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論文

Precise determination of $$^{12}_{Lambda}$$C level structure by $$gamma$$-ray spectroscopy

細見 健二; Ma, Y.*; 味村 周平*; 青木 香苗*; 大樂 誠司*; Fu, Y.*; 藤岡 宏之*; 二ツ川 健太*; 井元 済*; 垣口 豊*; et al.

Progress of Theoretical and Experimental Physics (Internet), 2015(8), p.081D01_1 - 081D01_8, 2015/08

 被引用回数:14 パーセンタイル:66.39(Physics, Multidisciplinary)

$$gamma$$線分光によって$$^{12}_{Lambda}$$Cハイパー核のレベル構造を精密に測定した。ゲルマニウム検出器群Hyperball2を用いて、$$^{12}$$C$$(pi^{+}, K^{+}gamma)$$反応からの4本の$$gamma$$線遷移を同定することに成功した。基底状態スピン二重項$$(2^{-}, 1^{-}_{1})$$のエネルギー間隔は直接遷移$$M1$$$$gamma$$線により、$$161.5pm0.3$$(stat)$$pm0.3$$(syst)keVと測定された。また、励起準位である$$1^{-}_{2}$$$$1^{-}_{3}$$について、それぞれ、$$2832pm3pm4$$, keVと$$6050pm8pm7$$, keVと励起エネルギーを決定した。これらの測定された$$^{12}_{Lambda}$$Cの励起エネルギーは反応分光による$$lambda$$ハイパー核の実験研究において決定的な基準となる。

論文

Heavy-ion microbeam system at JAEA-Takasaki for microbeam biology

舟山 知夫; 和田 成一*; 横田 裕一郎; 深本 花菜; 坂下 哲哉; 田口 光正; 柿崎 竹彦*; 浜田 信行*; 鈴木 芳代; 古澤 佳也*; et al.

Journal of Radiation Research, 49(1), p.71 - 82, 2008/01

 被引用回数:47 パーセンタイル:78.59(Biology)

近年の放射線生物研究領域では、細胞の低線量放射線応答機構や、放射線誘発バイスタンダー効果の分子機構,生物学的イオントラック構造などの解明が大きな課題となっているが、これらの問題の解決には、マイクロビームによる生物試料の局部照準照射が有効である。原子力機構高崎量子応用研究所の生物照射用重イオンマイクロビームシステムは、大気中でさまざまな生物試料に局部照準照射を実現することができるシステムである。このシステムは、放射線生物研究領域で課題となっているさまざまな生物応答現象の機構解明に役立つのみならず、生理学,発生学,神経生物学などの広範な生物領域における問題を解決することができるため、広く「マイクロビーム生物学」と呼べる研究領域の創成に貢献するだろう。

論文

Development of the irradiation method for the first instar silkworm larvae using locally targeted heavy-ion microbeam

深本 花菜; 白井 孝治*; 佐方 敏之*; 坂下 哲哉; 舟山 知夫; 浜田 信行*; 和田 成一*; 柿崎 竹彦; 志村 幸子*; 小林 泰彦; et al.

Journal of Radiation Research, 48(3), p.247 - 253, 2007/05

 被引用回数:17 パーセンタイル:47.71(Biology)

本研究では、これまで不可能だった孵化直後の蚕幼虫に対する重イオンビームの局所的な照射方法を新たに開発し、特徴的な皮膚形態の発現過程に介入することによって、発生・変態時における形質発現過程をラジオマイクロサージャリ技術を用いて解析することを可能にした。具体的には、幼虫の大きさの穴を開けた薄いアルミニウムプレート内に虫を入れ、上下をフィルムで挟むことによって固定し、体長約2mmの孵化直後幼虫の特定部位に重イオンマイクロビームを局部照射する方法を考案した。この方法を用いて、蚕の突然変異の一系統であるコブ突然変異個体のコブ形成予定領域に対して照射を行った。この幼虫は4齢頃になると斑紋部がコブ状に突出するが、孵化直後にはまだ形成していない。照射後の幼虫を飼育したところ炭素イオン250Gyの以上の線量で、半数以上の幼虫のコブが欠失した。また、120Gyでは5.6%の幼虫にのみコブの欠失が認められたことから、コブ欠失の閾値が120Gyと250Gyの間にあることが示唆された。今回新たに可能になった孵化幼虫への局部照射法は、発生・変態時におけるさまざまな組織を対象とした研究に役立つと考えられる。

論文

Regeneration mechanism of hemopoietic organs in the silkworm, ${it Bombyx mori}$, after heavy-ion irradiation; Analysis by transplantation of the irradiated organs using a transgenic silkworm strain

木口 憲爾*; 白井 孝治*; 佐方 敏之*; 深本 花菜; 柿崎 竹彦; 和田 成一*; 坂下 哲哉; 舟山 知夫; 浜田 信行*; 小林 泰彦

JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 117, 2007/02

これまでに、カイコ幼虫の造血器官に重イオンビームを照射して機能破壊すると、その後、高い確率で再生し再び血球を生成することを報告したが、そのメカニズムには不明な点が多い。造血器官の再生には、照射を免れた器官内の造血幹細胞,体液中を循環している造血幹細胞、あるいはその両方が関与する可能性がある。そこで、重イオン照射を受けた造血器官の再生に関与する血球の由来を明らかにするため、オワンクラゲ緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を組み込んだトランスジェニックカイコ体内への重イオン照射造血器官の移植実験を行った結果、重イオン照射造血器官の再生に体液中の循環血球が関与することが示唆された。

論文

Process of ${it in vivo}$ cyst formation from the implanted larval integument in the sweet potato hornworm, ${it Agrius convolvuli}$; A Simple model for studying wound healing

深本 花菜; 白井 孝治*; 佐藤 茂*; 金勝 廉介*; 木口 憲爾*; 小林 泰彦

Journal of Insect Biotechnology and Sericology, 75(3), p.99 - 106, 2006/10

昆虫の体内に、別の幼虫から採取した皮膚片を、真皮細胞層を外側にして半分に折りたたみ移植すると、その後移植された真皮細胞の端が互いに癒着し内側にクチクラを分泌して、シストと呼ばれる真皮細胞の球を形成する。エビガラスズメ幼虫を用いて、経時的にシスト形成過程を光学顕微鏡並びに電子顕微鏡観察し、真皮細胞の検出のためにeCBP(epidermal carotenoid binding protein)を、真皮細胞のDNA合成の検出にはBrdUを使用した結果、シスト形成は大きく分けて五つの過程を経ることが明らかになった。(1)まず移植直後に皮膚の切断面に血球が集まり、(2)その後、それらの血球が細胞塊を形成する。(3)さらに切断面付近だけではなく比較的広範囲にわたって真皮細胞がDNA合成を行い、(4)前述の細胞塊の間を縫うようにして伸張する。(5)最後に、互いに伸張することで断絶部分が閉塞した真皮細胞から、内側に向かってクチクラを分泌する。この一連のシスト形成過程は、観察が容易であることや比較的単純な系であることなどから、創傷の治癒機構、特にダメージを受けた領域を閉塞する真皮細胞の伸張を詳細に研究するうえで非常に有用であると考えられる。

論文

Effects of heavy-ion irradiation on the differentiation of epidermal cells in the silkworm, ${it Bombyx mori}$

深本 花菜; 志村 幸子*; 白井 孝治*; 金勝 廉介*; 木口 憲爾*; 坂下 哲哉; 舟山 知夫; 小林 泰彦

Journal of Insect Biotechnology and Sericology, 75(3), p.107 - 114, 2006/10

カイコ幼虫の真皮細胞に重粒子線を照射した後の分化過程への影響を調査した。5齢一日目のカイコ幼虫に400Gy相当の炭素イオンを照射しても形態上の変化は観察されず、TUNEL法によるアポトーシス細胞の検出頻度も対照と同程度であったが、成虫になると照射領域で鱗毛の欠失が生じた。光学顕微鏡及び電子顕微鏡による観察で、照射領域の真皮細胞は成虫のクチクラを正常に分泌できるが、成虫鱗毛を形成するための細胞(ソケット細胞,生鱗細胞)への分化抑制や、コブ形成阻害が観察された。これは照射後に真皮細胞の分裂が阻害されることによると考えられた。

報告書

窒化ホウ素超薄膜コーティングされたシリコンの耐酸化性テスト

下山 巖; 宮内 英夫*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 平尾 法恵*; 奥野 健二*

JAEA-Research 2006-039, 33 Pages, 2006/06

JAEA-Research-2006-039.pdf:2.98MB

窒化ホウ素(BN)は、優れた耐熱性,化学的安定性,負電子親和性などによりシリコンカソードのコーティング材料として注目を集めている材料の一つである。われわれは膜厚10nm以下の超薄膜BNコーティングによるシリコンの耐酸化性について調べるため、化学気相蒸着法を用い1$$sim$$2原子層のBN超薄膜をシリコン上にコーティングした。BNコーティングしたシリコンとBNコーティングしないシリコンの高温ドライ酸化の比較実験を行い、X線光電子分光法により表面の化学状態変化を調べた。その結果、400$$^{circ}$$C$$sim$$1000$$^{circ}$$Cの温度領域でBNコーティングしたSiは明瞭な熱酸化が観測されず、BNコーティングによって耐酸化性が極めて向上することが明らかになった。さらにわれわれは大気中での耐酸化性を調べるためBNコーティングしたSiを室温で数日間大気曝露させ、XPSで表面状態分析を行った。その結果自然酸化膜と同程度のシリコン酸化膜が形成されたことが明らかにされた。この結果によりBN超薄膜は高温でのドライ酸化に対しては優れた耐酸化性を示すが、大気中では抗酸化膜として十分機能しないことがわかった。

論文

Contribution of circulating hemocytes to the regeneration of heavy ion beams ($$^{12}$$C$$^{5+}$$) irradiated hematopoietic organs in the silkworm, ${it Bombyx mori}$, through the way of phagocytosis of injured cells after invasion

Ling, E.*; 白井 孝治*; 金勝 廉介*; 木口 憲爾*; 小林 泰彦; 舟山 知夫; 渡辺 宏*

Developmental and Comparative Immunology, 30(6), p.531 - 543, 2006/00

 被引用回数:13 パーセンタイル:54.26(Fisheries)

家蚕4齢幼虫の造血器官に重イオンビームを局部照射した後に組織を観察すると、照射個体の5齢初期では造血器官内の多くの細胞がネクローシス様の異常形態を示し、造血器官を包む無細胞性の被膜組織が消失するが、5齢後期では器官内部が再び多くの血球細胞で満たされ、造血器官が再生する。この現象を解明するため、蛍光マイクロビーズが異物として血液中の顆粒細胞に取り込まれる現象を利用して循環血液中の血球が損傷造血器官に侵入することを明らかにし、血液中の循環血球が造血器官の再生に関与している可能性を示した。

論文

Characterization of B-C-N hybrid prepared by ion implantation

下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; Nath, K. G.; 佐々木 政義*; 奥野 健二*

Journal of Vacuum Science and Technology A, 21(6), p.1843 - 1848, 2003/11

 被引用回数:6 パーセンタイル:28.14(Materials Science, Coatings & Films)

炭素同素体と窒化ホウ素(BN)の多形は互いに類似した結晶構造を持ち、そのハイブリッド化合物(B-C-Nハイブリッド)は新しい半導体材料となることが期待されている。しかしその合成方法は未だ十分確立されてはいない。われわれはイオン注入法によりB-C-Nハイブリッドの合成を試み、X線光電子分光法(XPS)を用いてその状態分析を行った。無機ベンゼンとして知られるボラジン(B$$_{3}$$N$$_{3}$$H$$_{6}$$)をイオン化し、得られるボラジンプラズマを3keVに加速してグラファイトにイオン注入を行った。得られた試料のXPSスペクトルはボラジンプラズマのドーズ量に依存して変化した。低ドーズにおいては、グラファイト表面にボラジンプラズマがイオン注入されることによりB-C, B-N, C-N結合に起因した光電子ピークが観測されたが、ドーズ量が増えるにつれグラファイト上にBNが堆積することによってB-N結合に起因した光電子ピークのみが観測された。これはグラファイト基板とBN薄膜との界面にB-C-Nハイブリッドが形成されたことを示している。

論文

イオンビーム局部照射による微細外科手術; カイコの造血器官・血球の機能解析への応用

小林 泰彦; 木口 憲爾*

Isotope News, (593), p.9 - 12, 2003/09

イオンビームは、直進性や深度制御性が優れているため、生物組織中の特定の細胞や組織・器官を不活性化させて発生・分化過程や形態形成過程への影響を調べるなど、薬剤投与や外科的処置に代わる新しい解析プローブとして応用できる。今回は、カイコ幼虫への重イオン局部照射による微細外科手術(ラジオマイクロサージャリ)で造血器官や血球の生理機能の解析を試みた最近の研究成果を紹介し、ラジオマイクロサージャリ技術が従来の外科的な組織摘出法に代わる有効な生体機能の解析手段となることを示す。

論文

Regeneration of hemopoietic organs in the silkworm, ${it bombyx mori}$, after locally targeted irradiation with heavy ion beams

Ling, E.*; 深本 花菜*; Xu, S.*; 白井 孝治*; 金勝 廉介*; 小林 泰彦; Tu, Z.; 舟山 知夫; 渡辺 宏; 木口 憲爾*

Journal of Insect Biotechnology and Sericology, 72(2), p.95 - 100, 2003/09

家蚕4齢幼虫の造血器官に重イオンビームを局部照射した後に組織を観察すると、照射個体の5齢初期では造血器官内の多くの細胞がネクローシス様の異常形態を示し、造血器官を包む無細胞性の被膜組織が消失するが、5齢後期では器官内部が再び多くの血球細胞で満たされる。これは、重イオン照射によって傷害を受けた造血器官がその後の発育過程で再生することを示している。

論文

Why does hemocyte density rise during the wandering stage of the silkworm, ${it bombyx mori}$?

Ling, E.*; 白井 孝治*; 金勝 廉介*; 小林 泰彦; Tu, Z.; 舟山 知夫; 渡辺 宏; 木口 憲爾*

Journal of Insect Biotechnology and Sericology, 72(2), p.101 - 109, 2003/09

家蚕の体液中の血球密度は、幼虫の生育ステージの進行にともなってドラスティックに変動する。熟蚕期に血球密度が急激に上昇して最大になり、続いて結繭期には減少する。この変動は、造血器官を局部的にイオン照射して機能破壊した幼虫や、4齢期に造血器官を外科的に摘出した幼虫においても認められる。この結果は、体内を循環する血球数の増加に関して、少なくとも熟蚕期には造血器官が重要な役割を担ってはいないことを示す。今回、蚕幼虫の血球数の変動に幼若ホルモンとエクダイソンが関与していることを明らかにし、また、体内を循環している血球の体細胞分裂が熟蚕期における血球密度の増加に不可欠であることを明らかにした。

論文

Irradiation effect of different heavy ions and track section on the silkworm ${it bombyx mori}$

Tu, Z.; 小林 泰彦; 木口 憲爾*; 渡辺 宏

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.591 - 595, 2003/05

われわれは原研高崎研究所に設置された重イオン照射装置を用いて、カイコのような小動物へのラジオサージャリー技術を確立した。今回、ヘリウムイオン($$^{4}$$He$$^{2+}$$, 12.5MeV/u, 水中飛程約1.5mm),炭素イオン($$^{12}$$C$$^{5+}$$, 18.3MeV/u, 水中飛程約1.1mm)及びネオンイオン($$^{20}$$Ne$$^{8+}$$, 17.5MeV/u, 水中飛程約0.6mm)など飛程の異なる3種の重イオンを家蚕(着色非休眠系統pnd pS)の幼虫に全体照射あるいは局部照射し、その生物影響の違いを調べるとともに、イオンの照射深度による生物影響も調査した。全体照射では、3種のイオン間に照射効果が明らかに異なり、飛程の長いものほど影響が大きいこと、局部照射では、存在部位の異なる標的組織・器官によってその影響が異なることが明らかになった。炭素イオンを用いてマイラーフィルム(厚さ100$$mu$$m)で覆うことにより照射深度を制御した場合は、真皮細胞がイオンの飛程末端までのどの部分で照射されるかによって、その鱗毛形成に障害を起こす程度が大きく変化することがわかった。イオンの照射深度を制御することにより、精確に標的組織・器官のみの機能破壊が可能である。

論文

Irradiation effect of different heavy ions and track section on the silkworm ${it bombyx mori}$

Tu, Z.; 小林 泰彦; 木口 憲爾*; 渡辺 宏

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206(1-4), p.591 - 595, 2003/05

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Instruments & Instrumentation)

熟蚕期のカイコ幼虫にHe(50MeV), C(220MeV)及びNe(350MeV)イオンを、全身に均一に、あるいは幼虫の頭部や翅原基,生殖腺などを局部的に照射し、生育への影響を調べた。その結果、成虫での複眼や触角,翅,鱗毛などの器官の欠失,造卵・造精機能の喪失など、照射部位に限定された影響が線量に応じて誘導されることがわかった。一方、照射部位以外への影響は見られなかった。また、照射イオンのエネルギーを制御することにより、深度方向への照射損傷の分布は、イオンの飛程と一致していた。すなわち、重イオンの照射部位とエネルギーすなわち打ち込み深度を制御することにより、体内の特定部分を狙った照射によって機能破壊するラジオサージャリ実験が可能である。

論文

Effects of heavy-ion radiosurgery on the hemopoietic function of the silkworm ${it bombyx mori}$

Tu, Z.; 小林 泰彦; 木口 憲爾*; 渡辺 宏; 山本 和生*

Journal of Radiation Research, 43(3), p.269 - 275, 2002/11

 被引用回数:11 パーセンタイル:32.13(Biology)

原研高崎研イオン照射研究施設(TIARA) に設置された生物用重イオン照射装置を利用し、重イオンビームの局部照射によるラジオサージャリー技術を用いてカイコの造血器官の機能解析を試みた。カイコ幼虫における血液中の血球密度の変動を調べた結果、非照射の対照蚕の5齢0日目から5齢3日目まで血液中の血球密度が発育に伴い徐々に上昇し、それ以降熟蚕期にかけて急上昇した。一方、4齢催眠期幼虫の造血器官に致死的線量の重イオンを局部照射した場合は、造血器官の機能のみが障害をうけ、5齢0日目から5齢3日目まで血球密度は変化しなかった。5齢4日目以降になって、血球密度の上昇が認められたが、対照蚕と比較すると低いレベルに留まった。一方の造血器官にのみ照射した場合、もう一方の造血器官による血球密度の補償作用は見られなかった。

論文

Applicability of radiosurgery with heavy ion beams to inactivate specific organs in living organisms

Tu, Z.; 小林 泰彦; 木口 憲爾*; 渡辺 宏

Radiation and Environmental Biophysics, 41(3), p.231 - 234, 2002/08

 被引用回数:5 パーセンタイル:16.72(Biology)

カイコ幼虫への重イオンの全体照射では、線量に比例して、結繭率,蛹化率,羽化率及び繭の形質に影響が認められた。それに対して、局部照射では、全体照射と比較し、生存率などへの影響は少なく、照射部位に限定してその器官の欠失が観察された。次に、カイコ幼虫の造血器官を狙って局部照射し、体内の特定の器官の機能だけを選択的に破壊できるかどうかを調べたところ、照射後に血液中の血球密度の明らかな抑制が観察され、また造血器官の機能障害が認められた。さらにイオン照射後には血中から消失し、ほとんど検出できなくなる血液タンパク質成分を発見した。このタンパク質は血球の生理機能と何らかの関連があると予想される。したがって、重イオン局部照射を用いたラジオサージャリー技術で特定の細胞・組織だけを破壊することにより、カイコのような小動物の生体機能を解析することが可能である。

論文

Fate mapping of the cellular blastoderm stage egg of the silkworm, ${{it Bombyx mori}}$, by localized irradiation of heavy ion microbeams

木口 憲爾*; 金城 雄*; 正橋 佳世子*; Tu, Z.; 田村 元*; 白井 孝*; 金勝 廉介*; 小林 泰彦; 田口 光正; 渡辺 宏

JAERI-Review 2000-024, TIARA Annual Report 1999, p.51 - 53, 2000/10

日本原子力研究所高崎研究所の細胞局部照射装置を利用して、家蚕の初期発生制御機構の解析を進めている。これまでの研究から、重イオンマイクロビームを細胞性胞胚期卵のさまざまな部位に照射すると、照射面積、線量及び照射部位に応じて、照射卵から孵化した幼虫の体節や付属肢等に欠失、重複、融合などの形態異常が生じることが判明している。そこで、照射部位と異常発生部位との対応関係を追求、発生研究の基礎となる発生予定原基分布図(fate-map)の作成を試みた。その結果、胚域の前極側から後極側に向かって頭部から尾部形成領域が順に配列している原基分布図が得られ、受精前のまだ核のない部位へのUVレーザー照射によって得られた原基分布図と、今回作成した細胞性胞胚期卵のそれを比較すると、概略一致するものの、いくつか相異する点があることが明らかになった。

論文

マイクロビームでミクロの外科手術; 発生生物学への応用

木口 憲爾*; 小林 泰彦

放射線と産業, (85), p.30 - 36, 2000/03

原研高崎研で開発された、重イオン照射によるラジオマイクロサージャリ技術を、カイコ受精卵及び幼虫の発生・分化研究に応用した。家蚕幼虫の造血器官存在部位を局部照射または全体照射し、血球の計数、血漿蛋白質の分析、遊離アミノ酸の測定などにより重イオン照射の影響を解析した。全体照射蚕の血球数は雌雄とも5齢起蚕から4日目までほとんど増加せず、熟蚕によりやや回復した。一方、造血器官存在部位のみへの局部照射によっても全体照射と同様の影響が認められ、造血器官存在部位への重イオン局部照射により、血球の機能解析が可能なことが示された。また、カイコ受精卵を炭素イオンマイクロビームで局部照射し、形態異常を誘導する臨界照射面積及び線量、照射部位と異常発生部位との対応関係、照射により損傷を受けた核・細胞の形態変化を調べ、細胞性胞胚期卵のさまざまな部位への局部照射によって誘起された胚子の形態異常の分布から、発生運命予定図(fate map)を作成した。

論文

Cell surgery applications of heavy ion microbeams

小林 泰彦; 田口 光正; 渡辺 宏; 山本 和生*; 山崎 修平*; Tu, Z. L.*; 金城 雄*; 木口 憲爾*

Proceedings of 11th International Congress of Radiation Research (ICRR-11), 2, p.182 - 186, 2000/00

生物に対するイオンビームの照射効果を詳細に解析するためには、従来のランダムな照射方法から脱却して細胞の特定部位に照準した局部照射による影響を明らかにする必要がある。また重イオンマイクロビームは特定の細胞への局部照射による細胞群の機能解析や胚原基マップ作成などの研究に応用できるほか、新しい細胞微細加工技術に発展する可能性を持っている。そのためわれわれは、アパーチャー系でコリメートした重イオンマイクロビームを大気中に取り出して顕微鏡観察下の生物試料に照射する装置を製作し、AVFサイクロトロンの垂直ビームラインに設置した。この生物用重イオンマイクロビームを用いて原研で進めている、カイコ発生初期卵に対する重イオン局部照射効果及びカイコ受精卵の発生過程の解析研究について概説する。

論文

Effects of heavy ion microbeams on embryogenesis in the silkworm, ${{it Bombyx mori}}$; Morphological changes of the nuclei and cells after spot irradiation

木口 憲爾*; 島 拓郎*; 金城 雄*; Tu, Z. L.*; 山崎 修平*; 小林 泰彦; 田口 光正; 渡辺 宏

JAERI-Review 99-025, TIARA Annual Report 1998, p.53 - 55, 1999/10

日本原子力研究所高崎研究所の細胞局部照射装置を用いてさまざまな生物の受精卵や胚子を重イオンで局部照射することによって、発生過程の解析が可能である。カイコは、その遺伝学的バックボーンや形態的・生理的な特徴から、この実験目的には理想的な材料の一つである。そこで、重イオン局部照射がカイコの初期発生過程に及ぼす影響を調べるために、受精直後の卵及び細胞性胞胚期卵に炭素イオンを局部照射し、照射された分裂核及び細胞の形態変化を観察したところ、照射を受けた分裂核は、その後分裂できずに肥大化し、その多くは正常に移動を続けて周辺細胞質に到達するが、一部は脱落して周囲の正常核と置換する場合があることがわかった。また受精直後卵を局部照射した場合は、発生した胚子には照射による影響が見られなかったのに対し、細胞性胞胚期卵への局部照射では、照射部位に対応した形態異常が胚子に誘導された。

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