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仁平 猛*; 岩田 忠夫*; 岩瀬 彰宏
JAERI-Research 2001-045, 33 Pages, 2001/11
KomatsuとNagamiyaによって提案された黒鉛の格子振動の半連続体モデルは、格子振動の分散関係を解析的に表すことに成功した唯一のもので、分散関係の表式には層面間距離弾性定数C,C,C,C,C及びがパラメータとして含まれている。ここで、は層面の曲げの弾性定数,は密度である。われわれは、これらのパラメータを温度の関数として取り扱うことにより、この半連続体モデルを改良する。以外のパラメータには既知の実験データ及びそれらから導いた関係を用いる。は、改良した半連続体モデルによる比熱の計算値を実験値に一致させることにより、温度の関数として求める。改良した半連続体モデルは、360K以下の広い温度範囲にわたって比熱の実験値をよく説明し、その温度範囲で熱伝導などの解析に用いることができる。は温度上昇とともに著しく減少するが、これはout-of-planeモード振動のsofteningが起こることを示す。比熱の実験曲線の温度による2階微分は格子振動の振動数分布についての情報を与える。低温比熱の解析から、Cの室温の値は0.41510dyn/cmであると確定される。
岩瀬 彰宏; 石川 法人; 岩田 忠夫*; 知見 康弘; 仁平 猛*
Physical Review B, 60(15), p.10811 - 10819, 1999/00
被引用回数:4 パーセンタイル:28.67(Materials Science, Multidisciplinary)熱分解黒鉛を35K以下で電子線照射し、磁気抵抗、ホール電圧を0-6Tの磁場下で、照射量の関数として測定した。測定結果をSimple Two Bandモデルを用いて解析し、以下のことがわかった。熱分解黒鉛の負の磁気抵抗は、電子に対してアクセプタとして働く格子欠陥、系の2次元性、欠陥によってブロードニングした2次元ランダウレベルの存在によって生じる。
岩瀬 彰宏; 岩田 忠夫; 仁平 猛*
日本物理学会誌, 48(4), p.274 - 278, 1993/04
タンデム加速器、及び、2MVVdG加速器を用いて行ったFCC金属の極低温照射実験によって得られた「金属のイオン照射損傷における電子励起効果」について解説する。主な内容は、(1)電子励起によるステージIの消滅と照射アニーリング、(2)電子励起による金属中の欠陥生成、である。
岩瀬 彰宏; 岩田 忠夫; 仁平 猛*
Journal of the Physical Society of Japan, 61(11), p.3878 - 3882, 1992/11
被引用回数:13 パーセンタイル:66.33(Physics, Multidisciplinary)イオン照射したCuとAgにおいて、格子欠陥が、弾性的相互作用だけではなく、電子励起によっても生成されることを見出した。電子励起による欠陥生成の断面積は、Cuの場合、電子的阻止能Seの1.7乗に、Agの場合、Seの1.5乗に比例する。これら、2乗に近い依存性は、電子励起によって+にチャージした原子同士のクーロン相互作用が、原子のはじき出しの原因になっていることを示唆するものである。
仁平 猛*; 岩田 忠夫
JAERI-M 92-099, 28 Pages, 1992/07
複合Simpson公式を積分の上下限が可変であるn次元積分に拡張した。この拡張はn次級数の漸化式によって示した。この方法により、n次元の積分に対し、Newton-Cotes式による計算構造を明らかにした。その結果、Newton-cotes式に対応する求積式が容易に組み立てられるようになった。若干の計算例を示し、2次元および3次元積分に対する誤差の評価を誤差項を用いて記述した。
岩瀬 彰宏; 岩田 忠夫; 仁平 猛*; 佐々木 茂美
Mater. Sci. Forum, 97-99, p.605 - 614, 1992/00
FCC金属(Al,Cu,Ag,Ni,Pt)を0.5-126MeVの各種イオンで10K以下において照射し、300Kまでのアニール実験を行った。低エネルギーイオン(≦1MeV)照射の場合は、いづれの金属においても、ステージIにおける照射欠陥回復量はPKAエネルギーによってよくスケールされる。一方、高エネルギーイオン(~100MeV)照射したNi,Ptでは、ステージIの著しい減少、あるいは消失が起こり、さらにこの現象は電子的阻止能と大きく関連している。Cu,Agではこのような異常は見られない。以上の結果は次のように説明できる;Ni,Ptの場合、高エネルギイオン照射によって高密度励起された電子のエネルギーが強い電子-格子相互作用を通じて格子系に伝達され、ステージI欠陥の消滅をもたらす。一方、Cu,Agでは電子-格子相互作用が弱いため、照射中のステージI欠陥の消滅は専ら弾性的相互作用によって支配される。
岩瀬 彰宏; 岩田 忠夫; 仁平 猛*; 佐々木 茂美
Radiat. Eff. Defects Solids, 124(1), p.117 - 126, 1992/00
極低温で高エネルギー重イオン照射したFCC金属において現れる特異な実験結果(ステージIの消失、照射アニーリング断面積の異常に大きな値)について述べ、これらの現象が電子的阻止能や電子格子相互作用の大きさと大きく関連していることから、イオンによって励起された電子のエネルギーが格子に伝達されて照射アニーリングを増大させた結果であると結論した。
岩瀬 彰宏; 正木 典夫; 岩田 忠夫; 仁平 猛*
Mat. Res. Soc. Symp. Proc., Vol. 209, p.847 - 851, 1991/00
77.3KにおけるYBaCuO酸化物超伝導体の電流-電圧特性、及びその120MeV酸素イオン照射効果を測定した。電流I、電圧V、イオン照射量の間には以下のような関係がみいだされた。log(V/V)=log(I/I)log(/)定数、V、Iは試料に大きく依存するが、は試料によらず、ほぼ一定である。さらに電流の大きい領域でもlog(I)-log(V)カーブは別々の直線にのることも判った。これは熱励起した磁束対がトラッピングされていることを示唆するものである。
岩瀬 彰宏; 正木 典夫; 岩田 忠夫; 仁平 猛*
Physica C, 174, p.321 - 328, 1991/00
被引用回数:8 パーセンタイル:51.35(Physics, Applied)酸化物超伝導導体YBaCuOの77.3Kにおける非オーミックな電気抵抗特性の高エネルギーイオン照射効果を調べた。測定電流の小さい時、電圧Vは電流I、及びイオン照射量の関数として巾乗則に従う。すなわちV~I、V~のの形で変化する。ここでn,mはそれぞれイオン照射量、測定電流の関数である。電流が大きくなると電圧Vはまた別の巾乗則V~Iに従う。ここでnはnより小さな値となる。実験結果は、熱励起された磁束量子対の電流誘起解離のモデルを用いて解析した。その結果、イオン照射により、量子対間の相互作用が弱められて、対の解離が促進されることが判った。
岩瀬 彰宏; 正木 典夫; 岩田 忠夫; 仁平 猛*
Japanese Journal of Applied Physics, 29(10), p.L1810 - L1812, 1990/10
被引用回数:3 パーセンタイル:24.18(Physics, Applied)YBaCuOの電流-電圧特性における120MeVOイオン照射効果を77.3Kで測定した。電流-電圧特性、イオン照射量の関数としての電圧、の両者とも同じようなべき乗則に従い、それぞれV , V となることが判った。実験結果は熱的に励起された磁束量子対の、電流による解離に基づいて議論した。
岩瀬 彰宏; 岩田 忠夫; 佐々木 茂美; 仁平 猛*
Journal of the Physical Society of Japan, 59(4), p.1451 - 1457, 1990/04
被引用回数:12 パーセンタイル:67.54(Physics, Multidisciplinary)あらかじめ簡単な欠陥をドープしたNi、Cuにおける100MeV Iイオンによる照射アニーリングについて、10k以下での損傷生成率の測定により調べた。実験結果は複数の種類の欠陥の生成・消滅を記述した新しいモデルを用いて解析した。その結果NiにおいてはステージIの熱アニーリングに相当する欠陥の消滅が照射中に起こり、その消滅断面積は6.510~1.410cmであった。一方Cuにおいては、ステージIアニーリングに相当する欠陥の照射中における消滅断面積は4.610cmであった。Cuに比べてNiにおける照射アニーリングが大きく現われるのは、原子格子相互作用を通じて、イオンによって励起された電子のエネルギーが格子系に伝わり、照射アニーリングに寄与したものである、と結論した。
岩瀬 彰宏; 渡辺 光男; 岩田 忠夫; 仁平 猛*
Japanese Journal of Applied Physics, 28(11), p.L1939 - L1941, 1989/11
被引用回数:14 パーセンタイル:61.08(Physics, Applied)酸化物超伝導体Bi-Pb-Sr-Ca-Cu-Oを液体チッソ温度において120MeVのOイオンで3.510/cmまで照射した。転移温度と臨界電流はイオン照射量の増加に伴い減少した。照射後の300kまでのアニーリングにより、転移温度と臨界電流は回復したが、100k以上における電気抵抗の回復はみられなかった。
岩瀬 彰宏; 正木 典夫; 岩田 忠夫; 仁平 猛*; 佐々木 茂美
Japanese Journal of Applied Physics, 27(11), p.L2071 - L2074, 1988/11
被引用回数:14 パーセンタイル:60.45(Physics, Applied)YBaCuOとLaSrCuOを低温において120MeVOイオンで照射した。照射量はYBaCuOに対して1.610/cm、LaSrCuOに対して2.410/cmである。YBaCuO、LaSrCuO共に酸素イオンの照射量の増加に対して転移温度Tcは減少し、常伝導における抵抗値は増加した。また低温照射後に300Kまで昇温する過程において、YBaCuOでは160K付近から電気抵抗が回復することがみいだされた。この回復に伴いTcも78Kから81Kまで回復した。LaSrCuOではこのような回復はみいだされなかった。
岩瀬 彰宏; 佐々木 茂美; 岩田 忠夫; 仁平 猛*
Journal of Nuclear Materials, 155-157, p.1188 - 1191, 1988/00
被引用回数:18 パーセンタイル:82.82(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉第一壁材料の候補材料であるステンレススチールの主要成分であるNiを液体He温度において84120MeVのC、F、Si、Cl、Br、Iイオンで照射し、損傷生成率、及び損傷の飽和過程を測定した。
岩瀬 彰宏; 佐々木 茂美; 岩田 忠夫; 仁平 猛*
Physical Review Letters, 58(23), p.2450 - 2453, 1987/00
被引用回数:120 パーセンタイル:95.43(Physics, Multidisciplinary)100120MeVのSi,Cl,Br,Iを低温(≦10K)で照射したNiにおいて、スラージIの四復が異常に小さくなる、又は消失することが発見された。この現象は、従来の弾性衝突による照射損傷生成やラジエーションアニーリングの理論の枠内では、説明することができない。ステージIの減少の大きさが、エレクトロニックストッピングパワーと密接に関係することからこの現象は高エネルギー重イオンのエネルギーの内、電子の高密度励起に使われたエネルギーが電子格子相互作用により格子系に有効に伝達され、その結果イオンのパスに沿っての格子の実効的温度が局所的に上昇してフレンケル対の対消滅が起こったためであることがあきらかになった。