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尾上 博則; 石橋 正祐紀*; 尾崎 裕介; 岩月 輝希
International Journal of Rock Mechanics and Mining Sciences, 144, p.104737_1 - 104737_14, 2021/08
被引用回数:4 パーセンタイル:41.7(Engineering, Geological)本研究ではMIUの深度500mの坑道を事例として亀裂性岩盤のモデリングの方法論について検討した。その結果、割れ目のトレース長分布の再現性に基づいて、割れ目の地質学的パラメータだけでなく水理学的パラメータも推定することができる割れ目のモデル化手法を開発した。本モデル化手法を適用することで、岩盤が有する割れ目の統計的な特性を精度よく再現できるDiscrete Fracture Network (DFN)モデルを構築することが可能となった。また、割れ目の分布位置や透水性を調査データに基づき修正するコンディショニング手法を適用することで、特定の場所のローカルな割れ目特性の評価が可能であることを実証した。さらに、亀裂性岩盤の水理学的な不均質性をモデル化するために必要な原位置調査と調査データとの関係を明らかにするとともに、日本の地層処分事業に資する有益な知見として、DFNモデルを用いた地下施設建設段階の現場調査とモデリング,処分パネル設計の考え方を提案した。
尾上 博則; 竹内 竜史
JAEA-Data/Code 2020-015, 22 Pages, 2020/11
日本原子力研究開発機構では、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階; 地表からの調査予測研究段階」、「第2段階; 研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階; 研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる。超深地層研究所計画は、「深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備」および「深地層における工学技術の基盤の整備」を第1段階から第3段階までを通した全体目標としている。研究坑道内に湧出する地下水については、超深地層研究所計画の「研究坑道の掘削を伴う研究段階(第2段階)」における岩盤の水理に関する調査研究の一環として計測体制が整備されて計測を開始し、「研究坑道を利用した研究段階(第3段階)」においても、湧水量計測を継続してきたが、2019年度末をもって超深地層研究所計画における研究開発を終了することに伴い、超深地層研究所計画における湧水量計測を終了する。本データ集は、2019年度に実施した研究坑道内での湧水量計測で取得したデータを取りまとめたものである。
松井 裕哉; 渡辺 和彦*; 見掛 信一郎; 新美 勝之*; 小林 伸司*; 戸栗 智仁*
第47回岩盤力学に関するシンポジウム講演集(インターネット), p.293 - 298, 2020/01
日本原子力研究開発機構は、地震による地下深部構造物への影響に着目し、瑞浪超深地層研究所の換気立坑を利用して、地表, 深度100m, 深度300m、および深度500m地点に地震観測システムを設置し、同一地震における深度方向の地震動変化を十数年間観測した。その結果、震源位置やマグニチュードの異なる十数個の地震に対する地上から地下500mまでの間の地震動観測記録を取得し、釜石鉱山での観測などの既往の研究と同様の深度方向の地震動変化に関する知見を得た。また、得られた地震動の波形データなどを用い、地震動のフーリエ振幅と位相差の深度分布を分析した所、直下型地震では理論値に近い結果になる一方、遠方の地震では理論値との乖離があることなどを確認した。
福井 勝則*; 羽柴 公博*; 松井 裕哉
JAEA-Research 2018-006, 57 Pages, 2018/10
坑道周辺の岩盤は、長期的にはクリープや応力緩和などの力学的な時間依存性挙動を示すことが知られており、その挙動を把握・評価できる技術の構築が地層処分の技術的信頼性向上のための課題の一つとなっている。上記を踏まえ、岩盤の長期挙動を把握・評価できる技術の確立に資するため、年単位を超えるような岩石の長期クリープ試験や、高レベル放射性廃棄物の地層処分において想定される常温から100C程度の高温条件下での岩石の長期挙動を把握するための技術の開発等を実施し、想定される様々な条件下での岩石の長期挙動現象の特徴やその程度に関する実験的評価を行うことを目的とした研究を、共同研究として2016年度から開始した。2017年度は、田下凝灰岩のクリープ試験のこれまでの経緯をまとめるとともに、長期と短期のクリープ試験結果を比較し凝灰岩のクリープの現象論や機構について考察した。また、種々の含水状態のもとで、載荷速度と水飽和度が岩石の強度に与える影響について検討するとともに、圧縮応力下での岩石の変形・破壊および時間依存性挙動を再現できるコンプライアンス可変型モデルを一軸引張応力下へ適用するために改良した。
尾上 博則
計算工学, 23(2), p.3751 - 3752, 2018/04
本稿は、日本原子力研究開発機構の東濃地科学センターが、岐阜県瑞浪市で進めている超深地層研究所計画で建設した瑞浪超深地層研究所の施設概要や研究環境、最新の研究開発内容を紹介するものである。
村上 裕晃; 芦澤 政臣*; 田中 和広*
応用地質, 59(1), p.2 - 12, 2018/04
結晶質岩地域における地下深部の透水性割れ目の特徴および形成と発達を把握することを目的とし、九州北部に分布する花崗閃緑岩からなる岩盤中に建設した地下施設を利用した地質調査を実施した。地下坑道における新鮮な花崗閃緑岩露頭において割れ目を観察し、割れ目の分布間隔、方向、変質、充填鉱物、湧水の有無の調査を行った。割れ目の頻度、方向および充填鉱物の特徴によると、花崗閃緑岩内の割れ目はA-Dおよび低角度(LA)の5つのグループに分類される。全割れ目に高温環境で形成される緑泥石および石英が充填していることから、全ての割れ目は岩体が高温であった冷却初期に形成されたと考えられる。Bグループの割れ目は最も多く湧水が認められ、現在の透水性割れ目として機能している。さらにBグループの割れ目の充填鉱物の組み合わせと産状から考察した結果、Bグループの割れ目は開口と閉塞が交互に生じたと示唆された。また、Bグループの割れ目は熱水の影響を示唆する赤色変質部を多く伴い、トレース長が長く、他のグループの割れ目を切る傾向があることから、割れ目の形成初期から現在までの長期にかけて重要な透水性割れ目として機能していたと考えられる。
細谷 真一*; 山下 正*; 岩月 輝希; 三枝 博光; 尾上 博則; 石橋 正祐紀
JAEA-Technology 2015-027, 128 Pages, 2016/01
超深地層研究所計画で研究開発を進めている三つの必須の課題のうち、坑道埋め戻し技術の開発においては、地下施設閉鎖時・後の地質環境の回復能力等の評価、地質環境条件に応じた埋め戻し技術の構築、及び長期モニタリング技術の開発を実施することとしている。坑道埋め戻し技術の研究開発に資するため、先行して坑道の埋め戻しや、それに関わるモニタリングを実施している諸外国の結晶質岩中に建設された地下施設を対象として、坑道閉鎖に関わる制約条件、坑道周辺の地質環境条件、坑道閉鎖の方法・材料・工程、モニタリング方法の情報を収集・整理した。また、ヨーロッパ諸国で行われている坑道閉鎖試験やモニタリングに関わる国際プロジェクトについても情報収集・整理を行った。加えて、地下施設閉鎖に関わる計画立案、施工管理、モニタリング、安全評価に携わった実務経験を有する専門家にインタビューを行った。これらの情報収集・整理結果に基づき、瑞浪超深地層研究所における坑道全体を閉鎖する際の計画立案や施工管理、モニタリングに関わる考え方や留意事項、さらには坑道埋め戻し技術の開発における調査研究に関わる留意事項を整理した。
尾上 博則; 三枝 博光; 竹内 竜史
土木学会論文集,C(地圏工学)(インターネット), 72(1), p.13 - 26, 2016/01
日本原子力研究開発機構は、岐阜県瑞浪市において地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として超深地層研究所計画を実施している。本研究では研究坑道の掘削に伴い実施した地下水流動のモデル化・解析に関する研究成果を体系的に整理するとともに、断層などによる水理学的な不均質性が高い結晶質岩地域での地下施設の建設に伴う地下水流動のモデル化・解析に有効となる調査データやモデル化・解析のアプローチについての技術的知見を示した。また、地下水流動のモデル化・解析結果の妥当性を確認するにあたっては、地下施設の建設に伴う地下水水質の変化を用いた比較検討が有効であり、水理学分野と地球化学分野間にわたる評価の重要性を示した。
福井 勝則*; 羽柴 公博*; 佐藤 稔紀; 桑原 和道; 高山 裕介
JAEA-Research 2015-015, 61 Pages, 2015/11
高レベル放射性廃棄物の地層処分において、処分坑道の力学的安定性は、建設・操業時はもとより閉鎖後も千年程度にわたって要求される。一方、処分坑道をとりまく岩石や岩盤は、クリープや応力緩和などの力学的な時間依存性挙動を示すことが知られており、その挙動を把握することは処分坑道の安定性評価における課題となっている。この課題を受け、調査研究開発を進めてきた。試験は中断することなく、試験期間は17年を越えた。また、湿潤状態かつ常温から100C程度での、岩石の変形・破壊特性および時間依存性を調べるための試験方法について検討した。さらに、室内試験結果と地圧測定結果を用いて、三軸応力下での岩石の長期強度について検討した。
長谷川 隆; 川本 康司; 山田 信人; 大貫 賢二; 大森 一秋; 竹内 竜史; 岩月 輝希; 佐藤 稔紀
JAEA-Technology 2015-011, 135 Pages, 2015/07
本報告書は、瑞浪超深地層研究所の深度500m研究アクセス北坑道におけるボーリング(13MI38号孔: 掘削長102.10mabh、13MI39号孔: 掘削長16.40mabh、13MI40号孔: 掘削長16.60mabh、13MI41号孔: 掘削長16.60mabh、13MI42号孔: 掘削長11.55mabh、13MI43号孔: 掘削長11.60mabh、13MI44号孔: 掘削長11.67mabh)の調査により得られた地質学的、水理学的、地球化学的データ(岩盤等級、湧水箇所、湧水量、湧水圧、透水係数等)と、各ボーリング孔に設置した観測装置(岩盤変位計、地下水の水圧・水質モニタリング装置)の概要を取りまとめたものである。
黒岩 弘*; 川本 康司; 山田 信人; 笹尾 英嗣
JAEA-Data/Code 2015-003, 108 Pages, 2015/06
日本原子力研究開発機構では、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備」および「深地層における工学技術の基盤の整備」を第1段階から第3段階までを通した全体目標として定め、「第1段階:地表からの調査予測研究段階」、「第2段階:研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階:研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる計画である。本報告書は、2012年度から2014年度にかけて、瑞浪超深地層研究所の研究坑道において実施した20本のボーリング調査の掘削仕様、各種データの取得結果を取りまとめたものである。
川本 康司; 窪島 光志*; 村上 裕晃; 石橋 正祐紀; 笹尾 英嗣
JAEA-Research 2014-021, 30 Pages, 2014/11
日本原子力研究開発機構では、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を岐阜県瑞浪市において進めている。本計画は、「深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備」及び「深地層における工学技術の基盤の整備」を全体目標として定め、「第1段階:地表からの調査予測研究段階」、「第2段階:研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階:研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる計画である。現在は、第2段階及び第3段階の調査研究を進めている。そのうち第2段階では、「研究坑道の掘削を伴う調査研究による地質環境モデルの構築及び研究坑道の掘削による深部地質環境の変化の把握」を段階目標の一つとして調査研究を進めている。本報告書では、第2段階での主要課題の一つである地質構造モデル構築作業の一環として、第2段階における地質・地質構造の調査研究結果に基づき、瑞浪超深地層研究所の深度500mステージの坑道掘削範囲で認められた地質・地質構造について取りまとめた。
福井 勝則*; 羽柴 公博*; 佐藤 稔紀; 真田 祐幸; 桑原 和道
JAEA-Research 2014-020, 50 Pages, 2014/11
高レベル放射性廃棄物の地層処分時においては、長期にわたる坑道の安定性の評価が要求される。このため、岩石や岩盤の時間依存性挙動を把握することは、坑道の長期安定性を評価する上で重要な課題である。そこで、岩石や岩盤の時間依存性挙動を、精密な試験や観察・計測から直接的に検討する手法(現象論的方法)で解明し、岩盤構造物の長期挙動予測評価手法を開発する研究を行ってきた。本報告書は、2013年度に実施した岩石や岩盤の時間依存性挙動に関する研究をまとめたものである。第1章では、研究内容とその背景を概括した。第2章では、1997年度から16年間継続している田下凝灰岩のクリープ試験結果について報告した。第3章では、結晶質岩の時間依存性挙動把握のためのデータの整理と分析結果について報告し、このデータの利用方法の一つの例として、時間依存性を考慮した岩盤分類について考察した。第4章では原位置試験計画の策定のため、原位置岩盤の数値解析手法の向上に関する検討を行った。
杉田 裕; 油井 三和
JNC TN8450 2001-007, 16 Pages, 2002/02
本資料は、地層処分研究開発第2次取りまとめ-分冊2 地層処分の工学技術-の中の設計用岩盤特性値で示されている硬岩系岩盤、軟岩系岩盤の一軸圧縮強度と圧裂引張強度の関係のデータセットである。
青柳 孝義*; 佐原 史浩*; 三原 守弘; 奥津 一夫*; 前田 宗宏*
JNC TN8400 2001-024, 103 Pages, 2001/06
TRU廃棄物は高レベル放射性廃棄物と比較して発生量が多いものの、そのほとんどが非発熱性の廃棄体であるため、高埋設密度での処分が可能である。そのため、地下深部の大空洞処分施設による集合埋設が経済的観点から合理的と考えられている。このようなTRU廃棄物の特徴を考慮して、TRU廃棄物を埋設する処分坑道の断面形状や人工バリア材の構成を設計した場合、岩盤の長期にわたるクリープ変形が人工バリア材に過度の負荷を与え、処分システムに影響を及ぼす可能性が考えられる。本研究では、非線形粘弾性モデルを用いて岩盤の長期クリープ変形量の解析を行い、クリープ量を算出するとともに、人工バリア材への影響検討を行った。ここで、岩盤物性値については、地層処分研究開発第2次取りまとめの物性値を用い、結晶質岩系岩盤と堆積岩系岩盤を検討対象とした。検討結果として、結晶質岩系岩盤では、経過時間100万年においても岩盤のクリープ変形は発生しない結果となった。一方、堆積岩系岩盤では、経過時間100万年において8090mmのクリープ変形が生じる結果となった。また、その時の緩衝材に生じる厚さの減少量は、最大で45mm程度となることが示された。今回の検討結果からは、この程度の岩盤クリープ変形や緩衝材厚さの減少量であれば、緩衝材に考慮される余裕しろの範囲でカバーできるものであると考えられることから、岩盤の長期にわたるクリープ変形は処分システムに大きく影響を及ぼすものではないと判断できた。本報告書は、平成10年度に実施した鹿島建設株式会社への委託研究の成果に対して、使用した非線形粘弾性モデルについての解説等を加えるとともに、研究内容を再度とりまとめたものである。
佐藤 治夫; 澁谷 朝紀; 舘 幸男; 太田 久仁雄*; 天野 健治*; 油井 三和
PNC TN8410 97-127, 57 Pages, 1997/08
高レベル放射性廃棄物地層処分の性能評価研究において,核種の移行遅延特性を定量的に調べモデル化することは重要な課題の1つとして挙げられている。筆者らは,結晶質岩中における核種の遅延の程度を定量化するため,割れ目から岩石マトリックス方向への核種の拡散,岩石への核種の収着および間隙特性の変化について調べている。本研究では,釜石原位置試験場の花崗閃緑岩割れ目周辺に見られる割れ目充填鉱物部および変質部の内,地下水が接触している割れ目を対象に核種の移行遅延特性を調べた。イオン電荷をパラメーターにNa,Cs,HTO,Cl,Seについて2225の範囲で見掛けの拡散係数および実効拡散係数を取得した。透過拡散法により,割れ目充填鉱物部,変質部,花崗閃緑岩に対して取得すると共に,Cs,Sr,Se,238Uおよび239Puのバッチ法による収着実験を同岩石について行い,分配係数を取得した。酸化還元条件に鋭敏な元素の内,SeについてのみN2雰囲気のグローブボックス(O21ppm)内で行い,他の元素は大気雰囲気で行った。岩石試料と同じ場所から採取した地下水(pH8.79.5)を実験では用いた。岩石試料の間隙率および密度を水中飽和法および水銀圧入法により,また,細孔径分布や比表面積を水銀圧入法により測定した。間隙率は,割れ目充填鉱物部(5.6%)変質部(3.2%)花崗閃緑岩(2.3%)の順で小さくなり,割れ目からマトリックス方向に対して小さくなることが分かった。花崗閃緑岩および変質部の細孔径分布は10nm0.2mmの範囲にわたっており,割れ目充填鉱物部は50nm0.2mmの範囲であった。しかしながら,割れ目充填鉱物部における多くの細孔径は100nmと0.2mm付近で見られた。全てのイオン(Na+,Cs+,HTO,Cl-,SeO32-)の実効拡散係数は間隙率に依存し,割れ目充填鉱物部変質部花崗閃緑岩の順に小さくなった。細孔径分布の測定結果から間隙径がイオン径に比べて大きく,岩石表面とイオンとの静電的相互作用の効果はそれほど大きくないものと考えられることから,岩石マトリックス中のイオンの実効拡散係数を間隙率や屈曲度などの間隙構造因子および自由水中のイオンの拡散係数を用いて予測した。その結果,予測値は実測値とほぼ一致し,形状因子に基づいたモデルの適用性が確認された。また,岩石に対
下茂 道人*; 山本 肇*; 高原 弘幸*; 根木 健介*; Doe, T.*
PNC TJ1205 97-001, 297 Pages, 1997/03
本研究の目的は、結晶質岩中における水理地質構造モデルを構築することであり、このための物質移行経路となる透水割れ目の分布および連結性を試錘孔掘削等の水理応答観測、ボアホールテレビ検層、コア観察等の調査により把握するとともに、水理試験、非収着性トレーサー試験を行い、水理・物質移行パラメータを取得することである。平成6年度は、この非収着性トレーサー試験を実施するための準備の初年度の作業として、100mのボーリング孔(KH-20孔)の掘削とこれに伴う既存のKH-19孔での圧力応答観測、およびボーリング孔の水理地質調査を行うことによりKH-19孔とKH-20孔間の水理地質構造を推定した。平成7年度は、平成6年度に引き続き3本のボーリング孔(各80m)を掘削し、ボーリング孔掘削時の既存孔における圧力応答観測およびボーリング孔の水理地質調査、簡易的な水理試験を実施し、平成6年度に取得されたデータとともに総合的に解析して試験対象領域の水理地質構造モデルを検討した。平成8年度は、新たに2本のボーリング孔、KH-24孔およびKH-22孔(各80m)を掘削しトレーサー試験に必要なボーリング孔配置を完成させるとともに、トレーサー試験用にマルチパッカーシステムのパッカー配置と配管を更新した。また、トレーサー試験対象割れ目の水理物質移行特性を概略的に把握するために孔間透水試験ならびに予備的トレーサー試験を組み合わせて実施し、平成9年度に実施する非収着性トレーサー試験に用いる透水性割れ目を抽出した。
青木 和弘; 小出 馨*; 清水 功*; 吉田 英一; 荒木 龍介*; 澤田 淳; 藤田 朝雄
PNC TN1410 97-038, 307 Pages, 1996/04
釜石原位置試験第2フェーズは、地下深部の地質環境特性の詳細な把握とそこで起きる現象の理解、ならびに、調査試験技術の高度化と確立を目的として、本地域に広く分布する前期白亜紀の栗橋花崗閃緑岩を対象に平成5年度から実施されている。平成7年度は、第2フェーズの第3年目にあたる。平成7年度の主な実施内容および成果は、以下の通りである。1)Task1:深部地質環境特性の把握原位置試験場周辺の地質構造、力学特性、水理特性、地球化学特性の情報を取得するとともに、割れ目帯検出技術として流電電位法と流体流動電位法を実施し、これらの手法の有効性と適用限界について把握した。2)Task2:深部岩盤における掘削影響領域の評価試験坑道掘削前の事前調査の準備として計測坑道と調査用試錐孔の掘削、割れ目調査、予備計測、室内試験および予測解析を実施した。また、坑道周辺のREDOX状態調査では、水質モニタリング、解析コードの開発、室内試験を実施した。3)Task3:結晶質岩の水理・物質移行に関する研究収着およびマトリックス拡散に関しては、割れ目タイプC(断層破砕帯)を対象にした詳細な移行経路調査を行い、割れ目周辺の移行経路概念モデルを構築した。室内試験ではタイプBを対象としたバッチ式収着試験等を行い、充填鉱物部、赤色変質部および未変質部の各部分での収着能力を定量的に把握した。移流および分散に関しては、アクセス坑道より3本の試錐孔を掘削し、非収着性トレーサー試験対象領域全体の水理地質構造(透水性割れ目および高間隙水圧領域の位置・分析等)を把握した。4)Task4:人工バリア試験粘土系グラウト技術の適用性の検討としては、粘土グラウトが岩盤の透水係数を低下させる手段として有効であることを示した。熱-水-応力連成現象としては、岩盤特性調査として試験坑道より各種計測用の試錐孔を掘削し、BTVおよび岩芯観察を行った。また、直径1.7m、孔長5mの大口径試験孔を掘削し、孔内壁面の割れ目観察を行った。
下茂 道人*; 山本 肇*; 高原 弘幸*; 根木 健之*; Doe, T.*
PNC TJ1205 96-003, 340 Pages, 1996/03
本研究の目的は、結晶質岩中における水理地質構造モデルを構築することであり、このための物質移行経路となる透水性割れ目の分布および連結性を試錘孔掘削時の水理応答観測、ボアホールテレビ検層、コア観察等の調査により把握するとともに、水理試験、非収着性トレーサー試験を行い、水理・物質移行パラメータを取得することである。平成6年度は、試験の準備段階として、100mのボーリング孔(KH-20孔)の掘削とこれに伴う既存のKH-19孔での圧力応答観測、およびBTV観察、コア観察、流量検層等を実施し、KH-19孔とKH-20孔間の水理地質構造を推定した。平成7年度は、調査対象領域を広げると共に、試験の中心となる領域の水理地質構造をより詳細に把握するために、平成6年度に引き続き3本のボーリング孔(KH-21、KH-23、KH-25孔)を掘削し、既存ボーリング孔での圧力応答観測およびボーリング孔の水理地質調査を行なった。これらのボーリング孔では、BTV観察および岩芯観察による割れ目特性の把握を行なった。また、最後に削孔したKH-25孔においてビルドアップ透水試験を行った。これらの調査試験により得られた、亀裂分布、水圧分布、水圧応答経路から、平成6年度の結果を見直し、試験エリアの岩盤内の詳細な水理地質構造モデルを構築した。
志水 伸二; 棚井 憲治; 谷口 航; 酒井 裕一*
PNC TN8410 95-027, 56 Pages, 1995/02
地層処分システムの設計研究においては、第二次とりまとめの目標である「人工バリア性能の定量的評価」のための評価対象の明確化を目標として、結晶質岩系及び堆積岩系それぞれに固有な地質環境特性を考慮して適用可能な処分場等の基本設計に必要な解析手法の検討を進めてきている。これらの結果は、第二次とりまとめに向けた今後の解析検討を進めていく上で、問題点や研究の方向性を導出するという観点からも重要なデータである。そこで本報告書は、これら過去に進めてきた解析検討について内容を把握するとともに、それぞれの検討において導出されてきた課題を整理し、今後の解析手法の検討に反映させることを目的として、特に1988年から1991年の第一次とりまとめを行うために検討された設計解析事例を調査し、まとめたものである。