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論文

Radio-tellurium released into the environment during the complete oxidation of fuel cladding, containment venting and reactor building failure of the Fukushima accident

日高 昭秀; 川島 茂人*; 梶野 瑞王*

Journal of Nuclear Science and Technology, 60(7), p.743 - 758, 2023/07

 被引用回数:2 パーセンタイル:92.04(Nuclear Science & Technology)

福島事故時に放出された放射性物質量の推定は、原子炉の事故進展や環境影響の評価にとって不可欠である。そこで、ヨウ素,Csに次いで放出量が多いTeについて、単位放出量を想定したメソスケール気象モデル計算で得られた時間ごとの沈着量に基づいて沈着量分布を重み付けする、単位放出回帰推定法を用いて検討した。前回の検討では、この手法の適用性確認に主眼を置き、発生源について暫定的な結果を得ることができた。しかし、その後の検討で、放出があったと思われる期間の一部が放出推定期間から欠落していると、ソースターム計算全体に歪みが生じることが判明した。このため、本研究では、推定期間を延長し、主要な放出を全て含むように再計算を行った。その結果、これまで特定されなかった放出事象が明らかになり、炉内事象との対応も確認できた。また、炉心注水時のZr被覆管完全酸化による$$^{rm 129m}$$Te放出事象を考慮することにより、土壌汚染マップにおける$$^{rm 129m}$$Te/$$^{137}$$Cs比の地域依存性を説明することができた。さらに、本検討に基づき、WSPEEDI逆計算では予測できなかった3月11日夜,13日,14日早朝にヨウ素とCsの放出が増加した可能性を指摘した。

論文

Deposition and dispersion of radio-cesium released due to the Fukushima Nuclear accident, 2; Sensitivity to aerosol microphysical properties of Cs-bearing microparticles (CsMPs)

梶野 瑞王*; 足立 光司*; 五十嵐 康人*; 佐藤 志彦; 澤田 壮弘*; 関山 剛*; 財前 祐二*; 佐谷 茜*; 鶴田 治雄*; 森口 祐一*

Journal of Geophysical Research; Atmospheres, 126(1), p.e2020JD033460_1 - e2020JD033460_23, 2021/01

 被引用回数:11 パーセンタイル:73.71(Meteorology & Atmospheric Sciences)

The dispersion and deposition of radio-cesium ($$^{137}$$Cs) carried by the two types (type A and type B) of water-insoluble Cs-bearing solid microparticles (CsMPs) released due to the Fukushima nuclear accident were simulated for the first time. The presence of type B CsMPs (70-400 $$mu$$m found in soil and 1-5 $$mu$$m found in air), associated with the hydrogen explosion of Unit 1 in the afternoon of March 12, could partly explain the simulated underestimation of total deposition over land by assuming that 100% of the Cs carriers were water-soluble submicron particles (WSPs). Type A CsMPs (0.1-10 $$mu$$m), released from Units 2 or 3 in the midnight between March 14 and 15, travelled over the Kanto Plain, the most populated plain in Japan. Differences in the size distribution of type A CsMPs altered the surface air concentration over Kanto substantially, by up to more than one order of magnitude. The major deposition mechanisms varied among dry, wet, and fog depositions depending on the size distribution. The simulated activity fractions due to the CsMPs in the total deposition were compared to those observed in surface soil for the first time. The observations could be explained by the simulations for the locations under the influence of type B CsMPs. However, the simulations were substantially underestimated for the locations influenced by type A CsMPs. There could be more fractions of type A CsMPs emission in the source term and/or the simulated deposition rates of type A CsMPs were underestimated.

論文

Role of advection in atmospheric ammonia; A Case study at a Japanese lake basin influenced by agricultural ammonia sources

久保田 智大; 黒田 久雄*; 渡邊 未来*; 高橋 晃子*; 中里 亮治*; 樽井 美香*; 松本 俊一*; 中川 圭太*; 沼田 康子*; 大内 孝雄*; et al.

Atmospheric Environment, 243, p.117856_1 - 117856_9, 2020/12

 被引用回数:2 パーセンタイル:10.2(Environmental Sciences)

大気アンモニア(NH$$_{3}$$)の乾性沈着は水圏生態系への窒素負荷経路の1つである。アジア諸国におけるNH$$_{3}$$の最大の排出源の一つである農業・畜産は、NH$$_{3}$$濃度の空間的及び季節的変動を引き起こし、乾性及び湿性沈着により湖沼流域へ影響を与えることが知られている。しかし、観測ネットワークの不足から、流域スケールでのNH$$_{3}$$濃度の空間分布はよく知られていない。本稿では、農業・畜産が盛んな流域(霞ヶ浦流域)でのNH$$_{3}$$濃度の空間的及び季節的変動の支配的要因を明らかにすることを目的とした。観測は2018年10月10日から2020年1月14日まで、合計36地点で行った。観測期間中の平均NH$$_{3}$$濃度は、農用地,湖,住宅地,森林の順に高かった。畜舎近傍で観測されたNH$$_{3}$$濃度は夏季より冬季の方が高く、気温に依存する揮発プロセスに基づくNH$$_{3}$$排出量の季節変化と異なった。農用地や湖のNH$$_{3}$$濃度と気象要素との比較から、排出源からのNH$$_{3}$$の移流の季節変化の重要性が示唆された。湖上のNH$$_{3}$$の乾性沈着量を推定したところ、全窒素の湿性沈着量を上回る可能性がある。湖への乾性沈着は植物プランクトンの増殖プロセスに関連することが知られており、水圏生態系の管理を行う上でNH$$_{3}$$の移流を考慮するべきである。

論文

A Model intercomparison of atmospheric $$^{137}$$Cs concentrations from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident, phase III; Simulation with an identical source term and meteorological field at 1-km resolution

佐藤 陽祐*; 関山 剛*; Fang, S.*; 梶野 瑞王*; Qu$'e$rel, A.*; Qu$'e$lo, D.*; 近藤 裕昭*; 寺田 宏明; 門脇 正尚; 滝川 雅之*; et al.

Atmospheric Environment; X (Internet), 7, p.100086_1 - 100086_12, 2020/10

福島第一原子力発電所(FDNPP)事故により放出された$$^{137}$$Csの大気中の挙動を調べるため、第3回大気拡散モデル相互比較が実施された。前回のモデル比較より高い水平格子解像度(1km)が使われた。前回のモデル比較に参加したモデル中9モデルが参加し、全モデルで同一の放出源情報と気象場が使用された。解析の結果、観測された高い$$^{137}$$Cs大気中濃度のほとんどが良好に再現され、いくつかのモデルの性能向上によりマルチモデルアンサンブルの性能が向上した。高解像度化によりFDNPP近傍の気象場の再現性が向上したことで、拡散モデルの性能も向上した。風速場の良好な表現によりFDNPP北西の高い沈着量の細い分布が合理的に計算され、FDNPPの南側の沈着量の過大評価が改善された。一方で、中通り地方、群馬県北部、及び首都圏のプルームの再現性能はやや低下した。

論文

Model intercomparison of atmospheric $$^{137}$$Cs from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident; Simulations based on identical input data

佐藤 陽祐*; 滝川 雅之*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 近藤 裕昭*; 打田 純也*; 五藤 大輔*; Qu$'e$lo, D.*; et al.

Journal of Geophysical Research; Atmospheres, 123(20), p.11748 - 11765, 2018/10

 被引用回数:39 パーセンタイル:85.11(Meteorology & Atmospheric Sciences)

福島第一原子力発電所事故により放出された$$^{137}$$Csの大気中の挙動を理解するため、大気拡散モデル相互比較が実施され、12モデルが参加した。モデルで考慮される過程に起因するモデル間の差異に焦点を当てた解析を行うため、全モデルで同じ気象場、水平分解能、及び放出源情報が使用された。モデルアンサンブルによる観測された大気中$$^{137}$$Cs濃度上昇イベントの捕捉率は40%であり、FMSは80を超えた。解析の結果、大気中$$^{137}$$Cs濃度上昇イベントの再現には気象場が最も重要な要素であり、気象場の再現性が高い場合のモデル間の差異は、沈着及び拡散過程に起因していることが分かった。また、沈着フラックスが小さいモデル及び拡散が強いモデルは高い性能を示したが、拡散が強いモデルは大気中$$^{137}$$Cs濃度を過大評価する傾向を示した。

論文

Atmospheric modeling of $$^{137}$$Cs plumes from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant; Evaluation of the model intercomparison data of the Science Council of Japan

北山 響*; 森野 悠*; 滝川 雅之*; 中島 映至*; 速水 洋*; 永井 晴康; 寺田 宏明; 斉藤 和雄*; 新堀 敏基*; 梶野 瑞王*; et al.

Journal of Geophysical Research; Atmospheres, 123(14), p.7754 - 7770, 2018/07

 被引用回数:24 パーセンタイル:70.42(Meteorology & Atmospheric Sciences)

日本学術会議のモデル相互比較プロジェクト(2014)で提供された、福島第一原子力発電所事故時に大気中に放出された$$^{137}$$Csの計算に用いられた7つの大気輸送モデルの結果を比較した。本研究では、東北及び関東地方に輸送された9つのプルームに着目し、モデル結果を1時間間隔の大気中$$^{137}$$Cs濃度観測値と比較することにより、モデルの性能を評価した。相互比較の結果は、$$^{137}$$Cs濃度の再現に関するモデル性能はモデル及びプルーム間で大きく異なることを示した。概してモデルは多数の観測地点を通過したプルームを良く再現した。モデル間の性能は、計算された風速場と使用された放出源情報と一貫性があった。また、積算$$^{137}$$Cs沈着量に関するモデル性能についても評価した。計算された$$^{137}$$Cs沈着量の高い場所は$$^{137}$$Csプルームの経路と一致していたが、大気中$$^{137}$$Cs濃度を最も良く再現したモデルは、沈着量を最も良く再現したモデルとは異なっていた。全モデルのアンサンブル平均は、$$^{137}$$Csの大気中濃度と沈着量をともに良く再現した。これは、多数モデルのアンサンブルは、より有効で一貫したモデル性能を有することを示唆している。

論文

Detailed source term estimation of the atmospheric release for the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station accident by coupling simulations of an atmospheric dispersion model with an improved deposition scheme and oceanic dispersion model

堅田 元喜; 茅野 政道; 小林 卓也; 寺田 宏明; 太田 雅和; 永井 晴康; 梶野 瑞王*; Draxler, R.*; Hort, M.*; Malo, A.*; et al.

Atmospheric Chemistry and Physics, 15(2), p.1029 - 1070, 2015/01

 被引用回数:206 パーセンタイル:98.87(Environmental Sciences)

福島第一原子力発電所事故時の大気放出量の詳細な時間変化を大気拡散モデルWSPEEDI-IIと海洋拡散モデルSEA-GEARN-FDMを用いた結合シミュレーションと環境モニタリングデータを組み合わせた逆推定法によって推定した。放射性ヨウ素のガス態(I$$_{2}$$, CH$$_{3}$$I)およびその他の粒子態(CsI, Cs, and Te)の乾性・霧水沈着、雲内への取り込み、凝結核活性、氷相の湿性沈着を計算する新しいスキームをWSPEEDI-IIに導入した。事故起因の放射性物質の大量放出は、2011年3月12日午後の1号機のウェットベントおよび水素爆発時、13日午前中の3号機のベント後、14日深夜の2号機での3回のSRV開操作時、15日の午前および夕方から夜間、そして16日の午前中に起こったことが明らかになった。新しい推定放出量を用いたWSPEEDI-IIのシミュレーションによって、局地および領域スケールの航空サーベイによる$$^{131}$$Iと$$^{137}$$Csの積算沈着量と空間線量率の分布が再現された。さらに、新しいソースタームを3つの異なる大気拡散モデルを用いて領域・全球スケールで試験した。シミュレーション結果から、$$^{137}$$Csの全推定放出量の27%が東日本の陸面に沈着し、その大部分は森林地域であったことが示された。

論文

A Numerical study of the effects of aerosol hygroscopic properties to dry deposition on a broad-leaved forest

堅田 元喜; 梶野 瑞王*; 松田 和秀*; 高橋 章*; 中屋 耕*

Atmospheric Environment, 97, p.501 - 510, 2014/11

 被引用回数:12 パーセンタイル:37.03(Environmental Sciences)

エアロゾルの吸湿成長がおよぼす森林への乾性沈着への影響を調べるために、多層大気-土壌-植生1次元モデルSOLVEGを用いた微小粒子状物質(PM2.5)の硫黄成分の乾性沈着のシミュレーションを実施した。このモデルに含まれている粒子の乾性沈着スキームを広葉樹林に適用できるように改良した。広く用いられている$$kappa$$-K$"o$hrer理論に基づく大気中での粒子の吸湿成長を計算するスキームを新たに導入した。このモデルを国内の広葉樹林に適用した結果、観測された運動量・熱・水蒸気フラックスや土壌温度・水分量が再現された。吸湿によって粒径が増加した結果、PM2.5の硫黄成分の沈着速度の計算値も増大して観測値に近づくとともに、高湿度時に測定された沈着速度の時間変動の再現性も向上した。このモデルを用いた数値実験によって、粒子の幾何学的平均径や吸湿特性($$kappa$$)が吸湿成長の度合いを大きく変化させることがわかった。比較的低湿度から吸湿成長による沈着速度の増加が見られ、非常に湿潤な環境では沈着速度が乾燥時の5倍に達することが数値的に示された。

論文

Development of the RAQM2 aerosol chemical transport model and predictions of the Northeast Asian aerosol mass, size, chemistry, and mixing type

梶野 瑞王*; 猪俣 弥生*; 佐藤 啓市*; 植田 洋匡*; Han, Z.*; An, J.*; 堅田 元喜; 出牛 真*; 眞木 貴史*; 大島 長*; et al.

Atmospheric Chemistry and Physics, 12(24), p.11833 - 11856, 2012/12

 被引用回数:45 パーセンタイル:74.91(Environmental Sciences)

北東アジア領域の大気汚染を再現するために、新しいエアロゾル化学輸送モデルRAQM2を開発した。単純化したエアロゾル動力学モデルとガス・粒子転換の完全動的解法をモデルに導入した。大気エアロゾルの性状を厳密に考慮するために、エアロゾルの粒径を4つのカテゴリに分類して計算する分類法を適用し、2006年の1年間について北東アジアの大気拡散シミュレーションを実施した。計算値と観測値の比較によると、主要な人為及び自然起源の大気中無機物質の広域輸送プロセスをファクター2から5の精度で再現した。計算された質量ベースの粒径分布と化学組成は、観測結果と一致した。辺戸岬での比較によると、冬季には累積モードのエアロゾルに凝縮したH$$_{2}$$SO$$_{4}$$ガスが主要であったが、夏季にはエイトケン・累積モードのエアロゾルと混合した非海塩由来のSO$$_{4}$$が主要であった。エアロゾルの混合形態は光学的性質と雲の凝縮活性化を変化させるため、このプロセスの厳密な予測と検証がエアロゾル・雲・放射相互作用研究において必要不可欠である。

論文

A Method for simple and accurate estimation of fog deposition in a mountain forest using a meteorological model

堅田 元喜; 梶野 瑞王*; 平木 隆年*; 藍川 昌秀*; 小林 禧樹*; 永井 晴康

Journal of Geophysical Research, 116(D20), p.D20102_1 - D20102_14, 2011/10

 被引用回数:29 パーセンタイル:59.48(Meteorology & Atmospheric Sciences)

気象モデルを山地森林における霧の発生,酸性化、及び沈着の研究に適用するために、精緻な多層陸面モデルSOLVEGを用いた数値計算によって得られた簡易な霧水沈着速度の予測式を、気象モデルWRFに導入した。改良を施したWRF(fog-WRF)の性能を、国内の六甲山地の森林で試験した。fog-WRFは、大気中の霧水量(LWC)を改良前に比べて明らかに良好に予測した。fog-WRFは、夏季の林内における林縁での沈着効果を取り除いた林内における霧水沈着量の観測結果を再現した。fog-WRFの計算から得られた標高と霧沈着量の線形関係と、ある高度で測定された林内雨量のデータを用いて、霧沈着量の標高分布を推定できることを示した。霧沈着を考慮した気象モデルは、山地雲霧(うんむ)林における霧沈着量の分布を作成するうえで有用である。

論文

Numerical study of fog deposition on vegetation for atmosphere-land interactions in semi-arid and arid regions

堅田 元喜; 永井 晴康; 梶野 瑞王*; 植田 洋匡*; 穂積 祐*

Agricultural and Forest Meteorology, 150(3), p.340 - 353, 2010/03

 被引用回数:31 パーセンタイル:77.2(Agronomy)

本研究では、植生への霧水沈着を考慮した精緻な地表面モデルと気象モデルを用いて、乾燥地域における植生への霧水沈着と、その水・熱バランスへの影響を評価した。モデルによる霧水沈着の推定結果から、乾燥地域において霧水沈着が降水量よりも有効な水資源となりうることを示した。霧水沈着に伴う葉面水の蒸発は、蒸散を抑えることによって植物の水ストレスを軽減することがわかった。霧水沈着によって増加した葉面水及び土壌水の蒸発に伴う潜熱によって、日中の土壌及び葉面の温度が減少することを示した。さらに、葉面水の蒸発の増加に伴う蒸散の減少は、乾燥地域において強い水ストレスを受ける植物の光合成に利用される有効な水資源を供給することを明らかにした。

口頭

乾燥・半乾燥地域における植生への霧水沈着に関する数値的研究,1; 霧水沈着量の定量的評価

堅田 元喜; 永井 晴康; 梶野 瑞王*; 植田 洋匡*

no journal, , 

数値環境システムSPEEDI-MPで構築を行っている包括的動態予測モデルのうち、物質動態の媒体となる水循環を詳細に計算するモデルを水環境問題に適用した。陸面における水交換過程は、一般に降水量(Pr)と蒸発散量(E)のバランスによって決定される。乾燥地域に生息する植物の水資源として、大気中の霧水が植生へと沈着する霧水沈着量(Pf)が重要であることが指摘されている。本研究では、乾燥地域の霧水沈着量が地表面の水バランスに与える影響を数値的に評価した。その結果、対象地域の霧水沈着量は、全降水量に対して20から30パーセントを占め、植物にとって無視できない水資源となりうることを示した。

口頭

乾燥・半乾燥地域における植生への霧水沈着に関する数値的研究,2; 緑化ポテンシャルの広域的評価

梶野 瑞王*; 堅田 元喜; 永井 晴康; 石川 裕彦*; 植田 洋匡*

no journal, , 

数値環境システムSPEEDI-MPで構築を行っている包括的動態予測モデルのうち、物質動態の媒体となる水循環を詳細に計算するモデルを水環境問題に適用した。本研究では、シリーズ発表その1で行った霧水沈着を考慮した陸面水収支の詳細計算結果に基づき、植林による緑化を想定した際の存続可能性をあらわす指標として陸面植生モデルで計算した一定期間の正味降水量を「緑化ポテンシャル」と定義し、西アジア域での分布を評価した。その結果、緑化ポテンシャルが正となる領域は海岸沿いや山岳地域に分布しており、霧水沈着の寄与率が50パーセントを超える地域も多く存在することが示された。

口頭

樹雨に伴う森林への物質沈着量の推定に関する数値的研究

堅田 元喜; 梶野 瑞王*; 平木 隆年*; 藍川 昌秀*; 小林 禧樹*

no journal, , 

メソ気象モデル(WRF),エアロゾル化学輸送モデル(EMTACS)及び霧水沈着を考慮した精緻な地表面モデル(SOLVEG)を用いて、六甲山のスギ林における樹雨(霧が植物体に付着した後、やがて大粒の水滴となって樹冠下に滴下する現象)に伴う水・物質沈着について調べた。計算対象領域における気象場・濃度場及び霧水沈着量を再現するうえでは、それぞれのモデルを別個に用いるオフライン計算を実施した。WRFは、研究対象地域における水平風速や霧水量などの気象要素の時間変化の全体的な傾向を再現した。WRFの出力結果をSOLVEGの入力として用いた樹雨量の計算結果は、観測結果を過小評価した。この原因として、観測値には霧水の乱流鉛直混合による霧水沈着に加えて、エッジ効果に伴う沈着効果が影響していた可能性が示唆された。EMTACSによる大気中エアロゾル濃度と霧水中の酸性物質濃度の計算値を観測値と比較した。樹雨に伴う物質沈着量を高精度に推定するために、WRF-SOLVEG-EMTACSモデルの改良を進める必要がある。

口頭

Numerical study of fog deposition onto a mountainous forest using atmosphere, aerosol chemical transport, and land surface models; Estimation of water and matter deposition by fog deposition

堅田 元喜; 梶野 瑞王*; 平木 隆年*; 藍川 昌秀*; 小林 禧樹*; 永井 晴康

no journal, , 

植生への霧水沈着を考慮した精緻な地表面モデル(SOLVEG)を用いて、六甲山の山地森林への霧水沈着量を定量化した。SOVLEGを用いた計算に必要な入力データには、気象・エアロゾル化学輸送モデル(WRF/EMTACS)のオフライン結合計算で再現された気象・大気化学場の結果を利用した。SOLVEGによって計算された霧水沈着量は観測結果を過小評価し、モデルでは考慮されていない大気に露出した植物葉への霧粒の衝突(エッジ効果)が影響している可能性が示唆された。この影響を定量的に評価し、計算結果の妥当性を示したうえで、WRF/EMTACSによって予測された霧水中濃度とSOLVEGで計算した霧水沈着量から、霧水沈着に伴う大気汚染物質の林床への沈着量の推定を試みた。

口頭

Numerical study of fog deposition onto a mountainous forest using atmosphere, aerosol chemical transport, and land surface models; Chemical and physical properties of fog and aerosols

梶野 瑞王*; 堅田 元喜; 平木 隆年*; 藍川 昌秀*; 小林 禧樹*

no journal, , 

山岳森林への水・物質沈着量を予測するためには、霧とエアロゾルの化学・物理的性質を定量的に把握する必要がある。本研究では、領域気象モデル(WRF)とオフラインで結合した新しいエアロゾル化学輸送モデル(EMTACS)を用いて、六甲山地の斜面を上昇する霧イベントの再現を試みた。EMTACSは、霧とエアロゾルの化学組成や粒径分布に加えて、それらの混合状態の経時変化を計算できる特徴を持っており、エアロゾル-霧間の相互作用のダイナミクスを計算することができる。このモデルの性能を、六甲山地で取得された気象・大気質観測データを用いて検証するとともに、森林上の霧とエアロゾルの形成や酸性化の過程を数値的に調べた。

口頭

気象・エアロゾル化学輸送・霧水沈着モデルを用いた山岳森林への霧水沈着に関する数値的研究

堅田 元喜; 梶野 瑞王*; 平木 隆年*; 藍川 昌秀*; 小林 禧樹*; 永井 晴康

no journal, , 

植生への霧水沈着を考慮した地表面モデルSOLVEGを用いて、霧が頻発する六甲山地の森林への霧水沈着量を評価した。SOLVEGを用いた計算に必要な入力データを作成するために、気象・エアロゾル化学輸送モデルEMTACSのオフライン結合計算を実施した。WRFとEMTACSによって予測された風速,霧水量,大気中物質濃度、及び霧水中濃度が観測結果と定量的に一致した。これらのモデルの出力データをSOLVEGに入力し、霧水沈着量を推定した。計算された霧水沈着量は観測値を過小評価したが、モデルで考慮されていない大気に露出した植物葉への霧粒の衝突によるものと説明することによって、計算結果の妥当性を示した。本研究で得られた霧水量,霧水中物質濃度、及び霧水沈着量の計算値を用いて、霧水沈着による森林への物質沈着量を推定した。

口頭

気象研パッシブトレーサーモデル(MRI-PM)の開発

梶野 瑞王*; 出牛 真*; 眞木 貴史*; 青柳 曉典*; 五十嵐 康人*; 三上 正男*; 猪股 弥生*; 堅田 元喜

no journal, , 

気象研究所環境・応用気象研究部では、オフライン型の化学輸送モデル(MRI Integrated Passive-tracers Model)を開発している。このモデルは、扱う物質によってPM/c, PM/p, PM/rの3つに分かれている。PM/cは対流圏エアロゾル化学輸送モデルであり、58種の気体と39種のエアロゾルを扱う。PM/pは、残留性有機化合物の輸送モデルであり、16種のPAH(多環芳香族炭化水素)と1種のN-PAH(ニトロPAH)を考慮している。従来のPOPsモデルでは、POPs種ごとに輸送特性を与えてモデル化するが、PM/cで予測されたエアロゾルとの相互作用を考慮することにより、PM/pではPOPsの輸送特性をより現実的に考慮することができる。PM/rは、人工放射性核種の輸送モデルであり、原発事故で放出されるガス態のXe, I$$_{2}$$, CH$$_{3}$$Iと粒子態のI, Csを考慮している。本発表では、モデルの概要とそのパフォーマンスを示す。

口頭

Development of a sophisticated land surface model for impact assessments of aerosols on vegetation

堅田 元喜; 梶野 瑞王*; 永井 晴康

no journal, , 

東アジアにおける植生へのエアロゾル沈着量を評価するために、植生へのガス状・粒子状物質の乾性沈着過程を考慮した精緻な多層地表面モデル(SOLVEG)を日本の山地林に適用した。このモデルは、ガスの沈着量とエアロゾルの粒径別沈着量を各植生層で計算する。気象モデルと化学輸送モデルからの出力結果を用いて、SOLVEGによってSO$$_{2}$$, NH$$_{3}$$、及びエアロゾルの沈着速度を計算した。SOLVEGは、SO$$_{2}$$とNH$$_{3}$$の沈着速度の典型的な日変化パターン、すなわち日中の光合成に伴う沈着速度の増加を再現した。エアロゾルの粒径別の沈着速度の計算結果は、研究対象地域で林内雨法によって測定された観測結果と一致した。

口頭

Modeling fog chemistry and its deposition on a mountain forest in summer in Japan

梶野 瑞王*; 堅田 元喜; 平木 隆年*; 藍川 昌秀*; 小林 禧樹*; 植田 洋匡*

no journal, , 

1999年7月における六甲山地の森林への主要な大気汚染物質(SO$$_{4}^{2-}$$, NH$$_{4}^{+}$$, NO$$_{3}^{-}$$, Cl$$^{-}$$及びNa$$^{+}$$)の沈着経路を数値的に調べた。霧沈着を考慮し改良版WRFモデル(fog-WRF)と領域大気質モデル2(RAQM2)をシミュレーションに用いた。モデルの再現性能を確かめるために、霧水中の化学物質濃度の測定結果をモデルによる計算結果と比較した。計算期間中、大阪湾から六甲山に向かう南風によって湿潤な空気が流入し、夜間、高度400mを超える山岳の尾根に沿って凝結が起こっていた。シミュレーション結果から、HNO$$_{3}$$の高い沈着速度のために窒素の乾性沈着量は大きかったが、全般的に霧沈着が主要なメカニズムであることが示された。

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