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吉川 信治; 山路 哲史*
JAEA-Research 2021-006, 52 Pages, 2021/09
福島第一原子力発電所2号機、3号機では、原子炉圧力容器(RPV)が破損し、炉心物質の一部(制御棒駆動機構(CRD)配管部品や燃料集合体上部タイプレート等)がペデスタル領域へと移行していることが確認されているが、沸騰水型軽水炉(BWR)ではRPV下部ヘッド及びその上下に複雑な炉心支持構造やCRDが設置されており、炉心物質のペデスタルへの移行挙動もまた複雑なものになっているものと推定される。BWRの複雑なRPV下部構造における炉心物質の移行挙動の概略特性把握には複雑な界面変化と移行を機構論的に解くことのできるMPS法の適用が有効である。本研究では、MPS法による福島第一原子力発電所2号機、3号機のRPVアブレーション解析のために、令和元年度は剛体モデル、並列化、計算タイムステップ効率化手法を開発し、令和2年度はMPS法の圧力壁境界条件の改良、剛体計算の安定化、デブリベッドの溶融過程の解析コスト低減のための計算アルゴリズムの改良を行った。これらの改良により、RPV下部プレナムに堆積した固体デブリが溶融しながらリロケーション再配置する過程を様々なケースについて実用的な計算コストで感度解析できるようになった。また、2号機及び3号機の解析の結果、下部プレナムで冷え固まったデブリの性状(粒子状/塊状)や堆積分布(成層化の程度)は、その後のデブリベッド再昇温及び部分溶融に要する時間と溶融プール形成に大きく影響し、RPV下部ヘッドの破損挙動や燃料デブリの流出挙動に影響することが明らかになった。