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木田 徹也*; 重住 和也*; Mannan, M. A.*; 秋山 守人*; 馬場 祐治; 永野 正光*
Vacuum, 83(8), p.1143 - 1146, 2009/05
被引用回数:15 パーセンタイル:51.75(Materials Science, Multidisciplinary)ホウ素-炭素-窒素から成る薄膜(BCN薄膜)は新しい電子材料として注目されている。本研究では、粉末状のトリメチルアミンボラン(CHNB)を原料として、プラズマ誘起化学蒸着法(PECVD)により、シリコン基板上にホウ素-炭素-窒素から成る薄膜の合成を試みた。特に薄膜生成におけるキャリアーガスの種類と高周波の出力の影響を詳細に検討した。電界放出走査型電子顕微鏡により観察した結果、得られた薄膜は直径が20ナノメートル、長さが200ナノメートルのファイバー状であることがわかった。またフーリエ変換赤外分光法測定の結果、薄膜は多様な結合状態、すなわち、C-N, B-N, B-C結合を持つとともに、不純物酸素が取り込まれたB-O結合も持つことがわかった。これらの酸素は、粉末状の試料をモレキュラーシーブと混ぜることにより、水分が除去された結果、大幅に減少することがわかった。以上の結果から、BCN薄膜合成の最適条件を明らかにした。
Mannan, M. A.*; 永野 正光*; 重住 和也*; 木田 徹也*; 平尾 法恵*; 馬場 祐治
American Journal of Applied Sciences, 5(6), p.736 - 741, 2008/00
ホウ素,炭素,窒素を含む有機分子であるトリメチルアミンボランを原料物質として用いた高周波プラズマ誘起気相化学蒸着法により、シリコン単結晶基板上に4ミクロンの厚みのホウ素-炭素-窒素薄膜(BCN薄膜)を作成し、その構造を調べた。作成したBCN薄膜とシリコン基板の密着性は極めて良好で、試料を機械的に破壊したのちでもBCN薄膜はシリコン基板表面に強固に結合していることがわかった。X線回折及び電界放出走査型電子顕微鏡の測定結果によれば、作成したBCN薄膜は非晶質であり、不均一なミクロ構造を持つ。また、フーリエ変換赤外分光スペクトルの測定結果は、BCN薄膜が六方晶構造をとることを示唆した。さらに、X線光電子分光法によりB 1s, C 1s, N 1s光電子ピークを詳細に測定した結果、B, C, N原子はさまざまな結合状態、すなわちB-N結合,B-C結合,C-N結合をとることがわかり、これらの割合を定量的に解析しBCN薄膜の結合状態を明らかにした。
下山 巖; 重住 和也*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 平尾 法恵*; 永野 正光*
JAEA-Research 2006-021, 34 Pages, 2006/06
ホウ素,炭素,窒素からなる二次元薄膜(B-C-Nハイブリッド薄膜)は新奇半導体超薄膜材料として注目されているが、その合成方法はまだ十分確立されていない。われわれは極低エネルギーイオンビーム蒸着法(IBD)を用いてB-C-Nハイブリッド薄膜合成を試みた。イオンビームの前駆体としてボラジン(BNH),トリアジン(CNH),ベンゼン(CH)の3つの芳香族分子を用い、これらの分子の比率を変えた幾つかの混合ガスにより作成した薄膜のキャラクタリゼーションをX線光電子分光法(XPS)により行った。B1s, C1s, N1s光電子ピークの解析により薄膜の組成、及び結合状態は混合ガスの成分に大きく依存することが明らかにされ、ボラジンとベンゼンの混合ガスを用いた場合B, C、及びNがそれぞれ結合を形成したのに対し、トリアジンが含まれた他の混合ガスではBとCの結合があまり形成されないことがわかった。この結果は各分子のトリアジンとボラジンの粘性率の違いにより薄膜が層状構造をとることによると考えられる。これによりわれわれは上記の分子による混合ガスではボラジンとベンゼンの混合ガスを用いたIBDがB-C-Nハイブリッド合成に最も適していると結論した。