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星野 毅; 安本 勝*; 土谷 邦彦; 林 君夫; 西村 秀俊*; 鈴木 晶大*; 寺井 隆幸*
Fusion Engineering and Design, 81(1-7), p.555 - 559, 2006/02
被引用回数:19 パーセンタイル:77.36(Nuclear Science & Technology)核融合炉ブランケット用トリチウム増殖材料の第1候補材料であるチタン酸リチウム(LiTiO)は、高温領域でLiの蒸気圧が高いことが知られているが、さまざまな雰囲気中における確立したデータは存在しない。そこで、トリチウム回収の際の使用候補となる各種スイープガス雰囲気中における蒸発蒸気種の平衡蒸気圧を測定し、スイープガス組成によるLiTiOの蒸発特性への影響を調べた。スイープガス中に水素または水蒸気を添加した結果、Liを含む蒸気種の蒸気圧は、添加しない場合と比較し、約一桁高くなることがわかった。また、Liの平衡蒸気圧の温度依存性を調べた結果、Liの蒸発が始まる温度は、水素または水蒸気を添加したスイープガス雰囲気中においては約973K、真空または酸素を添加した雰囲気中においては約1273Kであることが明らかとなった。さらに、測定後の試料を観察した結果、水素雰囲気中にて測定した試料は白色から深青色と変化し、還元反応による構造変化も起きることがわかった。
土谷 邦彦; 河村 弘; 田中 知*
Fusion Engineering and Design, 81(8-14), p.1065 - 1069, 2006/02
被引用回数:11 パーセンタイル:60.07(Nuclear Science & Technology)核融合炉ブランケットには、燃料であるトリチウムを造るためにリチウム含有セラミックスが微小球形状(直径0.32mm)として充填される。この微小球の各種特性(物理・化学的特性,熱的特性,機械的特性,照射特性等)を把握することは、ブランケットを設計するうえで必要不可欠である。このため、ヘルツの公式を用いて、YTZ(高強度ジルコニア)ボール及びLiTiO微小球の接触応力を求め、微小球の圧潰特性を評価した。直径の異なるYTZボールの最大接触圧力の評価を行った結果、球面と半無限平板の接触として取扱うことにより、セラミックス材料でも本公式で評価可能であることがわかった。次に、リチウム含有セラミックスである理論密度8085%TDの直径の異なるLiTiO微小球を評価した結果、接触応力は約6,0008,000N/mmの範囲であり、微小球直径にかかわらず、ほぼ一定であることがわかった。また、製造法の異なるカナダ製LiTiO微小球の最大接触圧力も同じであること,Li同位体比の違いによる最大接触圧力の違いもないこと等が明らかになった。
佐藤 聡; Verzilov, Y. M.; 落合 謙太郎; 中尾 誠*; 和田 政行*; 久保田 直義; 近藤 恵太郎; 山内 通則*; 西谷 健夫
Fusion Engineering and Design, 81(8-14), p.1183 - 1193, 2006/02
被引用回数:19 パーセンタイル:77.36(Nuclear Science & Technology)原研FNSでは、発電実証ブランケット開発に向けて、中性子工学実験を行っている。おもに、ブランケットモックアップ積分実験によるトリチウム生成率検証,クリーンベンチマークベリリウム積分実験,トリチウム生成率測定手法の国際比較を行ってきた。現在、タングステン,低放射化フェライト鋼,水,チタン酸リチウム,ベリリウムから成る試験体を用いて、ブランケットモックアップ積分実験を行っている。5, 12.6, 25.2mm厚のタングステンアーマを設置することにより、積算したトリチウム生成量は、アーマ無しの場合と比較して、約2, 3, 6%減少することを確認した。原研が進めているブランケット設計では、トリチウム増殖率の減少は2%以下と予測され、許容範囲である。反射体無しの実験では、モンテカルロコードによる積算したトリチウム生成量の計算値は、実験値と比較して4%以内で一致しており、高精度にトリチウム生成量を予測できることを明らかにした。クリーンベンチマークベリリウム積分実験では、厚さ約30cmの体系において、放射化箔やペレットによる各種反応率の計算結果は、実験結果と10%以内で一致することを明らかにした。
Olivares, R.*; 小田 卓司*; 大矢 恭久*; 田中 知*; 土谷 邦彦
Fusion Engineering and Design, 75-79, p.765 - 768, 2005/11
被引用回数:9 パーセンタイル:52.95(Nuclear Science & Technology)チタン酸リチウム(LiTiO)は、核融合炉ブランケット用トリチウム増殖材の第1候補材として有望視されている。LiTiOからのトリチウム放出挙動を把握するため、表面における水素同位体の状態や水分の吸脱着特性を明らかにする必要がある。このため、LiTiO表面での水分吸脱着特性,水素同位体の化学状態及び表面の酸化還元状態を調べた。その結果、前処理を施していない試料に対してArスパッタリングを行ったLiTiO表面は、LiとOが選択的にスパッタされ、Li組成比の減少,TiのTiへの還元が観察された。その後の加熱実験では、473K以上の温度からTiの酸化及びLi空孔の回復が起こり、673Kで完全になる。一方、加熱後の水蒸気曝露により、水は解離吸着した。以上より、LiTiO表面のLi及びOの空孔は、HOの吸着を起こすこと、LiTiO表面はTiOに近い状態であることがわかった。
星野 毅; 土谷 邦彦; 林 君夫; 寺井 隆幸*; 田中 知*; 高橋 洋一*
Fusion Engineering and Design, 75-79, p.939 - 943, 2005/11
被引用回数:13 パーセンタイル:65.32(Nuclear Science & Technology)核融合炉ブランケット用トリチウム増殖材料の第1候補材料であるチタン酸リチウム(LiTiO)は、良好なトリチウム放出特性を維持するために高温使用時における結晶粒の成長を抑制すること,水素雰囲気で使用されることに伴う構造変化への影響が少ないことが必要とされている。本研究では、結晶粒成長抑制材としての効果を示した酸化物(ZrO, CaO, ScO)を添加したLiTiOの結晶構造をエックス線回折測定にて解析するとともに、熱天秤を用い、水素雰囲気中におけるLiTiOの非化学量論性を調べた。LiTiOに酸化物を添加することにより、CaO添加はLiTiO+CaTiO、ZrO添加はLiTiO+ZrOの二相混合物となり、ScO添加はLiTiScOの単一相となることを明らかにした。さらに、これらの試料は水素雰囲気中では還元され、酸素欠陥による重量減少がみられた。各試料の1mol あたりの酸素欠損量はCaO添加無添加ZrO添加ScO添加の順となり、酸化物の添加はLiTiOの結晶粒成長を抑制するだけでなく、水素雰囲気中における酸素の欠損量にも大きな影響を与えることを解明した。
土谷 邦彦; 河村 弘; 高山 智生*; 加藤 茂*
Journal of Nuclear Materials, 345(2-3), p.239 - 244, 2005/10
被引用回数:38 パーセンタイル:90.97(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉ブランケットで用いられるトリチウム増殖材として、取扱いの容易さ,トリチウム放出特性等の観点からリチウムタイタネイト(LiTiO)微小球が有望視されている。一方、微小球充填率の向上等から、大小2種類の直径を有するLiTiO微小球が求められている。そのため、間接湿式法のうち、脱水型ゲル化法及び置換型ゲル化法を考案し、LiTiO微小球の製造試験を行った。その結果、焼結後の微小球の直径を0.22.0mmに制御することができた。また、製造目標値である焼結密度8085%T.D.及び結晶粒径5m以下であるとともに、化学形,化学分析値等の特性も十分満足できる結果となった。以上より、JMTRで実施する照射試験用LiTiO微小球の製造に見通しが得られた。
長谷川 晃*; 土谷 邦彦; 石塚 悦男
日本原子力学会誌, 47(8), p.536 - 544, 2005/08
本講座は、核融合以外の分野の方々に核融合開発の現状と今後の展望について理解を深めてもらうために、原子力学会誌に連載されるものである。本原稿では、「第7章 核融合炉を成立させる最適な材料」のうち、トリチウム増殖材料及び中性子増倍材料について記載する。
Alvani, C.*; Casadio, S.*; Contini, V.*; Giorgi, R.*; Mancini, M. R.*; 土谷 邦彦; 河村 弘
JAERI-Review 2005-024, 28 Pages, 2005/07
本報告書は、国際エネルギー機関(IEA)の「核融合炉工学に関する協力研究協定」に基づいて実施した固体増殖ブランケット開発に関するサブタスクグループの成果をレビューした報告書である。このサブタスクグループ(タスクF及びWG-F)は、欧州と日本の間で2000年から2004年に行われ、熱化学環境下での水素とチタン酸リチウム(LiTiO)との反応におけるリチウム減損効果について研究を行った。
那須 昭一*; 永田 晋二*; 吉井 樹一郎*; 高廣 克己*; 菊地 直人*; 草野 英二*; Moto, Shintaro*; 山口 貞衛*; 大橋 憲太郎*; 野田 健治; et al.
粉体および粉末冶金, 52(6), p.427 - 429, 2005/06
酸化リチウムは核融合炉のトリチウム増殖材料の候補材料である。表面をアルミニウム,シリコン又はチタンの保護膜で覆った酸化リチウム単結晶とその上につけたタングステン膜との化学的両立性をラザホード後方散乱法より調べた。保護膜のない酸化リチウムでは573Kで1分及び623-673Kで1分の加熱でタングステンとの化学反応が見られた。一方、保護膜をつけた酸化リチウムでは、すべての試料について、573Kにおける1分の加熱で少量のタングステンが保護膜や酸化リチウム中へ拡散することが見られたが、その後の623Kから723Kの加熱において顕著な拡散は見られなかった。このことから、アルミニウム,シリコン又はチタン保護膜は酸化リチウムをタングステンとの反応から保護するために有用であると考えられる。
山脇 道夫*; 河村 弘; 土谷 邦彦
セラミックス, 39(10), p.843 - 848, 2004/10
未来のエネルギー源である「地上の太陽」核融合炉の実現のために、燃料であるトリチウムが必要である。このため、トリチウム増殖材料として、リチウムを含んだセラミックス材料(リチウム含有セラミックス)を核融合炉ブランケット内に装荷し、リチウムと中性子との核反応により、トリチウムを生産する。この材料は、Liの個数密度が高くかつ生じたトリチウムが容易に放出・回収できる特性が要求され、LiO, LiTiO等のような酸化物が候補材料として研究開発されている。加えて、核融合炉の燃料サイクルを考えた場合、安全管理の観点から、配管構造壁からのトリチウムの透過漏洩を抑制するために、難透過性の材料(セラミックコーティング)の研究開発が必要となる。本解説は、核融合炉におけるトリチウム増殖材料とトリチウム透過防止用被覆の研究開発の現状についてまとめたものである。
星野 毅; 小林 剛*; 梨本 誠*; 河村 弘; 土器屋 正之*; 寺井 隆幸*; 山脇 道夫*; 高橋 洋一*
JAERI-Conf 2004-012, p.140 - 147, 2004/07
チタン酸リチウム(LiTiO)は、良好なトリチウム回収特性等の観点より、核融合炉ブランケット用トリチウム増殖材料として期待されている。核融合炉で発生した熱はブランケット内の冷却材へ伝達されることから、トリチウム増殖材料の熱物性を把握することは、核融合炉の設計に必要不可欠である。しかしながら、高温保持による粒成長抑制の面からLiO/TiOの組成比を変化させたLiTiOの使用が検討されているが、この組成の熱容量,熱伝導率等は、正確に確立されていない。本研究では、LiTiOについて、LiO/TiOの組成比(1.000.80)による熱物性への影響について調べた。1100Kまでの熱伝導率を評価した結果、LiO/TiOの組成比の減少とともに熱伝導率が低くなること,700K以上では熱伝導率が理論式から算出した値よりも小さくなることを明らかにした。また、熱天秤を用いた重量変化測定及びX線回折により、LiO/TiO比の減少とともに不定比性化合物へと変化すること,LiTiOの第2相が生成することがわかり、この構造変化がLiTiOの熱物性データに大きく影響を与えることを解明した。
Ryan, O.*; 小田 卓司*; 大矢 恭久*; 田中 知*; 土谷 邦彦
JAERI-Conf 2004-012, p.136 - 139, 2004/07
チタン酸リチウム(LiTiO)は、核融合炉ブランケット用トリチウム増殖材の第1候補材として有望視されている。LiTiOからのトリチウム放出挙動を把握するため、表面における水素同位体の状態や水分の吸脱着特性を明らかにする必要がある。このため、光電子分光法(XPS, UPS)及び赤外分光法(FT-IR)を用いて、LiTiO表面での水分吸脱着特性,水素同位体の化学状態及び表面の酸化還元状態を調べた。その結果、前処理を施していない試料に対してArスパッタリングを行ったLiTiO表面は、Li, O, Tiの順に選択的にスパッタされ、Li組成比の減少,TiのTiへの還元が観察された。その後の加熱実験では、400C付近でTiの酸化,Li組成比の増加,-OHの消滅が見られ、LiTiOの価電子構造はTiOに近い状態になった。加熱後の水蒸気曝露により、水は解離吸着したが、LiOH相は形成されなかった。
Alvani, C.*; Casadio, S.*; Contini, V.*; Giorgi, R.*; Mancini, M. R.*; Pierdominici, F.*; Salernitano, E.*; 土谷 邦彦; 河村 弘; Stijkel, M. P.*; et al.
JAERI-Conf 2004-012, p.148 - 162, 2004/07
チタン酸リチウム(LiTiO)は、核融合炉ブランケット用トリチウム増殖材の第1候補材として有望視されている。水素添加ArパージガスでLiTiOからトリチウムを回収するが、LiTiOがHガスにより還元され、トリチウム回収率が低下することが懸念される。本研究では、水素添加Arパージガス中のHによるLiTiO微小球の還元効果及び水蒸気,酸素ガスによる酸化効果を調べた。また、LiTiOの還元効果及び酸化効果も調べた。LiTiOは、1000Cの一定時間でAr+3%Hガス中にて、LiTiOの水素雰囲気における還元効果を調べた結果、水素還元率は時間の経過とともに増加することが明らかになった。一方、LiTiOについては、水素還元率はLiTiOより大きいことが明らかになった。X線回折の結果、還元後のLiTiOには黒色のLiTiOの構造を持つ化合物が同定された。XPS分析の結果からは、LiTiOのLi組成比の減少,TiのTiへの還元はなく、構造に大きな変化はなかった。
星野 毅; 小林 剛*; 梨本 誠*; 河村 弘; 寺井 隆幸*; 山脇 道夫*; 高橋 洋一*
Journal of the Ceramic Society of Japan, Supplement, Vol.112, No.1 (CD-ROM), p.S354 - S357, 2004/05
チタン酸リチウム(LiTiO)は、良好なトリチウム回収特性等の観点から、核融合炉ブランケット用トリチウム増殖材料として期待されている。しかし、LiTiOは不定比構造を持つため、熱物性データに影響を与えると思われるが、これまでに報告されている熱容量や熱伝導率などの測定値は、研究者により異なり確立されていない。本研究では、LiO/TiOの組成比を変化させて作成したLiTiOについて、レーザーフラッシュ法により1100Kまでの熱物性を測定し、不定比構造による熱物性への影響について比較検討を行った。LiTiOの熱伝導率は、LiO/TiO比の減少とともに不定比性化合物へと変化することや、LiTiOの第2相が生成することの影響で低下することがわかった。また、熱伝導率の温度依存性は700Kを境に、理論式から算出した値と明らかな差異が見られ、高温X線回折により格子定数の変化が熱伝導率の温度依存性に大きな影響を与えていることを解明した。
土谷 邦彦; 星野 毅; 河村 弘; 高山 智生*
Journal of the Ceramic Society of Japan, Supplement, Vol.112, No.1 (CD-ROM), p.S183 - S186, 2004/05
核融合炉ブランケット用トリチウム増殖材料としてチタン酸リチウム(LiTiO)微小球が、良好なトリチウム回収性,化学的安定性の観点から、候補材料として注目されている。核融合炉ブランケット開発の一環として、材料試験炉を用いたLiTiO微小球の照射試験を計画している。そのため、湿式法によりLi濃縮LiTiO微小球を製作するとともに、その特性評価を行った。その結果、本法により、ほぼ同じ微細構造(焼結密度,結晶粒径等)を有するTiO添加LiTiO微小球と無添加LiTiO微小球が開発でき、その真球度は1.1以下であった。また、製作したLi濃縮LiTiO微小球について、水素還元速度,圧壊強度等の化学的特性や機械的特性を評価した。
中道 勝; 河村 弘; 内田 宗範*
Fusion Engineering and Design, 69(1-4), p.257 - 261, 2003/09
被引用回数:9 パーセンタイル:53.15(Nuclear Science & Technology)ベリリウム金属間化合物は、高温下における機械的特性,高温水との両立性等の観点から、核融合原型炉での中性子増倍材料として有望視されている。原型炉ブランケットの設計では、トリチウム増殖比向上の観点から、中性子増倍材料とトリチウム増殖材料の微小球を混合充填することが考えられているが、この場合、中性子増倍材料とトリチウム増殖材が互いに接触するため、これらの両立性を評価することが必要不可欠である。そこでベリリウム金属間化合物(BeTi)とトリチウム増殖材料(LiTiO)との両立性試験とあわせて、比較のため金属ベリリウム(Be)とLiTiOとの両立性試験を実施した。その結果、Beの場合にはLiTiOからBe中へのLiの拡散が認められたが、BeTiではLiの拡散が認められなかった。本結果から、BeTiはBeよりもLiTiOとの両立性に優れていることを明らかにした。
土谷 邦彦; Alvani, C.*; 河村 弘; 山田 弘一*; Casado, S.*; Contini, V.*
Fusion Engineering and Design, 69(1-4), p.443 - 447, 2003/09
被引用回数:4 パーセンタイル:31.58(Nuclear Science & Technology)核融合炉ブランケットのトリチウム増殖材であるチタン酸リチウム(LiTiO)微小球の湿式法による製造に際しては、微細な結晶粒径を得るために酸化物(TiO等)の添加が不可欠である。しかしながら、TiOを添加したLiTiOの化学的特性については明らかにされていない。そのため、スイープガス中の水素によるLiTiOのTiO添加量に対する還元効果を調べた。この結果、500-800の温度範囲では、TiOを添加したLiTiOの還元反応率は、TiOを添加しない場合より減少することが分かった。また、LiTiOにTiOを添加したものは、水分及び不純物ガスの吸着量がTiOを添加しない場合より小さく、ブランケット初期装荷時におけるスイープガス中への不純物ガスの放出が低減できた。
土谷 邦彦; 河村 弘; 内田 宗範*; Casado, S.*; Alvani, C.*; 伊藤 義夫*
Fusion Engineering and Design, 69(1-4), p.449 - 453, 2003/09
被引用回数:19 パーセンタイル:75.66(Nuclear Science & Technology)核融合炉ブランケットで用いられるトリチウム増殖材として、低温でのトリチウム放出性、化学的安定性等の観点から、チタン酸リチウム(LiTiO)微小球が注目されている。これまで、LiTiO溶液からLiTiO微小球を製造できる直接湿式法を提案し、LiTiO微小球の予備製造試験を行ったが、目標焼結密度(80~85%T.D.)の微小球を得ることが出来なかった。そのため、LiTiOの溶解、ゲル球の生成及び焼結の各プロセスについて技術開発を行った。各種の溶媒を用いた溶解試験の結果、LiTiOは30%過酸化水素水で室温でも完全に溶解できた。この溶解液の粘性を調整し、アセトン中に滴下することにより、割れの少ないゲル球を製造できるとともに、こうして得られたゲル球を焼結することにより結晶粒径5m以下で目標焼結密度を満足した微小球を製造できることを明らかにした。
河村 弘; 石塚 悦男; 土谷 邦彦; 中道 勝; 内田 宗範*; 山田 弘一*; 中村 和幸; 伊藤 治彦; 中沢 哲也; 高橋 平七郎*; et al.
Nuclear Fusion, 43(8), p.675 - 680, 2003/08
被引用回数:28 パーセンタイル:63.75(Physics, Fluids & Plasmas)核融合原型炉を実現するために、先進ブランケットの設計研究が行われている。これらの設計では、より高い発電効率を目指して冷却材温度を500以上としており、高温に耐え、また高中性子照射量まで使用できるブランケット材料(トリチウム増殖材料及び中性子増倍材料)の開発が求められている。本論文では、原研及び国内の大学、産業界が共同で実施してきたこれら先進ブランケット材料の開発の現状について報告する。トリチウム増殖材料に関しては、トリチウム放出特性に悪影響を及す高温での結晶粒径成長を抑制できる材料の開発として、TiOを添加したLiTiOに注目し、湿式造粒法による微小球の製造技術開発を実施した。この結果、固体ブランケットに用いる微小球製造に見通しが得られた。中性子増倍材料に関しては、融点が高く化学的に安定な材料としてベリリウム金属間化合物であるBeTi等に注目し、回転電極法による微小球の製造技術開発及び特性評価を実施した。この結果、ベリリウムの含有量を化学量論値より多くすることにより、延性を増すことによって、微小球の製造に見通しが得られた。また、BeTiはベリリウムより中性子照射によるスエリングが小さいことなど、優れた特性を有していることが明らかとなった。
河村 弘; 土谷 邦彦
FZKA-6720, p.151 - 160, 2002/06
LiO,LiTiO,LiZrO及びLiSiOのようなリチウム含有セラミックスがトリチウム増殖材として提案されているが、特に低温でのトリチウム放出性,化学的安定性等の観点から、LiTiOが注目されている。また、熱応力割れの回避等のため、直径0.2~2.0mmの微小球が形状として選定されている。このため、原研では、トリチウム増殖材微小球の湿式法による製造技術開発を行っている。一方、核融合炉ブランケットを設計するために、各種物理的データや照射データ(トリチウム放出特性等)を取得することが必要不可欠である。特に、LiTiO微小球に関する照射データは少ないため、JMTRを用いてLiTiO微小球からのトリチウム放出特性等を調べている。これらの結果から、LiTiO微小球の照射温度が300に到達すると、生成したトリチウムがほぼ全量放出することが明らかになった。本会議では、トリチウム増殖材微小球開発と特性データ取得の現状について紹介する。