1998年度

J.Chem.Phys.


27124
Van der Waals resonances in cumulative reaction probabilities for the F+H2, D2, and HD reactions
高柳敏幸・黒崎譲*
J. Chem. Phys. 109(20), p.8929-8934(1998);(JAERI-J 16093)

 F+H2,D2及びHD反応についてポテンシャルエネルギー曲面のファンデルワールス領域にできる擬束縛状態に相当する共鳴効果について検討した.この共鳴エネルギーが反応のトンネル領域にあると,反応確率が増大することを見出した.また共鳴エネルギーはヤコビ座標を用いた1次元モデルで正確に計算することができることがわかった.


261000
An ab initio molecular orbital study of even-membered hydrogen cluster cations:H6+, H8+, H10+, H12+ and H14+
黒崎譲*・高柳敏幸
J. Chem. Phys. 109(11), p.4327-4334(1998);(JAERI-J 15920)

 非経験的分子軌道法を用いて,偶数個の水素原子より成る水素クラスターカチオン(H6+,H8+,H10+,H12+,H14+)の構成とエネルギーを求めた.水素クラスターカチオンの生成実験においては,奇数クラスターのみが生成するものと従来から考えられていたが,比較的最近になって偶数クラスターが副生成物として検出された.クラスターの構造は,奇数,偶数いずれの場合も,3角形のH3+が核となってそのまわりにH2やHが弱く結合しているものが考えられていたが,H6+クラスターの場合にH2+が核となる構造の方がH3+が核となるものよりもわずかにエネルギー的に安定になるという計算が発表された.今回は,H8+についても同様のことを示すと同時に,H2+核のH14+クラスターまでを計算し,少なくともH10+までは安定に存在し得ることを示した.この結果はH10+よりも大きな偶数クラスターを検出できなかったというKirchner & Bowersの実験結果と定性的に一致した.


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