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原子力科学研究部門 原子力科学研究所
JAEA-Review 2023-009, 165 Pages, 2023/06
原子力科学研究所(原科研)は、従来からの部署である保安管理部、放射線管理部、工務技術部、研究炉加速器技術部、臨界ホット試験技術部、バックエンド技術部の6部及び計画管理部に加えて、先端基礎研究センター、原子力基礎工学研究センター、原子力エネルギー基盤連携センター及び物質科学研究センターで構成され、各部署は、中長期計画の達成に向け、施設管理、研究技術開発などを行っている。本報告書は、今後の研究開発や事業推進に資するため、令和2年度の原科研の活動(各センターでの研究開発活動を除く)、並びに原科研を拠点とする廃炉環境国際共同研究センター、安全研究センター、原子力人材育成センターなどが原科研の諸施設を利用して実施した研究開発及び原子力人材育成活動の実績を記録したものである。
吉田 涼一朗; 山根 祐一; 阿部 仁
Proceedings of International Nuclear Fuel Cycle Conference / Light Water Reactor Fuel Performance Conference (Global/Top Fuel 2019) (USB Flash Drive), p.408 - 414, 2019/09
臨界事故では、核分裂生成物の運動エネルギーにより放射線分解ガスが発生することが知られている。水素ガスはそのうちの一つであり、爆発を引き起こす可能性がある。水素のG値が既知であれば核分裂数から水素ガスの発生速度や発生量の合計を評価することができる。本研究では、原子力機構がTRACYを用いて測定した水素濃度の経時変化データからG値を評価することを試みた。水素の発生から水素ガス濃度が測定されるまでタイムラグが見られ、この問題を解決するため、仮想モデルによって測定した水素濃度を再現し、その量を推定した。そこから得られた水素のG値は1.2であった。
辻村 憲雄; 吉田 忠義; 眞田 幸尚
JPS Conference Proceedings (Internet), 24, p.011013_1 - 011013_6, 2019/01
The Japan Atomic Energy Agency used criticality accident alarm systems (CAAS) to monitor the occurrence of any accidental criticality at the Tokai Reprocessing Plant (TRP). A total of six plastic scintillator-based detector units, newly purchased or developed for the TRP, were tested by exposing them to pulsed radiation generated at TRACY, which is a pulse-type reactor that uses uranyl nitrate solution as fuel. All detector units tested responded properly to pulsed radiation that simulated an actual accidental criticality.
田代 信介; 阿部 仁
JAEA-Technology 2015-044, 20 Pages, 2016/03
再処理施設における溶液燃料臨界事故時の放射性ヨウ素の気相への移行挙動を把握することは、同事故における公衆への影響を評価する観点から極めて重要である。本報では、過渡臨界実験装置(TRACY)を用いた臨界実験において、臨界を終息させた後、溶液燃料中の放射性ヨウ素濃度が減少傾向を示す時間まで溶液燃料を保持した条件及び臨界を継続させた状態で溶液燃料を保持した条件の下で、TRACY炉心気相に移行したIの経時的な放射能濃度を測定した。得られた経時的な炉心タンク気相中の放射性ヨウ素濃度測定値に、放射性ヨウ素の移行評価モデルを適用することで、放射性ヨウ素の気相への積算移行割合及び移行速度を評価した。過渡臨界後に臨界を終息させ溶液燃料を炉心タンク内に保持した場合には、Iの気相への移行速度は、ほぼ1時間後から3時間後までの時間帯で最大値を示し、8時間以降でほぼ一定となることが分かった。また、経過時刻毎の全核分裂数と移行速度の関係を得ることができた。一方、JCO臨界事故のように臨界が継続した状態で溶液燃料を保持した場合には、放射性ヨウ素の積算移行割合と移行速度は時間とともに単調に増加することが分かった。
山根 祐一
Journal of Nuclear Science and Technology, 52(11), p.1425 - 1435, 2015/11
被引用回数:2 パーセンタイル:17.57(Nuclear Science & Technology)核燃料溶液体系に瞬時に反応度が添加されて生じる臨界事故の第1ピーク出力について、計算の簡単さを維持しながら評価精度を向上するために、簡単な方程式を導出した。その方程式は温度フィードバック反応度が核燃料溶液の温度上昇の2次の関数であるとの仮定に基づいている。その方程式によって推定されたピーク出力は実験値に対して1/2から2倍の範囲内にあることが示された。広い範囲の初期添加反応度の値に対する推定の正確さが一点炉動特性解析計算との比較で確認された。この方程式は、第1ピーク出力が小さい添加反応度に対してはピーク出力が添加反応度の2乗に比例し、大きい添加反応度に対しては3/2乗に比例することを示唆している。
山根 祐一
Advances in Nuclear Fuel, p.159 - 174, 2012/02
本章の目的は、臨界事故における総核分裂数を評価するために開発中の新しい手法のコンセプトを紹介することである。新しい手法では、非常に大きな過大評価ではなく、ほぼ同じオーダーであるような合理的な評価値を得ることが期待されている。第1節では、日本原子力研究開発機構が実施しているTRACY実験に基づいて硝酸ウラニル水溶液の臨界事故の現象について紹介する。第2節では、温度や反応度温度係数,水,冷却、等々の臨界事故を特徴づける条件について考える。第3節では、総核分裂数を評価するための新しい手法について記述する。第4節では、開発中の新しい手法を幾つかのケースに当てはめ、その適用性を検討する。
村崎 穣; 延原 文祥*; 岩井 梢平*; 外池 幸太郎; 内山 軍蔵
JAEA-Technology 2009-045, 46 Pages, 2009/09
TRACYの臨界事故状況下において、硫黄を含む硬質ゴムであるエボナイトを用いた中性子線量測定を行った。中性子線量の評価においては、エボナイト中の硫黄と中性子の反応S(n,p)で生成されるPから放出される線をGM計数装置で測定して得られる計数率を利用する。この計数率にあらかじめCf線源により決定された校正定数(Gy/cpm)を適用することにより、中性子線量を得ることができる。校正に用いたCf線源と測定場のスペクトルの違いによる応答を補正する係数は、MCNP5を用いて計算され、線量に適用された。実験では、エボナイトは、フリーエア及びファントム上の条件で、反射体なし及び水反射体付きのTRACYにより照射された。エボナイトにより測定された中性子線量は、反射体なしのTRACYにおいては、一貫して過大評価となったものの、約40%以下の不確かさで中性子線量を評価可能であった。一方水反射体付きのTRACYに対しては、平均では正確な線量が得られた。これらの結果から、エボナイトは、臨界事故時の中性子線量計として使用可能であることがわかった。
村崎 穣; 外池 幸太郎; 内山 軍蔵
JAEA-Technology 2009-022, 49 Pages, 2009/06
SILENEにおける中性子用TLD及び線用TLDを用いた測定、及びTRACYにおける中性子用TLDを用いた測定を再評価した。中性子用TLDを用いた測定については、測定データの処理に必要な係数を見直すことで再評価した。SILENEにおける再評価された中性子用TLDの測定結果は、IRSNが公表した参考値と10%以内で一致した。TRACYにおける再評価された中性子用TLDの測定結果は、アラニン線量計や著者等による中性子用TLDの測定結果に対して50%前後の過大評価となったものの、再評価により、再評価前の値と炉心タンクからの距離の関係に存在する矛盾が解消された。SILENEにおける線用TLDによる測定については、測定データの処理方法を見直すことで再評価した。線用TLDの再評価された結果は、再評価前の値と1%程度の違いとなった。再評価の結果、本報告書に記述した中性子用TLD及び線用TLDの測定データ処理方法が有効であることを確認した。
村崎 穣; 外池 幸太郎; 内山 軍蔵
Journal of Nuclear Science and Technology, 46(2), p.193 - 203, 2009/02
被引用回数:1 パーセンタイル:10.22(Nuclear Science & Technology)臨界事故時における中性子線量を簡易に測定する手法を開発するため、TLD中性子線量当量モニタ(TLDモニタ)を用いて、TRACY施設の中性子線量当量を測定した。このTLDモニタは、二つのTLDバッジと立方体のポリエチレンケースで構成され、周辺線量当量に似た応答を持つ。実験では、TRACYは水反射体ありとなしの両方で運転され、TLDモニタを照射した。測定された周辺線量当量は、TRACYの積算出力に比例しており、またMCNP5による計算結果とよく一致した。測定データは、MCNP5によって計算された線量換算係数を用いて組織カーマに換算された。測定データに適用するため、TLDモニタのCf校正線源とTRACYに対する応答の違いを考慮した応答補正係数もまたMCNP5により計算された。組織カーマは、30mGyから15Gyの範囲となり、これはIAEAにより臨界事故時の線量評価において重要であると指定されている100mGyから10Gyの範囲をカバーしている。TLDモニタはまた、IAEAによって要求されている線量決定の時間制限を満足している。
小川 和彦; 神永 文人*
Journal of Nuclear Science and Technology, 46(1), p.1 - 5, 2009/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)放射線分解ガスボイドの生成に伴うフィードバック反応度を評価することは、核燃料再処理施設での臨界事故規模を評価するうえで重要である。過渡臨界実験装置(TRACY)の即発臨界時において、ガスボイド生成直後に出力及び炉心圧力の規則的な小振動が観測されている。この出力の小振動がガスボイドの圧縮性に起因することに着目し、出力と圧力の時間変化からボイド反応度係数を評価する手法を考案した。反応度変化は出力の逆解析から、ガスボイドの体積変化は炉心圧力変化から算出した。評価の結果、ガスボイドが中性子束に従い中央部に存在する場合は、溶液中にガスボイドが均一に存在する場合に比べ、負の反応度価値は大きくなることを実験的に示した。
小川 和彦; 神永 文人*
Journal of Nuclear Science and Technology, 45(10), p.1028 - 1035, 2008/10
被引用回数:3 パーセンタイル:23.55(Nuclear Science & Technology)過渡臨界実験装置(TRACY)の即発臨界時において放射線分解ガスの生成に伴う減衰を含む周期的な振動状圧力応答が観測されている。この振動状圧力応答は放射線分解ガスボイドの圧縮性に起因すると考え、振動モデルを用いてガスボイド生成量を評価する手法を考案した。本稿では、最初にTRACYで観測した代表的な放射線分解ガスの生成に伴う振動状圧力応答及びガスボイド挙動の特徴を示し、次に炭酸水を用いて、放射線分解ガスの生成を模擬した簡単な実験を行い、従来の研究では明らかでないガスボイド生成に伴う圧力応答について、実験的に検証し、ガスボイド生成量を評価するモデルを検証した。さらに、検証したモデルをTRACY実験における放射線分解ガス生成量の評価に適用し、放射線分解ガスボイド生成量をエネルギーの関数として示した。
曽野 浩樹
JAEA-Review 2007-025, 141 Pages, 2007/06
臨界事故など不測の事態において事後応急対策を迅速かつ的確に行うためには、事故状況及び放射線影響を発災後早期に評価できる新技術の導入が不可欠であった。このため、既存の評価法の迅速化及び高精度化を図る新たな方法として、組織等価線量計であるアラニン線量計及びホウ酸リチウム線量計を用いた「中性子線及びガンマ線人体吸収線量計測技術」を開発するとともに、その計測技術の「臨界事故時個人線量計」及び「臨界事故状況の遡及的評価」への応用に関する研究を行った。過渡臨界実験装置TRACYを用いた実験及び解析の結果、本計測技術及びその応用技術が、臨界事故の規模や放射線影響を、応急対策の検討上実用に耐える精度で推定できることを実証した。
曽野 浩樹; 大野 秋男; 小嶋 拓治; 山根 義宏*
Journal of Nuclear Science and Technology, 44(1), p.43 - 53, 2007/01
被引用回数:2 パーセンタイル:18.73(Nuclear Science & Technology)臨界事故時における空間線量分布及び核分裂数を遡及的に推定する手法を提案する。この手法は、低フェーデング・人体組織等価という特長を有するアラニン線量計とホウ酸リチウム線量計の2つをエリア線量計として用いるもので、(1)エリア線量計による線量計測,(2)線源中心の探査,(3)空間線量分布の推定、及び(4)核分裂数の推定の4つの手順から成る。本手法をTRACY施設で模擬した臨界事故状況下に適用し、その実用性を実証した。本手法は、原理上、事後調査となるものの、エリア線量計を早期に回収することができれば、緊急被ばく医療や事後対策の方針決定に有用な事故規模や危険度に関する情報を提供することも可能である。
高橋 史明; 遠藤 章; 山口 恭弘; 小田 啓二*
保健物理, 41(3), p.180 - 187, 2006/09
臨界事故時に体内に生成される放射化ナトリウム(ナトリウム-24)量に基づき、迅速な線量評価を可能とする線量評価システムRADAPASを開発した。このシステムは、汎用のパーソナルコンピュータで動作する。仮想した幾つかの事故現場について、モンテカルロ計算で既に解析したエネルギースペクトル及びそれに対応した換算係数データをシステムに内蔵している。線量評価に必要な情報は、インターフェイス画面を用いて対話形式で入力する。被ばくにより受けた人体への吸収線量は、内蔵したデータ及びユーザーが与えた情報に基づき、ナトリウム-24の放射能測定値より迅速に換算評価される。また、過渡臨界実験装置(TRACY)における実験及び過去の臨界事故の重度被ばく者に対する線量評価により、RADAPASの適用性を検証した。その結果は、RADAPASが事故直後の線量評価の初期的な推定に十分適用であることを示した。
曽野 浩樹; 大野 秋男*; 小嶋 拓治; 高橋 史明; 山根 義宏*
Journal of Nuclear Science and Technology, 43(3), p.276 - 284, 2006/03
被引用回数:1 パーセンタイル:9.98(Nuclear Science & Technology)臨界事故時個人線量計測法の実用化に向け、体表及び体内被ばく線量推定法の妥当性評価を、TRACY施設における臨界事故模擬実験及び計算機シミュレーションに基づき行った。模擬実験では、人体模型に装着したアラニン線量計及びホウ酸リチウム熱蛍光線量計により、人体筋肉に対する中性子及び線吸収線量を弁別して計測した。計算機シミュレーションでは、中性子,即発線及び遅発線による線量成分を考慮したモンテカルロ計算を行った。人体模型内線量分布の計算値と実験値との比較により、計算機シミュレーションの妥当性を検認するとともに、アラニン線量計及びホウ酸リチウム熱蛍光線量計による個人線量計測法が十分な精度でもって被ばく線量の初期推定値を提供できることを確認した。
曽野 浩樹; 小嶋 拓治; 空増 昇*; 高橋 史明
JAERI-Conf 2005-007, p.315 - 320, 2005/08
個人線量計は、放射線事故時における人体への外部被ばくに関する重要な評価を与える。体内線量分布は、個人線量計測の結果から被ばく線量を推定する際に必要となるが、その大部分はコンピュータ解析による評価であり、その解析を検証するための実験データは、特に臨界事故状況下において、十分に供給されていないのが現状である。体内被ばく線量に係る実験データを取得するため、過渡臨界実験装置(TRACY)において、人体模型及び組織等価線量計を用い、臨界事故時線量計測に関する予備実験を行った。人体模型内部の中性子及び線吸収線量は、アラニン線量計及びホウ酸リチウム線量計の組合せ使用により、良好に測定することができた。人体模型内外で測定された線量の放射線レベル及び分布は、空気中で測定された線量との比較により、妥当なものであると考えられる。
阿部 仁; 田代 信介; 森田 泰治
JAERI-Conf 2005-007, p.199 - 204, 2005/08
核燃料サイクル施設の総合的な安全性を評価するためには、放射性物質の放出挙動評価のためのソースタームデータが必要である。本報ではおもにTRACYで取得してきた溶液燃料臨界事故時に対するソースタームデータについて報告する。過渡臨界後約4.5時間の時点におけるヨウ素の放出割合は、過渡臨界直後に調整トランジェント棒を溶液燃料に再挿入した場合で約0.2%、調整トランジェント棒を挿入せず臨界状態を継続させた場合で約0.9%であった。また、逆炉周期が約100(1/s)の場合で、Xe-141の放出割合は90%以上であった。さらに、現在計画中の火災事故に対する研究計画についても言及する。
曽野 浩樹; 柳澤 宏司*; 大野 秋男*; 小嶋 拓治; 空増 昇*
Journal of Nuclear Science and Technology, 42(8), p.678 - 687, 2005/08
被引用回数:4 パーセンタイル:30.51(Nuclear Science & Technology)臨界事故時の線放出挙動のさらなる理解及び外部被ばくの正確な評価のためには、線線量の成分分析が不可欠である。その線量成分を、臨界継続中の即発成分,遅発成分及び擬似成分、並びに臨界停止後の残存成分に区分して評価した。この評価は、TRACY施設におけるホウ酸リチウム熱蛍光線量計(TLD)を用いた線量計測実験とモンテカルロ・コードによる解析の組合せにより行った。評価の結果、上記成分の線量割合がTRACYの炉心タンクからの距離によって変化することが確かめられた。その変化は、各成分の炉心タンクからの距離に応じた減衰の差によるものであった。評価された線量割合は、線被ばくの正確な評価のために除外すべき擬似及び残留成分の寄与を定量的に明らかにした。
高橋 史明; 遠藤 章; 山口 恭弘
Journal of Nuclear Science and Technology, 42(4), p.378 - 383, 2005/04
被引用回数:3 パーセンタイル:24.22(Nuclear Science & Technology)臨界事故時における体内生成Na-24量からの線量計測法に関して実験的な検証を行った。事故時の人体内におけるナトリウム生成を模擬するため、塩化ナトリウム水溶液を含む水ファントムを過渡臨界実験装置(TRACY)において照射した。モンテカルロ計算により、ファントムに生成するNa-24量及び線量値を検証した。既に、MCNP-4Bコードを用いて、幾つかの仮想的な事故体系における中性子スペクトルについて、生成するNa-24の比放射能値から線量への換算係数を解析していた。その中の1つのデータを用いて、測定された比放射能値から線量の推定を行った。この換算で得られた評価結果は、本研究における計算解析の結果と国際原子力機関(IAEA)が示す事故直後の線量測定において許容されている不確かさの範囲内で一致した。また、既に線量計で評価されている線量値とも非常に近い値を示した。これらの結果は、仮想的な体系で整備された換算係数データを生成Na-24量に基づく線量評価に十分適用できることを示している。
TRACY安全棒誤作動原因調査アドホック委員会
JAERI-Review 2005-006, 60 Pages, 2005/03
日本原子力研究所東海研究所の過渡臨界実験装置(TRACY)において、平成16年6月17日に、過渡出力運転を実施していたところ、安全棒1本が炉心に挿入される事象が発生した。日本原子力研究所は、平成16年6月23日に所内の専門家からなる「TRACY安全棒誤作動原因調査アドホック委員会」を組織し、安全棒の誤作動に関する原因調査及び対策に関する検討を実施した。アドホック委員会は、計11回の会議を開催し、TRACYの関連課室から原因調査及び対策に関する報告を聴取し、調査審議を行った。その結果、安全棒が誤作動した原因は、安全棒装置の分解組立て時に混入したポリエチレンシート小片が電磁石とアーマチュアの間に挟み込まれ、安全棒保持力が低下していたためであることが判明した。本報告書は、この安全棒誤作動に関する調査結果及び対策について報告するものである。