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北辻 章浩; 吉田 善行; 工藤 博司*; 木原 壮林*
Analytical Sciences (CD-ROM), 17(Suppl.), p.329 - 331, 2002/03
アクチノイドイオンの溶液化学の研究に新しい分野を切り拓く「水相/有機相界面でのイオン移動反応」について、基礎研究の現状と応用、今後の課題等について概説する。特に演者らの研究グループで最近開発に成功した、液々界面定電位電解法(CPEITIES)について、その特色と優位性を明らかにし、同法を用いてウラン(VI),アメリシウム(III)イオン等の水相から有機相へのイオン移動エネルギーを決定した結果を述べる。さらにCPEITIESを用いて、ウラン(VI),プルトニウム(III)イオンの水相から有機相への移動が多座配位フォスフィンオキサイドが共存することによって大きく促進されることを見いだした結果、及びアクチノイドイオンと促進剤との錯形成定数を算出した結果を述べる。さらに、イオン移動電気化学反応に基づく、新規な電解イオン移動分離法,及びアクチノイドイオンセンサーの開発について展望を明らかにする。
稲田 聡; 佐藤 宗一; 庄司 和弘; 池田 久; 実方 秀*; 沼田 光央*
JNC TN8410 2000-022, 55 Pages, 2000/05
垂直照射型蛍光X線分析装置の導入に伴い、ウラン・プルトニウム濃度分析検討を実施した。本装置は、測定部がグローブボックス内に設置され、試料の下部からX線を照射するタイプである。基本条件の検討を実施した。測定に必要な試料量は、容器の形状及び検出効率から3mLとした。励起エネルギーの最適化を図ったところ、繰り返し精度とフィラメントへの負荷を考慮してウラン、プルトニウムともに50kV-30mAと設定した。測定時間については、安定した測定結果が得られた60秒とし、1回の測定は60秒2回(合計120秒)の測定を実施し、その平均を測定結果とすることとした。水相中のウラン、プルトニウム混合試料の測定は、マトリクス効果の補正を行うことで誤差4%以内で正確に測定できることを確認した。また、単体試料測定における検出限界値はウランが0.4mg/L、プルトニウムが6.7mg/Lと計算された。定量上限濃度は、蛍光X線分析装置にて分析するために調製した後の測定試料においてウラン、プルトニウムともに9g/Lとした。有機相中のプルトニウム濃度分析は、標準添加を行う希釈法及び試料を直接測定する直接法について検討した。両方ともに良好な結果を示し、検出限界値はそれぞれ、5.3mg/L,0.2mg/Lであった。ただし、直接法においては標準溶液の調製方法に問題が残り、今後の検討課題とした。
北辻 章浩; 青柳 寿夫; 吉田 善行; 木原 壮林*
Analytical Sciences, 14, p.67 - 70, 1998/02
被引用回数:11 パーセンタイル:38.76(Chemistry, Analytical)水相/有機相界面でのUOイオンのイオン移動反応を、水溶液滴電極を用いる液々海面イオン移動ポーラログラフィーにより調べた。UOの水相から有機相へのイオン移動が、ビスジフェニルフォスフォリルメタン(BDPPM)によって促進されること、この促進イオン移動反応が非可逆な特性を示すことを明らかにした。イオン移動データに基づき調製したUOイオン選択性電極は、水溶液中のUO濃度に対し可逆なネルンスト応答を示した。このことから、UOのイオン移動反応過程は可逆であるが、水相/有機相界面でのBDPPMあるいはUO-BDPPM錯体の吸着脱着反応過程が、遅い反応であるため、ポーラログラム上に観測されるUOのイオン移動が、非可逆性を示すと考えられる。イオン移動反応に基づく、ウランの選択的電解イオン移動分離法開発の可能性についても議論した。
阿見 則男; 鈴木 伸一; 阿部 仁; 館盛 勝一
JAERI-M 93-014, 40 Pages, 1993/02
リン酸トリブチル(TBP)を用いた抽出系での第3相生成特性を調べるため、30%TBP-n-ドデカン-U(IV)-硝酸系で実験を行った。U(IV)濃度40~130g/l、硝酸濃度1.5~6mol/lの範囲の水相原液(10ml)に対し、同体積の有機溶媒を加えて攪拌し第3相を生成させた。水相、軽有機相、第3相について体積、U(IV)濃度、硝酸濃度を測定した。第3相と軽有機相については、TBPとn-ドデカンの濃度および水分を測定した。これらについて、水相原液の成分濃度や第3相生成後の水相中成分濃度等を基準とした回帰分析を行い第3相、軽有機相体積や成分濃度を計算する実験式を導いた。その結果、水相原液中のU(IV)濃度増加(40から130g/l)に対して第3相中U(IV)濃度は70から190g/lと増加、また第3相体積は1.5から3.5mlと増加し、水相原液中硝酸濃度をパラメータとして良い相関が得られた。
木原 壮林; 吉田 善行
Talanta, 31(10A), p.789 - 797, 1984/00
液膜型ISEで発生する電位を、水相/有機相界面での目的イオンiの移動をあらわす電流走査ポーラログラムを用いて解釈した。iの複合ポーラログラムの零電流電位がISE電位に対応する。水相/有機相界面がiのイオン移動により復極した場合のみ、iにネルンスト応答した安定なISE電位が得られる。ISEの検出限界は、残余電流の最終上昇および下降により決定される。妨害イオンおよびISE中ニュートラルキャリヤーの役割について、複合ポーラログラムの零電流電位を参照して説明した。水相/有機相界面でのイオン移動についてのポーラログラフ式を用いて、ISE電位、他イオンの妨害、ニュートラルキャリヤーの効果を式化し定量的に取り扱った。