1998年度

IAEA-TECDOC


26369
Fission gas release of uranium-plutonium mixed nitride and carbide fuels
岩井孝・中島邦久・荒井康夫・鈴木康文
IAEA-TECDOC-970, p.137-153(1997);(JAERI-J 15418)

 高速炉用新型燃料として期待されるウラン-プルトニウム混合窒化物及び炭化物燃料をJMTR及びJRR-2で照射し,核分裂ガス放出を調べた.優れた熱的特性を活かしたコールドフューエル概念の採用により核分裂ガス放出を抑制できることが確認された.また,熱安定型ペレットの導入により核分裂ガス放出を5%FIMA燃焼度で2〜3%に低減できた.その他,核分裂ガス放出の抑制にもかかわらず,燃料と被覆管との機械的相互作用に有意の影響は認められなかった.実験データの解析から,核分裂ガス放出は開気孔率に強く依存することが示唆されている.


26955
Thermal diffusivity of high burnup UO2 pellet
中村仁一・内田正明・上塚寛・古田照夫
IAEA-TECDOC-1036, p.127-138(1998);(JAERI-J 15905)

 燃焼度63MWd/kgUの高燃焼度UO2ペレットの熱拡散率をレーザーフラッシュ法により室温から最高温度1800Kにかけて測定した.高燃焼度ペレットの熱拡散率は,未照射ペレットに比べて室温で半分以下に低下したが,両者の差は温度の上昇とともに小さくなる傾向を示した.測定最高温度を上昇させながら測定を繰り返したところ,熱拡散率は,800K〜1200Kにかけて次第に上昇する傾向を示した.これは照射損傷の回復による熱拡散率の上昇であると推定される.試料間の熱拡散率のばらつきは主として試料密度の差で説明できることが明らかとなった.また,高燃焼度ペレットの熱拡散率は固溶FPを添加して化学的に高燃焼度燃料を模擬したSIMFUELに比べてやや小さかった.これはSIMFUELには含まれない照射損傷やFPガス気泡の影響と考えられる.


26676
Instrumentation and control systems of JRR-3M
佐藤貢・村山洋二・高柳政二・荒克之
IAEA-TECDOC-973, p.113-120(1997);(JAERI-J 15673)

 JRR-3Mの計装制御システムは中性子計装,プロセス計装,原子炉出力制御,原子炉保護,工学的安全設備始動及びプロセス的放射線モニタの各構成システムより成る.計装制御システムは十分な品質保証計画のもとに,現在の法規制,設計指針及び設計規準にもとづいて設計され製作された.本システムの最大の特徴は大巾な計算機の導入である.この計算機システムはプロセス計算機と運転管理用計算機より構成されている.この計算機システムの導入により,原子炉オペレータの運転負担が大巾に軽減することができた.


26371
JAERI accelerator driven system project
滝塚貴和
IAEA-TECDOC-985, p.87-105(1997);(JAERI-J 15420)

 原研の加速器駆動システムプロジェクトでは,長寿命放射性核種の消滅処理専用システムを対象として,我が国のオメガ計画のもとで研究開発を進めている.固体システム及び溶融塩システムの2つのシステム概念を提案しており,どちらもマイナアクチノイドを燃料主成分とする高速未臨界炉心において軽水炉10基から排出されるマイナアクチノイドを消滅処理する.固体システムはタングステンターゲットとナトリウム冷却合金燃料炉心から成り,現行の高速炉技術に基づいている.溶融塩システムはターゲット,燃料,冷却材に共通の塩化物溶融塩を用い,反応生成物の連続オンライン処理が可能になる.


26764
Decomposition of tetrachloroethylene by ionizing radiation
箱田照幸・広田耕一・橋本昭司
IAEA-TECDOC-1023, p.55-66(1998);(JAERI-J 15749)

 テトラクロルエチレン(PCE)や他のクロルエテン類に汚染された排ガス処理への放射線照射の可能性を検討するため,バッチ式反応容器に模擬ガスを封入し,電子線及びガンマ線を照射した.その結果,電子線では分解のG値がPCE>トリクロル(TCE)>トランス-ジクロル(trans-DCE)>シス-ジクロル(cis-DCE)>モノクロルエチレン(MCE)の順であるのに対し,ガンマ線ではPCE,TCE,trans-DCE>cis-DCE>MCEの順となることがわかった.また,PCEについて分解のG値への初期濃度の影響を調べた結果,電子線及びガンマ線ともに初期濃度の増加に伴って分解のG値は増加することと,電子線での値はガンマ線での値に比べて2倍程度大きいことがわかった.


26370
Physical features of target and blanket
西田雄彦
IAEA-TECDOC-985, p.32-43(1997);(JAERI-J 15419)

 原研では,オメガ計画に基づいて,固体燃料型及び液体燃料型の加速器駆動消滅処理システムの研究開発を進めている.この報告では,外国の研究開発の現状と比較するために,原研型システムについて物理的特徴を中心にまとめた.加速器の陽子ビームを入射し多くの核破砕中性子を発生して炉心部へ供給する「ターゲット領域」は,このハイブリットシステム特有のものである.固体燃料システムでは,非アクチナイドのタングステンターゲットが採用され,液体燃料システムでは,マイナアクチノイドの燃料溶融塩がターゲットを兼ねる構造となっている.また,マイナアクチノイドの主たる消滅領域は,ターゲットをとりまく高速未臨界炉心(ブランケット)である.この消滅処理性能を決める重要な因子である「中性子エネルギースペクトル」及び「中性子束分布」について,各システムの体系ごとに記述した.


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