1998年度

Nucl.Eng.Des.


27236
Air vent in water chamber and surface coating on liner slides concerning auxiliary cooling system for the high temperature engineering test reactor
竹田武司・國富一彦・大久保実・斉藤利二*
Nucl. Eng. Des. 185(2-3), p.229-240(1998);(JAERI-J 16183)

 高温工学試験研究炉(HTTR)の補助冷却設備に新たに考察した設計の妥当性を確認するため,モデル試験を行った.まず,HTTRの補助冷却器(AHX)の出口側水室の滞留空気を抜くため,ポンプを用いた強制水循環により生じる,AHX出口側水室内の曲がり管両端の差圧を利用して空気を抜くことを提案した.流れ試験の結果,ポンプの最大容量分水を循環させることにより,曲がり管を介して空気を抜くことが可能であることを確認した.つぎに,HTTRの補助冷却設備二重管(ACHGD)のライナ摺動部の使用温度950℃における焼付き及び過度の摩擦を防止するため,ニッケル基超合金であるハステロイXRから成るACHGDライナ摺動部の表面に熱化学蒸着法を用いて窒化チタン(TiN)をコーティングすることを提案した.焼付き及び摩耗試験の結果,ハステロイXR表面のTiNのコーティング厚3μmは,十分な厚さであることを確認した.


27235
Thermal-hydraulic characteristics of a next-generation reactor relying on steam generator secondary side cooling for primary depressurization and long-term passive core cooling
与能本泰介・大津巌・安濃田良成
Nucl. Eng. Des. 185(1), p.83-96(1998);(JAERI-J 16182)

 PWRの冷却材喪失事故に対する新型安全系を検討するためROSA-V/LSTF装置を用いて総合実験を行った.検討した安全系は,次世代炉の安全系として検討されている二次側減圧系(SADS)や重力注入系(GDIS)などである.実験によりこのような安全系の特徴的な現象として,自然循環冷却による一次系減圧,蒸気発生器伝熱管群における非一様流動,安全注入水中の溶存ガスの蓄積,対向流制限による水の蓄積,GDIS動作を伴う長期的炉心冷却等が示された.これらの挙動に関するRELAP5/MOD3コードの予測性能を評価した結果,本コードは非一様流動挙動を考慮できないために,1MPa以下の圧力で減圧率を過大評価し,自然循環流量が過度に振動的に予測することがわかった.


27063
Simultaneous measurement of liquid velocity and interface profiles of horizontal duct wavy flow by ultrasonic velocity profile meter
中村秀夫・近藤昌也・久木田豊*
Nucl. Eng. Des. 184(2-3), p.339-348(1998);(JAERI-J 16039)

 超音速流速分布計測器は,トランスデューサから超音波パルスを連続的に発振し,液相とともに流動する反射体からの反射波とのドプラー信号を用い,液相の流速分布を計測する.ところが自由界面を有する水平層状流や波状流では,気液界面で超音波パルスが全反射するため,界面と流路底間での多重反射波が流速の計測を困難にしていた.今回,超音波吸収体の設置,長い計測インターバルの採用,データのビット処理を行う等の工夫により,これらの流れでの2次元的流速分布と,更に水面形状の動的な同時計測に成功した.層状流の流速分布は,同時に行った流れの可視化ビデオ画像を用いた粒子追跡法(PTV)の結果と良く一致するとともに,波状流の流速分布は,理論値と良く一致する結果が得られた.水面形状は,平行線電極を用いた水位計測の結果と良く一致した.


26470
Probabilistic fracture mechanics analyses of nuclear pressure vessels under PTS events
矢川元基*・吉村忍*・曽根田直樹*・平野雅司
Nucl. Eng. Des. 174(1), p.91-100(1997);(JAERI-J 15495)

 本論文は,原研からの委託の下に日本機械学会の研究小委員会RC111で実施した原子炉圧力容器(RPV)を対象とした確率論的破壊力学(PFM:Probabilistic Fracture Mechanics)に関する最近の研究活動を紹介するものである.この活動では,PFMを用いて加圧熱衝撃(PTS:Pressurized Thermal Shock)事象時におけるRPVの損傷確率を評価する標準的な手法を確立することを目的として,複数の解析コードを用い,米国原子力規制委員会と電力研究所が提案したベンチマーク問題の解析等を実施した.その結果,RPVの損傷確率は,初期亀裂形状,その存在確率分布,材料特性等の入力条件に大きく依存することが明らかとなった.本論文に示された解析結果は,これらの入力条件を保守的に設定する際に有用な情報を提供する.


26469
The HTTR reactor pressure vessel and its integrity against a PTS event
栗原良一
Nucl. Eng. Des. 172(3), p.317-325(1997);(JAERI-J 15494)

 日本原子力研究所で建設中の高温工学試験研究炉(HTTR)の原子炉圧力容器はHTTRプラントの中でも重要な機器であり,高温強度特性を有し,非原子力の産業界において多くの実績を有する2 1/4 Cr-1Mo鋼製である.HTTR原子炉圧力容器に使われる実鋼材を製造する前に,実鋼材と同じ方法で先行試作材を製造し,母材及び溶接材の材料強度データを得るために多くの試験を実施した.圧力容器冷却パネルの管が破断し,0.5MPa圧力40℃温度の冷却水が約400℃に熱せられた圧力容器の外壁に飛散した場合を想定し,加圧熱衝撃(PTS)事象による容器壁に生じる応力分布が有限要素法コードを用いて計算できた.本論文は先行試作材の材料試験から得られた試験結果の一部を報告するとともにPTS事象下のHTTR圧力容器の健全性を明らかにするために,軽水炉圧力容器に対して開発された方法により求めた評価結果を報告する.


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