1998年度

放射線と産業


27164
生分解性PCLの放射線改質
吉井文男
放射線と産業 (80), p.48-50(1998);(JAERI-J 16133)

 生分解性ポリマーのポリカプロラクトン(PCL)は結晶融点が60℃の耐熱性の低いポリマーであるため,その改善が望まれている.このため固相,溶融相,過冷却相の放射線橋かけを検討した結果,過冷却相が最も橋かけしやすいことを見出した.本稿では,この橋かけ挙動と耐熱性の評価結果及び橋かけと生分解性との関係を述べた.


27091
AVFサイクロトロンによる植物研究用ポジトロン放出核種標識化合物の製造
石岡典子
放射線と産業 (80), p.11-15(1998);(JAERI-J 16067)

 ポジトロンは,電子とともに消滅して511keVのエネルギーのγ線をほぼ反対方向に放出する.このγ線の両方を検出すると,2つの検出器を結ぶ直線上でポジトロンが消滅したことがわかる.そして,その近傍にポジトロンを放出した核種が存在したことがわかる.この特徴のために11C,13N,18F等のポジトロン放出核種は,トレーサーとして医学において盛んに利用されている.原研では,同じ原理を用いる植物用のポジトロンイメージング装置(PETIS)を開発し,植物体内におけるポジトロン放出核種の動きを二次元画面上で追跡することを可能にした.この装置を用いて植物の生理・生化学的な機能を解明するために,我々は高崎研TIARAのAVFサイクロトロンによるポジトロン放出核種の製造・標識合成技術の開発を進めている.ここでは,ポジトロン放出核種を製造するために開発した照射ターゲットシステム及び現在進めている植物実験用ポジトロン放出核種や標識化合物の製造について,その方法や特徴をわかり易く紹介する.


27165
植物計測用ポジトロンイメージング装置
内田博*・大村知秀*・鈴木寿博*・辻淳憲*・山下貴司*・藤村卓・松橋信平・久米民和
放射線と産業 (80), p.6-10(1998);(JAERI-J 16134)

 医学分野で用いられているポジトロン放出核種による非破壊計測法を,植物計測分野で応用するための簡易型ポジトロンイメージング装置を開発した.本装置の性能は,(視野):1対の検出器で50×48mmであるが,検出器材の増設により拡大できる,(空間分解能):検出器間隔20cmで2.6mm(FWHM)を得た,(高計数率特性):13NO2,3を含む水を用いて2kcpsまで数え落しなく計測可能である,(感度):高計数率特性のデータより24.5cps/kBq/mlと算出された,(最短計測時間):5秒であるが良好な画像を得るためには,ある程度の計数が必要である.なお,13N(1.2MeV)や15O(1.73MeV)などのポジトロンのエネルギーが高いRIを用いる場合には,ボジトロン自信が葉などの扁平な植物体内で消滅せずに抜け出してしまう割合が多くなり,バックグラウンドが上昇しS/N比が劣化するという問題点も明らかとなった.


27163
植物のポジトロンイメージング;PETISを用いた植物研究の現状
久米民和
放射線と産業 (80), p.4-5(1998);(JAERI-J 16132)

 前号での特集「6年目を迎えたTIARA」において,TIARAを用いた各分野の研究が紹介され,ポジトロン放出核種の植物機能研究への応用について述べた.今回は,この中から植物のポジトロンイメージングが選ばれ,詳細な研究内容が特集として紹介されることとなった.本特集号では,PETISの概要,標識化合物の製造,植物の応用として原研-大学プロジェクト共同研究で行われている3つの核種(11C,13N,18F)の例の5題が取り上げられている.本報告は,その前置きとしてPETISを用いた研究の現状を紹介した.


27162
ポジトロン放出核種の植物機能研究への利用
久米民和
放射線と産業 (79), p.25-29(1998);(JAERI-J 16131)

 ポジトロン放出核種の植物研究への利用について紹介する.TIARAが運転を開始して6年を経過し,ポジトロンイメージング装置を用いた植物の機能研究が本格化してきた.本報告では,研究の経緯,ポジトロンイメージング計測の特徴,装置の概要,植物を用いた研究例,今後の課題について述べる.特に研究例としては,11CO2及び11C-メチオニンを用いた炭素の移行・代謝に関する結果,13NO3-13NH4+を用いた窒素の吸収-移行に関する結果,18F-水を用いた結果などを紹介する.


26427
環境保全への放射線利用に関するIAEA国際シンポジウム
橋本昭司
放射線と産業 (77), p.42-45(1998);(JAERI-J 15458)

 国際原子力機関(IAEA)主催の「環境保全への放射線利用に関する国際シンポジウム」が平成9年9月8日(月)から12日(金)の日程でポーランドのザコパネにおいて開催された.本稿では,排煙,廃水,下水汚泥処理等への放射線利用に関する研究・開発及び実用化の動向等,シンポジウムにおける発表の概要について紹介する.


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