1998年度

日本金属学会誌


26575
Ni-22Cr-18Fe-9Mo合金のクリープ曲線へのθ投影法の適用性
倉田有司・内海宏和*
日本金属学会誌 62(5), p.420-426(1998);(JAERI-J 15588)

 Ni-22Cr-18Fe-9Mo合金の固溶化熱処理材,熱時効材の800及び1000℃の定荷重クリープ曲線に対して,θ投影法の適用性を調べ,以下の結果を得た.(1)正常型のクリープ曲線を示した熱時効材の1000℃の試験結果は,4つのθを用いるθ投影法によってクリープ曲線の近似がなされ,θパラメータの応力依存性を簡単な式で表すことができる.(2)3次クリープがほとんどを占める他の条件の試験結果に対し,4つのθを用いるθ投影法をそのまま適用することはできない.2つのθを用いた3次クリープ項のみのθ投影法の適用を検討し,その方法によりクリープ曲線の近似が行えることを示した.(3)クリープ曲線形状に応じて,2つのθあるいは4つのθを用いてθ投影法を適用することにより,θの応力あるいは温度依存性を数式化し,クリープ破断時間の予測が行えることを示した.


26576
固溶化熱処理及び熱時効したNi-22Cr-18Fe-9Mo合金のクリープ曲線形状
倉田有司・内海宏和*
日本金属学会誌 62(5), p.413-419(1998);(JAERI-J 15589)

 高温ガス炉の中間熱交換器用に開発されたNi-22Cr-18Fe-9Mo合金のクリープ曲線形状の変化を調べ,以下の結果を得た.(1)この合金の800℃におけるクリープ曲線は,固溶化熱処理材,熱時効材ともわずかに1次クリープが認められる場合もあるが,加速クリープ域がそのほとんどを占める3次クリープ主体のクリープ曲線である.(2)固溶化熱処理材の1000℃におけるクリープ曲線は,初期に低いクリープ速度の領域を持ち,その後,定常,加速クリープ域のある不規則な形状をしている.この低いクリープ速度の領域は熱時効によって消失し,正常型のクリープ曲線となる.(3)1000℃での熱時効により,800及び1000℃のクリープでは,クリープ速度が増加する.この効果は1000℃低応力側では小さくなる.熱時効で形成した結晶粒界上の炭化物は,ボイドやクラックの形状,成長を抑え,クリープ破断ひずみを増加させる.


[ page top ]
JAEA > JAEA図書館 > JOPSS > 学会誌等掲載論文[バックナンバー] >  累積情報(1998年度) > 当ページ
Copyright(C), Japan Atomic Energy Agency (JAEA)