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小室 雄一
日本原子力学会誌, 41(12), p.1238 - 1243, 1999/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)平成11年9月30日に臨界事故を起こしたJCOの沈殿槽の臨界安全性は、投入する溶液に含まれるウランの質量を制限することで保証することになっていた。このような管理方法は、一般的に質量管理と呼ばれている。沈殿槽のウラン質量の制限値は2.4kgである。沈殿槽の上流側にある溶解槽からは、その値を超えない量の溶液が移送される設計になっていた。ところが、裏マニュアルにさえ従わず、制限値を上回る量の硝酸ウラニル水溶液を、作業者がバケツで直接何杯も沈殿槽に入れたために、我が国初の臨界事故に至った。第2回事故委員会において、この制限値の導出法について少し議論があったが、米国の核的安全ガイドTID-7016 Rev.1を参照して求めたという答弁だけで終わっていた。第3回事故調査委員会においても文献を教えて欲しいとの意見があった。ここではTID-7016 Rev.1の概要、制限値2.4kgの導出法、制限値2.4kgの安全裕度について述べる。TID-7016 Rev.1を利用した簡便な制限質量導出の一例を示すという意味でも有意義である。