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Tran Duy, T.*; 澤田 真一; 長谷川 伸; 吉村 公男; 大場 洋次郎*; 大沼 正人*; 勝村 庸介*; 前川 康成
Macromolecules, 47(7), p.2373 - 2383, 2014/04
被引用回数:30 パーセンタイル:71.94(Polymer Science)X線小角及び超小角散乱解析を用いて、ポリエチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)基材を用いたグラフト型電解質膜(ETFE-PEM)の階層構造を検討した。イオン交換容量(IEC)2.4mmol/g以下のETFE-PEMは、ラメラ結晶の周りに相間距離21.8-29.1nmの導電性のグラフト領域、相間距離218-320nmと903-1124nmの結晶配向領域を有していた。IECが2.7mmol/g以上では、相間距離225-256nmの結晶ネットワーク領域からなる新しい相が形成され、IEC2.4-2.7mmol/gの間で、相転移現象が起こることを見出した。以上の結果により、高IECのETFE-PEMの高いプロトン伝導度は、結晶領域の周り存在する連結したイオンチャンネルに由来し、高い機械強度は残存するラメラ結晶と結晶粒に由来するとの結論を得た。
八巻 徹也; 浅野 雅春; 吉田 勝
月刊エコインダストリー, 10(6), p.5 - 11, 2005/06
DMFC用の電解質膜にかかわる最も重要な研究課題として、メタノールクロスオーバーを抑制できる膜の開発がある。筆者らは、独自に開発した放射線照射プロセスを利用して、この課題をクリアする高性能な電解質膜の作製に成功した。高温下の線照射で架橋構造を付与したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜に放射線グラフト重合を応用することにより、スルホン酸基の量を市販膜ナフィオンの3倍にまで高めた新しいフッ素系高分子電解質膜を作製し、そのプロトン伝導性が最大で2倍に達することを明らかにした。この膜のメタノール透過試験を行ったところ、30体積%という高濃度の水溶液を用いても透過係数がナフィオンの約4分の1にまで大幅に抑制されていることがわかった。PTFE主鎖への架橋導入がメタノールクロスオーバーを抑制するのに不可欠であることを示すことができた。
八巻 徹也; 浅野 雅春; 吉田 勝
工業材料, 53(1), p.63 - 67, 2005/01
PEFC用の高分子電解質膜にかかわる重要な研究課題の一つとして、低湿度下で作動する膜の開発がある。原研では、PTFE膜に放射線で架橋構造を付与し、それに放射線グラフト重合法を応用することにより、プロトン伝導を担う官能基(スルホン酸基)の量を従来の3倍にまで高めた新しいフッ素系高分子電解質膜を作製する技術を開発した。そして、最近の研究において、スルホン酸基の量を制御した架橋PTFE電解質膜に対し、温度,相対湿度(R.H.)の制御下でプロトン伝導性を検討したところ、その指標である伝導率がR.H.を下げても大きく低下せず、低加湿の条件下であっても高伝導膜として十分に機能することがわかった。本稿では、独自開発による架橋PTFE電解質膜の作製技術とプロトン伝導性、さらには今後の課題などを紹介する。
八巻 徹也; 吉田 勝
燃料電池, 4(3), p.73 - 78, 2005/01
固体高分子形燃料電池用の電解質膜として広く使われているナフィオンでは、プロトン伝導性を維持するのに絶えず加湿して高い含水状態を保たなければならず、膜の乾燥による作動中の出力低下が問題となっている。また、高分子主鎖に架橋構造を持たないため、水や燃料として用いられるメタノールによって大きく膨潤してしまい、このことも実用化を妨げている要因の一つである。われわれは、架橋構造を付与したPTFE膜に放射線グラフト重合法を応用することにより、プロトン伝導を担うスルホン酸基の量を最大でナフィオンの3倍にまで高めた新しいフッ素系高分子電解質膜を作製し、そのプロトン伝導性が相対湿度(R.H.)を下げても大きく低下しないことを明らかにした。例えば、相対湿度70%という低加湿の下では、ナフィオンの4倍に相当する伝導度0.14S/cmを示し、実用上十分なレベルであった。親水性領域をキャピラリーに見立てたミクロなモデルで伝導機構について考察した結果、高いイオン交換容量と寸法安定性を兼ね備えていることが高伝導性の原因と考えられた。
八巻 徹也; 浅野 雅春; 吉田 勝
工業材料, 51(4), p.39 - 42, 2003/04
放射線架橋ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜に放射線グラフト重合を応用することによって高分子電解質膜を作製する技術を開発した。架橋PTFE膜は、線をアルゴンガス雰囲気,3405 の温度で、60~320kGy照射して得た。この架橋膜に、アルゴンガス雰囲気、室温で線を前照射することによりラジカルを生成させた後、60でスチレンを後グラフトした。最後に、グラフトされたポリスチレン鎖をクロルスルホン酸でスルホン化し、イオン交換基(スルホン酸基)を基材に導入した。合成した電解質膜のイオン交換容量は0.7~3meq/gで、従来膜ナフィオンの0.9~1.1meq/gよりはるかに高く、しかも広範囲で変化させることが可能であった。また、アルコールに対しては、ナフィオンが大きな膨潤性を示すのとは対照的に、われわれの電解質膜では膨潤し難く安定であることが確認できた。今後は、ポリスチレンのような炭化水素からなる側鎖の代わりに、フッ素系モノマーをグラフト重合し、燃料電池膜としての耐久性の向上を狙っている。
八巻 徹也; 浅野 雅春; 森田 洋右*; 諏訪 武*; 吉田 勝
Proceedings of 9th International Conference on Radiation Curing (RadTech Asia '03) (CD-ROM), 4 Pages, 2003/00
放射線架橋ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜にスチレンを放射線グラフト重合した後、スルホン化することによってイオン交換膜を合成した。スチレンのグラフト率は、PTFE基材の架橋密度とグラフト反応条件によって制御可能であった。グラフト率30%以上では、スルホン酸基が内部にまで均一に分布したイオン交換膜を合成することができた。得られた膜のイオン交換容量は、ナフィオンのような市販パーフルオロスルホン酸膜の性能を大きく上回る2.9meq gという高い値であった。このことは、われわれのイオン交換膜が燃料電池膜として応用可能であることを示している。
吉田 勝; 八巻 徹也
最新燃料電池部材; その最先端技術と信頼性評価, p.82 - 92, 2003/00
最近、われわれは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜に放射線で架橋構造を付与し、それに放射線グラフト重合を応用することにより、高性能の燃料電池用高分子電解質膜を作製することに成功した。すなわち、架橋PTFE膜にスチレンをグラフトした後、グラフト鎖をスルホン化したところ、従来膜ナフィオンを凌駕するイオン交換能,膨潤特性を付与することができたのである。これが世界初の「架橋」フッ素高分子電解質膜であり、しかもその作製プロセスが極めて簡便であることは特筆に値する。本稿では、はじめに本技術のポイントとなる放射線架橋の基礎を概説し、次にPTFE架橋技術と架橋PTFE膜を基材とした電解質膜の合成法について述べ、最後に新たな放射線利用にかかわる研究としてわれわれの有するイオンビーム微細加工技術とその応用について紹介する。
八巻 徹也; 吉田 勝
図解,燃料電池のすべて, p.117 - 119, 2003/00
機械的強度,耐熱性,耐薬品性に優れたフッ素樹脂を架橋すると、これらの諸特性がさらに向上するので、さまざまな用途を持つ材料として応用価値が高くなる。1990年代のはじめに、それまで放射線分解型の高分子であると信じられてきたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、結晶融点(327C)以上という特殊な環境下で放射線照射したときのみ、架橋することが発見された。架橋フッ素高分子電解質膜の合成は、この架橋PTFEのシート(厚さ50100ミクロン)に放射線を照射して、非常に反応しやすい部位(ラジカル)を内部にまで均一につくり、これにスチレンなどの芳香族ビニル化合物を付加重合させた後にスルホン酸基をつけることで行う。得られた電解質膜のイオン交換容量は0.73ミリ当量/gで、現在使われているパーフルオロスルホン酸膜の0.91.1ミリ当量/gよりはるかに高い値である。また、アルコール-水混合液中では、架橋構造を持たない従来の電解質膜と比較して、膨潤し難く寸法安定性に優れていることが確認されている。このことから、架橋PTFEからなる電解質膜では、メタノールの透過が大幅に抑制されると考えられる。
諏訪 武; 森田 洋右
放射線と産業, (93), p.22 - 28, 2002/03
現在固体高分子型燃料電池(PEFC)に使用されているナフィオン等パーフルオロスルホン酸(PFS)膜の現状、さらに高性能で低コスト化を目指した高分子電解値膜(イオン交換膜)の開発状況,特に放射線グラフト法による膜に焦点をあてて紹介する。最後に、われわれの進めている架橋PTFEを基材に放射線グラフト法で作製したイオン交換膜の特徴を紹介する。イオン交換容量は0.5~3meq/g,含水率は20~150wt%,25における導電率は50~200mS/cmである。また、アルコール類に対する膨潤性は、ナフィオン膜に比較して小さく非常に安定である。
諏訪 武
ポリマーダイジェスト, 54(3), p.17 - 26, 2002/03
現在最も注目されている燃料電池は固体高分子型燃料電池(PEFC)である。まずPEFCの原理と構造について電解質膜の役割と関連づけて紹介する。現在使用されているナフィオン等のパーフルオロスルホン酸(PFS)膜の現状、さらに高性能で低コスト化を目指した高分子電解質膜の開発状況、特に放射線グラフト法で作製された電解質膜の特徴を紹介する。本法は、架橋型の高分子膜を用いた場には優れた電解質膜を作製できる可能性を有する。最後に、われわれの進めている架橋PTFEを基材に放射線グラフト法で作製した電解質膜の特徴を紹介する。
長谷川 伸; 深澤 秀行*; 越川 博; Chen, J.; 前川 康成
no journal, ,
燃料電池用高分子電解質膜の開発を目的に、高温での機械特性及び耐久性に優れた芳香族系炭化水素であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)からなる電解質膜(PEEK-PEM)の作製と諸特性について検討した。今回、機械特性や耐熱性などの向上が報告されている無機ナノ粒子(シリカ、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウム)を配合した複合PEEK膜(複合化PEEK)を用いて、放射線グラフト重合による電解質膜の調製を検討したところ、グラフト率15196%、IEC 0.723.42mmol/gの電解質膜(複合化電解質膜)が作製できた。複合化電解質膜のうち、3%シリカ含有膜は、PEEK基材のみと比較して破断強度が7%増加した。イオン交換容量(IEC)2.1mmol/gに調製した複合化電解質膜のプロトン伝導度は、同IECをもつPEEK基材のみの電解質膜に比べ45%増加する効果を確認した。
八巻 徹也
no journal, ,
日本原子力研究開発機構では、独自の量子ビーム技術を駆使して、燃料電池に応用可能な高分子電解質膜の開発を進めている。本講演では、発表者らによるその活動のうち、高エネルギー重イオンビーム照射によるグラフト重合を利用したナノ構造制御電解質膜の開発について報告する。今回は、膜中に形成されるプロトン伝導部のナノ構造や、プロトン伝導度など各種物性を線グラフト電解質膜と比較しながら議論する。
Chen, J.; 浅野 雅春; 前川 康成
no journal, ,
電気透析法を利用した水処理では、高分子電解質膜と電力を利用してイオン性物質を分離するプロセスが重要である。陽極及び陰極の間に、陰イオンのみを透過させるアニオン交換膜と陽イオンのみを透過させるカチオン交換膜を交互に配列させ、原水を流すことでイオン性物質が除去される。電気透析の最も重要な構成部材であるアニオン交換膜およびカチオン交換膜は、主として化学的な方法で合成されているが、特性などはほとんど明らかにされておらず、十分に実用的なものが得られているとは言い難い。そこで、本研究では、市販の高分子膜を基材として、放射線グラフト重合によるアニオン交換膜およびカチオン交換膜を合成し、電気透析用高分子電解質膜として必要な性能を評価した。更に、硝酸セシウム水溶液を模擬溶液として、セシウムイオン分離性能を評価することで、水溶液中のセシウムイオンの除去速度および除去効率に及ぼす高分子電解質膜のイオン交換容量への影響を明らかにした。
前川 康成
no journal, ,
量子ビームを利用した放射線グラフト重合法では、電子・線によりあらかじめ高分子基材にラジカルが生成し、その後結晶相に生成したラジカルで開始されたグラフト重合反応が基材非晶相のマトリックスに守られた形で進行することから、その機械特性、結晶性などを維持したまま新たな機能性を有する高分子をグラフト鎖として直接導入できる。原子力機構では、このような放射線グラフト重合の特徴を活かし、フッ素系や芳香族炭化水素系高分子基材にイオン伝導性高分子に変換可能な前駆体グラフト鎖を導入後、化学変換反応により、プロトン伝導性とアニオン伝導性の高分子電解質膜の開発に成功している。更に、上記グラフト型のプロトン/アニオン伝導性高分子電解質膜について、放射光(SPring-8)、研究炉(JRR-3)によるX線・中性子小角散乱等の量子ビーム解析技術を複合的に利用することで、グラフト鎖からなるイオンチャンネル構造や結晶ラメラ構造が解析でき、高イオン伝導性や耐久性発現のために必要な階層構造を解明できたので合わせて報告する。
前川 康成; Zhao, Y.; 吉村 公男; 猪谷 秀幸*; 山口 進*; 田中 裕久*; 小泉 智*
no journal, ,
電子・線などの量子ビームを利用した放射線グラフト重合法で作製した高分子電解質膜(グラフト電解質膜)は、一般的なキャスト/延伸法等で作製された膜よりも高い結晶性を有し、イオン伝導性/機械特性の両方に優れた特性を示す。そこで、水素燃料電池及び白金フリーアルカリ燃料電池として高い出力特性、耐久性を報告しているエチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)にスルホ基およびイミダゾリウム基を有するグラフト鎖を導入したプロトンおよびアニオン伝導高分子電解質膜(ETFE-PEM/ETFE-AEM)について、X線小角散乱法(SAXS)や中性子小角散乱(SANS)コントラスト変調法による解析より、その階層構造と機能性の関係を検討した。その結果、両電解質膜ともに、ETFE基材膜由来のラメラ結晶が維持された微結晶領域が機械的強度に重要であること、全グラフト鎖と水を含む親水領域がイオンチャンネルを形成することが高いイオン伝導性に重要であることなど、電解質膜の性能向上に重要な階層構造を明らかにした。
濱田 崇; 竹内 航太*; 長谷川 伸; 前川 康成
no journal, ,
燃料電池用電解質膜の開発において、放射線グラフト重合では、イオンチャンネルを形成するグラフト鎖の分子量分布やブロック構造などを精密に制御することはできない。そこで、最適なイオンチャンネルの形成と性能の向上を目指し、リビングラジカル重合法の一つである原子移動ラジカル重合(ATRP)を放射線グラフト重合と組み合わせた"リビンググラフト重合"で、グラフト鎖構造の精密制御を検討した。これまでのリビンググラフト重合を用いた電解質膜の合成では、重合時の温度が高く、熱重合との区別を含めリビング性を証明した例はなく、上記の精密構造制御はできていなかった。本研究では、ATRP触媒の配位子、溶媒とその濃度を最適化することで、熱重合を伴わない低温でのグラフト高分子鎖の精密合成に成功するとともに、逐次的なモノマー添加/構造同定によりリビング重合性を初めて証明した。このリビング性を示す重合条件を利用することで、分子量分布のそろったグラフト鎖からなる電解質膜を合成し、放射線グラフト重合で作製した電解質膜と比較したところ、高湿度条件で導電率に優れるものの、含水率増加による膜変形を起こす欠点があることを明らかにした。