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1
トレンチ処分施設における設計条件に応じたCs-137等の基準線量相当濃度の試算
坂井 章浩; 仲田 久和; 天澤 弘也
JAEA-Technology 2017-030, 176 Pages, 2018/02
現在、東京電力福島第一原子力発電所事故由来の放射性物質の除染等で生じた除去土壌等については、中間貯蔵施設で30年間貯蔵した後、最終処分が計画されている。一方、減容・再生利用技術開発の検討が環境省で進められており、今後、最終処分の技術的検討がなされる予定である。このため、最終処分の検討に必要な浅地中処分可能な放射能濃度について先行して検討した。発生する除去土壌のうち約2,000万m$$^{3}$$の放射能濃度は100kBq/kg未満であり、この濃度は原子力機構が進めている研究施設等廃棄物の処分計画において、トレンチ処分施設及び付加機能型トレンチ処分施設で取り扱う廃棄物の放射能濃度に相当する。このことから、除去土壌を研究施設等廃棄物のトレンチ処分施設及び付加機能型トレンチ処分施設と同様に処分した場合において、周辺公衆における様々な被ばく経路を想定して、Cs-134及びCs-137等による被ばく線量を評価した。線量評価結果から、基準線量を10$$mu$$Sv/yまたは300$$mu$$Sv/yに想定した場合の基準線量相当濃度を試算した。また、除去土壌の物量を考慮して、処分場規模を大きくした場合の基準線量相当濃度を評価した。
2
海水条件下での溶液型グラウト特性データの取得
戸栗 智仁*; 沖原 光信*; 辻 正邦*; 中島 均*; 杉山 博一*; 齋藤 亮*; 佐藤 稔紀; 青柳 和平; 桝永 幸介
JAEA-Research 2017-013, 131 Pages, 2018/02
北欧では、湧水量を大幅に少なくするために、浸透性が高くて耐久性の高い活性シリカコロイドを用いた溶液型のグラウト(以下、溶液型グラウトと呼ぶ)の研究が行われ、沿岸域の地下研において実証試験および実適用が開始されている。溶液型グラウトは海水条件下で適用され始めているが、固化のメカニズムは不明であり、施工方法も未確立である。国内外のいずれの事例において具体的な施工方法は未確立である。溶液型グラウトの周辺岩盤への影響については未知の部分が多い。このような背景を踏まえて、本業務は、資源エネルギー庁の公募事業である、「地層処分技術調査等事業(沿岸部処分システム高度化開発)」の一環として、3年程度をかけてグラウトに関する研究を行う計画であり、本報告書はその初年度の成果をまとめたものである。
3
余裕深度処分環境におけるふげん圧力管(Zr-2.5wt%Nb合金)の腐食速度の評価,2; 5ヶ年経過データによる長期腐食の考察
菅谷 敏克; 中谷 隆良; 坂井 章浩
JAEA-Technology 2017-032, 21 Pages, 2018/01
処分事業の安全評価を行うために必要な核種溶出率の設定を目的に、Zr-2.5wt%Nb合金に対してガス蓄積型腐食試験法を適用し、低温、低酸素およびアルカリ条件下で長期の腐食速度を取得してきた。本報では、長期的な腐食速度の把握を目的に、試験期間5ヶ年(60ヶ月)の腐食速度を取得し、試験期間2ヶ年(24ヶ月)経過までの腐食速度と比較したところ、今回取得した試験期間5ヶ年(60ヵ月)の腐食速度は、試験期間2ヶ年(24ヶ月)までの結果同様、経過時間の-2/3乗に比例するとした評価が適用できると考える。
4
研究施設等廃棄物浅地中処分施設における廃棄体の受入基準の設定; トレンチ処分対象廃棄体への砂充填の検討
仲田 久和; 林 宏一; 天澤 弘也; 坂井 章浩
JAEA-Technology 2017-031, 41 Pages, 2018/01
日本原子力研究開発機構が計画している研究施設等廃棄物のトレンチ埋設処分施設は、第二種廃棄物埋設事業規則に規定された廃棄物埋設施設及び廃棄体等の技術上の基準に適合していることが求められる。技術上の基準の一つには、「廃棄物埋設地は、土砂等を充填することにより、当該廃棄物埋設地の埋設が終了した後において空隙が残らないように措置すること。」とされている。また、「容器内に有害な空隙が残らないようにすること」が要求される。そのため、埋設事業センターでは、研究施設等廃棄物のトレンチ埋設処分施設においてこれらの技術上の基準に適合させるため、容器内の有害な空隙を管理した上でトレンチ埋設処分施設全体(廃棄物埋設地)での空隙が残らないものとして技術基準に適合させるものとする。本報告では、トレンチ埋設処分で金属製角型容器を使用する場合、容器内の空隙を砂を充填することで低減させることを想定した砂充填試験等を行い、充填する砂の特性、砂充填時の加振条件及び対象廃棄物への砂充填特性を調査・取得した。
5
沿岸部海底下地質環境調査に係わる知識集約のためのシステム管理
高橋 忠男*; 佐藤 稔紀; 桝永 幸介
JAEA-Review 2017-030, 60 Pages, 2018/01
地質環境に係わるデータ、モデルおよび解析結果などの情報量は膨大であり、それらを統合的に管理する方法が必要である。平成27年度から開始された、経済産業省委託事業 地層処分技術調査等事業(沿岸部処分システム高度化開発)においては、地質環境に係わるデータ、モデルおよび解析結果などの情報を取り扱う。本件は、沿岸部の地質環境の情報整備にあたり、膨大な情報量を整理し、関係機関が有する情報や情報管理システムについて関係機関で共有することを目的とし、既存のデータベースなどのシステムについて現状を整理するとともに、情報の一元的管理の方策についての構築を行った。
6
超深地層研究所計画,年度報告書; 2016年度
石橋 正祐紀; 濱 克宏; 岩月 輝希; 松井 裕哉; 竹内 竜史; 野原 壯; 尾上 博則; 池田 幸喜; 見掛 信一郎; 弥富 洋介; et al.
JAEA-Review 2017-026, 72 Pages, 2018/01
日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本研究所計画では、2014年度に原子力機構改革の一環として抽出された三つの必須の課題(地下坑道における工学的対策技術の開発、物質移動モデル化技術の開発、坑道埋め戻し技術の開発)の調査研究を進めている。本報告書は、2016年度に実施した超深地層研究所計画のそれぞれの研究分野における調査研究、共同研究、施設建設などの主な研究成果を示したものである。
7
幌延深地層研究計画; 平成28年度調査研究成果報告
花室 孝広
JAEA-Review 2017-025, 100 Pages, 2018/01
幌延深地層研究計画は、「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」、「地下施設での調査研究段階(第3段階)」の3つの段階に分けて実施している。平成28年度は、「幌延深地層研究計画 平成28年度調査研究計画」に従って、調査研究および地下施設の建設を進めた。研究開発は従来通り、「地層科学研究」と「地層処分研究開発」に区分して行った。具体的には、「地層科学研究」では、地質環境調査技術開発、地質環境モニタリング技術開発、深地層における工学的技術の基礎の開発、地質環境の長期安定性に関する研究、という研究課題を設定し、「地層処分研究開発」では、人工バリアなどの工学技術の検証、設計手法の適用性確認、安全評価モデルの高度化および安全評価手法の適用性確認、という研究課題を設定している。
8
幌延深地層研究計画における人工バリア性能確認試験; プラグコンクリートの配合検討
中山 雅; 丹生屋 純夫*; 三浦 律彦*; 竹田 宣典*
JAEA-Research 2017-016, 62 Pages, 2018/01
幌延深地層研究計画では、堆積岩を対象に研究開発を実施するものであり、深地層の科学的研究、地層処分技術の信頼性向上や安全評価手法の高度化等に向けた基盤的な研究開発を実施している。幌延深地層研究計画は、「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」および「地下施設での調査研究段階(第3段階)」の3つの段階に分けて実施している。平成22年度からは第3段階の調査研究を開始しており、平成26年度からは幌延URLの350m調査坑道(試験坑道4)において、人工バリア性能確認試験を実施している。本試験は、幌延の地質環境をひとつの事例に、処分孔竪置き方式を対象として実規模の人工バリアを設置し、実環境下において人工バリア定置後の再冠水までの過渡期におけるTHMC連成挙動の検証データを取得する事を目的としている。本報告は、プラグコンクリートの配合について、原位置での打設前に検討した配合について取りまとめたものである。配合の検討に際しては、原子力機構が開発し、幌延URLの試験坑道で施工試験を通じて施工実績のある、低アルカリ性セメントの配合を基本とし、プラグの要求性能を考慮して試験を行い、実機試験練り用の配合を決定した。
9
幌延深地層研究センターにおける掘削損傷領域の可視化手法の検討(共同研究)
青柳 和平; Chen, Y.*; 櫻井 彰孝; 石井 英一; 石田 毅*
JAEA-Research 2017-014, 49 Pages, 2018/01
本研究では、坑道掘削により周辺岩盤に形成された掘削損傷領域の割れ目の三次元的な可視化を行うことを目的として、幌延深地層研究センターの地下350mの調査坑道を対象として、樹脂を坑道周辺の岩盤に注入し、掘削損傷領域の割れ目を固定し、紫外線照射下の観察により割れ目の連結性や開口幅の検討を行った。原位置における樹脂の注入に際しては、粘性が低く紫外線照射によって発光する樹脂を開発して坑道周辺岩盤へ圧入した。その結果、割れ目の状態を乱すことなく、坑道周辺に形成された割れ目へ樹脂を浸透させ、固定させることに成功した。さらに、割れ目への固定の後に、注入孔周辺をオーバーコアリングし、孔壁面及び得られたコア表面を紫外線照射下で観察した。観察の結果、割れ目は孔口から約0.9mの範囲まで発達していた。また、孔口から約0.3mまでは、複数本の割れ目が交差しており、開口幅は1-2mm程度であったのに対し、孔口から0.3-0.9mに分布する割れ目は単独で存在し、開口幅は1mmよりも小さいことがわかった。一方、ボアホールテレビューア観察では、孔口から0.2mまでの明瞭に開口した割れ目しか検出されていないことから、カメラの分解能の影響で開口幅の小さい割れ目を検出することが難しいため、割れ目の発達の範囲を過小評価する可能性があることがわかった。
10
周回坑道掘削時に取得された内空変位と切羽観察結果に基づく初期地圧評価手法の開発
亀村 勝美*; 青柳 和平; 名合 牧人*; 菅原 健太郎*
第45回岩盤力学に関するシンポジウム講演集(CD-ROM), p.43 - 48, 2018/01
大規模な地下施設の建設に当たっては、掘削対象岩盤の力学特性とともに適切な初期地圧を設定することが重要となる。堆積軟岩を対象とする幌延深地層研究センターにおいては、地上からのボーリング孔や地下調査坑道において実施した水圧破砕試験や応力解放法により初期地圧状態の評価を行ってきた。ここでは、設計段階において推定された初期地圧状態の妥当性を検討するため、深度350mの周回坑道掘削時の内空変位と切羽観察記録を活用し、断層を含む数百m四方の範囲の数値解析モデルを構築し、坑道で計測された内空変位挙動を、岩盤の不均質性を考慮して説明できる初期地圧状態を評価した。評価結果は、他の計測結果と整合的であり、地下施設建設段階における初期地圧状態の妥当性の確認手法として適用できる可能性が示された。
11
大深度地下掘削時のAE計測における波形分析手法に関する研究
丹生屋 純夫*; 畑 浩二*; 鵜山 雅夫*; 青柳 和平; 若杉 圭一郎
第45回岩盤力学に関するシンポジウム講演集(CD-ROM), p.226 - 231, 2018/01
日本原子力研究開発機構と大林組は、幌延深地層研究センターの深度350m以深を対象に、長期耐久性を期待して設置した光ファイバー式センサで、立坑周辺岩盤の水理・力学的な挙動として、AE(アコースティック・エミッション: Acoustic Emission)、間隙水圧及び温度を長期的に計測している。当該計測データを共振特性を用いて整理した結果、5種類の波形パターンから岩盤AEをさらに精度良く弁別することが課題となっていた。そこで、岩盤AEとそれ以外のAEと言うカテゴリーで弁別することを主眼に「スペクトルピークの半値幅」という定量的な弁別条件を適用し、岩盤AEの抽出精度向上を試みた。その結果、判別が不明瞭な波形特性を呈した岩盤AEも適切に抽出することが可能となった。
12
An Evaluation of the long-term stagnancy of porewater in the neogene sedimentary rocks in northern Japan
中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*; 大山 隆弘*; 石井 英一; 宮川 和也; 笹本 広
Geofluids, 2018, p.7823195_1 - 7823195_21, 2018/01
高レベル放射性廃棄物地層処分の安全評価におけるシナリオの一つとして、地下水シナリオがある。地下水シナリオに基づく安全評価において、長期間にわたり地下水の移動が遅いことは重要な要因である。本研究では、透水性の低い堆積岩地域の一例として、北海道幌延地域に分布する新第三系の海成堆積岩である声問層と稚内層中の地下水の安定性について、塩素やヘリウムの同位体及び水の安定同位体を用いて調査・考察を行なった。その結果、稚内層の深部地下水は、約100万年前から始まった地層の隆起後も、天水の影響を受けることなく、安定に存在している可能性が示された。一方、声問層や稚内層浅部の地下水は、地層の隆起後、天水の影響を受けており、このことは地下水年代測定の結果からも支持された。本地域の様に、地層の圧密・続成作用を受けた厚い堆積層では、間隙水・結晶水の放出等の影響を受け、地下水の絶対年代を正確に推定することは難しい。しかし、本研究において検討した地下水年代測定の結果と地史との比較は、地下水の流動性に関わる概略的な評価(長期にわたる地下水の安定性の有無)を行う上で有効な手段であると考えられる。
13
A Proposed method to estimate in situ dissolved gas concentrations in gas-saturated groundwater
玉村 修司*; 宮川 和也; 荒巻 憲隆*; 五十嵐 敏文*; 金子 勝比古*
Groundwater, 56(1), p.118 - 130, 2018/01
地下の環境を調査する上で、二酸化炭素やメタン,水素,ヘリウムなどの溶存ガス量を精確に把握することが重要である。幌延のような溶存ガスに飽和している環境では、掘削に伴う圧力の低下により溶存ガスの脱ガスが生じるため、掘削前の原位置の情報を得ることはとても困難である。このことは、地上からのボーリング孔を利用した調査でも避けることができず、また地下施設を利用した場合においても同じである。そこで本研究では、脱ガスした試料の溶存ガス分析結果と、脱ガス前の圧力情報を用いた定量的な解析手法を開発した。本研究では、各ガス種の物理的溶解に対してはヘンリーの法則を考慮し、二酸化炭素に対しては化学的溶解についても考慮することで、脱ガスによる溶存ガス濃度の変化を精度よく計算することが可能になった。このことにより、これまで得ることが困難であった掘削前の原位置の情報をより正確に推定することが可能になった。本結果は、ヘリウムガスを用いた地下水年代測定法や、地下水流動解析における飽和・不飽和の判定などに適用することができ、その波及効果は大きい。
14
Ecological and genomic profiling of anaerobic methane-oxidizing archaea in a deep granitic environment
伊能 康平*; Hernsdorf, A. W.*; 今野 勇太*; 幸塚 麻里子*; 柳川 克則*; 加藤 信吾*; 砂村 道成*; 広田 秋成*; 東郷 陽子*; 伊藤 一誠*; et al.
ISME Journal, 12(1), p.31 - 47, 2018/01
岐阜県瑞浪市の超深地層研究所において、深度300メートルの地下水を地下坑道から採取し、地下微生物の生態系を調査した。その結果、花崗岩深部でマグマ由来のメタンに依存した微生物生態系が存在することを明らかにした。
15
Onsite chelate resin solid-phase extraction of rare earth elements in natural water samples; Its implication for studying past redox changes by inorganic geochemistry
渡邊 隆広; 國分 陽子; 村上 裕晃; 岩月 輝希
Limnology, 19(1), p.21 - 30, 2018/01
地下環境における酸化還元環境の変遷は長期安定性評価において重要な情報であり、地層処分に関連する技術開発につながることが期待される。地下水や地質試料等に含まれる希土類元素(REEs)を分析することにより、物質の供給源や酸化還元環境の変遷に関する情報を得ることが可能となる。本研究では、REEsの濃縮と妨害元素の除去を目的として、イミノ二酢酸-エチレンジアミン三酢酸型キレート樹脂(PA1)の有用性を検討した。標準試料(SPS-SW1)のキレート濃縮試験では、REEs等で高い回収率を得ることができた。また、妨害元素であるバリウムを除去することができた。天然試料に対する適用性については、比較的REEs濃度の高い試料を用いて試験を行った結果、キレート処理をしない条件で得られたREEsパターンと、採水現場でPA1を用いて回収した試料の分析結果とがよく一致した。また、同地点から採取した複数試料の分析結果もよく一致し、本手法の再現性を確認することができた。本結果は、様々な組成を示す地下水試料の化学分析において、PA1によるREEs濃縮が安定した処理方法であることを示唆する。採水現場でキレート樹脂を使用し固相抽出を行うことにより、地下水中のREEs分析を効率良く実施できる可能性が示された。
16
地質環境の長期安定性に関する研究,年度計画書; 平成29年度
石丸 恒存; 尾方 伸久; 島田 顕臣; 國分 陽子; 浅森 浩一; 丹羽 正和; 渡邊 隆広; 雑賀 敦; 末岡 茂; 横山 立憲; et al.
JAEA-Review 2017-022, 45 Pages, 2017/12
本計画書は、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第3期中長期目標期間(平成27年度$$sim$$平成33年度)における平成29年度の研究開発計画である。本計画の策定にあたっては、これまでの研究開発の成果のほか、関係研究機関の動向や大学等で行われている最新の研究成果、実施主体や規制機関のニーズ等を考慮した。これらの実施にあたっては、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進していく。
17
走査型X線分析顕微鏡と画像処理・解析ソフトウェアを用いたモード測定
植木 忠正; 丹羽 正和
地質学雑誌, 123(12), p.1061 - 1066, 2017/12
従来のポイントカウンティング法によるモード測定は時間がかかり、測定者の鉱物判別の技量や主観によって結果が左右されるという課題がある。本研究では、より容易で測定者の技量や主観によらない新たなモード測定の手法として、走査型X線分析顕微鏡と画像処理・解析ソフトウェアを用いた手法を紹介する。この手法によって薄片または研磨片の測定を行うことで、花崗岩質岩の鉱物分布図とモード組成を迅速かつ効率的に取得することが可能となった。
18
日本アルプスの形成に関する熱年代学的研究
末岡 茂
フィッション・トラックニュースレター, (30), p.4 - 6, 2017/12
熱年代等の手法を用いた山地の隆起・削剥史の検討事例として、南アルプス北部地域と北アルプス黒部地域の事例を紹介する。南アルプス北部地域では、フィッション・トラック年代や(U-Th)/He年代が山地東方に向かって系統的に若返る傾向が見られた。Thermo-kinematicモデルで検討したところ、これらの年代パターンは、白州-鳳凰山断層の活動によって再現可能であり、本地域は主にこれらの断層運動によって隆起していることが示唆された。北アルプス黒部地域では、新第三紀から第四紀の若い花崗岩が多数分布するため、従来の熱年代学的手法では隆起・削剥史の復元が困難であった。そのため、国内外の研究者との共同プロジェクトにより、新たに2種類のアプローチを用いて隆起・削剥史の復元を試みた。
19
第41回日本フィッション・トラック研究会実施報告
末岡 茂
フィッション・トラックニュースレター, (30), p.30 - 32, 2017/12
第41回フィッション・トラック研究会が、2017年3月1日から3月3日にかけて、奈良県明日香村祝戸荘にて開催された。本研究会は、ESR応用計測研究会及びルミネッセンス年代測定研究会と合同で行われ、48名の参加者により、31件の発表が行われた。また、3月2日には、第41回フィッション・トラック研究会総会も行われ、今後のフィッション・トラック研究会の体制や運営方法などについて議論された。
20
低温領域の熱年代学的手法を用いた東北日本弧における隆起・削剥史の解明
福田 将眞*; 末岡 茂; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 荒井 章司*; 田上 高広*
フィッション・トラックニュースレター, (30), p.7 - 10, 2017/12
東北日本弧の100万年スケールの地殻変動像把握のために、阿武隈山地、奥羽脊梁山脈、朝日山地にて、アパタイトフィッション・トラック(AFT)解析を実施した。前弧側の阿武隈山地では79.5-66.0Maの古いAFT年代が得られ、熱履歴解析の結果や先行データと合わせて、本地域は白亜紀後期以降は比較的安定な削剥環境だったことが推定された。対照的に、奥羽脊梁山脈では29.8-5.5Ma、背弧側の朝日山地では21.0-17.6Maの若いAFT年代が得られた。熱履歴解析の結果や既報のアパタイト(U-Th)/He年代と合わせると、最近数Maの山地形成に伴う急冷を反映していると解釈できる。脊梁山脈と背弧側の一部では、日本海拡大より古い年代も得られたが、これらの解釈に関しては、今後の追加分析が望まれる。