1998年度

Fusion Technology 1998


26935
The ITER vacuum vessel heat transfer system;Design and safety aspects
片岡良之*・伊藤光義*・堀切仁*・小佐野勝春*・R. Haange*・G. Johnson*・星有一*・H. W. Bartels*・Y. Petrov*
Fusion Technology 1998 2, p.1721-1724(1998);(JAERI-J 15885)

 ITERの真空容器冷却系は,他の冷却系が不動作な場合にも,容器内構造物からの崩壊熱除去を担保する安全系である.この崩壊熱徐去を動的機器に依存しないで達成するため,異常時の自然循環を促進する沸騰管と自然通風冷却の熱交換器を用いた系統構成である.通常時は,ポンプで冷却水を駆動し,真空容器出口側の沸騰管上部に設けた気水分離器の圧力を0.1MPaに制御し,容器入口水温100℃を維持する.異常時の自然循環特性は,1.5MWの熱負荷時に45kg/s,3.0MWの熱負荷時に65kg/sの流量であることを解析的に確認した.また,異常事象発生後3日間で,自然循環のみで,真空容器の温度を約80℃まで低下させられることを確認した.


26933
Overview of gap streaming experiments for ITER at JAERI/FNS
今野力・前川藤夫・大山幸夫・宇野喜智・春日井好己・和田政行*・前川洋・池田裕二郎
Fusion Technology 1998 2, p.1473-1476(1998);(JAERI-J 15883)

 ITERのブランケットモジュール間のギャップによる中性子のストリーミングがブランケットモジュールとバックプレートの溶接部や超伝導コイルに対する遮蔽性能に及ぼす影響を調べるために,ITERのブランケットモジュール間のギャップを模擬した大型の鉄の実験体系(縦1.6m,横1.4m,奥行き50cm〜80cm)を用いたギャップストリーミング実験を原研FNSで行った.中性子のギャップストリーミングにより,14MeV中性子束は最大約20倍増加したが,1MeV以下の中性子束及びγ線は数10%以下の増加にとどまった.このことから,ギャップストリーミングの影響はγ線による核発熱よりも高速中性子によるヘリウム生成,放射線損傷に対し大きいことがわかった.


26934
Experimental validation of nuclear heating for ITER structural materials
池田裕二郎・A. Kumar*・前川藤夫・和田政行*・春日井好己・M. A. Abdou*
Fusion Technology 1998 2, p.1469-1472(1998);(JAERI-J 15884)

 ITER R&Dタスクとして,これまでにSS-316,Cu及び黒鉛体系を用いたD-T核融合中性子核発熱実験を実施してきた.得られた実験データをもとに,主要構造材料(Be,C,Al,Si,Ti,V,Cr,Fe,Ni,SS-316,Cu,Zr,Nb,Mo,W)の核発熱計算に用いる計算コード及び核データの妥当性を検証し,ITER核設計における不確定性を明らかにした.検討した発熱に直接かかわる中性子核データはFENDL-1,2及びJELDL-3.2であった.実験値と計算値を比較した結果,以下のことが示された.(1)黒鉛,Ti,Cr,Ni,Nb及びMoについてはすべての計算は概ね妥当である.特に黒鉛については,JENDL/PKA-KERMAファイルが最も良い.(2)Al,Si及びVのFENDL-1に関しては,過大評価が顕著で修正が必要.(3)JENDL-3.2のBeの過小評価,JENDL-3.2及びFENDL-1のWの過大評価については,KERMAデータの再評価が必要である.以上,実験誤差は10%以内であるので本実験解析により有意な計算上の不備と,その原因のほとんどはKERMAデータに問題があることが判明した.


26931
Integral activation experiment on SS-316LN and F82H steel irradiated with d-Be neutron source
前川藤夫・和田政行*・池田裕二郎・U. Moellendorff*・H. Tsige-Tamirat*
Fusion Technology 1998 2, p.1465-1468(1998);(JAERI-J 15881)

 IEA国際協力研究のサブタスク「中性子工学」の一環として,d-Be中性子場におけるステンレス鋼-316(ITER仕様)と低放射化フェライト鋼F82Hの放射化積分実験を行った.ドイツ・カールスルーエ研究所のサイクロトロンを用いて19-MeVに加速した重水素ビームをベリリウムターゲットにあて,d-Be反応により生成する中性子を試料に照射した.その後,試料中に生成した誘導放射能を高純度ゲルマニウム検出器で測定した.その結果,ステンレス鋼-316と比較した時のF82H鋼の低放射化特性が実証された.また,生成する誘導放射能をACT4コードとFENDL/A-2.0及びJENDL放射化ファイル,またFISPACTコードとEAFライブラリを用いて計算した.計算結果は実験値と比較的良く一致し,これらのコード及び放射化断面積ライブラリが妥当であることがわかった.


26932
Summary of bulk shielding experiments for ITER at JAERI/FNS
今野力・前川藤夫・大山幸夫・宇野喜智・和田政行*・前川洋・池田裕二郎・竹内浩
Fusion Technology 1998 2, p.1263-1266(1998);(JAERI-J 15882)

 ITERの遮蔽設計計算の妥当性を検証するために,SUS316遮蔽実験,SUS316/水遮蔽実験,ボイド効果実験,超伝導コイル模擬実験を原研FNSで実施した.実験体系は,直径1.2m,厚さ1.2mのテスト領域と厚さ0.2mのSUS316でできた中性子源反射体からできている.テスト領域の物質は実験毎に変更した.テスト領域内の0.91mの深さまで,ほぼ全エネルギーにわたる中性子スペクトル,γ線スペクトル,様々な反応率,γ線発熱率等の実験データを取得した.実験解析は,MCNP-4A,DORT3.1コード及びFENDL/E-1.1,JENDL Fusion Fileライブラリーを用いて行った.その結果,ITERの基本性能段階でのバルク遮蔽設計計算の精度が30%以下であることがわかった.


26936
ITER heat removal system;System and process control design
星有一*・片岡良之*・伊東光義*・堀切仁*・小佐野勝春*・大川慶直・丸山創・伊藤一芳*・V. Tanchuk*・R. Haange*・R. Raffray*・R. Tivey*・P. Lorenzetto*
Fusion Technology 1998 2, 4p.(1998);(JAERI-J 15886)

 ITERではブランケット構造体,ダイバータ等に蓄積されるエネルギーを加圧水を使用して除去する.しかし,システムの沸騰防止,高熱流速機器の除熱機構等の理由からパルス運転中のプロセス量(温度,圧力,流量)の監視ならびに制御が重要な問題になっている.本論文は厳しいプロセス制御幅への要求に答えて,入口温度,系統圧力に対してフィードバック制御系を設計し,これを用いて計画されている標準パルス運転時の制御性について検討したのでその結果について報告する.またITERが実験炉であることを考慮して,想定される標準パルスからの人為的または制御精度によるずれに対して,標準パルスにセットされた制御系がプロセス量をどの程度の範囲に抑えられるかについても検討した.何れの場合も簡単なフィードバック制御系によって,プロセス量を所定の許容変動幅内に制御可能であることが判明した.


26930
Development of a 1MeV H- beam accelerator for neutral beam injector
渡邊和弘・藤原幸雄・花田磨砂也・井上多加志・宮本賢治・宮本直樹*・奥村義和・佐藤和義
Fusion Technology 1998 1, p.493-496(1998);(JAERI-J 15880)

 多孔,5段静電加速器の開発を進め,目標エネルギーである1MeVまで水素負イオンビームを加速することに成功した.電流値は25mA,パルス幅は1秒である.また,5段加速器におけるビーム光学レットが明瞭に区別できる収束性の良いビームについて調べ,各中間電位電極の電流が減少する点においてビーム条件を得た.この条件はビーム軌道計算により設計した最適条件によく一致していることが確認できた.


261049
Reduction of toroidal magnetic field ripple in the advanced material tokamak experiment on JFT-2M
佐藤正泰・三浦幸俊・木村晴行・山本正弘・小池常之・中山武*・長谷川満*・浦田一宏*
Fusion Technology 1998 1, p.545-548(1998);(JAERI-J 15969)

 JFT-2Mでは,フェライト鋼(FB)を用いてリップルの少ないトロイダル磁場(TF)を生成し,リップル捕捉粒子の損失を低減する先進材料プラズマ試験を行う計画である.今までの解析によれば,FBを真空容器(VV)とTFコイル(TFC)の間に全セクション設置することにより,リップルは下がり,プラズマ周辺では磁場構造が著しく変化し,TFCの数(NTF)の2倍のトロイダルモード数(STM)の磁場が発生することがわかっている.このSTMはリップル捕捉粒子の輸送に対して悪い影響を与えることが予測され,STMを抑えつつ,NTFのモードを減らすことが必要であり,それには,FBをVVより遠ざけて厚いFBを設置することによって可能であることがわかった.又FBを1〜2箇所のトロイダルセクションに挿入した予備的な実験を行った.この場合,プラズマ生成や閉じ込めに悪い影響は見られていない.


27092
Development of high power gyrotron and transmission line for ECH/ECCD system
高橋幸司・坂本慶司・春日井敦・恒岡まさき・池田幸治・今井剛・假家強*・満仲義加*
Fusion Technology 1998 1, p.415-418(1998);(JAERI-J 16068)

 最近,高周波伝送時の誘電損失が従来の窓材と同レベル,あるいは最大1/10以下,高熱伝導率(1800W/m/K)のCVDダイアモンドで大口径ディスク製作が可能となり,そのダイアモンド(周辺水冷却)搭載の170GHz大電力ジャイロトロンを開発し実験を行い,0.52MW-6.2sec,0.45MW-8.0secの発振に成功した.また,0.52MW-6.2sec時の窓の中心温度は150℃まで上昇したが,その上昇は飽和状態にあり,周辺冷却で除熱可能ということを実験的に確かめ,1MW,cwジャイロトロン開発に向け大きく進歩した.また,D-T炉用ECH/ECCDシステムでは,安全上,真空及びトリチウム隔壁が必要で,真空窓及びゲートバルブがその役目を担う.ITERでは0.5MPaの圧力上昇に耐え得る隔壁の設計が要求されており,そのデータベース蓄積を目的とした真空窓(黒ダイアディスク)の圧力破壊試験を行った.ディスク厚0.8mm,有効径71mmで破壊圧力0.474MPaという結果が得られた.実際の窓の厚さ,有効径はそれぞれ2mm,50mm程度であり,隔壁の設計条件を満たすことが期待できる.


26929
Application of sequential function chart methodology to ITER control system
米川出・J. Journeaux*・松本雄二*
Fusion Technology 1998 1, 4p.(1998);(JAERI-J 15879)

 複雑で大規模なITERプラント制御系は,全体を統括制御する上位系と,各々のプラントを制御する下位レベル制御系の階層構成を採る.このような大規模系においてはその制御系の設計,運転など,統一された思想,及び手法を取り入れることが重要である.この考え方を実現するための手法の一つとして,国際的な基準(IEC標準)で定められたSFC(Sequential Function Chart)を用いて,各制御系の設計を行うこととした.このSFCによる記述形式を用いて,各プラントの運転手順を記述することにより,各プラントの定常的な運転状態を,それを表わすパラメータとともに定義し,複数の定常運転状態間の遷移と,それに必要な動作,及び制御系を明確化できた.本報告では,その結果と,現在の制御系の設計の進展状況を報告する.


261048
Improvement of the ion source power supply for JT-60 negative-ion based NBI
大森憲一郎・薄井勝富・大島克己*・大賀徳道・河合視己人・渡邊和弘・伊藤孝雄・栗山正明・小野要一*・川島秀一*
Fusion Technology 1998 1, 4p.(1998);(JAERI-J 15968)

 JT-60負イオンNBI装置(N-NBI)は,1996年よりビーム出力の増大を図りながらJT-60プラズマへの入射実験を行っている.これまでの運転において,N-NBIの主要構成機器の一つであるイオン源用電源でもいくつかの問題が発生した.これらの多くは,ビーム出力の増大に伴い発生頻度が増したイオン源におけるブレークダウンが原因であると推定された.そこで,これらに対処するため,加速電源制御系のディジタル制御化改造,フィラメント電源電圧検出回路へのフィルタ増設,あるいは,アーク電源の過電流に対する保護レベルの見直しといった改造が行われた.また,その他の電源においても,ビーム入射の最適化を目指し,いくつかの改造・調整等が実施された.本シンポジウムでは,N-NBIの運転時に電源において発生した問題点,それに対する対処(改造),そしてその結果について報告する.


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