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奥野 浩; 須山 賢也
Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 8 Pages, 2023/10
1999年9月30日、茨城県にあるJCOの核燃料加工工場で住民の避難につながる臨界事故が発生した。本稿では、この事故の概要、技術的課題、背景、およびその後の状況について紹介する。この事故の検証は前回東海村で開催されたICNC2003の重要なテーマの1つであった。今般ICNCが日本で開催される節目にこの事故を再確認し、原子力災害から人と環境を守るために対応と備えを強化すべきであるという考えを共有したい。この事故はJCOの工場でUOから中濃縮(U濃縮度18.8重量%)硝酸ウラニル溶液を調製するため、十分な厚さの水反射板を持つ無限円筒の臨界直径(約23cm)を超える直径45cmの沈殿槽を使用した非公式かつ通常とは異なる工程で発生した。このタンクは厚さ2.2cmの水ジャケットで囲まれており、それは工場の横にある冷却塔に接続されていた。この水ジャケットが中性子反射板の役割を行うだけでなく溶液の蒸発を防いだために、その後約20時間臨界が継続した。JCOでは臨界事故を想定しておらず事故後の対応は混乱した。事故当時、日本原子力研究開発機構の前身である原研とサイクル機構は、臨界を止めて住民の被ばくを減らすために行動した。事故後、東海村の村役場では原研と放射線医学総合研究所が電話相談に対応した。サイクル機構は茨城県庁で同様のことを実施して住民にアドバイスを行った。本発表ではスライドルールの適用、臨界事故発生の見極め、緊急時の対応などの問題を含めて発表する。
岡 潔
機械の研究, 57(6), p.641 - 649, 2005/06
平成11年9月末に発生したウラン燃料加工工場における臨界事故(JCOの臨界事故)では、放射線レベルが高く、事故現場への人のアクセスが困難であった。このため、事故現場の状況についての情報が不十分で、事故の収拾を大幅に遅らせた。この臨界事故のように、原子力施設で事故が発生し、放射線により人がアクセスできない場合、事故をできるだけ早く収拾するために、事故現場に即座に侵入し、情報収集や事故拡大防止・停止処置作業を行うロボットの開発が必要となった。このような背景の下、日本原子力研究所では、これまで原子力施設用ロボット及び核融合炉用保守ロボットの開発を通して養ってきた知見や経験等を生かし、「事故時情報遠隔収集ロボット」(RESQ: Remote Surveillance Squad)の開発と並行して、より放射線レベルの高い環境下で作業が可能な「耐放射線ロボット」(RaBOT: Radiation-proof Robot)を開発した。本報告では、RaBOTを中心にその開発内容と遠隔作業の概要を述べる。
桜井 淳; 野尻 一郎*
JAERI-Conf 2003-019, p.855 - 857, 2003/10
本稿は日本における核燃料サイクル施設のモンテカルロ法による未臨界安全解析セミナーについてまとめたものである。連続エネルギーモンテカルロコードMCNP-4C2システムが参加者各自の持参したノート型パソコンに瞬時にインストールされ、計算演習に利用された。計算に先立ち炉物理及びモンテカルロシミュレーションの基礎理論の講義が行われた。このセミナーでは、JCO沈殿槽,JNCウラン溶液貯蔵施設,JNCプルトニウム溶液貯蔵施設,JAERI TCA炉心の実効中性子増倍率及び中性子スペクトルの計算を行った。臨界事故を防止するため、核燃料サイクル施設の安全管理の考え方も示した。
外池 幸太郎; 中村 剛実*; 山根 祐一; 三好 慶典
Nuclear Technology, 143(3), p.364 - 372, 2003/09
被引用回数:2 パーセンタイル:18.89(Nuclear Science & Technology)JCO東海事業所の第1加工棟に設置されている線エリアモニターは、臨界事故の発生から終息に至るまで、転換試験棟の沈殿槽で発生していた核分裂連錯反応の出力に比例した線量率を計測,記録していた。この記録の事故発生後25分から事故終息までの部分(「プラトー」部)について、核分裂数2.210で規格化することにより、核分裂連錯反応の絶対出力の履歴を評価した。
遠藤 章; 山口 恭弘; 住田 健二*
Journal of Nuclear Science and Technology, 40(8), p.628 - 630, 2003/08
被引用回数:4 パーセンタイル:31.58(Nuclear Science & Technology)JCO臨界事故による被ばく線量の評価は、JCOの線モニタ,原研那珂研の中性子モニタ及び現場周辺で測定されたモニタリングデータに基づいて行われた。臨界継続中、事故現場から約1km離れた三菱原子燃料において、高感度の燃料集合体非破壊測定システム(UNCL)を用いた中性子計測が行われていたことがわかった。日本原子力学会JCO事故調査委員会はこのデータを入手し、委員会メンバーである著者らは、その解析から臨界に伴い発生した中性子強度の推移を評価した。その結果、事故発生から約1時間半後から臨界状態終息までの中性子強度の変化は、線モニタ,中性子モニタの記録と一致することが明らかとなった。本解析結果は、線量評価に用いられた線量率の時間推移に関するモデルが適切なものであったことを示している。
坂本 幸夫
JAERI-Research 2002-025, 34 Pages, 2002/11
原子力施設の防災対策では、施設内外での放射線の線量当量率分布及びエネルギースペクトルの評価が必要であり、施設独自の建家構造を考慮した詳細解析には3次元放射線輸送計算コードが有用なツールとなる。平成11年9月30日に発生したJCOウラン加工工場の臨界事故解析を、モンテカルロ法の放射線輸送計算コードで行い、線量率分布及びエネルギースペクトルの信頼性,敷地外側での線量率分布に影響する因子を検討した。事故現場の転換試験棟を直接見通すことのできる事務棟2階会議室での実測値を再現し、「中性子計数率の時間変化パターン」に従った臨界状態の出力を満たす放射線輸送計算の条件を検討した。壁材及び天井材に用いられている軽量気泡コンクリートに水分量を0.15g・cm程度追加すれば、妥当な結果が得られることを見いだした。また、他のモニタリング位置に関してはファクター3の範囲内で実測値を再現できる値を得た。さらに、事故終息後の線の線量当量率評価から、臨界直後の変動の大きい期間の核分裂数とその後の事故終息までの変動の小さい期間の核分裂数の比率を評価し、「中性子計数率の時間変化パターン」と矛盾のないことを確認した。
梅本 通孝; 石神 努; 小林 健介
地域安全学会論文集,4, p.231 - 240, 2002/11
1999年9月30日のJCO臨界事故では、東海村が現場周辺地区住民に対して避難要請を行ったほか、茨城県は現場から半径10km圏の地域住民に対して屋内退避を要請した。この事故発生当時の住民への情報伝達及び住民の対応行動等を把握するために350m圏地区と10km圏地域において住民調査を行った。その調査結果に基づき住民属性等と情報伝達状況との関連性及び住民の対応行動の決定要因に関する分析結果を報告する。主な結果は次のとおりである。(1)350m圏地区調査の結果: (a)日中自宅にいることの多い専業主婦はその他の職業者よりも避難要請情報への接触が早かった。(b)事故発生現場に近いほど避難要請情報への接触が早く、また住民の避難実施も促進された。(c)避難要請等の情報をなるべく身近な者から得るほうが避難実施の決定に至りやすかった。(2)10km圏地域調査の結果: (a)年齢が高いほどマスコミによる情報接触の比率が増加した。(b)会社員等は半数以上が仕事関係者等の私的ルートで事故発生情報を知った。(c)家族や仕事関係者等の私的ルートによる情報接触は行政ルートやマスコミに比べて遅かった。(d)屋内退避等の実施/非実施の意思決定には、退避情報への接触時刻,自宅から事故発生現場までの距離,職業,JCO所在地の認知度、などの要因が大きく影響した。
渡辺 庄一; 三好 慶典; 山根 祐一
JAERI-Tech 2002-043, 93 Pages, 2002/03
ウラン加工工場臨界事故では、初期バースト出力に引き続き、プラトー部では熱的に有意な出力レベルが持続した。一連の事故出力変化は、JCO東海事業所の線エリアモニタの観測データとして記録されている。この有意な出力レベルが持続した要因として、JCO沈殿槽の冷却水ジャケットの水が流れていたことが挙げられる。また、緩やかな出力降下が観測されたが、主な要因として燃料溶液からの水分蒸発効果が考えられる。観測された出力を再現し得る熱的な条件について知見を得ることを目的として、JCO沈殿槽の本体部を模擬したモックアップ試験装置を製作し、一点炉近似動特性方程式を解いて得られた出力に基づき電気ヒータ出力を制御する方法により、プラトー部での熱特性シミュレーション試験を行った。主な試験パラメータは、初期投入反応度に対応する初期溶液温度及び熱除去にかかわる冷却水流量である。試験では有意な水分蒸発量が測定され、反応度約2.5ドルの場合にプラトー部での観測値を再現する結果が得られた。
内田 正明
IAEA Regional Workshop on Accident Management and Emergency Response for Research Reactors, 11 Pages, 2002/00
1999年東海村で起こった核燃料再処理転換工場での臨界事故について、主として原子力安全委員会の報告書をもとに概説する。内容は、加工工場における特殊少量生産という特殊性を含めた事故の背景,事故の経過と終息させるための活動,核分裂数と被曝量の推定等で構成する。原研,サイクル機構という2つの大規模研究機関を立地させている東海村で起こったという事故の特殊性,及びその経験に反映された防災オフサイトセンターの設置等,事故等の改善策についてもふれる。
田中 俊一
Journal of Radiation Research, 42(Suppl.), p.S1 - S9, 2002/00
1999年9月30日、JCO東海事業所の転換棟で臨界事故が発生し、約19時間にわたって臨界反応が持続した。この間の核分裂数は、約2.5x10と推測された。この事故によって3人のJCO従業員が重篤な被曝を受け、この内2名は致命的な被曝を受けた。住民234人、従業員169人、緊急作業者260人の被曝線量は、最大で48mSvであった。
玉置 等史; 渡邉 憲夫*; 村松 健
Proceedings of the 2001 Topical Meeting on Practical Implementation of Nuclear Criticality Safety (CD-ROM), 10 Pages, 2001/11
確率論的安全評価手法の整備の一環として、JCOのウラン燃料加工施設を対象に、ハザード及び施設の安全確保策を整理し、潜在的事故シナリオを系統的に抽出するハザードマップ手法を用いたハザード分析を行った。この研究の目的は手法の妥当性の確認及び実施する上での教訓及び課題の摘出である。本ハザード分析より、臨界に至る事故シナリオを同定し、この分析手順が妥当であることを確認した。また、JCOが不法に採用していた設計と運転手順に対しても同手法を適用し、現実に発生した事故を含むような事故シナリオの抽出が可能か否かを検討した。その結果、運転手順に定められた機器以外のものの利用といった相当に広い範囲の起因事象を想定する必要があることがわかった。このため、実際に起きたものを含め、重要シナリオを漏れなく抽出するためには、起因事象の同定などの手順について実用的な手順書を作成しておく必要がある。
内山 軍蔵; 渡部 和男; 宮内 正勝; 冨樫 喜博; 中原 嘉則; 深谷 洋行; 伊奈川 潤; 鈴木 大輔; 薗田 暁; 河野 信昭; et al.
Journal of Radiation Research, 42(Suppl.), p.S11 - S16, 2001/10
JCO臨界事故後の沈殿槽及び残されたビーカー内のウラン溶液の分析を行い、ウラン溶液中の核分裂生成物濃度の分析結果及び投入ウラン推定量をもとに総核分裂数を(2.50.1)10個と評価した。
坂本 幸夫
KEK Proceedings 2001-14, p.236 - 242, 2001/06
日本原子力学会の放射線工学部会の関係者では5グループが遮蔽計算コードによりJCO臨界事故時の敷地内外での中性子強度、スペクトル及び線量(率)の評価を行っている。これらのグループ間の評価結果特に臨界時の出力に違いが見られる。この原因を明らかにするために、各グループ間での計算条件を比較した。この結果、建家の壁材及び天井材である軽量気泡コンクリートの密度及び含有する水分量の取り扱いに大きな差が見られた。事故調査委員会の事故シナリオによる臨界状態の出力を再現する軽量気泡コンクリート中の水分量は0.050.10g/ccである。また、250m~1,700mの線量(率)実測データと計算値の距離に対する傾向がほぼ同じであることを確認した。
篠原 伸夫; 河野 信昭; 須山 賢也; 伊奈川 潤; 中原 嘉則; 黒沢 節身; 渡部 和男; 臼田 重和; 大島 真澄; 勝田 博司; et al.
Radiochimica Acta, 89(3), p.135 - 138, 2001/05
被引用回数:2 パーセンタイル:19.6(Chemistry, Inorganic & Nuclear)東海村で起きたJCO臨界事故のウラン溶液を放射化学分析して、Uの中性子捕獲反応で生成したNp及びPuを正確に定量した。測定した原子数比Np/Puは、臨界事故中の中性子捕獲反応履歴に依存することを見いだし、燃焼計算コードを用いた計算結果と比較した。その結果、事故の初期段階(25分間)の中性子捕獲反応数は全反応数に対して246%であることが明らかになった。
NUCEF管理課
JAERI-Tech 2001-008, 32 Pages, 2001/03
燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)に設置された定常臨界実験装置(STACY)、過渡臨界実験装置(TRACY)及び核燃料調製設備の運転にあたっては、燃料として用いるウラン硝酸溶液に関する分析結果が基本条件となる。平成11年度は、STACY及びTRACYの臨界実験前後のウラン溶液の性状分析、ウラン溶液燃料の調製のための分析等を行うとともに、核燃料物質の計量管理のため、計量槽に貯蔵してあるウラン溶液の分析等を行った。また、平成11年9月30日に発生したJCO臨界事故の調査支援の一環として、総核分裂数の評価のため沈殿槽に残っていた硝酸ウラニル溶液の分析等を行った。平成11年度における総分析試料数は、JCO臨界事故の調査支援のための分析を除き、351試料の分析を行った。本報告書は、平成11年度に行った分析等の業務についてまとめたものである。
渡辺 庄一; 三好 慶典
JAERI-Data/Code 2001-008, 62 Pages, 2001/03
JCO沈殿槽の臨界事故における、ウラン溶液注入時の界面挙動を把握することを目的として、沈殿槽の胴体部及び下部鏡板部の形状寸法を模擬した可視化容器(透明容器)を製作し、ウラン溶液注入時を再現した可視化試験を行った。注入液の容器内への拡散状態,可視化容器内への模擬溶液注入時の液面の揺動(スロッシング),ボイドの巻き込み状態等を観察するとともにビデオ撮影した。また、溶液注入時の液面の変動量及び平均上昇液位は、容器内に垂直配置した直読式水深棒を用いて測定した。溶液注入時のボイドの巻き込み量は局所的であった。注入初期の液面の高低差は3mm程度であり、注入終了時で2mm程度に減少したことから、液面揺動量は平均液位に対して1%程度以内と考えられる。
山本 俊弘; 中村 剛実*; 三好 慶典
JAERI-Data/Code 2001-001, 30 Pages, 2001/02
JCO臨界事故における投入反応度を臨界計算から推定するために、臨界計算手法のバイアス評価を行った。臨界計算にはMNCP4Bを使用し、断面積ライブラリーとしてはポイントワイズのJENDL-3.1,JENDL-3.2,ENDF/B-Vを用いた。これらを用いて濃縮度10wt.%の溶液ウランを用いたSTACYの臨界実験解析と、Rocky Flats Plantで行われた濃縮度93.2wt/%の臨界実験の解析を行った。その結果、JCOの溶液燃料の濃縮度18.8wt%に対してJENDL-3.1,JENDL-3.2,ENDF/B-Vを用いた場合の実効増倍率のバイアス値はそれぞれ0.0%,+1.2%,+0.6%となった。
田辺 文也; 山口 勇吉
日本原子力学会誌, 43(1), p.48 - 51, 2001/01
被引用回数:5 パーセンタイル:38.87(Nuclear Science & Technology)JCO臨界事故の認知システム工学的方法による分析の一環として実施した、システムと工程の特性に関する分析の結果を報告する。工程における貯液機能の重要性、化学的労働災害リスク、作業負荷の重要性とそのレベルの変遷と工程の変遷との関連を分析している。また許認可段階での貯塔の役割についても明らかにした。
田辺 文也; 山口 勇吉
日本原子力学会誌, 43(1), p.52 - 55, 2001/01
被引用回数:1 パーセンタイル:11.99(Nuclear Science & Technology)JCO臨界事故の認知システム工学的方法による分析の一環として実施した操業記録の分析結果を報告する。作業シーケンスのパターンとして二つのタイプが明らかにされるとともに、操業初期の段階から貯液装置(貯塔,加水分解塔,など)において数バッチ分のウラン溶液を貯めることが常態化していたことを明らかにした。
山本 克宗
Proceedings of 15th Sino-Japanese Seminar on Nuclear Safety, p.267 - 278, 2000/12
JCO事故において被ばくした公衆及び作業者について、モニタリングデータや計算シミュレーションを用いて線量評価が行われた。沈殿槽から350m以内の公衆の線量は、周辺環境における中性子及び線の線量率の分布や、個人の行動調査の結果等を用いて評価された。敷地内の作業者や緊急時対応要員の線量は、個人線量計の情報が使える場合には、その記録を用いて決定された。作業者の一部に対しては、体内に生成したNa-24の量の測定結果を用いて線量評価がなされた。線量計測上の情報がない作業者に対しては、公衆の線量評価と同様な方法が適用された。高線量被ばくした3人の作業者については、血液中のNa-24濃度やリンパ球の調査結果から被ばくした線量評価が行われた。これらの結果、公衆の最大線量は21mSvであり、大部分は5mSv未満であった。高線量被ばくした3人の作業者を除いて、作業者で線量が50mSvを越えた者はいなかった。高線量被ばくした3人の作業者の線量は、それぞれ16~20以上GyEq,6.0~10GyEq,1~4.5GyEqであった。