2000年度

Journal of Applied Physics


280296
X-ray scattering study of interfacial roughness correlation in Mo/Si multilayers fabricated by ion beam sputtering
Ulyanenkov, A.*・松尾隆二*・表和彦*・稲葉克彦*・原田仁平*・石野雅彦・西井正信*・依田修
Journal of Applied Physics 87(10), p.7255-7260(2000) ; (JAERI-J 17293)

 イオンビームスパッタ法により,Si基板及びガラス基板上にMo/Si多層膜を積層させた.X線の共鳴散乱及び散漫散乱回折による多層膜の界面構造測定を行った.界面粗さの縦方向及び横方向の相関長を含むDWBA法により,測定結果を定性的定量的に評価し,周期性及び界面構造の詳細を導いた.拡散層の厚さは,蒸着物質に依存し,重いMoはSi層に深く埋め込まれることがわかった.また,基板材料の違いにより,相関長とフラクタル次元に差がでた.Si基板上の多層膜では界面が滑らかで短周期の変動を持ち,一方のガラス基板では,かなり大きな界面粗さを持ち,相関長がほとんどないことがわかった.これらの相違は,多層膜反射鏡の反射特性に影響を及ぼすもので,X線の散乱から得られる界面粗さの相関長の情報は,多層膜の構造評価に極めて重要である.


280363
Crystallization of an amorphous layer in P+-implanted 6H-SiC studied by monoenergetic positron beams
上殿明良*・谷川庄一郎*・大島武・伊藤久義・吉川正人・梨山勇・Frank, T.*・Pensl, G.*・鈴木良一*・大平俊行*・三角智久*
Journal of Applied Physics 87(9), p.4119-4125(2000) ; (JAERI-J 17353)

 陽電子(単色)消滅法を用いて1×1015/cm2の200keV-リン(P+)注入した6H-SiCの注入層を調べた.注入は室温,800℃または1200℃で行った.室温注入では表層の注入層はアモルファス化,注入層の深部は複空孔がおもに残留していることがわかった.注入後,1700℃までの熱処理を行ったところ,空孔型の欠陥のアニール挙動が熱処理の温度領域によって五つに分けられた.また,800℃,1200℃注入では注入層はアモルファス化はしないが,表層に大きな空孔クラスター残留層,深部には表層に比べサイズの小さな空孔クラスターが残留することがわかった.これらの試料を1700℃まで熱処理すると,800℃注入試料の残留欠陥サイズが最も小さく,続いて1200℃注入試料,最も残留欠陥サイズが大きかったのが室温注入試料となり,注入後同じ温度での熱処理を行っても注入温度によって残留欠陥サイズが異なることがわかった.


280297
Effect of Mg ion implantation on electrical properties of CuInSe2 thin films
田中徹*・若原昭浩*・吉田明*・大島武・伊藤久義・岡田漱平
Journal of Applied Physics 87(7), p.3283-3286(2000) ; (JAERI-J 17294)

 カルコパイライト系半導体の一つであるCuInSe2(CIS)は不純物導入による伝導制御技術が確立しておらず電子素子を実用化する際の課題となっている.不純物を用いた伝導型制御を目的にCISへのマンガン(Mg)イオンを注入した.試料は高周波スパッタ法によりGaAs基板上に作製したCISを用い,Mg+注入は室温で,1017〜1019/cm3の濃度範囲で行った.RHEED測定,X線測定より,窒素雰囲気中で400℃,1時間の熱処理を行うことで結晶性が回復することが明らかになった.試料のキャリア濃度をホール係数測定より調べると,導入されたMg濃度の増加とともに電子濃度が増加していくことがわかった.このことよりMgはCIS中ではドナー不純物として働くことが明らかになった.また,Mgのイオン化エネルギーをキャリア濃度の温度依存性から求めたところ53MeVであることがわかった.


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