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千崎 雅生
電気協会報, (1039), p.26 - 29, 2011/06
2010年4月の核セキュリティ・サミットにおいて日本政府は、核セキュリティ対策にかかわる支援を制度化し、恒常的なものとするため、アジア諸国をはじめとするグローバルな核セキュリティ体制強化に貢献するための「核不拡散・核セキュリティ総合支援センター」(以下、「総合支援センター」)を日本原子力研究開発機構に設置する旨表明した。これは、2008年7月のG8洞爺湖サミットにおいて、日本が3S、すなわち保障措置(Safeguard/nonproliferation),原子力安全(Nuclear Safety),核セキュリティ(Nuclear Security)に立脚した原子力エネルギー基盤整備に関する国際イニシアティブを開始することを提案したことに始まる。原子力に対する3S確保の重要性はますます高まっている。北朝鮮による核兵器の拡散や核テロの現実化といった懸念等は、原子力発電の深刻な事故と同じく国際社会にとって大変な脅威であり、その対策として核不拡散・核セキュリティの確保は、原子力安全とともに極めて重要である。かかる認識のもとで、総合支援センターは、核不拡散・核セキュリティ分野についてアジアを中心とした原子力新興国の支援を行うために、対象国のニーズを十分に把握し、日本政府,国内の関係機関、またIAEAをはじめ、EU,アメリカ,韓国など関係国と十分な連携を取りつつ、総合的な取組を行い、国際拠点としてふさわしい事業を今後展開していく。本稿では、総合支援センターの設置及びその活動について紹介する。
川崎 弘嗣; 青山 卓史; 佐久間 祐一
電気協会報, (1030), p.12 - 17, 2010/10
日本のエネルギー需給はほとんどが輸入に頼っていること、温室効果ガスの削減目標の提示など、エネルギー・環境問題の対応が迫られている中で、原子力の果たす役割は大きい。原子力機構の取組んでいるFBRサイクルシステムの開発は、エネルギー安定供給や温室効果ガスの問題を同時に解決できる発電システムであり、持続可能なエネルギーシステムといえる。これまで高速実験炉「常陽」や高速増殖原型炉「もんじゅ」の設計,建設,運転を通してFBR実用化に向けた研究開発を着実に進めている。本年5月には「もんじゅ」の運転が再開された。そこで、高速増殖炉の開発意義や「常陽」,「もんじゅ」、そして実用化研究開発(FaCTプロジェクト)の現状について紹介する。
玉田 正男
電気協会報, (1024), p.30 - 33, 2010/03
海水中には鉱山ウランの1,000倍量のウラン資源が存在するが、その濃度は3ppbと極めて低い。放射線グラフト重合法により、接ぎ木のようにアミドキシム基をポリエチレン基材に導入してウラン捕集材を合成した。青森県むつ関根浜沖合で海域試験を行い、布状の捕集材を積層した捕集材を吸着床に充填して、1kgのウランをイエローケーキとして回収することに成功した。沖縄県恩納村沖合では、海底から垂直に立ち上げ係留可能なモール状捕集材を係留し、30日の海水への浸漬で1.5g-U/kg-捕集材の性能が達成されている。年間1200tの規模の捕集によるコスト試算では、モール状捕集材が18回繰り返して使用できた場合、ウランのコストは週間スポット価格の2倍程度の2.5万円となる。
塩沢 周策; 小貫 薫; 稲垣 嘉之
電気協会報, (1005), p.18 - 21, 2008/08
化石燃料の枯渇,地球温暖化等の対策として脱化石燃料が叫ばれ、原子力の利用が注目されている。その中で、現在発電のみに限られている原子力エネルギー利用を熱利用の分野に拡大すべきとの観点から、高温ガス炉を利用した水素製造技術の開発の必要性を論ずるとともに、技術開発現状を紹介した。
柴沼 清
電気協会報, (925), p.20 - 23, 2001/11
平成11年9月末に発生したJCO臨界事故では、放射線レベルが高く、事故現場への人のアクセスが困難であった。事故現場の状況についての情報が不十分で、事故の収拾を大幅に遅らせた。このJCO事故のように、原子力施設で事故が発生し、放射線により人がアクセスできない場合、事故を出来るだけ早く収拾するために、事故現場に侵入し、情報収集や事故拡大防止・停止処理作業を行うロボットの開発が必要となる。これらの背景の下に、核融合炉用保守ロボットの開発を通して蓄積されたロボット技術及び耐放射線技術の知見と経験を生かして、高い放射線環境下においても、人に代わって情報収集や作業を行うことができる耐放射線性に優れたロボットの開発を行った。本稿では、開発の背景及びロボットの特徴等を中心にその概要を述べる。