行われることを明らかにした。これはSH基のみにおこる現象であり、S-Auの特徴的な結合状態であることがわかった。

論文

放射光軟X線と光電子顕微鏡を組合せたナノメートルスケールの化学結合状態マッピング

平尾 法恵*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 本田 充紀

分析化学, 57(1), p.41 - 47, 2008/01

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Analytical)

固体表面の凹凸,元素分布,構造などをナノメートルスケールで調べる局所分析法は数多く開発されているが、本報告では、これらの情報に加えて、化学結合状態の分布をナノスケールで観察する手法を提案した。その原理は、化合物の内殻吸収ピークのエネルギーが同一元素であっても化学結合状態によって変化することを利用し、エネルギー可変の放射光と光電子顕微鏡(PEEM)を組合せることにより、X線照射により表面から放出される光電子をPEEMにより拡大し画像化するものである。試料としては、SiとSiO$$_{2}$$が12.5マイクロメートル周期で並んだマイクロパターンを用いた。PEEM像の各点における輝度の放射光エネルギー依存性から、それぞれの点におけるSiの原子価状態をナノメートルスケールで明らかにすることに成功した。また、加熱によりSiO$$_{2}$$が横方向に拡散する様子をリアルタイムで観測し、Si-SiO$$_{2}$$界面の化学結合状態変化を明らかにした。

論文

Chemical-state-selective observations on Si-SiO$$_{rm x}$$ at nanometer scale by photoelectron emission microscopy combined with synchrotron radiation

馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 本田 充紀; 平尾 法恵*; Deng, J.; 成田 あゆみ

Journal of Physics; Conference Series, 100, p.012015_1 - 012015_4, 2008/00

 被引用回数:1 パーセンタイル:51.75(Nanoscience & Nanotechnology)

放射光軟X線と光電子顕微鏡を組合せることにより、ナノメートルスケールの化学結合状態分布を観察するための装置を開発し、シリコン化合物に応用した。試料には、7.5ミクロン周期のパターンを持つシリコン酸化物,シリコン窒化物,有機シリコン化合物を用いた。Si K-吸収端付近で放射光のエネルギーを掃引することにより、化学結合状態(シリコンの原子価状態)に依存した画像をナノメートルスケールで観察することに成功した。また、SiとSiO$$_{2}$$が交互に並んだマイクロパターン試料について、加熱による化学結合状態変化を観察した。その結果、700$$^{circ}$$Cから酸素原子の横方向の拡散が始まることがわかった。拡散の途中でSiとSiO$$_{2}$$界面の化学結合状態を詳細に観察したところ、界面にSiOなどの中間の原子価状態は存在せず、酸素の拡散はSi原子が一気に4個の酸素原子と配位することにより起こることがわかった。発表では固体表面上に作成した有機シリコン化合物(シリコンフタロシアニン塩化物)の化学結合状態観察と加熱による横方向の拡散についても報告する。

論文

Effect of substrates on the molecular orientation of silicon phthalocyanine dichloride thin films

Deng, J.; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 平尾 法恵*; 本田 充紀

Journal of Physics; Condensed Matter, 19(19), p.196205_1 - 196205_11, 2007/05

 被引用回数:6 パーセンタイル:31.25(Physics, Condensed Matter)

種々の基板表面に蒸着したシリコンフタロシアニン塩化物の配向性について、直線偏光放射光を用いたX線吸収端微細構造(NEXAFS)により調べた。基板としては、化学的に不活性で、かつ表面の形状が異なる3種の基板、すなわち高配向性グラファイト(HOPG)、多結晶金、導電性透明酸化物のインジウムスズ酸化物(ITO)の3種類を用いた。Si K-吸収端のNEXAFSスペクトルの偏光依存性から、1層から5層程度の薄膜はいずれの基板表面においても、基板におおよそ平行に蒸着することがわかった。偏光依存性を定量的に解析した結果、HOPG表面における分子の傾きは2$$^{circ}$$であり、これはHOPG表面が完全に平坦であることに起因すると結論した。一方、ITO表面では分子の平均傾き角は26$$^{circ}$$であった。走査型原子間力顕微鏡(AFM)による観測の結果、表面の凹凸の水平方向の周期は数ナノメーターであり、フタロシアニン分子の大きさよりはるかに大きいことがわかった。このことから、表面の形状により決定される1層目の分子の向きが、2層目以降の蒸着層の配向性を決定することが明らかになった。

論文

Orientation of thin films synthesized from silicon phthalocyanine dichloride on a highly oriented pyrolytic graphite investigated using near edge X-ray absorption fine structure

Deng, J.; 関口 哲弘; 馬場 祐治; 平尾 法恵*; 本田 充紀

Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 46(2), p.770 - 773, 2007/02

 被引用回数:1 パーセンタイル:5.41(Physics, Applied)

直線偏光放射光を用いたX線吸収端微細構造法により、有機デバイスの候補材料として期待されているシリコンフタロシアニン化合物薄膜の配向性について調べた。高配向性グラファイト表面に、スピンコート法によりシリコンフタロシアニン2塩化物の溶液を滴下した後、空気中で345$$^{circ}$$Cに加熱することにより、Si-C結合が解裂し、空気中の酸素によりSi-Oに変化することがわかった。この試料のについて、直線偏光した放射光を用いたSi $$K$$-吸収端のX線吸収端微細構造スペクトルを測定した結果、Si 1sから価電子帯の非占有軌道への共鳴吸収ピークの強度に顕著な偏光依存性が認められた。偏光解析の結果、Si-N結合軸は表面に平行に近いのに対して、Si-O軸は表面に垂直に近いことがわかった。この結果から、(1)シリコンフタロシアニン2塩化物はシリコンフタロシアニン酸化物結晶を容易に合成するためのよい前駆体であること,(2)この方法で作成したシリコンフタロシアニン酸化物薄膜は基板表面に対して配向しているため良質な電子物性を持つ有機薄膜となりうること、の2点が明らかとなった。

論文

Achievement of high fusion triple product in the JT-60U high $$beta$$$$_{P}$$ H mode

森 雅博; 石田 真一; 安東 俊郎; 安納 勝人; 朝倉 伸幸; 安積 正史; A.A.E.van-Blokland*; G.J.Frieling*; 藤井 常幸; 藤田 隆明; et al.

Nuclear Fusion, 34(7), p.1045 - 1053, 1994/00

 被引用回数:32 パーセンタイル:80(Physics, Fluids & Plasmas)

JT-60Uにおいて、鋸歯状振動の無い高$$beta$$$$_{P}$$領域の運転にて、高閉じ込め状態の改善が達成された。すなわち、プラズマ周辺部と中心部の両方において閉じ込めが改善している状態(高ポロイダルベータHモード)を実現した。この状態では$$beta$$限界も改善しており、結果として、1.1$$times$$10$$^{21}$$m$$^{-3}$$・keV・sという世界最高の核融合積を達成した。この値は、それまでの値の約2.5倍の進展である。中心イオン温度も37keVに達し、DD反応による中性子発生率も、これまでの値の約2倍に当たる5.6$$times$$10$$^{16}$$s$$^{-1}$$に達している。本論文では、この閉じ込め改善状態(高ポロイダルベータHモード)の特性についても報告する。

口頭

金表面上におけるアミノ酸単分子層の化学吸着

本田 充紀; 馬場 祐治; 平尾 法恵*; Deng, J.; 関口 哲弘

no journal, , 

近年のナノテクノロジー技術の向上により、有機分子が大きな関心を集めている。有機分子は分子1個で1つの機能を担うことが可能で、将来の分子素子の実現に向けた研究が盛んに行われている。例えば金属-分子の吸着構造に関して、Au-S系の研究はベンゼンジチオールを用いた金属-分子-金属構造のドナーアクセプターを光励起などで起こす非常に興味深い系であるが、その金属-分子間の界面に関する情報については詳しくわかっていない。われわれは、金表面において、S原子を含むアミノ酸であるL-cysteine分子の吸着状態についてXPSなどの手法を用いて検討してきた。今回金表面を用いて(a)L-cysteine monolayer, (b)L-cysteine multilayerの試料を作成し、NEXAFS測定及びXPS測定を行った。多層膜において、2474eVに現れるピークは、S1s$$rightarrow$$$$sigma$$$$^{*}$$(S-C)への遷移に起因するピークである。ところが、単層膜ではこのピークは2484eVに観測され、単分子層と多層膜においてS K吸収端が大きく異なるという特徴的な結果が得られた。また、XPS測定結果においても、S1sのピークが単層膜と多層膜で、単層膜のピークが8eV高結合エネルギー側に化学シフトした位置に現れることを確認した。以上の結果から、化学結合に起因する電子がS原子から金原子側へ供与され、非常に強い結合が形成されていることがわかった。

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