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柳澤 宏司; 中島 健; 大野 秋男; 三好 慶典
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(7), p.800 - 803, 2002/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)過渡臨界実験装置(TRACY)における反応度投入出力バースト実験における出力履歴の評価のために、熱外中性子検出用の遮蔽体系について光子遮蔽能力を評価した。連続エネルギーモンテカルロコードにより、三種類の遮蔽体系について検出器位置での光子照射線量率と中性子検出率を計算した。計算結果より、中心からポリエチエン,カドミウム板,鉛の順番で遮蔽体系を構成した場合には、カドミウムの中性子捕獲線を効果的に遮蔽できないことがわかった。また、この捕獲線は熱中性子の反応によって生じるため、熱中性子の検出時間遅れと同様に捕獲線が時間遅れを伴って影響する可能性があることが示された。この問題を解決するために、カドミウムを遮蔽体系の外側に配置し、その内側にポリエチレン,鉛を配置した遮蔽体系を提案し、カドミウムの捕獲線を大きく低減できることを示した。また、提案した遮蔽体系では中性子検出感度もまた増加することが示され、TRACYの出力履歴評価のための熱外中性子検出器の遮蔽として有効であることがわかった。
柳澤 宏司; 大野 秋男
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(6), p.597 - 602, 2002/06
被引用回数:2 パーセンタイル:16.76(Nuclear Science & Technology)線及び熱中性子検出器を用いた組合せ法を、過渡臨界実験装置(TRACY)の反応度投入による出力バースト実験時の出力履歴の正確な評価に新たに適用した。初期バースト時には、短いバースト持続時間内の実際の出力履歴を正確にトレース可能であることから、出力履歴は高速応答線電離箱によって測定した。初期バースト後は核分裂生成物からの遅発線の寄与により線電離箱は適用できないため、高濃縮ウランのマイクロ核分裂電離箱を出力履歴の測定に用いた。今回の方法により、1.50から2.93$の反応度投入による実験について出力履歴を評価した。この結果、マイクロ核分裂電離箱のみを用いた従来の方法によるピーク出力及び出力ピークまでの積分出力は、今回の評価結果に対してそれぞれ最大40%,30%過小評価することが明らかになった。モンテカルロ法による数値シミュレーションによって、この過小評価はTRACY炉心から核分裂電離箱までの中性子の飛行時間に起因した時間遅れを考慮することによって理解できることが示された。
柳澤 宏司; 大野 秋男
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(1), p.76 - 81, 2002/01
被引用回数:3 パーセンタイル:23.2(Nuclear Science & Technology)過渡臨界実験装置(TRACY)の水反射及び裸の体系の出力バースト実験における中性子検出時間遅れを理解するために、連続エネルギーモンテカルロコードMCNP4Bを用いて、核分裂電離箱によって検出される出力時間変化の数値シミュレーションを行った。シミュレーションによって、初期出力バーストにおいて炉心で発生した出力は裸体系よりも水反射体系のほうが早く検出されることがわかった。この差は、炉心タンクを取り巻く水反射体がコンクリート壁、床などの構造物に向かって飛行する中性子の遮蔽として働き、壁及び床から核分裂電離箱へ入射する中性子の検出確率を低下させ、中性子検出をより早く終了させるためであり、これにより、炉心の中性子放出から検出までの経過時間が短くなる。しかし、水反射体系と裸体系の遅れ時間の差は小さく、約1ms以内であった。遅れ時間の差による逆炉周期の違いも小さいため、フィードバック反応度の評価には大きく影響しないと考えられる。
柳澤 宏司; 大野 秋男
Journal of Nuclear Science and Technology, 38(9), p.804 - 806, 2001/09
被引用回数:2 パーセンタイル:19.6(Nuclear Science & Technology)反応度の投入によって生じる過渡的な出力を正確に測定するためには、出力測定に用いる検出器の時間応答によって生じる遅れを考慮する必要がある。時間応答は、炉心から検出器までの中性子の飛行時間及びコンクリート壁等による中性子の熱化に依存するため、TRACY炉室内での核分裂検出器の位置により時間遅れが大きく変わることが予想される。このため、モンテカルロコードを用いた計算によって時間遅れの検出器位置依存性を評価した。この結果、TRACY炉室内では、炉心タンク表面から100cm以上離れると時間遅れによる相対出力が大きく変化し、相対出力及びフィードバック反応度の評価に与える可能性があることが確認された。また、時間遅れに関する補正をしないで、正確な相対出力を測定するためには、核分裂検出器を炉心タンクから10cm以内に設置する必要があることが示された。
柳澤 宏司; 大野 秋男; 小川 和彦; 會澤 栄寿; 横山 光隆*
Journal of Nuclear Science and Technology, 38(8), p.591 - 599, 2001/08
被引用回数:6 パーセンタイル:44.04(Nuclear Science & Technology)反応度の投入によって生じる過渡的な出力を正確に測定するために、過渡臨界実験装置(TRACY)の初期出力バーストにおいてマイクロ核分裂電離箱による熱中性子検出の時間遅れを実験的に確認した。実験では、核分裂電離箱とともにTRACY実験用に新たに設計製作した高速応答線電離箱を用いて相対出力を測定した。実験結果として、核分裂電離箱による出力は出力上昇時において線電離箱による出力よりも約4ms遅れて観測され、この遅れ時間は出力ピーク後に拡大した。観測された時間遅れを詳しく理解するために、MCNP4Bコードを用いて時間依存の解析を行った。解析では、核分裂電離箱による中性子検出の時間応答を計算し、これを核分裂電離箱による相対出力のシミュレーションに用いた。解析の結果、シミュレーションによる出力は、測定された出力と良好な一致を示し、核分裂電離箱の時間応答によって、観測された時間遅れが完全に理解できることが確認された。この時間応答を用いることによって、核分裂電離箱による検出の遅れ時間を初期バーストのみならず実験継続時間全体について補正することができる。