2000年度

Fusion Engineering and Design


290199
A New shape reproduction method based on the cauchy-condition surface for real-time tokamak reactor control
栗原研一
Fusion Engineering and Design 51-52(Part.B), p.1049-1057(2000) ; (JAERI-J 17887)

 トカマク・プラズマの断面形状は,必要条件を満たす外部の電磁気センサだけから同定できることは以前に示した.これにより,ほかの方法は理論的な裏付けが弱かったり粗い近似で精度が悪いなど本質的問題を含むことが確認されたものの,先の必要条件を満たすようにセンサを製作・設置し直すことも既存の装置では難しい.そこで理想的な必要条件を満たしていない種類と数のセンサであっても,その状況で達成可能な限りの高精度で断面形状を再構築する方法の開発を実施した.この結果,マクスウェル方程式の解析解に現れるプラズマ中の仮想曲面上での境界条件として,磁束と磁場を独立に規定する「コーシー条件」を,電磁気信号から最小2乗法的に計算するという新方式を開発し,理論的裏付け,精度,安定性,実時間高速性,使用センサ種類のどの点でも優れていることを明らかにした.本発表はこれら一連の新方法開発の報告である.


290198
Composition adjustment of low activation materials for shallow land burial
関泰 ; 田原隆志* ; 青木功 ; 植田脩三 ; 西尾敏 ; 栗原良一
Fusion Engineering and Design 48(3-4), p.435-441(2000) ; (JAERI-J 17886)

 代表的な低放射化材料であるフェライト鋼,バナジウム合金及びSiC/SiC複合材料の組成を調整することにより日本において浅地埋設できる割合を高めることを検討した.その結果,バナジウム合金はN6不純物を,SiC/SiC複合材料はN不純物を減らすことによりほとんど全ての放射性廃棄物を浅地埋設できることが示された.これに対して低放射化フェライト鋼F82Hの場合には,合金成分であるWの割合を減らさないと90%の浅地埋設割合をこれ以上増やすことはできないことがわかった.


290094
Prototype tokamak fusion power reactor based on SiC/SiC composite material, focussing on easy maintenance
西尾敏 ; 植田脩三 ; 栗原良一 ; 黒田敏公* ; 三浦秀徳* ; 迫淳* ; 高瀬和之 ; 関泰 ; 安達潤一* ; 山崎誠一郎* ; 橋本俊行* ; 森清治* ; 新谷吉郎* ; 村上好樹* ; 仙田郁夫* ; 岡野邦彦* ; 朝岡善幸* ; 吉田智朗*
Fusion Engineering and Design 48(3-4), p.271-279(2000) ; (JAERI-J 17814)

 将来の商用炉として環境安全性及び保守性に重点をおいたDREAM炉を過去にすでに提案した.そこでは材料開発の著しい進展が前提とされている.実験炉の次の原型炉の建設予定時期においては,材料は開発途上であることが想定され,そのことを前提として原型炉ドリームの概念構築を試みた.以下,検討の結果得られた主なパラメータを商用炉との比較をし,記述する.


290197
Overview of the Japanese fusion reactor studies programme
関泰
Fusion Engineering and Design 48(3-4), p.247-254(2000) ; (JAERI-J 17885)

 1993年の第5回IAEA核融合炉設計と技術に関する会合以降に日本においてなされた核融合炉の設計研究を紹介する.前回会合からの5年間に,日本における核融合炉の研究はトカマク炉,ヘリカル炉とレーザー炉により集中してきた.トカマク炉の研究は4件ありA-SSTR,CREST,DREAMとIDLTである.ヘリカル炉はFFHRがあり,レーザー炉はKOYOである.5年前の多様な閉じ込め方式の炉が研究されていた状況と較べると閉じ込め方式は3方式に絞られ,各々の検討がより多くの研究者を動員した大規模なものとなってきた.また各検討チーム間の協力と交流も各種の委員会,会合,シンポジウムを通して活発になってきた.


280775
Remodeling of JT-60 discharge control system
米川出 ; 戸塚俊之 ; 赤坂博美 ; 末岡通治 ; 高野正二* ; 栗原研一
Fusion Engineering and Design 48(1-2), p.17-23(2000) ; (JAERI-J 17712)

 JT-60の放電制御系は,制御用計算機,CAMACモジュールを主要な構成機器として,約15年に渡り使用されてきた.その間,プラズマ実験の進展に伴い,種々の改造を実施してきたが,部品供給,コスト及び性能面から,限界点に到達したと云える.そこで,可能な限り低コストで,拡張性を備えた放電制御系に改造することとした.改造にあたっては,JT-60の実験停止期間を最小にするために,運転経験に基づく改良を除いて,これまでの機能を維持することを基本とした.新放電制御系は,ソフトウェア開発用のワークステーションと,実時間で稼動するVMEバスシステムをイサーネットで接続した制御システム構成を基本とした.このシステム構成により,新システムが稼動した後も,ホストワークステーションで並行してソフトウェア開発が可能となる.新放電制御系は,2001年初頭から運用開始となる予定である.


280293
Evaluation of biological does rates around the ITER NBI ports by 2-D SN/activation and 3-D Monte Carlo analyses
佐藤聡・飯田浩正・R.Plenteda*・D.Valenza*・R.T.Santoro*
Fusion Engineering and Design 47(4), p.425-435(2000) ; (JAERI-J 17290)

 2次元及び3次元解析により,ITER/NBIポート周辺の遮蔽解析を行い,運転停止106秒後の生体線量率を評価した.運転中の2次元SN解析,2次元放射化解析及び運転停止後のγ線に対する2次元SN解析を行い,高速中性子束及び生体線量率分布を求めた.それらの値から,高速中性子束から生体線量率への変換係数を評価した.その結果,クライオスタット近傍では,1.5〜4×10-5μSv/hour/(cm-2 sec.-1)であることが判った.トーラスの1/4を忠実にモデル化した.3次元モンテカルロ解析により,クライオスタット近傍の高速中性子束を求めた.分散低減技法の工夫により,統計誤差の小さい解が得られた.その結果,クライオスタット近傍の生体線量率は,20〜100μSv/hourとなり,ITER/EDAの設計目標である100μSv/hourを満足することが判った.


280292
Decay heat experiment on thirty-two fusion reactor relevant materials irradiated by 14-MeV neutrons
前川藤夫・池田裕二郎
Fusion Engineering and Design 47(4), p.377-388(2000) ; (JAERI-J 17289)

 核融合炉において崩壊熱は,冷却材喪失事故時等の安全性解析にとって重要である.そこで,核融合関連材料に対する崩壊熱測定実験を行った.32種の試料を原研FNSの14MeV中性子源により照射し,冷却時間1分〜400日の広い冷却時間の範囲において,全エネルギー吸収スペクトロメータにより試料から発生する崩壊熱を測定し,核融合炉の分野では初の系統的な崩壊熱実験データを取得した.また,今後の実験解析に必要な照射場における中性子スペクトルを決定した.さらに実験事実から,シーケンシャル反応,不純物の放射化,低エネルギー中性子誘導反応及び放射線分解といった核融合炉の設計において忘れがちな現象も重要であることが明らかになった.


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