1998年度

Polym.Degrad.Stab.


27240
Radiation crosslinked poly(butylene succinate)foam and its biodegradation
K. Bahari*・三友宏志*・円城寺太郎*・吉井文男・幕内恵三
Polym. Degrad. Stab. 62, p.551-557(1998);(JAERI-J 16187)

 電子線照射により橋かけしたポリブチレンサクシネート(ビオノーレ)の発泡体への応用とその生分解性を調べた.ビオノーレの橋かけは100kGyから開始し,40%のゲル分解を得るには,400kGyと高い線量を要した.しかし,発泡にはゲル分率が2〜5%で十分な溶融粘度が得られた.発泡体は,独立気泡で,気泡の大きさは,発泡剤の濃度と発泡時間に著しく影響される.発泡体の酵素及び土中での生分解性は,発泡前のシートよりも早い.これは気泡が薄い膜で包まれているため,微生物が発泡体の内部へ侵入しやすいためと考えられる.


26908
Degradability of poly(3-hydroxybutylate) and its copolymer grafted with styrene by radiation
K. Bahari*・三友宏志*・円城寺太郎*・吉井文男・幕内恵三
Polym. Degrad. Stab. 61, p.245-252(1998);(JAERI-J 15858)

 生分解性ポリマーの3-ヒドロキシブチレート重合体(PHB)及びその共重合体の成形中の熱安定性を改善するため,スチレン(St)の放射線グラフト重合を行い,熱安定性と生分解性を調べた結果,次のようなことが明らかとなった.(1)熱安定性が10%のような低グラフト率で著しく改善できた.(2)グラフト重合による熱安定性は,PHBよりも共重合体の方が効果的であった.これはグラフト重合が非晶領域に優先的に起こるため,非結晶領域の多い共重合体の方がグラフト鎖をより均一に分布しているためと考えられる.(3)酸素分解性は,Stのグラフト重合により9%のような低グラフト率でも疎水化するため低下する.


26907
Radiation-resistant polypropylene improved by a compatibilizer
吉井文男・A. Sudradjat*・D. Binh*・幕内恵三・西本清一*
Polym. Degrad. Stab. 60, p.393-399(1998);(JAERI-J 15857)

 相溶化剤は2つのポリマーをブレンドするときに両者の相溶性を改善するのに添加する.生分解性ポリマーとポリプロピレン(PP)とのブレドに効果的であった水添スチレン・ブタジエンゴム(HSBR)及びPPに無水マレイン酸をグラフト重合した相溶化剤をPP単独に添加すると,耐放射線性を著しく改善できる事実を見出した.PPには照射中と照射後の保存中の2つの劣化があるが,このような相溶化剤を5%添加すると,50kGy照射後6ヵ月を経過しても劣化はほとんど起こらないことがわかった.また,HSBRはPPの透明性も改善した.構造は,単斜晶系とスメチック構造との混合結晶であることを推定した.


26643
Accelerated degradability of polypropylene by blended rubber
G. Meligi*・吉井文男・佐々木隆・幕内恵三・A. M. Rabie*・西本清一*
Polym. Degrad. Stab. 57, p.241-246(1997);(JAERI-J 15640)

 ポリプロピレン(PP)の電子線照射後のキセノン照射中の分解を促進するため,種々の合成ゴムをPPに添加した.ブチルゴムとポリイソプレンゴムを3%程度添加することによりPPの透明性が向上した.この少量のゴム添加は,伸びと分子量測定から電子線の照射中及びその後のキセノン照射中の劣化を著しく促進した.ゴムは化学発光分析からPPに高い酸化を与えるため分解を促進した.本研究により使用前に予め照射し,使用後不用になった時は,自然環境下で短時間で分解する環境調和型ポリマーが得られた.


[ page top ]
JAEA > JAEA図書館 > JOPSS > 学会誌等掲載論文[バックナンバー] >  累積情報(1998年度) > 当ページ
Copyright(C), Japan Atomic Energy Agency (JAEA)