1998年度

J.Phys.,B


261005
Electron spectra from singlet and triplet states of N3+(1s23 l 3 l', 1s23 l 4 l')produced by low energy N5++He, Ne and Ar collisions
北澤真一・田辺邦浩*・町田修一*・松井靖幸*・井田勇人*・高柳俊暢*・脇谷一義*・家村一彰*・F. Currell*・大谷俊介*・鈴木洋*・関口雅行*・U. I. Safronova*
J. Phys., B 31(14), p.3233-3243(1998);(JAERI-J 15925)

 我々は,2電子励起状態からの放出電子スペクトルを実験的に測定した.その2電子励起状態は,A9++B→A(9-2)+(nln' l')+B2+→A(9-1)++e-+B2+という過程により生成された.本研究では入射イオンA9+としてN5+を用い,標的粒子Poとして希ガス原子(He,Ne,Ar)を用いた.放出電子のエネルギースペクトルのピークの準位を同定することにより生成される準位を調べ,エネルギー依存性なども調べた.その結果,標的粒子がHeの場合には,1重項の3 lnl'状態が多く生成され,Ne,Arの場合には,3重項の状態が支配的であることがわかった.また,エネルギー依存性を25keV,70keV,50keV,100keVの衝突エネルギーで比較することにより特定のピークの増減が確認され,その定性的な評価を与えた.


26629
Molecular-state treatment of electron capture in collisions of Be3+ ions with He atoms below 10keV amu-1
鈴木慎悟*・島倉紀之*・白井稔三・季村峯生*
J. Phys., B 31(8), p.1741-1752(1998);(JAERI-J 15626)

 多価イオンを中性原子に衝突させると,中性原子の電子が多価イオンに捕獲される.このような反応は,核融合プラズマ内で起きているために重要である.本研究では,多価イオンとしてBe3+を,中性原子としてHeを選び,10keV/amu以下の低エネルギー衝突に対する電子捕獲反応を,分子基底に基づいた緊密結合法により計算を行った.得られた電子捕獲断面積は,orbitigによる低エネルギー衝突での断面積の増加や,準分子形成に共鳴構造などの興味深い現象がみられた.


26319
Identification of single-colour multi photon ionization transitions of atomic gadolinium
宮部昌文・若井田育夫
J. Phys., B30, p.4193-4206(1997);(JAERI-J 15368)

 単色電離遷移の研究は原子高励起準位の探査やレーザー微量分析への応用,などといった観点から重要である.本研究ではガドリニウムの単色電離遷移を530〜635nmの範囲で調べ,72個の遷移を見出した.またポンプ-プローブ法を用いて各遷移の始状態を調べ,これらの遷移が,共鳴準位1個を介して電離する3光子吸収遷移であることを明らかにした.さらに単色遷移の質量分離スペクトルから得られる遷移の同位体シフトが,介在する共鳴励起準位の同位体シフトとよく一致すること,これによって高励起順位の同位体シフトを簡単に測定できることを明らかにした.


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