1998年度

Jpn.J.Appl.Phys.


26894
Quantitative evaluation of the quantum efficiency of a superconducting tunnel junction with the multiple scattering process model of primary photoelectrons
浮辺雅宏*・岸本牧・片桐政樹・倉門雅彦*・中村龍也*・中沢正治*
Jpn. J. Appl. Phys. 37(SUPPL. 37-2), p.46-51(1998);(JAERI-J 15844)

 超伝導トンネル接合素子のエネルギー分解能や検出効率を改善するには,素子内でのX線信号生成過程(光電子エスケープ,準粒子再結合,準粒子拡散,トンネリング)の研究が不可欠である.X線ピークと下部に続くプラトーからなるX線スペクトルを決定する光電子のエスケープ過程をモデル化しピーク確率を求め,放射光を用いて測定した5-18keVのX線スペクトルより得た実験結果と比較した.その結果,求めた量子効率と実験結果が一致し,モデルの妥当性が確認できた.また,このモデルを用いることにより素子構造の最適化の検証を行った.


26895
X-ray detection characteristics of Nb-based superconducting tunnel junctions
片桐政樹・岸本牧・浮辺雅宏*・中村龍也*・倉門雅彦*・前畑京介*・石橋健二*・中沢正治*
Jpn. J. Appl. Phys. 37(SUPPL. 37-2), p.13-18(1998);(JAERI-J 15845)

 Nb超伝導トンネル接合素子のエネルギー分解能の改善に不可欠な前置増幅器の最適化研究を行い,Nb系素子としてはベストデータの5.9keV・X線に対して66eVの分解能を得た.また,幅広いX線エネルギーに対して詳細な評価実験を行い,超伝導トンネル接合素子内での信号生成メカニズム及びフォノン生成メカニズムに関する研究を行った.さらに,直列接続型超伝導トンネル接合素子によるフォノンを介したX線検出実験を行い,またエネルギー分解能特性は良くないがX線検出方法として非常に優れていることを確認した.


26633
Purification of uranium metal using the solid state electrotransport method under ultrahigh vacuum
芳賀芳範・本間徹生*・山本悦嗣・大國仁*・大貫惇睦*・伊藤光雄・木村憲彰*
Jpn. J. Appl. Phys. 37(6A), p.3604-3609(1998);(JAERI-J 15630)

 超高真空中固相電解によるウランの精製に成功した.特にFe,Ni等について,電流の効果が大きい.また,Mn,Zn等は完全に蒸発する.他方,Al等は熱による拡散がおもに効果的であることが明らかになった.


26634
A Mock-up test of a ceramic-free antenna feeder of the ion cyclotron heating system for next-generation tokamaks
森山伸一・木村晴行・藤井常幸・三枝幹雄*・新井宏之*
Jpn. J. Appl. Phys. 37(6A), p.3536-3540(1998);(JAERI-J 15631)

 現在の大型トカマク装置ではイオンサイクロトロン帯(ICRF)の高周波を用いるプラズマ加熱・電流駆動装置のアンテナへの電力の伝送に,内部導体を有する同軸管を用いている.この内部導体及びこれに接続されるアンテナ導体を機械的に支持し,かつ外部導体と内部導体間の電気絶縁を確保するため,現在の装置ではセラミックの支持体を使用している.ところがITERなど次世代のトカマク装置ではプラズマからの中性子による損傷のため,セラミックは採用できない可能性が高い.この課題を克服するため,リッジ導波管の原理を用いた全金属製の「セラミックフリーアンテナ支持体」を考案した.約1/4サイズのモックアップを製作し,その高周波特性(電力反射率とその周波数依存性)を実測し,モデル計算と比較して評価した.ITERのICRF加熱装置で想定されている周波数帯域全域で15%以下,リッジ導波管の遮断周波数以上では3%以下の非常に良好な電力反射率が得られた.「セラミックフリーアンテナ支持体」が次世代のトカマク装置のICRF加熱装置に適していることが確かめられた.


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