1998年度

Nucl.Technol.


261012
Heat transfer analysis of the passive residual heat removal system in ROSA/AP600 experiments
与能本泰介・久木田豊・R. R. Schultz*
Nucl. Technol. 124(1), p.18-30(1998);(JAERI-J 15932)

 ウエスチングハウス社の新型受動安全炉AP600の静的余熱除去系(PRHR)は,格納容器内燃料取替用水タンク(IRWST)を除熱源とする熱交換器を含む自然循環冷却ループである.ROSA-V/LSTF装置で行ったAP600に関する小破断冷却材喪失事故模擬実験において,PRHRでの除熱量は作動直後から炉心崩壊熱を大きく上回り,このため,炉心温度及び圧力は連続的に低下した.PRHRでの伝熱挙動について,伝熱相関式の適用性を検討するための1次元熱伝達解析,及びIRWST内の流動挙動に関するFLUENTコードを用いて3次元流動解析を行った.その結果,PRHRでの熱伝達量は5%程度の精度で予測され,IRWST内流体温度分布は,温度成層の高さの過小評価以外はよく予測された.さらに,流動分布に関する計算結果より,IRWSTの幾何的形状に関する実機とLSTFの違いがPRHR伝熱挙動に大きく影響を与えるものでは無いことが示された.


27150
Conceptual design of a 50-MW severe-accident-free HTR and the related test program of the HTTR
國富一彦・橘幸男・七種明雄・沢和弘・L. M. Lidsky*
Nucl. Technol. 123(3), p.245-258(1998);(JAERI-J 16119)

 シビアアクシデントフリー型高温ガス炉(SFHTR)は,次世代高温ガス炉の原型炉として設計したものであり,その優れた固有の安全性と長い燃料サイクルに特徴を有している.その優れた固有の安全性の多くは高温工学試験研究炉(HTTR)を用いた試験により実証され,SFHTRそのものの試験によっても実証される.優れた安全性と設計上の工夫により,燃料は冷却材の完全喪失事故や制御棒の飛び出し事故においても,その破損制限温度を超えることはない.したがって,SFHTRのシビアアクシデントの発生確率は従来炉より少なくとも2桁は低くすることができた.また,炉心設計においては,可燃物毒物の特別な配置により,燃料サイクルは16年,燃焼度は120GWd/Tを超えるようにすることができた.熱利用系としては,ガスタービン発電と海水淡水化の組み合わせを考え,発電量23.5MWe,発電効率47%,淡水製造量40t/hが可能であることを明らかにした.本論文は,熱出力50MWの小型のSFHTRの安全設計,安全評価,炉心設計について示すとともに,SFHTRのためのHTTRを用いた試験と開発計画について示す.


26719
Nonuniformity effect on reactivity of fuel in slurry
奥野浩・酒井友宏*
Nucl. Technol. 122(3), p.265-275(1998);(JAERI-J 15704)

 最大反応度が,燃料重要関数を一定にする燃料分布において実現されることは良く知られている.ラグランジの未定定数法を用いて平均ウラン濃度あるいは全ウラン質量が保存されるという制限を取込んだ.多群中性子輸送方程式を解くSN法計算コードANISN-JRを含む計算プログラムOPT-SNを開発した.特に裸や部分的に反射された燃料体系で,従来より用いてきた拡散近似に基づく解法よりも信頼できる結果が得られた.OPT-SNを5wt%235U濃縮の二酸化ウランと水の混合物(スラリー)が全方向水で覆われている場合,半方向だけ覆われている場合,まったく覆われていない場合の計算に適用した.全方向水反射体が付いた球形状,無限長円柱形状及び無限平板形状のUO2-H2Oスラリーについて計算を実施し,不均一効果の程度が平均ウラン濃度の増加にしたがい大きくなる傾向にあることを明らかにした.これらの体系では,不均一効果の程度は平均ウラン濃度4000gU/lで約6%Δk/kに上がった.反射体が片側のみに付いた平板燃料体系では,700gU/lと低い燃料濃度でも不均一効果の程度は6%Δk/k以上となる.


26637
Reduction of neptunium(VI)by butyraldehyde isomers in nitric acid solution
内山軍蔵・宝徳忍・藤根幸雄・前田充
Nucl. Technol. 122(2), p.222-227(1998);(JAERI-J 15634)

 硝酸溶液中におけるネプツニウム(VI)とブチルアルデヒド異性体との反応速度データを取得した.イソ-ブチルアルデヒドはノルマル-ブチルアルデヒドよりも,Np(VI)に対して強い還元力を有していることが分かった.また,Np(VI)のブチルアルデヒド異性体による還元反応速度はNp(VI),ブチルアルデヒド及び硝酸の各濃度の一次に比例することが分かった.


26474
Fault-tree analysis of criticality in a pulsed column of a typical reprocessing facility
野村靖・内藤俶孝
Nucl. Technol. 121(1), p.3-12(1998);(JAERI-J 15499)

 典型的な再処理施設としてドイツのプラントモデルに対して,第一分離サイクルの抽出プロセスに用いられるパルスカラムのプルトニウム蓄積による臨界事故を取り上げ,事故シナリオの同定,信頼性データの導入,フォールトツリーの構築及び解析を行ったので,その結果を報告する.パルスカラムへのスクラブ供給液中の酸濃度低下を起因事象とし,プルトニウム蓄積の検出失敗が重なることにより臨界事故発生に至る頻度を算出し,それに寄与する機器故障の種類を同定して,システム信頼性向上が図れるための設計改善策を示した.


26473
Solvent-washing process using butylamine in fuel reprocessing
内山軍蔵・藤根幸雄・前田充
Nucl. Technol. 120(1), p.41-47(1997);(JAERI-J 15498)

 ブチルアミン化合物を用いた溶媒洗浄法を開発した.シュウ酸ブチルアミン及び炭酸ブチルミンの各洗浄試薬による模擬劣化溶媒中のジルコニウム,ルテニウム,プルトニウム及びリン酸ジブチル(HDBP)の洗浄率を測定した結果,以下のことがわかった.(1)ジルコニウム及びプルトニウムの洗浄にはシュウ酸ブチルアミンを低pH溶液条件で用いるのが効果がある.(2)シュウ酸ブチルアミン及び炭酸ブチルアミンを高pH溶液条件で用いるとジルコニウム,プルトニウムの他にルテニウムやHDBPを洗浄することができる.


[ page top ]
JAEA > JAEA図書館 > JOPSS > 学会誌等掲載論文[バックナンバー] >  累積情報(1998年度) > 当ページ
Copyright(C), Japan Atomic Energy Agency (JAEA)