1998年度

Rev.Sci.Instrum.


261024
Versatile millimeter-wave interferometer with two frequencies in the divertor region of JT-60U
竹永秀信・福田武司・櫻井真治・細金延幸・児玉幸三・正木圭
Rev. Sci. Instrum. 69(9), p.3181-3185(1998);(JAERI-J 15944)

 JT-60Uダイバータ計測のために,ECA測定による電子温度計測も可能なミリ波干渉計を新設した.測定コードとしては,X点近傍を通るコード,内側ダイバータコード,外側ダイバータコードの3つを選択した.振動の影響を除去するために,217GHzと183GHzの独立した2つの送受信系を採用した.振動補正無しでは,2つの異なる測定コードでの同時測定やECAと干渉計の同時測定が可能な設計となっている.真空容器内の複雑な伝送路形状のために,伝送損失は65dBと大きいが,入力換算雑音強度を-90dBmと小さく抑えることにより,信号対ノズル比として20dB程度を得ることができている.JT-60U放電での測定から,装置の健全性を確認するとともに,Hモードへの遷移時におけるX点近傍の急激な密度の減少を初めて観測した.


26646
Chemical vapor deposition diamond window for high-power and long pulse millimeter wave transmission
春日井敦・坂本慶司・恒岡まさき・假家強*・今井剛・O. Braz*・M. Thumm*・J. R. Brandon*・R. S. Sussman*・A. Beale*・D. C. Ballington*・高橋幸司
Rev. Sci. Instrum. 69(5), p.2160-2165(1998);(JAERI-J 15643)

 ITER工学R&Dのもとにドイツのカールスルーエ中央物理研究所と共同で,化学気相成長法による大口径ダイヤモンドディスクの大電力高周波実験を,原研のジャイロトロン試験装置を用いて行った.ダイヤモンドは低い高周波損失係数(0.5〜2×10-4),非常に高い熱伝導率(常温において銅の約5倍)を持つので,水による周辺冷却が可能であり,ジャイロトロンなどの大電力高周波窓として最適である.実験では170GHz,110kW,10秒の高周波を,周辺と水冷却した直径96mm,厚さ2.23mmのダイヤモンド窓に入射し,中心部の温度上昇が約40Kで安定することが確認でき,計算結果とよい一致を示した.この結果からダイヤモンド窓はITER用で用いる1MWの大電力高周波窓として有望であることが確かめられた.


26483
Temperature control of plasma grid for continuous operation in cesium-seeded volume negative ion source
藤原幸雄・宮本直樹*・奥村義和
Rev. Sci. Instrum. 69(2), p.1173-1175(1998);(JAERI-J 15508)

 セシウム添加体積生成型負イオン源において,負イオン生成率を高めるためにはプラズマ電極の表面温度を300℃程度に保つ必要がある.一方,プラズマ電極はプラズマの荷電粒子の衝突や輻射,中性粒子の衝突などのために15W/cm2程度の熱負荷を受ける.この熱を利用して定常的に表面温度を最適値に保つことのできる電極を設計し,試験を行った.本電極は負イオン引出領域の周囲にベローズ構造の熱絶縁部を持ち,計算機シミュレーションによれば,15W/cm2の熱負荷のもとで250-300℃の一様な温度分布を得ることができる.実験においても,設計通りの温度が得られていることを確認するとともに,400keV,0.6Aの水素負イオンビームを高い効率のもとで定常的に得ることができた.


26484
Development of a multiaperture, multistage electrostatic accelerator for hydrogen negative ion beams
渡邊和弘・藤原幸雄・花田磨砂也・井上多加志・宮本賢治・宮本直樹*・小原祥裕・奥村義和
Rev. Sci. Instrum. 69(2), p.986-988(1998);(JAERI-J 15509)

 1MeV級の水素負イオンビーム加速を目指して,多孔5段の静電加速管の開発を行っている.これまでに,加速電源の放電抵抗を高くし,放電破壊時エネルギーを抑制することにより,920kVの電圧保持を可能とした.ビーム光学の実験において,電圧,電流の最適化により,中間電極電流が小さくビーム電流が最大となる条件を得ることができ,その条件でビームレットも分離して観測されることを確認した.この条件はビーム軌道計算の結果とも一致している.高エネルギービーム加速においては,最高で868keV,19mA,1sの加速電流を得ることに成功している.


26560
Recent developments of the ISOLDE laser ion source
J. Lettry*・R. Catherall*・V. Fedoseyev*・G. J. Focker*・G. Huber*・O. C. Jonsson*・E. Kugler*・小泉光生・U. Koester*・V. I. Mishin*・H. Ravn*・V. Sebastian*・C. Tamburella*・ISOLDE-Collaboration
Rev. Sci. Instrum. 69(2), p.761-763(1998);(JAERI-J 15573)

 レーザーイオン源は,共鳴イオン化法を用いたイオン源で,特定の元素を選択的にイオン化できる.したがって,同位体分離器(ISOL)にこのイオン源を導入することにより,同重体の混入の抑制が期待できる.CERN-ISOLDEでは,高繰り返し銅蒸気レーザーとそれを励起光とする色素レーザーを組み合わせたシステムを用いたレーザーイオン源の開発を進めている.色素レーザーの出力をBBO結晶を用い高周波の紫外線レーザーを発生させ,これを用いることで,第一励起準位の高い元素のイオン化が可能となった.Be,Zn,Cu,Cdの元素で1%-10のイオン化効率が得られた.また,レーザーイオン源より得られるイオンビームのパルス形状より,イオンの引き出しについて考察を行った.


26485
Production of multiply charged metallic ions by compact electron cyclotron resonance ion source with SF6 plasma
齋藤勇一・大越清紀・横田渉
Rev. Sci. Instrum. 69(2), p.703-705(1998);(JAERI-J 15510)

 多価用ECRイオン源でSF6プラズマを用い高融点物質をイオン化する新しい方法を開発した.これにより,B,Nb,Mo,Ta,Wの各多価イオンをμAのオーダーで得ることに成功した.この方法は,SF6プラズマ中のフッ素イオンと上記試料との反応により,試料のフッ化物を生成し蒸気圧を高めさせることにより,気化させ試料イオンを得るものである.安定なSF6ガスを用いることにより,フッ素ガスがイオン源構造物を浸食するのを防ぎ,長時間の安定運転を可能にした.


26335
Optical resonator matching for JAERI free electron laser
西森信行・峰原英介・杉本昌義・沢村勝・永井良治・菊澤信宏
Rev. Sci. Instrum. 69(1), p.327-328(1998);(JAERI-J 15384)

 自由電子レーザーでは,電子ビームの繰り返し周波数が固定されている.したがって共振器に入射してくる電子ビームと共振器中を往復する光とが重なりあうように,共振器長を定めてやる必要がある.我々は電子ビームの繰り返し周波数に同期した,パルス幅80fsのモード同期型チタンサファイアレーザーを光共振器に入射して実験を行った.ストリークカメラで観測される時間構造から,100μm程度での距離調整後,波の重ね合わせによる光の増大をフォトダイオードで観測し,共振器長を1μm程度の精度で調整することに成功した.


26334
Fusion neutronic source deuterium-tritium neutron spectrum measurements using natural diamond detectors
A. V. Krasilnikov*・金子純一・西谷健夫・前川藤夫・磯部光隆*
Rev. Sci. Instrum. 68(4), p.1720-1724(1997);(JAERI-J 15383)

 本論文は,A. V. Krasilnikov氏が原研招聘制度により,原研滞在中に行った研究の一部である.天然ダイヤモンド検出器は,放射線に強い半導体検出器であり,ITERにおけるイオン温度測定用中性子スペクトロメータの有力な候補である.この検出器をJT-60に取り付け,トリトン燃焼によるDT中性子の測定を行う前に,FNS(核融合中性子源)を使用して,天然ダイヤモンド検出器の特性測定を行った.その結果,ダイヤモンド検出器としては世界最高の1.95%(14MeVにおいて)のエネルギー分解能を確認した.この値はITER用中性子スペクトロメータの目標エネルギー分解能2%を満たしており,ITERへの応用に明るい見通しを与えた.


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