1998年度

Phys.Rev.,B


27152
Low-temperature epitaxial growth of β-SiC by multiple-energy ion implantation
Z. J. Zhang*・楢本洋・宮下敦巳・B. Stritzker*・J. K. N. Lindner*
Phys. Rev., B 58(19), p.12652-12654(1998);(JAERI-J 16121)

 Si(III)を標的物質として,室温でいくつかの異なったエネルギーの炭素イオンを注入後,さらに熱処理を施すことにより,Si結晶内部にβ-SiC層を形成することができた.炭素イオンの深さ方向の分布を均一化すると,β-SiCは従来と異なって400℃の低温領域で非晶質状態から結晶化を開始し,800℃の熱処理によりSi基板と結晶学的に整合したβ-SiC層が合成できることを,X線回折法により明らかにした.


261018
Parallel and crossed columnar defects aligned at 45° to the c axis in Bi2Sr2CaCu2Ox tapes
数又幸生*・岡安悟・左高正雄・熊倉浩明*
Phys. Rev., B 58(9), p.5839-5847(1998);(JAERI-J 15938)

 平行及び交差した円柱状欠陥をBi-2212テープ材に導入して,磁束の挙動を調べた.両欠陥ともに不可逆曲線を著しく増加させた.不可逆曲線の角度依存性を調べた結果平行な円柱状欠陥では,欠陥方向にピークが観測されるのに対して,交差した欠陥では中間位置にピークが存在することを見出した.ab面に平行に磁場をかけた場合,不可逆曲線が温度とともに指数的に減衰することを示し,この減衰がキンクの運動によって支配されていると説明した.欠陥と平行に磁場をかけた場合不可逆曲線は,欠陥に捕獲された1本1本の磁束の温度依存性によって支配されていることを示した.円柱状欠陥による指向性は5Kでは観測されず,30K以上の温度で現れることを見出した.欠陥の不規則分布は,高磁場で磁束のピンニングを不安定にすることを示した.


261017
Structure factor and electronic structure of compressed liquid rubidium
千原順三*・G. Kahl*
Phys. Rev., B 58(9), p.5314-5321(1998);(JAERI-J 15937)

 量子論的HNC方程式を用いて高圧(0.2〜6.1GPa)により圧縮された液体ルビジュームの構造因子を計算した.結果は極めて実験結果とよく一致した.これらの構造因子は,Wigner-Seitz半径でスケールするとすべてほぼ同一曲線に乗ることが示された.これにより量子論的HNC方程式が,強結合プラズマも正しく記述できる可能性を示した.


26640
Magnetic phase diagram of the spin-peierls and artiferromagnetic system CuGe1-xSixO3
片野進・藤田治*・秋光純*・西正和*・加倉井和久*・藤井保彦*
Phys. Rev., B 57(17), p.10280-10283(1998);(JAERI-J 15637)

 CuGe1-xSixO3系におけるスピン-パイエルス相(SP相)と反強磁性相(AF相)の相関を詳しく調べるために,中性子回折実験を行った.SP相はAF相の出現によって大きく抑制され,Si濃度約2.5%で消失する.したがって両相が共存するのは2.5%付近までである.両相における磁気モーメントと格子歪みの大きさをSi濃度の関数としてもとめ,新しい磁気相図を得た.


26330
Spin correlation in the diluted triangular-lattice antiferromagnet LuFeMgO4
外舘良衛*・樋本悦子*・菊田恵子*・田中翠*・鈴木淳市
Phys. Rev., B57(1), p.485-491(1998);(JAERI-J 15379)

 希釈三角格子反強磁性体LuFeMgO4のスピン相関を調べた.LuFeMgO4のスピン相関はフラストレートした反強磁性相互作用のランダムな分布によりスピングラス的なスピンの凍結が生ずる.モンテカルロ計算と中性子散乱の実験により短距離スピン相関の特徴が明らかとなった.短距離スピン相関自身は凍結温度で変化しないが,準静的なスピン相関が長距離に渡り発達する.低温では短距離スピン相関の高次構造の存在が示唆される.


26413
Two- and fourfold ab-plane torque symmetry in untwinned YBa2Cu3O7 single crystals
石田武和*・奥田喜一*・朝岡秀人・数又幸生*・野田健治・武居文彦*
Phys. Rev., B 56(18), p.11897-11902(1997);(JAERI-J 15444)

 CuO2面内の異方性についての詳細な研究はいまだ行われておらず,超伝導起源と斜方晶との係わり,ab面内秩序パラメーターの本質的異方性の検証,面内ピンニング機構の異方性など数多くの問題がある.そこで我々はY2O3るつぼを使用し包晶反応を経た高純度・高品質なYBa2Cu3O7単結晶を育成し,更に双晶境界を完全に消去した試料を作製し,ab面内トルクの測定を行った.4回対象を示した自由エネルギーは磁場がa軸またはb軸に印加したときに極小値を示すなど高温超伝導体におけるdx2-y2対称性への可能性を示した.


26414
Sequential vortex states upon lattice melting in untwinned single-crystal YBa2Cu3O7
石田武和*・奥田喜一*・朝岡秀人
Phys. Rev., B 56(9), p.5128-5131(1997);(JAERI-J 15445)

 高温超伝導体の研究で混合状態の磁気相図の解明は重要な問題である.しかしながらこれまでの実験データーは1T以上でのみ観測されており1T以下(あるいは90Kから93Kの温度範囲)での観測は行われていない.これは弱磁場で試料の不純物効果が顕著になるためと説明されている.そこで我々は包晶反応を利用した高純度・高品質なYBa2Cu3O7単結晶を育成し,双晶境界を消去した結晶を作製し,直流法,交流法を用いた磁気的性質を測定した.その結果,磁束格子の融解温度以上でのピニング効果を見い出し,更には融解の前駆現象としての磁束格子ソフトニングピークを融解温度以下に見い出した.


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