2000年度

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research, A


290220
Efficiency calibration of a Ge detector in the 0.1-11.0MeV region
Raman, S.* ; 米澤仲四郎 ; 松江秀明 ; 飯村秀紀 ; 篠原伸夫
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 454(2-3), p.389-402(2000) ; (JAERI-J 17908)

 原研JRR-3Mの熱中性子ビームラインに設置された即発γ線分析装置の大容量Ge検出器の0.1〜11.0MeV領域の検出効率曲線を測定した.γ線検出効率は,2754keV以下の低エネルギー領域では放射性核種22Na,54Mn,60Co,88Y,133Ba,137Cs,152Eu,207Bi,241Am,226Ra,228Thのγ線源を使用し,2754keV以上の高エネルギー領域では12C(n,γ)と14N(n,γ)反応による即発γ線を使用した.本Ge検出器により高エネルギーγ線を放出する56Co(T1/2=77d),66Ga(T1/2=9.5h)及び塩素の中性子捕獲γ線35Cl(n,γ)を測定し,各γ線の正確な放出率を求めた.本研究により,これらのγ線源はGe検出器の効率測定のための2次標準として使用することができるようになった.


290047
Acceleration of cluster and molecular ions by TIARA 3MV tandem accelerator
齋藤勇一 ; 水橋清 ; 田島訓
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research, A 452(1-2), p.61-66(2000) ; (JAERI-J 17777)

 ホウ素,炭素,酸素,アルミ,シリコン,銅,金,フッ化リチウム及び酸化アルミのクラスターまたは分子イオンビームを3MVタンデム加速器を用いてナノアンペアの強度でMeVエネルギーに加速することに成功した.これらのクラスタービームはセシウムスパッター型負イオン源で生成される.スパッターカソード中の試料密度を変えてイオン生成テストを行った結果,高密度カソードがクラスターイオン生成に適していることが判明した.また,タンデム加速器で加速するときの荷電変換ガス圧と各イオンのクラスター透過効率を詳細に調べた結果,酸化アルミの2価イオンを確認した.


290046
Measurement of gas bremsstrahlung at the SPring-8 insertion device beamline using PWO scintilator
浅野芳裕 ; 松村徹* ; 千葉竜一* ; 橋本朋幸* ; 三浦明夫* ; 清水肇* ; 田島靖久* ; 吉田浩司*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research, A 451(2), p.658-696(2000) ; (JAERI-J 17776)

 PbWO4シンチレーターを用いてSPring-8蓄積電子と残留ガスとの相互作用の結果,発生するガス制動放射線を測定した.その結果,従来この種の測定に用いられていた鉛ガラスよりエネルギー分解能が3倍程良いことが観測された.測定は蓄積電子状態の異なる2本のビームラインで行われ,ビームラインに混入してくるガス制動放射線が蓄積電子ビーム状態に大きく影響を受けることが観測された.また,そのときのガス制動放射線のパワーや線量当量についても議論がなされた.


280645
Development of whole energy absorption spectrometer for decay heat measurement
前川藤夫・和田政行*・池田裕二郎
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research, A 450(2-3), p.467-478(2000) ; (JAERI-J 17603)

 崩壊熱の新しい測定装置である「全エネルギー吸収スペクトロメータ」を開発した.これは1対の大型BGOシンチレータ(120mmφ×100)により,放射化した試料から放出されるβ線とγ線のエネルギーを100%に近い検出効率で測定するものである.スペクトロメータの性能を調べるために14-MeV中性子源を用いた実験を行った結果,1分から400日の幅広い冷却時間範囲において,およそ6〜10%の精度で崩壊熱を測定することができた.この実験から,今回開発したスペクトロメータの高検出効率,耐高計数率性,高精度,広いダイナミックレンジ等の特徴が明らかになった.また,本スペクトロメータは原子核崩壊のQ値測定への応用が可能であることを示した.


280644
Improved performance of the JAERI injection and free electron laser system
西森信行・永井良治・羽島良一・静間俊行・沢村勝・菊澤信宏・峰原英介
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research, A 445(1-3), p.432-436 (2000) ; (JAERI-J 17602)

 原研FELでは平均出力1kWクラスのFEL発振を目指している.電子ビームからFELへの変換効率を1%とすると,100kW以上が電子ビームに要求される.そこで,平均電流6mA(0.6nC/パルス),電圧16MVの電子ビームをアンジュレーターに導くことを目標に改良している.まず,電子銃のグリッドパルサーの性能を向上することにより,0.6nCの電子ビームのミクロパルス幅を4nsから1.2ns(FWHM)に減らし,タイミングジッターを0.2ns以下に押さえた.また,2つある前段加速器ではそれぞれ1MVの加速を行いたいので,RF電源の出力を4,5kWから6,7kWに性能を上げた.以上の改良により16MeVの電子ビームを5mAアンジュレーター中に導くことができた.同じ条件で規格化RMSエミッタンスは30mm-mradが得られた.今後はFEL発振実験を行い,その特性の測定を行う.


280643
Design of energy-recovery transport for the JAERI FEL driven by a superconducting linac
羽島良一・沢村勝・永井良治・菊澤信宏・西森信行・静間俊行・峰原英介・N. A. Vimokurov*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research, A 445(1-3), p.384-388(2000) ; (JAERI-J 17601)

 原研で開発を行っている,超伝導リニアックを用いた大出力自由電子レーザー(FEL)では,これまでに,赤外領域(20〜30μm)で100ワットレベルの安定発振が得られている.FELの出力をさらに向上させる手段として,エネルギー回収が考えられる.これは,FEL相互作用を終えた電子ビームを,再び超伝導加速空洞に導き減速することで,ビームエネルギーを高周波電力に変換する方法である.本論文では,エネルギー回収用の電子ビーム輸送系の設計を行った.1次のオーダーでアクロマティックかつアイソクロナスな輸送系が構成できることを示し,二次収差の補正方法についても検討した.また,エネルギー回収により向上が期待されるFEL特性を数値解析を使って示した.


280511
JAERI superconducting RF linac-based free-electron laser-facility
峰原英介・沢村勝・永井良治・菊澤信宏・杉本昌義・羽島良一・静間俊行・山内俊彦・西森信行
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research, A 445(1-3), p.183-186(2000) ; (JAERI-J 17481)

 原研超伝導リニアック自由電子レーザーにおいて行われた性能改善と現システムを飛躍的に性能向上させた高出力FELの概念設計検討を進めた.昨年,0.1kW出力を達成したが,その後,光共振器系の外部結合や電子銃及び電子ビーム輸送系,並びに高周波系等においてシステムの改善を進めた.現在,もともとの設計出力である準CW動作で光出力1kWを目標に実験を電子ビームから光の性能改善へと進めている.現在,高出力FELは超伝導リニアック駆動源を用いたエネルギー回収配位のものが最も優れていると考えられる.この方式で数十MW級電子ビーム出力で100kW級光出力の概念検討を行った.このFEL装置は現在の装置の改良ないし変更で実現を図る予定である.また,光源の改善とともに進めている産業応用装置概念設計及び学術利用の光化学関連の試行実験を行ったのでこの概略についても報告する.


280708
Formation of a single-bunch beam in the booster synchrotron at SPring-8
鈴木寛光・青木毅*・恵郷博文*・原雅弘*・細田直康*・川島祥孝*・大橋裕二*・大島隆*・谷教夫・矢橋牧名*・米原博人
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research, A 444(3), p.515-533(2000) ; (JAERI-J 17657)

 SPring-8は,1GeV線型加速器,8GeVブースターシンクロトロン及び8GeV蓄積リングから構成される大型放射光施設である.線型加速器から入射された電子ビームは,508.58MHzで運転されているブースターシンクロトロンの多数のRFバケットに分布している.蓄積リングの1つのRFバケットに電子ビームを入射するために,高周波ノックアウトシステムをブースターシンクロトロンに設置した.最小エネルギーの1GeVの時に,このシステムを運転し,一つのRFバケットだけに電子ビームを効率的に残すことができる.この電子ビームは,高精度タイミングシステムを用いて蓄積リングの指定したRFバケットへ入射される.蓄積リングのサイライトRFバケットのビーム強度をフォトンカウンティング法で測定し,メインのRFバケットにある電子ビームに対して1×10-6以下であることがわかった.


280642
Research of superconducting tunnel junction X-ray detectors with direct signal observation method using a fast current readout system
岸本牧・片桐政樹・中村龍也*・大久保雅隆*・浮辺雅宏*・倉門雅彦*・神野郁夫*・福田大治*・高橋浩之*・Kraus, H.*・中沢正治*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research, A 444(1-2), p.124-128(2000) ; (JAERI-J 17600)

 超伝導トンネル接合X線検出器のトンネル接合部における準粒子の流れを正確に調べるためには,直接接合部を流れる電流を測定する必要がある.そこでわれわれは110MHzという非常に広い周波数帯域を持つ超高速電流アンプを開発し,TuSTJとNbSTJを用いたX線検出実験に用いた.その結果,従来の電荷増幅型アンプではわからなかった,トンネル接合部での準粒子の流れを直接観測することができるようになった.


280451
High-temperature operation of a radiation detector made of a type IIa diamond single crystal synthesized by a HP/HT method
谷村嘉彦*・金子純一・片桐政樹・池田裕二郎・西谷健夫・竹内浩・飯田敏行*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research, A 443(2-3), p.325-330 (2000) ; (JAERI-J 17430)

 高温高圧合成法によってつくられた高純度IIa型単結晶ダイヤモンドをもちいた放射線検出器を196℃までの高温環境下で動作させた.高温環境下で顕著化する漏れ電流を抑制するため,ショットキー電極とオーミック電極からなる表面障壁型構造をTiをもちいて実現した.I-V特性を25〜200℃までの温度範囲で測定した結果,検出器は整流性を示し,高温環境下においても測定に必要な高電圧を検出器に印加可能であることがわかった.241Amからの5.486MeVα線を測定した結果,人工ダイヤモンド放射線検出器が150℃程度の高温環境下でもエネルギースペクトロメータとして動作することを確認した.また検出器温度25℃で測定された5.486MeVαスペクトルと比較して,68℃で測定されたスペクトルはピーク位置が高エネルギー側にシフトし,エネルギー分解能も向上した.これは電荷キャリアである正孔に対する捕獲−再放出温度が温度上昇によって抑制され,電荷収集率が改善された結果である.また検出器温度が150℃をこえると電荷損失が顕著になり,196℃では分極現象によって測定を継続することができなかった.


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