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武田 哲明
エネルギーの外部性と原子力, p.231 - 241, 2006/09
日本の一次エネルギーと水素エネルギー需給,高温ガス炉を用いた水素製造技術開発の現状,今後の水素社会への原子力水素の導入の可能性,導入時期等を概説した。原子力機構では、高温工学試験研究炉を用いて、2004年4月に原子炉出口冷却材温度950Cを世界で初めて達成し、これにより、熱化学法ISプロセスによる水素製造に必要な温度を達成したこと、一方、水素製造技術に関しては、2003年8月にベンチスケール規模のISプロセスで6.5時間の連続水素製造に世界で初めて成功し、ヨウ素反応制御及びプロセス制御方式を新たに考案して、2004年6月に約1週間に渡る毎時30リットル規模の連続水素製造に成功したこと等から高温ガス炉による水素製造の実現に向けて大きく前進し、着実に技術開発が進められている。水素需給については、2020, 2030年頃までは、水素ステーションでの水素製造や、製鉄所等の副生水素で十分賄えると言われているが、それ以降、さらに水素需要が増加するようであれば、新たな大量水素製造プラントが必要になると考えられ、20202030年以降が、高温ガス炉による水素製造システムを実用化する時期の一つの目安であると考えられる。
篠田 佳彦
エネルギーの外部性と原子力, p.219 - 230, 2006/09
2002年4月から2006年3月までの日本原子力学会「原子力エネルギーの外部性」研究専門委員会の2期4年間の活動をもとに報告書をまとめている。この文章は、その報告書の中の5.3章「高速炉と燃料サイクル」として、記述したものである。ここでは、実用化戦略調査研究の中で実施した高速炉と燃料サイクルの候補技術概念選定について述べている。多基準分析と費用便益分析を適用して構築した評価手法によって、種々の候補技術概念を比較評価し、数点の概念に絞り込んでいる。
高橋 祥次*; 柳澤 和章
エネルギーの外部性と原子力, p.271 - 284, 2006/09
原子力研究開発において、単にピアレビューに留まらない社会・経済的評価を行うことの要請が喫緊の課題となっている。社会・経済的評価を実施する場合に、(1)効果の内容と把握の方法(これには、(a)経済への効果,(b)国民生活への効果及び(c)コミュニティへの効果が含まれる),(2)時の経過の視点,(3)比較可能性の3つの視点があることを説明し、基本的考え方を紹介している。評価の実例として、原子力機構における社会・経済的評価の経済的評価の試みが紹介されている。