1998年度

保健物理


26745
放射線管理用線量測定器の新しい動向, 2;個人線量計, 2-1, 受動型線量計, 1, ガラス線量計
山口武憲
保健物理 33(2), p.121-142(1998);(JAERI-J 15730)

 近年,国内で開発され,実用に供されている蛍光ガラス線量計について,個人線量測定の観点からその特徴を紹介した.現在,国内では個人線量計としてフィルムバッジが大勢を占めているが,線量測定範囲が広い,フェーディングがほとんど無い,読み取りによりデータを消失しない,自動測定である,などの長所を有しており,ガラス線量の価格がフィルムバッジの価格と同程度になれば,フィルムバッジに代わり普及すると考えられる.


26500
原研における緊急時対応策の研究の現状
石神努・小林健介
保健物理 33(1), p.57-66(1998);(JAERI-J 15525)

 原子力発電所等に万一の事故が発生し,その影響が外部に及び,又は及ぶおそれがある場合(緊急時)には,環境へのFP放出,環境放射線影響,防護対策実施の効果等を総合的に評価して,住民への被害を最小とする対策を実施することが重要である.また,その対策を効果的なものとするため住民への的確な情報伝達が必要である.原研では,緊急時対応策の支援及び緊急時計画の検討に役立てることを目的に,計算機を利用した,(1)緊急技術助言対応システム,及び,(2)防護対策最適化システムの開発を進めるとともに,緊急時情報伝達法の研究を実施している.本稿は,原研における緊急時対応策の現状を述べたものである.


26501
ICRP Publication 74の概要と新しい外部被ばく線量換算係数
山口恭弘
保健物理 33(1), p.12-15(1998);(JAERI-J 15526)

 国際放射線防護委員会(ICRP)は,外部被ばく線量評価に用いる新しい線量換算係数を含むPublication 74を刊行した.この線量換算係数は,ICRP1990年勧告で新たに導入されたり変更された幾つかの係数や物理データに基づいて計算されたもので,今後放射線管理を実施していく上で重要なものである.Publication74では,人体の被ばく量を表すためにICRPが定義した防護量と,それを測定によって評価するために国際放射線単位測定委員会(ICRU)が定義した実用量に分類し,それぞれの換算係数を決定するとともに,両者の関係を解析している.その結果,ICRP1990年勧告による変更後も,実用量を用いた線量測定によって,線量限度を規定している防護量を安全側に評価できるとの結論を下した.


26502
新しい外部被ばく線量換算係数の放射線管理への適用とその問題点
吉澤道夫
保健物理 33(1), p.7-11(1998);(JAERI-J 15527)

 国際放射線防護委員会(ICRP)は,1990年勧告で変更された線量概念に基づく外部被ばく線量評価のための線量換算係数をPubl.74として出版した.このうち管理実務上重要なのは,実用量(周辺線量当量,方向性線量当量及び個人線量当量)への換算係数である.新しい換算係数を現行のものと比較すると,光子についてはわずかな変更しかないが,中性子については最大1.5倍高い値となっている.新しい換算係数を法規制に適用するためには,通常モニタリングの必要がないため換算係数が示されなかった3mm線量当量の測定義務を合理化する必要がある.放射線管理への適用について,中性子線量換算係数が高くなった影響を評価し,線量当量の増加は原子力施設等で10〜30%程度であること,実用量を用いることに問題がないことを明らかにした.校正実務への適用においては,サーベイメータ等と個人モニタとで使用する換算係数が異なることに注意する必要がある.


26499
チェルノブイル事故の帰結に関する第1回EC,ベラルーシ,ロシア,及びウクライナ合同国際会議,他に出席して
天野光
保健物理 31(3), p.376-378(1996);(JAERI-J 15524)

 1986年4月26日にチェルノブイル事故が発生し今年で10年目ということもあり,この10年間の事故の影響を総括する動きが世界中で活発である.本報告書は,ベラルーシ・ミンスクで開催されたEC-ベラルーシ-ロシア-ウクライナ担当省主催の「チェルノブイル事故の帰結に関する第1回EC,ベラルーシ,ロシア,及びウクライナ合同国際会議」及び,ウクライナ国チェルノブイル省研究工業機構プリピヤチが中心となってウクライナ・ゼレニムスで開催された「チェルノブイル事故の清算に関する第5回国際会議」の概要について述べたものである.これらの2会議も10年間の事故の影響を総括するもので,事故の影響を大きく受けたベラルーシ及びウクライナで1996年3月にそれぞれ開催された.


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