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直江 崇*; 二川 正敏; 涌井 隆*; 粉川 広行
日本機械学会関東支部茨城講演会(2002)講演論文集, p.3 - 4, 2002/09
液体重金属による材料の脆化挙動(Liquid Metal Embrittlement;LME)について、微小押し込み試験により評価した。ここでは、液体水銀に対する316ss鋼の接液面における機械的特性の変化を押し込み試験と逆解析を組合せて定量的に評価するとともに、応力の影響について、圧痕法により形成される残留応力分布と特性変化の関係について調べた。水銀浸漬は150Cで最大2000時間行った。浸漬時間とともに表層硬化層厚さが増加し、表層硬化層の延性は均一伸びで約3割程度低下することがわかった。また、このような傾向は圧縮応力場では軽減される。すなわち、浸漬による硬化の程度が小さい。
石山 孝; 木内 清; 菱沼 章道
Fusion Technology 1990, p.443 - 447, 1991/00
ステンレス鋼は核融合炉ブランケット第一壁構造材料の有力な候補材になっているが、使用中の延性低下(靱性低下)と水環境で使用する際の照射誘起腐食(IASCC)性が大きな問題になっており、これらの抵抗性を高めた材料の開発が強く望まれている。本研究では、上記特性を向上させる目的で、相安定性を高めるために316ステンレス鋼に比べてニッケル量を増やす一方、偏析等に起因する脆化を極力抑えるために電子ビーム溶解法を採用し、不純物元素を可能な限り低めにした。さらにこれまで開発した加工熱処理法(SAR:Strained Aged and Recrystalization)を応用し、強度を高めると共に、耐照射性及び耐腐食性を向上させた。得られた新合金(Fe-18Cr-35Ni)は、当初目的をほぼ満足する性能を有することを基本性能試験で明らかにした。
井形 直弘*; 渡辺 勝利
Trans.Iron Steel Inst.Jpn., 23, p.450 - 452, 1983/00
中性子照射脆化は原子炉構造材料における重要な研究課題である。著者らはこれまでに材料の低温における照射にもとづく延性低下について一連の研究を行い、その結果均一伸びと加工硬化指数との関係ならびに合金元素の効果を明らかにした。本研究では中性子照射した鉄および鉄合金の延性劣化について、現象論的観点からその支配因子を明らかにすることを試みたものである。用いた試料はFe-N,Fe-Mo-N,Fe-Cu-Nの三種である。照射条件は速中性子照射量310n/cm、照射温度60Cとした。また引張試験条件は室温にて歪速度3.4710~1.3910secとした。得られた結果の主なものは次の通りである、(1)照射により歪速度感受性指数は減少し、これに伴い局所伸びも低下する。(2)照射後n値、m値の低下は照射に基づく摩擦力の増加と関係がある。(3)照射脆化は摩擦力の増加、すなわち複合欠陥の形成にもとづく照射硬化によって主として支配される。
菊地 正彦; 渡辺 勝利; 近藤 達男
JAERI-M 82-052, 31 Pages, 1982/06
多目的高温ガス炉の構造用材料として注目されているハステロイ-Xについて高温ガス炉運転サイクルを近似した熱サイクル時効時の組織変化にともなう機械的性質の変化を調べた。熱サイクル時効条件は頂部保持温度700C~1000Cとし、保持積算時効時間、最長1000時間、熱サイクル数最大125サイクルまで試験を行った。得られた一連の結果のうち、時効後の温室引張延性について注目すると、熱サイクル時効を与えた場合は、各温度波の最高値で恒温時効した場合に比較して組織変化が大きく、これにともなう延性変化も著しくなる傾向が認められた。すなわち、900Cまでの熱サイクル時効では恒温時効に比べて炭化物等の析出が促進され、これにともなって延性の低下が見られるのに対し、最高値を1000Cとした熱サイクル時効では恒温時材料をむしろ上まわる傾向を示した。
渡辺 勝利; 小川 豊; 菊地 正彦; 近藤 達男
JAERI-M 8807, 16 Pages, 1980/04
通常のハステロイ-Xおよびボロンを低減化した同種材料について、照射による高温の機械的性質、特に延性の低下について試験温度、歪速度および熱中性子照射量依存性を調べた。ヘリウム生成に関しては、B(n、)Li反応に加えて、比較的近年になって発見されたNi(n、)Ni(n、)Fe2段反応にも着目して脆化との関係を検討した。さらに、一連の結果から延性低下のなくなるしきい照射量および高照射領域における延性についても推定を行ってみた。得られた結果を要約すると次のようである。(1)照射により高温延性は著しく低下し、しかも試験温度の上昇とともにその傾向は強まった。(2)照射材の延性は歪速度の減少とともに低下した。(3)ヘリウム脆化は照射量が増加するにしたがって2Bの核変換によるHeの寄与から、Ni2段反応によるHeの寄与が支配的となる。(4)熱中性子照射量が10n/cmに達すると破断延性は900Cにおいて約3.5%以下、1000Cにおいては約1.5%以下となることが予測された。
小川 豊; 近藤 達男; 石本 清; 大塚 保
JAERI-M 8154, 12 Pages, 1979/02
ホウ素含有量が2.3ppmの市販のハステロイ-Xについて、JMTRで高温照射(温度; 670880C、熱中性子照射量; 6.610/cm、速中性子照射量; 1.110/cm)した後、900Cにおいて最長12,000hrまでの大気中クリープ試験を行った。応力が約2.2kg/mm(破断寿命で約100hr)を境として、クリープ挙動が異なることが明らかになった。これより高応力側では、照射によって延性と破断寿命は約1桁低下した。これより低応力の場合には、応力が低くなるほど照射材の延性と破断寿命は非照射材の値に近づく傾向が認められた。金相試験の結果、低応力のものでは試料片の平行部全面にわたって多数の粒界クラックの発生していることが判明した。この全面クラックによってクリープ試験中にみかけ上の延性が保たれていると結論された。ホウ素量を1ppmに下げたハステロイ-XRについて予備的な試験を行ない、ホウ素量の低下が照射後の延性低下を防ぐのに有効であることが実証された。
渡辺 勝利; 小川 豊; 菊地 正彦; 近藤 達男
耐熱金属材料第123委員会研究報告, 20(3), p.283 - 290, 1979/00
中性子照射したハステロイ系合金の高温延性の低下はこれまで主としてB(n,)Liなる核変換反応によるヘリウム生成との関係から検討されてきた。しかしながら、比較的高い熱中性子照射領域での結果はこの関係からのみでは説明できない。これには上の反応に加えて、Ni(n,)Ni(n,)FeなるNi2段反応を導入することにより説明が可能であることを実験データと対比させて検討した。これにより比較的高い熱中性子照射領域での高温延性の低下を矛盾なく説明できることを明らかにした。